七山では若いウグイスが鳴き始めました。
お預かりクラスでお世話をしながら、草刈りして休憩して、新鮮な空気を吸い込むと体がリフレッシュする感じです。
今回は、初めてお預かりクラスを利用してくれた犬ちゃんがいて、その行動の変化に対する予測と結果の分析で大変頭を使いました。
犬の方は、別の場所に連れてこられて、数日したらまた元の家に戻るということをわかってはいません。
私と面識はあるものの、家を奪われるというのは犬にとって大変なことです。
預かりクラスを繰り返すと、これは一時的な場所でまた元のテリトリーに戻るということを学習していくのでしょうが、最初はそうはいかないのです。
そのため、最初の預かりに限る犬の行動を観察することはとても重要です。
なぜなら初めての経験を与えた時の犬の行動を通して犬の気質を知るヒントを得られるからです。
これは人の場合にも通じることだと思います。
テレビのバラエティ番組などで「ドッキリ」といった仕掛けをするのも、思わぬ出来事に人がどのように対応することでその人の性格や考えや器量を知ることができるということです。
犬の場合にもこれと同じことが起きます。
新しい環境に連れてこられた犬、飼い主はいない、犬の居場所を指定するのはたまに見かけた、時々家にやってくる人(私のこと)。
犬の警戒心、順応性、人との関係性、服従性など、ほとんどの飼い主さんが見抜けていない犬の心底の部分を見る機会になるのですから、ワクワクせずにはいられません。
とはいっても、犬を放置するわけではありません。
あくまでも、私という人の管理者がいる上での一定の管理の中での犬の行動です。
しかし七山です。
山の中の戸建ての家なのです。
ある程度の感覚の優れた犬であれば、この家の周囲にどの程度の面積があり、人や犬以外にもたくさんの動物が生息している気配を感じることでしょう。
それは移動してすぐにではなくても、次第にじわーっと自分の中に入ってくるものです。
犬の中には、元のテリトリーに戻ろうとする帰巣行動も見られます。
車で移動してきたのですから、簡単に帰巣することはできませんが、とりあえずここから出る「逃走」を行動に移そうとすることは珍しくありません。
すべての犬がというわけではないのですが、野犬の子犬や保護犬の多くは「逃走」こそ最初に選択すべき道とインプットされているようです。
いついかなるときに、どの経路で逃走を図ろうとしているのか、彼らに気づかれないように隠れて観察するのもまた楽しいことです。
かといって管理を緩めるわけではありません。
決して逃走できないということを気づいてもらうことに価値があるのです。
そして同時に犬を管理する側の人間は、やさしくても一定の規律を持っているということを理解させることが何よりも大切です。
慎重な犬ほど行動の変化に時間がかかり、3日間ほどの預かり期間はあっという間に終わってしまいます。
だいたい3日たつとさあこれから~という感じで変化していくときに帰宅ということになるのです。
今回の犬ちゃんも、成犬時に保護された大型犬でした。
あまり人に興奮しない、行動も少な目、食欲もさほどない、ただ逃走傾向が高いというタイプの犬ちゃんでした。
どこを触られても拒否はなく、わんわんと吠えることもなく、キャンキャンとも言わない、だからといって人との暮らしに積極的で満足しているわけではないのです。
それが「逃走」という行動を引き起こしています。
ごはんも食べられ、居場所も与えられ、散歩にも連れて行ってもらえて、何が不足しているのか。
それを見極めるのが私の宿題でした。
変化してくる3日目くらいに、もっと時間があったら…と欲が出てしまいます。
犬のことを知るのは本当にワクワクします。
犬たちのストレスを感じたりすることはつらく苦しいものですが、犬が求めているものを知ったときには、やっぱり犬だな~と思うからです。
お預かりクラスが終了しその犬が飼い主さんの元に戻るときに、犬に伝えたいことがあります。
あなたの飼い主と出あったことには犬としてあなたの生涯に何か意味のあるもの、そこで喜びを勝ち取るのだよ。