グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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日本の野良犬から家庭犬へと変化した遺伝子は稀少である

先日お散歩代行のお仕事をさせていただきました。

意外と知られていないグッドボーイハートのサービスのひとつです。

飼い主さん不在時のお手伝いは、ブログでもご紹介している犬のお預かりクラスが一番のおすすめです。

しかし、犬によっては移動が苦手で自分の住まいとその周辺が最も落ち着いて住める、かつ安定した環境の屋外飼育なで飼い主さんの不在にある程度の時間は耐えられる場合には、飼い主さんのご希望でお世話代行に伺っています。

今回お世話させていただいた犬ちゃんは、知人の紹介で定期的にお世話させていただいていて、社会性の高い犬ちゃんは私を認識してくれるのも早いのでお仕事を受けました。

導入が長くなりましたが本筋の話はこここからです。

犬種は日本のザ・ミックス犬です。

日本にいるミックス犬の中ではかなり大きな体格ではあります。

そして特筆すべきなのはその犬ちゃんの性質です。

日本の犬はそもそも山犬だったものが、人の里にいつくような里山犬となり、野犬と野良犬に分かれていきます。

野良犬とは文字とおり野犬の中でも「優良」の犬の方です。

人に害を与えず特別役に立つわけではないが、人も他の動物との関わりと楽しむ相手として余裕があれば歓迎して迎えたのでしょう。

人のものを無駄に捕ったり荒したりせずに少し下がって関わりをもつことのできる野良犬。

人のモノを常に奪うことを狙っている野犬とはかなり性質が違います。

人になつき、様子をよく観察し、出しゃばらず、隠れることが上手です。

良い意味で日和見的なその性質が時間をかけて人とより近く暮らす、つまりテリトリー(縄張り)を共有する家庭犬としてより洗練されたものだと私は考えています。

こうした雑種犬は今やほとんどいなくなっており、本当に貴重な存在です。

お世話させていただいた犬ちゃんにそんな日本の野良犬の遺伝子の臭いをなんとなく感じてうれしくなります。

なによりもコミュニケーションがとてもよくとれるのですが、もちろん小さいころから元の性質をより大切に育てて来られた飼い主様の環境や接し方があってのことであることは間違いありません。

今の日本の犬事情の中では、こうした社会性の高い性質の犬が増える環境がありません。

ペットショップで販売されている純犬種たちの全てではありませんが、その多くが人との暮らしに必要な遺伝子をあまり受け継がれていないと感じます。

彼らの親犬やまたその親犬は、人とどのような暮らしをしてきたのだろうかと想像するとしたらどうでしょうか。

日本の野良犬には特別な仕事はなく、家庭犬になってはじめて人のテリトリーを適当に守るという番犬としての役割が多少与えられた程度です。

さらに純犬種の場合には、アナグマを刈っていたとか、猟犬だったとか、闘犬だったとか、牧羊犬だったとかいろんな使役として遺伝的に求められたものがあったのです。

それらを一日中なにもしなくてもいい家庭犬として納めていくことの難しさを考えずに、ただ「見かけがかわいい」という気持ちだけで飼われる犬の方にストレスがかかるのは仕方のないことだと思います。

さらに野良犬の方は、餌付けという方法をもって捕獲されてしまいます。

人に時間をかけて自然に近づいてきた野良犬から家庭犬になったものと、餌付けを通して人に近付いてきた犬では大きく違うことをまず理解してあげる必要があります。

もちろんどの犬にも人と暮らす権利があります。

むしろ国内では人に飼われていない犬が生きることは認められていません。狂犬病予防接種法という法律があるからです。

かといって、うじうじと不安や不満を抱えていても仕方ありません。

だから今目の前にいる犬にできることを考えたときに、純犬種もミックスも超えてそのもっとずっと奥にあることは「ただあなたは犬なのだ」ということを思い出してもらうことしかないという考えにいたりました。

あなたはボーダーコリーである前に犬なのだ。

あなたはトイプードルである前に犬なのだ。

そんな時間をすべての犬に大切にすることが、犬が持っている根底の力を引き出すことだと信じています。

犬から引き出すべき素材は、犬本来の習性と自然とのつながりの力です。

日和見主義といえば英語ではOpportunism(オポチュニズム)と言われます。

お天気によって行動が変わるのは犬の本質なので、オポもやっぱり日和見犬でした。