九州南部では梅雨入りのお知らせをうけ、福岡でも梅雨を迎えるまえに早くやりたいトレーニングがあります。
それは犬の散歩トレーニングです。
日中のどの時間帯でも犬の散歩に出ることができるこの季節は本当に助かります。
梅雨から夏にかけては早朝か夜にしか散歩に出ることができなくなります。
家庭訪問のレッスンでの散歩トレーニングもできるだけ散歩に対応できる時間帯に伺っています。
でもこの季節なら、飼い主さんもなんどでも散歩に出ることができますから、練習回数を増やすことも可能です。
犬に散歩が必要なのかということを今さら議論する必要性もないでしょう。
ところが犬を散歩に連れて行っていない飼い主がまだまだ多いのは驚くべきことです。
犬に散歩をさせずにどうやって犬に社会的な活動を教えることができるのでしょうか。
散歩は犬にとっても最も大切な家族で行う社会活動なのです。
散歩を通して犬は自分が社会に所属していることを知ることができます。
社会とは家族のこと、犬にとっては群れのことです。
犬はどの群れに自分が入っているかをまず知る必要があります。
それが犬として生きていく上でとても重要なことなのです。
人に置き換えて説明しましょう。
私たちが学生であったら、○○家という家族の中の一員です。
親や兄弟と共に家族の一員として生活をしています。
○○家に所属していることは、成長して他の社会の中に入ったときに気づきます。
お家でAちゃんと呼ばれていたのが、社会ではSさんと呼ばれるようになるからです。
SさんはS家の一員ですが、日常的には家族で行動することがありません。
SさんがS家の一員であることをもっと強めるためには、家族で活動する必要があります。
都会では家族がいっしょに活動する機会が少なくなり、日々の食事の時間や休日のお出かけや旅行に限られてきました。
それでも家族の時間というのはとても大切なのです。
犬の場合にはこれがもっと大切です。
人のように週末だけ車にのってドッグランに出かけて行ったとしても、犬は自分がどの群れにいるのかを知りません。
犬が社会的な活動をするのは、自分の住処とその周辺なのです。
自分の足で歩いていけるところ、そのテリトリーこそ犬にとって最も大切な社会活動の場なのです。
犬に散歩トレーニングの練習をはじめて、毎日飼い主さんときちんとした形で散歩をすることをやっていただきます。
リードをひっぱったり落ち着かない犬も、飼い主さんがルールを守ってきちんと練習を重ねてくださればちゃんとした散歩ができるようになります。
ところがこの散歩活動には群れの中の主従関係が反映されてしまいます。
お家の中で飼い主よりも強いとか偉いとか、また赤ちゃんのように甘えを許されている犬は、飼い主の後ろに従って歩くことなどを覚えようとはしません。
家の中の飼い主と犬の行動を見ると、散歩中の犬の行動や予測できます。
逆に散歩中の犬の行動を見ると、家庭でどのようにしているのかも大体想像できてしまいます。
犬として生きていくということは、毎日飼い主さんと散歩に出る活動をするということです。
飼い主として犬にすべきことは、毎日きちんとした散歩に連れていくということです。
できているようでできていない散歩をもう一度見直して、犬と本当の関係をつくりましょう。
犬が求めているものは、愛情よりももっと大きな愛。
愛情は一方通行、愛はお互いに大切にしているもの。
犬が一番大切にしているのは群れなのです。