七山に通学レッスンに来られた生徒さんと犬ちゃんを先ほどお見送りして今年もお仕事を終えたといいたいところですが、預かり犬ちゃんたちがワイワイとしていますので、いっしょに年越しとなります。
グッドボーイハートという学校を通して、たくさんの人と暮らす犬と関わりを持たせていただき今年で19年目を迎え、来年は20年を迎えることになります。
家庭犬より以前の犬の仕事の期間も含めるともっともっと長い時間、犬という動物に深く関わることで犬について学ぶチャンスを人一倍いただいています。
家庭犬のしつけとは、犬が人のもとで安心して暮らせるように環境と関係を整えて築き上げていくことです。
一方、人犬との関係を深める中で生まれる種を越えた特別の関係を得られ、動物から学びつつ楽しみを分けてもらえます。
犬と人が暮らすというのはどこにでもあることなのだけど、自分にとっては特別のことのように思えてなりません。
犬についてこうだと思ったことがそうでなかったのではないかと思うことも度々で、今でも反省をくり返すばかりです。
学んでも学んでも学び足りないと感じることばかりで、どのように環境を整えていけばいいのか、どのように伝えていけばいいのかなどいつも悩みつつ壁にぶつかりつつ悔しい思いもしながら犬と、そして人と向き合ってきました。
この今の段階で私が犬について思うことは、犬という動物は本質的にはやはり、ゆったりとした穏やかな動物であるということです。
犬好きの方の中には、犬が走り回ったりはしゃいだり擦り寄ったり鼻を鳴らしたりすることを楽しい性格だと思う場合もあるかもしれません。
子犬が走ったりはしゃいだりして楽しんでいるのは、子犬らしくかわいいと感じることはできます。
ただ、成犬になった大人の犬たちがすぐに興奮してしまったりテンションが上がったり、他人や他の犬の存在に攻撃したりもしくは興奮してとびついたり走り回ったり擦り寄ったりする行動を見ると、その犬はまだ十分に落ち着くことができない状態にあるのだと判断します。
おそらく最近では多くの人が、落ち着いて穏やかに過ごしている犬を見かけることがほとんどなくなってしまったのでしょう。
昭和のはじめくらいにリードをつけずにウロウロと散策しながら人と距離をとりながら待ったりと過ごしていた犬たちをもう見かけることもありません。
常に狭いスペースの中に拘束され、不自由さとストレスと戦いながら、不安や緊張で落ちつかなくなったり興奮したりパニックしたりする姿を喜ぶ飼い主と共にすごく高いテンションで過ごしている犬が増えています。
平成の平の字のようにフラットでゆるぎない気持ちと心と関係性は、犬の中にも人との関係の中にもなかなか見出すことはできませんでした。
でも、それでもなお諦めません。
犬という動物が本当に求めているもの、犬という動物のすばらしい安定と穏やかさをほんの少しでも取り戻せるように、そしてそれを飼い主さんと共に感じ喜びとしたい、これが今年の最後に思ったことです。
結局、七山では雪景色は見られませんでしたが、冬はまだまだこれからです。
良いお年をお迎えください。