ヒグラシがなきはじめました。梅雨が明けたんですね。
ネットニュースで「九州地方の梅雨が明けました」などとわざわざ知らせてくれるのですが、ありがたいけど別にいいのになと思ってしまいます。
福岡では感じることのできなかったかすかな季節を巡る気配を感じられるようになったのは七山にいる時間が長くなってからです。
ある日の早朝一斉にヒグラシがはきはじめるときに梅雨が明けたと知るのです。
七山にきて初めての夏を迎えたときには、ヒグラシが一斉になくのを聞いてただただ当惑したものです。
昆虫が一斉に行動するって何事?異変、地変?と都会暮らしのバカさを爆発させていました。
昆虫が一斉に行動するひとつの理由は、一斉に孵化したときですね。
一体どうやったら365日のうちの1日しかないこの日を、しかもまだ一度も殻を破ってはいないのにわかるのだろうと今でも不思議でなりません。
外界の環境の変化を全身で受け取って行動をしているだけの昆虫ですが、脳がシンプルだからこそ行動もまたシンプルです。
犬も人に比較すると昆虫脳といわれる脳の辺縁系という部位が発達しています。
人よりも格段に環境を知る力があり、同時に環境に対して素直に反応してしまう動物です。
七山のお預かりクラスの目的のひとつは、犬の脳内に対して「大丈夫」を作り出していくことです。
過剰な環境や過剰な人の接し方、遺伝的な間違った情報の伝達によって犬の脳が「大変」を繰り返すようになってしまったら、この「大丈夫」のシグナルはなかなか出てこなくなってしまいます。
脳にたくさんの情報を詰め込みすぎると、本当に大切な「大丈夫」の情報がどこにいったかわからなくなってしまうのです。
このブログを書いている最中も今七山校のテラスで「大丈夫」を探している犬ちゃんがいます。
なかなか時間のかかる作業ですが私も犬も根気強く、ただそれしかありません。
ところが時間ってなかなかなくてですね。
みなさん忙しいです。超絶に忙しい。
なぜこんなに忙しいのかと思うほど忙しいのです。
シンプルに生きることはやはり永遠の課題になりそうですが、課題が永遠なわけありません。これはあくまで言い訳。
課題は乗り越えるためにあるのでしょうから永遠にはしないということです。
人がシンプルに生きると犬は幸せになる。多分そうなります。