程よく暖かく程よく冷たい風が吹く秋の日。
山で作業をするには最高の気温です。
今日はお預かりクラスの利用で到着した犬くんをお伴に、年に数回しか手入れに入れない尾歩山の東側の斜面の手入れに突入しました。
棘のついた雑草やらカヤやら笹やら葛やら…。
山の木々の成長を阻害するものたちを鎌、はさみ、のこぎりの山の手入れ3種の道具を駆使して刈り込んでいきます。
お供の犬くんは作業する私の周囲で番犬をしてくれるので調子にのって2時間ほど続けました。
なぜこんなに苦労して山の手入れをしなければいけないかというと、この尾歩山の中で成長する犬たちがいるからです。
犬の成長と発達のために、何よりも必要なのは環境を整備すること。
生徒さんたちに常々お願いしていることですが、実は私もこうして環境整備を進めています。
室内環境の整備や、寝床を準備することや、お散歩のコースを選択することや、床材を整えることや、部屋に仕切りを作ること、テラスやベランダを整備することの全てが、犬が安心して成長できる環境を整えることです。
同じように私もこの尾歩山を安全かつ安心して活用できる場となるように環境を整備する責任を負っています。
いつもトレッキングクラスに利用している道だけを整備しているのではありません。
みなさんが普段通行しない尾歩山の全ての木々がちゃんと育って森になるように育てているのです。
木々を育てて健全な森をつくるには木々の育つ環境を整備しなければなりません。
犬を育てて犬の健全な心身をつくるには、犬の育つ環境を整備しなければなりません。
環境を整えていないのに、犬をほめたり叱ったり、ごほうびを与えたり罰を与えたりしても、何も変わらないどころか犬は壊れていきます。
それは私が山の環境を整えていないのに、肥料を与えたり、ロープをかけたりするのと同じことです。
木々の根が育つように、犬の脳内では神経がきちんと発達していきます。
犬が心地よく過ごせる環境が整えられていることが何よりも大切なことです。
犬は人間ではない、犬は人よりもずっと自然に近い動物であることをこれからも尊重したいと思います。
この季節だからこそできる山の手入れを今年も楽しみます。