先日ネット動画配信のニュースで、興味のある内容が取り上げていたので繰り返し聞いてしまいました。
ネット配信だと聞き逃したところも納得がいくまで繰り返し聞くことができるのは、老化のはじまった頭には便利なものです。
説明していたのは武田邦彦先生で、東大卒の科学者でありながらその考え方がユニークな先生です。
物事を科学的にみるとどうなのかというそのコーナーで取り上げられたテーマは「人の群れ」というものでした。
人が行動をするときに、脳によって考えたことを行動するのか、それとも遺伝子の情報に基づいた行動になるのかという比較をされていたのです。
人の群れを説明する前に魚の群れ行動を取り上げられました。
イワシなどの小さな魚の群れは、大きな魚という敵に遭遇すると小魚たちが結束してひとつの大きな魚とみられるような円形を描き、その困難を乗り越えるというものでした。
その行動は瞬時に行われるのですが、だれかが命令をするわけでもなくリーダーがいるわけでもなさそうです。
それぞれのパーツとなる小魚たちは考えてその行動をとるのではなく、あくまでも身を守るために遺伝子として引き継がれた行動をとっているのだというのが今のところの説明です。
こうした魚の行動と比べると人の行動は個人の利益を獲得するための個人主義的なものに偏っていて、人の群れとしての行動が低下しているとのこと。
その行動の要因は脳が自分の利益を考えて行動をする傾向が強くなっているからという風にわたしは受け取りました。
逆に、人が遺伝子情報にのっとって行動をすれば、個人の利益よりも群れの利益を守るという行動が選択されるはずです。
脳が蓄えられる情報は長くて50年、これに比べて遺伝子情報は35億年も受け継がれているとなると、その情報の価値観は後者が圧倒的に重要ではないでしょうか。
遺伝子のつなぐ情報は個々の種が継続して生きていくために必要な情報です。
それは机で学ぶことよりも、環境に接することで自然に引き出されるような情報なのです。
環境とは自然はもとより、同じ群れと過ごす時間、コミュニケーションの相手を持つこと、危険と接することなどもその中に入るでしょう。
環境に接することで湧き上がる遺伝子情報は、自分を守りそして種という群れを様々な身近なグループの段階で守ろうとします。
もちろん犬も同じことです。
犬という自分を守り、そして身近な群れというグループを守り、そして犬という種族を継続させようとするのが犬の遺伝子情報です。
その情報の中に自分さえ良ければいいという個人主義的なものは入っていません。
ところが最近の犬たちは脳だけで考えるように人が仕向けていますので、種の存続よりも自分だけの利益を負う行動がみられるようになりました。
ところがこうした脳の行動は狭い世界の中への拘束によって起きているため、怒りが執着や攻撃となって自らも滅ぼす結果となりかねません。
詰まるところ傷づくのは当の犬ということになります。
犬のもっている遺伝子情報は素晴らしいもので、それに触れることができるときには胸が熱くなるほどワクワクするものです。
そんな遺伝子情報を犬たちから引き出せるような環境ってなんでしょうか。
そんなことを考える一日でした。