犬の問題行動や犬のしつけに悩む飼い主さんからのご相談をお受けするようになり今年で22年目です。
2という数字はふたつあるという意味、どんな問題にもたくさんの選択肢があるようで結局のところふたつのどちらかを選んでいるように思えます。
犬との関係をより良い方向へ進ませたいのになぜかうまくいかないというのであれば、この二択のうちのうまくいかない方を選択してしまっているのかもしれません。
そこで今日は、犬の吠えたり、かみついたり、いうことをきかないという行動がなかなか解決できない飼い主さんに、具体的な方法ではないけれど根本的に大切な部分についてお伝えします。
犬が何かができるようになれば…という考え方
犬のしつけや犬の問題行動に取り組む飼い主の中には、犬が吠えないようになれば、咬まないようになれば、と考えて日々の生活を送ってはいないでしょうか。
実はこの考え方は一行に前進しない考え方なのです。
犬のしつけの例にもなりますが、犬に否定形を教えることは難しいことです。
動物のとてもシンプルな脳の機能の中で、吠えてはいけない、咬んではいけない、とびついてはいけない、を教えることはできないのです。
それと同じように、飼い主側も、犬が吠えないようにするにはどうしたらいいのか、とびつかないようにするにはどうしたらいいのか、かみつかないようにするには…という考えを持つようになると、全く物事は進まなくなります。
そうした考えの中では、常に犬を否定する姿勢や言動が起きるようになり、そもそも否定形を理解しがたい犬の方は、飼い主が何をやろうとしているのか、飼い主が何を要求しているのかが全くわからず混乱してきます。
犬にできることをさせることこそ最も有意義である
犬の噛みつく行動や吠える行動、排泄の失敗などの問題となる行動もすべて止めて欲しい行動ですがこれを「止める」方法を犬は知りません。
特に排泄の失敗などは間違いに陥ると改善が難しくなる行動のひとつです。
どこで排泄してはいけないと教えるよりも、どのような排泄行動をとるのかを理解して環境を整備しなければ問題解決には結びつきません。
要は「犬ができるようにするために自分ができること」を考えるしかないのです。
噛みつきや吠える、飛びつくという行動は犬が興奮しているときや攻撃的になるときに出る行動です。
なぜ犬が攻撃的になるのかを考える前に、落ち着せるためにできることは何かを考えます。
犬に「伏せ」を伝えることの意味とは
全く考えが進まなくてもできる落ち着かせ行動が「フセ」です。
そのため何も考えが進まないときにでも、犬がフセをいえばいつでもフセができるように練習することには価値があります。
犬ができないことより犬ができることを増やしていく。
落ち着いていられるようにするための行動を繰り返しさせる。
例えば犬のフセなどは1回では効き目がありませんが、一日に繰り返してフセとマテをする機会があれば、回数と共に犬は落ち着きを増してきます。
フセやダウンといっても全くフセができなかった犬が、すぐに伏せができるようになると同時に落ち着きが増してきたなと感じられることがあります。
飼い主は絶対的に落ち着いていること
但し相手に落ち着けといっているのですから、飼い主自身が落ち着いていることが大切です。
なかなか落ちつけずできない犬とともにいると、犬のパワーの方が圧倒的に強いため飼い主側が落ち着かなくなってしまうことがよくあります。
犬のネガティブパワーに負けてしまったということです。
動物は結構力がありますが、精神的にも同じことです。
彼らには今しかなく、幸せだった過去や未来や死にすら逃げることができません。
彼らは今戦うしかなく、そのパワーは絶大なのです。
否定ではなく肯定で、できないことではなく今日できることを一つやってそれを繰り返して下さい。
パフォーマンスやトリックや芸は、犬とのあそびには取り入れても犬のしつけには必要ありません。
できることとは、フセてマテ、一緒に歩く、ハウスで休む、この連続が活動です。