グッドボーイハート七山校、つまり「オポ邸」の入口を護るのはオポと私の共同作業。
私よりもオポの方がセンサーが格段にいいことは言うまでもない。
お客様や宅配便、そして近所の動物たちのどんな来訪をも気づかぬことはない。
ところがただ一つの動物だけがゲートのフリーパスをオポから渡されているようだ。
彼の足あとである。
ゲートの下をくぐって入ってきてゲート沿いに反対側まで歩きふたたびゲートの下からくぐって出て行った様子である。
普段は犬が臭いで見ているものを、雪の日にはその足跡を目でみることができる。
雪の日は人間の私にとって彼の来訪回数がわかりやすく雪の日の楽しみにもなっている。
私たちが山に行っている間に来訪されたようでオポが柵越しに様子をうかがっている。
「彼」というのはオポの住処に最も近いところにテリトリーをもつ犬のことだ。
オポよりも若い昔流行ったスピッツ犬の風貌を思わせるような伝統的ミックス犬である。
オポの姿が見えれば柵越しにあいさつに来ることもあるし
オポが庭にいないときに柵の中に入ってきてもオポはなにも言わない。
もっとびっくりするようなことだってあった。
オポと彼には線をひくような境界線がない。
彼が来たときにゲートを開けても、オポは彼を追ったりはしない。
ゲートから少し入ったところまでは来るが山に上がろうとするのを見たことはない。
この犬達の間に結ばれているものは、都会では見ることができなかった。
人間にはさほど関心がないようで私が立っていても近づいてくることもない。
その彼が、今日はめずらしく私に関心を示してくれた。
雪のため車を下の道に止めておいたからだろうか
車を止めていたのは彼のテリトリーだった。
車で作業をする私のそばを離れず
私が車から降りると近くまで来て臭いとりをして私を確認する。そして自分の家へと帰っていった。
彼の見回り(嗅ぎまわりかな?)は1日数回。
雨の日も雪の日も、つないである紐が外されている限り欠かすことはない。
オポと彼の不思議な関係は
オポと私の中での未知なるものであり、犬の不思議な世界を教えてくれた。