家庭訪問レッスンを続けている理由のひとつが「犬の普段の行動が見れるから」です。
来客が来た時の行動、飼い主さんに対する何気ない行動など日常的に犬がしている行動を見ることが犬のことを理解することに直結しています。
訪問レッスンのときに私という来客に対して吠える犬も、学校という私のテリトリーに入ってきたときには吠えません。
来客に対する吠えの理由にもいろいろとありますが、この犬の場合は「自分のテリトリーの中で吠える」という行動のパターンになっているのでこのような状態になります。
例えばですが、スクールに連れてきてもらって他の犬と対面させても吠えない犬も、同じ犬がもし自分の家の周りをうろついていたら吠えるでしょう。
テリトリーの中で吠える行動が身についていて、飼い主が犬の管理者になりきれていない環境の中では、つじつまうのあう行動です。
飼い主さんにしてみると「グループレッスンのときにあんなにおとなしいのに、家の中や散歩中に人や犬に吠えるのはなぜですか?」という疑問が生じます。
犬の飼い主という立場ではよく擬人化が進むので「スクールではおりこうなふりをしている」とか「内弁慶」という言葉で納得できるでしょう。
もうすこし動物らしく語るなら「環境に応じて行動を変える」これが普通です。
むしろ、環境に応じて行動を変えることができるなら、変化の可能性が十分にありますよ、という良いお知らせなのです。
行動の定着化は恐ろしく、環境が変わっても行動が変化しないようになってしまうことがあります。
こうなるとトレーニングや行動修正には困難を極めます。
グループレッスンやお預かりクラスではおとなしく、家庭に変えると吠えてしまうのなら、まだ家庭の中には不安は興奮の要素がたくさんあるということです。
家庭訪問レッスンのときには私の前で犬に対して自制のできる飼い主たちも、犬が飼い主にとびつく姿を見れば普段どのような生活を送っているのか想像できます。
犬は人よりもずっと正直で、むしろ正直に環境に対して反応をしているだけなのです。