今年の草刈りのシーズンは特別な季節になりました。
山と向き合って草と戦って13年目の今年、ある間違いに気づいたからです。
間違いとは一作年から山の一部に使った除草剤のことです。
犬が歩く山だから除草剤は絶対に使わないというルールで10年以上頑張ってきました。
でもこの2年ほど福岡での訪問レッスンで時間が過ぎていき、七山に来たときには預かり犬ちゃんたちのお世話に時間を使いました。
結果、七山で草刈りをする時間が減ってしまい雑草は生え放題になり手に負えなくなってしまいました。
そんなとき「生えている草だけを枯らして根は殺さない、環境に影響をあまり与えない除草剤」があることを知りました。
除草剤もずいぶん進化したのだ、ペットや子供にも優しいものも商品化されている、これなら犬が歩かない場所につかっても大丈夫かも…。
そう思って歩行場所ではない裏などの一部に除草剤を使いました。
そして今年裏庭や山に登る周辺を見渡しているときに気づいたことがありました。
違う、いつもと山の、庭の風景が違うのです。
これまでなかった草が生えている。
あの背の高い草は都心によく生えている、駐車場に生えている草だ。
その背の高い草がたくさん生えている部分には今までなじみの風景だった野草や雑草が生えていないのです。
除草剤を使った部分はとくに環境の変化が激しく、毎年見てきた風景とは違うと気づき愕然としました。
自分が深く考えもせずにやった些細なことが環境にダメージを与えたのです。
土が変わってしまう…どうやって引き返したらいいのだろうか…。
しばらくその風景を見つつぼーっと考えました。
そして決めたのです。
街中で見慣れた、でも七山にはふさわしくないその草を取り去ることを決めました。
草を刈ると雑草はますます強くなってしまうので、特定の草を目標に根から抜き取ることにしました。
たくさんの草の中から特定の草だけを抜いていく作業、気が遠くなるほど大変な戦いが始まりました。
敷地面積は何百坪もありはいつくばって草を抜いていく作業を30分でも1時間でも繰り返す、取り戻すのはこれしかないからやるしかない。
数日の草抜きのあと4日後の今日また庭を見回りました。
風景が変わっているのです。
駐車場みたいだった庭にもともと自生していたあの草たちが芽を吹き出して戻ってきたのです。
再び生えてきたあの見慣れぬ草をまたはいつくばって草を抜いていきます。
これを繰り返せば元の庭と山に戻せるかもしれないと少し安堵しました。
自然の中に人工的な操作をするときにはその力の影響の強さを考える必要がある。
ずっとこのことを学んできたのに自分の足元から負けてしまったことに猛烈に反省しました。
人の操作は自然なものを管理して維持しつつそこから恵みをもらうなら良し、でも力を使い過ぎて自然そのものを破壊してしまうなら自分を破壊するのと同じことです。
自分の間違いに気づいて早く引き戻すことでなんとか破壊を止められそうです。
そしたら戻ってきた本来の草たちといつも通りの戦いが始まるだけです。
自然と共には甘くない、毎日が戦いそしてお互いに強くなれます。