受講生のみなさんからいただいたお言葉です。
今回は都心に迎えた黒柴のカレーニンちゃんの子犬育てで格闘された飼い主さんからいただきました。
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昨年の10月に、黒柴の仔犬を、夫婦二人暮らしのマンションに迎えました。
迎える前にしつけの本やインターネットを読み漁ったものの何が正解かわからないままでした。
そして、いざ仔犬が来ると犬と暮らしたことのない私たちだけでは手に負えないことに気が付きました。
それで犬のプロに相談することにしました。
お散歩デビューの直前から、月に2回ずつ、犬のための部屋の整え方や散歩のしかた、テリトリーの作り方などの指導を受けました。
ネットや本では知ることのできなかったたくさんのことを教わりました。
そのほかにも先生から学んだことは数えきれないほどあります。
その中でも一番勉強になったのは、犬と接する態度です。
以前はテレビやSNSで流れてくる犬と飼い主のたわむれに心癒されていたひとりでした。
でも今では、犬の気持ちを知ることで犬との適切な距離のとり方をはかっています。
クラスを通して犬との接し方を考えさせられました。
また、犬の行動のひとつひとつに理由があることも知りました。
「問題行動は叱る」という一方的なやり方ではなく、まず犬の声に耳を傾けます。
できるだけ犬がストレスを溜めない環境を作って、人がしてほしくないこととしてもいいことの折り合いをつけていくように気をつけました。
仔犬のうちは良いも悪いもわからず飛びつきまくっていましたが、根気よく本気で(本気じゃないと取り合わないから叱るときは本気)向き合いました。
こうして教えていくことで、今では「だめ。」と言えばやってはいけないことだとわかってくれるようになったようです。
おかげで(?)うちの犬は長いお留守番のあとも「ん、帰ってきたの?」というテンションの低いお出迎えをしてくれます。
私が座って作業をしていると黙って足元に寄り添ってくるような、心地よい距離感で過ごせるようになりました。
まだまだ呼び戻しはきかないし、一体感のある散歩もできていません。
お互いの関係に改善の余地はありまくりですが、この一年の進歩を糧に、これから十数年ゆっくり絆を深めていければと思っています。
ちなみに、来春に子どもが産まれることになったのですが、犬と子どもが一緒に年を取っていくのを見るのがとっても楽しみです。
今月末には引っ越しも控えており、環境の変化にどう対応できるか不安もあります。
でも今よりも少しばかり自然が近くなるので、これからもよく様子を見ながら気負わずに共生していこうと思います。
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犬には育ちで身に付いた性格と、もともと持っている資質という性格の部分があります。
子犬のころに接するとこの資質の部分がより分かりやすいのですが、カレーニンちゃんは非常に自律する力を持っていました。
同時に不安定な環境を感じるとそれに応じるように反応を示すような犬でした。
犬という動物の中ではとても能力の高い方なのですが、人との生活の中では問題となることが多いのです。
人は犬という動物をごまかしながら飼おうとします。
犬という動物にとっては不自然なことばかりですから、ごまかすことで世界を変えてしまうのです。
反応が悪く鈍感な犬はこのごまかしに気づきません。
同時に人の罠にはまり問題となる行動も起こしません。
でもカレーニンちゃんは違いました。
カレーニンちゃんは福岡でも中心地で育ちました。
決して犬を育てるのにベストの環境ではありませんし、カレーニンちゃんの資質を考えるとよほど正直に真っ向勝負でないと無理だと感じました。
でも初回のカウンセリングのときに「犬と山歩きをするのが目標です」と言ってくださったことで安心しました。
犬が求めるような環境を飼い主さんも求めているからです。
子犬のころには犬の言葉しか通用しません。
カレーニンちゃんの飼い主さんは「自分のことを犬だと思って向き合います」と言われていました。
その言葉のとおり、カレーニンちゃんはまっすぐに育ちました。
厳しい環境の中で難しい部分もまだまだありますが、これから新しい生活を始められる中でひとつずつ花開いていくと思います。
犬との暮らしまだ始まったばかりです。
楽しんでください。