グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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Monthly Archives: 2月 2023

「人間性の解体」コンラート・ローレンツ著書。胸に刺さる言葉が多いが難解のためあと100回は読むことになりそう。

ずっと持ち歩いて時間のあるたびに開いていた本、ローレンツ先生の最後の邦訳された書籍「人間性の解体」をなんとか一読しました。

「人間性の解体」はローレンツ先生の「鏡の背面」を補完するために書かれたもので1985年に初版が出版されています。

毎日の暮らしの中で動物を観察し続けたローレンツ先生が、人間という動物の今と未来をどのように見通されているのかを知ることができる本で、題名のとおりそれは人類に対する警笛に他なりません。

あまりにも深く難解な内容で読み進めることに時間がかかりましたが、ところどころに胸を打つ内容があり、もっと深く知りたいという気持ちが満ちました。

引用~

…大部分の文明人はこんにち都市居住者であるか、あるいは少なくとも都市で仕事をしている。彼らはその日常瀬克においてほとんどもっぱら生命のないものと、とりわけ人間が作ったものとかかわりともち、そしてそれらと付き合う方法を学んだ人たちである。だが、彼らは、生命あるものと付き合う方法は、習って知っていたのに忘れてしまった。彼らはそれらの事物にどこで接触しようとも、全く信じがたい近視眼的態度で処遇しており、われわれを生かしているものを無視している。彼らが日々付き合っていて、現実的と見なしているものおはすべて人間によって作られているので、彼らは何もかも作ることができると思っている。いったん否定された生命あるものを、二度と生命あるものにすることはできないのだという事実は、彼らにたぶん決して知られていないし、それゆえ忘れられることもない。…

~引用「人間性の解体」コンラート・ローレンツ著書 新思索社発行

初版の発行から38年の月日がたっていますから、人間性の解体はさらに進んでいるはずでしょう。

その中で人間が犬という動物を飼おうというのですから“犬としての解体”は一体どこまで進んでいくのだろうと実に恐ろしい気持ちになります。

ローレンツ先生の知識は動物を愛すればこそ生まれるものだと、私の中では確信しております。

ローレンツ先生が愛したように犬を見て犬のことを知りたいという気持ちを持って本を読むのですが、あまりにも違いすぎる頭脳、ローレンツ先生の言葉を借りるなら「遺伝的な要素をもって違う個体間の差」がすごくありすぎてへこみます。

いや、脳トレと思って諦めることなく「鏡の背面」とあわせて読み続けていきます。

ちょっと犬のことを知りたいと思って読むような本ではありませんが、おすすめの本として紹介させていただきます。

人間性の解体

Posted in 本の紹介

ヒルトンハーブ商品の価格改定についてのお知らせ

犬用のハーブサプリメントのヒルトンハーブ社の商品が4月1日に価格改定されることになりましたのでお知らせします。

詳しい定価はこちらのサイトからご覧ください。

ヒルトンハーブ公式ホームページ

ヒルトンハーブの商品はグッドボーイハート立ち上げの2000年から利用させていただいています。

他界された同社の前社長とは共通する価値観があり、グッドボーイハートが博多の都会の学校から山の学校へと移転をしたときも、最初に祝電をくださいました。

八ヶ岳の自然の中に、馬と犬とともに暮らす素敵な女性でした。

その彼女を頷かせたヒルトンハーブ社のハーブの力を私も信じております。

価格改定により今までより貴重なお品になってしまいましたが、みなさんには今後もグッドボーイハート価格でお渡しいたします。

なお、今回のヒルトンハーブ社の価格改定によりグッドボーイハート価格も見直しをさせていただくことになりますのでご了承下さい。

現在価格でご希望の方は早目にご注文下さい。

輸入品なので在庫には限りがあると思います。

また、ヒルトンハーブの商品をまだ使っていない方、どのような状態で使えばいいのかを知りたい方はプライベートレッスンの際にお気軽にご相談下さい。

犬はいつも自然とともに、動物の底力をアップしてくれるそんなハーブです。

オポ広場で遊ぶ犬たち

Posted in お知らせ

「犬が吠えたらどうしたらいいですか?」に答えはありません。

「吠えたときどうしたらいいですか?」という質問をよく受けます。

特に、トレーニングクラスが始まる前の方、トレーニングクラスをスタートさせたばかりの飼い主さんから多いご質問です。

残念ながらこの質問に対する明確な答えがありません。

「犬が吠えたとき、どうしたらいいですか?」と同じ傾向の質問は他にもあります。

「犬が咬みついたとき、どうしたらいいですか?」

「犬が飛びついたとき、どうしたらいいですか?」

「犬がいうことをきかないとき、どうしたらいいですか?」

「犬が呼んでも戻ってこないとき、どうしたらいいですか?」

最後の質問などは、どうしようもない状況になってしまっているので、犬が戻ってくるまで待つしかないということになってしまいます。

これらの質問に対する明確な答えはありませんが、質問の内容を少し変えるだけで答えが見えてきます。

「犬が吠えたとき、どうしたらいいですか?」は、

⇒「犬が吠えないようにするために、どういいですか?」。

「犬が咬みついたとき、どうしたらいいですか?」は、

⇒「犬に咬みつかれないようにするために、どうしたらいいですか?」。

「犬が飛びついたとき、どうしたらいいですか?」は、

⇒「犬に飛びつかれないようにするために、どうしたらいいですか?」。

「犬がいうことをきかないとき、どうしたらいいですか?」は、

⇒「犬がいうことをきくようにするために、どうしたらいいですか?」。

「犬が呼んでも戻ってこないとき、どうしたらいいですか?」は、

⇒「犬が呼んでも戻ってくるようにするためには、どうしたらいいですか?」。

 

こういう風に考えられるようになると、犬のしつけはぐんと進みます。

犬が間違ったことをしてしまったあとに「違う」を連発しても、犬は正しいことを覚えないということなのです。

犬には否定形「○○をしない」は伝わりにくいのです。

「吠えてはいけない」を教えるなら、「吠える必要がない」ということを教えなければいえません。

「リードを引っ張ってはいけない」を教えるなら、「リードを引っ張らずに歩くこと」を教えなければいけません。

人の心理学の講義でよく使われるのですが「ピンクの像を想像しないでください。」というフレーズを聞かれたことはないでしょうか?

「ピンクの像を想像しないでください、と言われているのにすでに私たちの頭の中にはピンクの像がいますね」という話で、人の潜在意識(無意識)領域では否定形を受け入れないということの説明で使われる例文です。

人の潜在意識には五感(視覚、嗅覚、触覚、嗅覚、味覚)を通して幼少期に蓄積された情報を元に習慣化された考えや感情、行動のパターンのことを言うらしいのですが、犬の意識はこれに近いと考えてあげると良いです。

犬の無意識とは、幼犬期に五感から蓄積された行動のパターンの他に、犬が生得的(生まれたときから遺伝的に習得している行動がベースとなっています。

犬の過剰な吠え(みなさんのいうところの無駄吠え)、咬みつき、飛びつき、散歩中の興奮などは、すべて犬のストレス性行動です。

犬が吠えたり、咬みついたり、飛びついたりするようになったのは、犬が生まれ持った遺伝的な行動に対してストレスを与えるような環境があったからそうなったのだということです。

犬は環境に対して素直に反応して行動や感情のパターンを身に着けてしまっただけなのですが、それが興奮しやすいとか、怯えやすいといった行動のパターンになってしまったのです。

これらの犬の問題行動に対してできることは、吠えていることを叱ることではなく、犬が吠えないようにするためにどのようにしていったらいいのかを考えることです。

もちろん、それは一瞬では達成できません。

1回のトレーニングでも絶対に無理です。

今まで続けてきた悪い行動の習慣化を断ち切って、新たな犬が落ち着いていられる行動の習慣化を身に着けさせる必要があるからです。

それでも犬は元のパターンにすぐに戻ろうとします。

何しろ小さな年齢で身に着けた犬の行動のパターン(無意識の行動)は、結構根強く残っており、簡単に方向を変えることができません。

それでも、やはり犬は変化していきます。

吠えて興奮したり、人に咬みついたり、リードを引っ張たり、飼い主に叱られたりすることよりも、犬にとっては落ち着いて安心できる環境があればそれに適応しようとするからなのです。

何よりも、犬の脳は「安心&安全」を求めていますし、犬には服従性という素晴らしい性質があります。

これこそ生得的に身についた犬の勲章ともいえる習性で、これを引き出された犬は素晴らしく落ち着いています。

「犬が吠えないようにするために、自分にできることは何か?」を考えられるようになったら、犬のしつけはすごいスピードで進んでいきます。

犬は飼い主さん次第でどのようにでも変化していく、これもまた犬の特性でありすばらしい柔軟性なのです。

 

Posted in 犬のこと