家庭訪問トレーニングを利用している犬ちゃんたちがときどき預かりクラスで七山にやってきます。
ほとんどが生徒さんのやむにやまれぬ事情で不在となり、犬ちゃんを窮屈な場所で過ごさせるよりは自然の中で過ごしてほしという気持ちから預かりクラスを利用されています。
はじめて犬ちゃんが七山にお泊りに来たときには、どのくらいの速度で環境の変化に適応していくのか、どのように自然と付き合おうとするのかを観察しています。
純血種の犬たちの多くは、その犬の親もまたその親も親も自然の中で過ごした体験を持たないでしょう。
犬舎でほとんどの時間を生きた犬たちの子どもたちが今こうして人と暮らしているのです。
犬舎で生まれた子犬たちが人に飼われるようになりそのまま人社会の中に「人として」大切にされ始めることはとても危険です。
動物はどんな動物であっても、自分は人である、自分は犬であると感じる時間があることが基盤になっているからです。
お預かりの犬ちゃんがどこで排泄をするのか、
空間をどのように把握していくのか、
土や草の臭いをどのように嗅いでどのように反応するのか、
そして最後は人や他の犬に対してどのように行動するのか、
こうした観察が今の犬ちゃんの状態を知らせてくれます。
風が吹いても鼻先をあげて臭いをとろうとしない犬
広い敷地でせわしなく動いてしまう犬
太陽に自分の身をゆだねることをできぬ犬など
自然が遠くなってしまったのは人だけでなく犬とて同じことです。
その犬たちがどうやって自然とつながりを持っているのか、犬の脳の中で起きていることや皮膚の上で感じていることを私たちは知る術を持ちません。
ただ言えるのは、私たちには鋭い観察をする視覚という武器があります。
そして共感というセンサーがあるのです。
犬に対する思い込みをすててすべてを受け取り、本来の犬の姿を見たいと願えばおのずと自分のやるべきことは決まってきます。
飼い主としてやるべきことはあまりにも多く、特に空間も時間も少ない都会では果たすことすら難しいことがあります。
それでも犬を愛しているなら犬とどのように過ごすのかを考えてみる、これもまたコロナ時代だからこそできることです。