今日はプライベートトレーニングクラスやカウンセリングを行ったのですが、偶然にも「散歩行動のチェックとその説明」が重なりました。
ドッグトレーニングの中で「散歩のチェック」と聞くと、散歩中に問題となる行動があると思われるのが一般的です。たとえばこんな行動です。
・リードを引っ張る
・リードにかみつく
・歩かない
・くるくる回る行動が出る
・立ち止まりが多い
・臭いをずっとかいで歩く
・排尿の回数がとても多い
・いきなり立ち止まって排泄する
・他の犬とすれ違いなどで吠えたり、後ずさる
・他の犬によっていこうとする
・他人とすれ違うとき吠えたり、後ずさる
・他人によっていこうとする、後ろから追う
・自転車を怖がる
・バイクや車を怖がる
・まっすぐに歩けない
・拾い喰いをする
・家に帰りたがる
など、たくさんあります。いくつかチェックが入りましたか?
これらの行動が大きくなってくると、犬の困った問題としてトレーニングを考えられる方もいます。問題と感じられるほどひどくなくても、上記の行動が見られるときには、早めに専門家のアドバイスを求められることをお勧めします。これらの散歩中の行動は、犬がなんらかの理由で、散歩をリラックスして楽しめていないという状態なのです。それでもこれらの行動は一例です。
犬の散歩行動を分析していくと、犬の状態がよりわかるようになります。飼い主さんが問題と感じられなくても、犬のことを知るために「散歩行動のチェックと評価」は犬のトレーニングには欠かせません。
最近見せていただいたいくつかの犬のケースでも、飼い主さんはほとんど問題を感じられていませんでした。散歩の様子を見せていただいても、問題行動と思われるものはありませんでした。でも、散歩の行動からたくさんの情報をひろうことができました。
散歩行動がなぜ、犬にとって重要なのか。それは犬の散歩の意味づけにあります。
犬の散歩は単に排尿をするためでも、他の犬に会うためでもありません。犬の生活スペースの周囲を飼い主さんといっしょにパトロールするという行動なのです。
犬によってはパトロール力のない犬もいます。理由は年齢的な問題だったり、性格的な問題だったり、成長の課題だったりします。それでも、散歩はパトロールなのです。なぜかというと、散歩は犬と人の協同作業だからです。
その散歩の中で行っている様々な行動は、犬のテリトリー(なわばり)の安定性を示すものや、飼い主さんとの関係性を示すもの、犬の性格についての情報を得られるものなど、情報の宝庫です。全く関係ないようにおもわれる室内での行動が、散歩中の行動と結びついていることを説明することもできます。散歩行動が奥が深いのです。
最近は、犬の散歩中にスマートフォンを見ていたり、携帯電話で話しをしながら歩いている人をよく見かけるようになりました。飼い主さんの集中力が不十分な状態での散歩は、犬を落ち着きなくさせてしまいます。
カウンセリングでは、ひっぱりも吠えもマーキングもなく、ほとんど問題ない状態で歩いている犬の行動からも重要なヒントとなる行動を観察することができました。その行動から犬が必要としている成長の機会について説明をさせていただき、飼い主さんも納得された様子です。「特に問題はないんですけど…」といわれていた言葉が「そういうことだったんですね。すごくよくわかります。」という言葉に代わります。飼い主さんの「特に問題はないんですけど…」のあとの心の声「でも、ちょっと気になることがあるんです。」という部分がとても大切なのです。
犬の散歩中のちょっと気になることが、犬の新しい気づきに変わることを楽しんでください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html