家庭訪問形式のトレーニングクラスのために、福岡県から佐賀県近郊を車で移動する距離がかなり伸びています。
車の移動や眠気との戦いでもあります。
そんな眠気を吹き飛ばしてくれる夏休みならではのラジオ番組があります。
ほとんど毎日、苦笑&関心しながらハンドルを握って聴いています。
そのラジオ番組とは「夏休み子供かがく電話相談室」という番組です。
NHKのラジオ放送で「子供かがく電話相談室」としてやっているものを、夏休みバージョンとして長い時間放送されています。
質問に答えて下さる先生方もいつもよりメンバーが多く、動物、心、植物、宇宙などについて幼稚園生から小学生の子供たちの質問に答えてくれます。
子供の質問の内容に、まず驚かさせれています。
質問に応える先生方も、大人の常識を覆す質問に度肝を抜かれながらも、そんな見方もあるのかと関心しきりな様子です。
いくつもの楽しい質問がありましたが、たとえばこんなものがありました。
質問は、蝶に近付くと逃げてしまうのは何故ですか?というものでした。
人の気配を察して逃げてしまうということのようですが、なぜ人が近付いてくるのがわかるのかという質問だったのです。
科学的には蝶の知覚の構造や機能にまで広がる話なのでしょうが、人が近付くと逃げてしまうのは当たり前だと思う昆虫に対して、なぜ逃げてしまうのだろうという視点がとても大切なのです。
この質問を担当した講師の先生は、質問者の子供に対してこんなことを言いました。
蝶はどんな形をしていたの?蝶は何を見ているようだった?
蝶はどうやって周りを感じているのだろう?
そんな質問をされていました。
そして、結局のところ「今度は近くにいったら蝶に触らずによく観察してみるといいですよ。」というアドバイスをされました。
いくつもの答えが想定される質問だからこそ、これを機会に「蝶を観察する」ことの大切さを伝えられているのだと思い聴いていました。
専門家なので、難しい理論を繰り広げれば質問の答えはいくつも出せるのかもしれませんが、まだ答えが発展する可能性のあるのですから、子供の方に観察して持論を展開するチャンスを与えるというのはさすがなことです。
この蝶の質問に限らず、講師の先生方は「もう少し観察してみよう」とか「これは調べてみようか」といって、子供の興味や関心を終わりにさせないのです。
子供たちの質問はあることに特定の興味や関心を抱いたからこそ出たものであって、まずはその興味や関心が持続することが子供たちにとっての利益です。
次に、子供の興味が、命あるものを無駄に傷つけずに配慮して行われるべきものであることも同じように大切なことなのです。
犬の質問もありました。
「わたしの犬はお散歩のときにオシッコをしたあとに地面の砂をかけるように脚をけります。なぜそんなことをするのですか?」
みなさんの犬の中にも同じことをする犬がいると思います。
大人になるとこんな行動をしているのを見ても「なぜなの?」と思わなくなります。
子供のように素直に疑問に思わなくなってしまうのは、どこかで答えを出してしまって解決済みになっているとか、疑問を抱くと不安になるのでなんでも知ったふりをしてしまう大人癖がついているからかもしれません。
犬を前にした子供が、なぜ犬はとびついてくるの?と尋ねたら、みなさんはなんと応えるのでしょうか?
なぜ犬はとびつくの?と質問できないのはなぜなのでしょうか?
長く犬に関わる仕事をしている自分も常に言い聞かせていることがあります。
どんな犬の行動も、そうだと思うと同時に、本当にそうなのだろうかという疑問を常に忘れないようにすることです。
分からないことを長く抱えておくことは、人にとってのストレスになります。
ですが、長くこうした仕事をしていると時間がかからないと明確にならないこともあることが逆によくわかるようになります。
絶対だと思ったことがあとで覆されることも、よく経験することです。
だからいつでも子供たちの脳のように、新鮮な気持ちで犬という動物に向き合えるようにしていたいのです。
それにしても、まだボキャブラリーの少ない子供たちを相手に説明をする専門家の先生方の悪戦苦闘ぶりは楽しいものがあります。
眠気覚ましにはもってこいの楽しい番組です。