グッドボーイハートでトレーニングクラスを受けられる方のひとつの特徴は、犬がシニアになってからしつけ方教室を利用しているケースが多いことです。
子犬のころからきちんとしたしつけを犬にしたい、子犬が来る前から子犬のために準備を整えたいという計画的な飼い主さんともたくさんのご縁をいただいています。
ですが大半の飼い主さんは「犬に困った問題があるから解決したい」という気持ちでグッドボーイハートに連絡をいれられます。
そして次にその困った問題を起こしている犬が今何歳であるかを口にされるのです。
「来客にすごく吠えて困っているのですが、もう1歳になろうとしているのですが大丈夫でしょうか?」
「散歩中に他の犬にすごく吠えるので困っているのですが、もうすぐ3歳になるのですがもう遅いでしょうか?」
「室内でトイレのしつけができないまま成長してしまいました。5歳を過ぎたのですが遅すぎますよね。
「留守中にすごく吠えるようになってしまって、7歳にもなるのですがなんとかなりますか?」
「他の犬に吠えて抑えが聞きません。10歳になりますが無理ですよね。」
とこんな感じです。
5歳から犬のしつけやトレーニングを開始されるなどは十分に間に合います。
7歳でもまだまだ十分にやる価値があります。
10歳を超えるとその犬の認知や健康の状態によっては十分に大丈夫です。
むしろ10歳を超えても今なお吠えたり咬みついたりする元気な状態であることがすごいなと関心します。
犬の問題行動はそのほとんどが犬にとってのストレス行動です。
若い犬はエネルギーが有り余っていますから吠えたり、飛びついたり、興奮したり、噛みついたりしてストレスを行動を通して表現します。
ですが10歳を超えるころになると犬も体力も気力も低下してきます。
ストレス行動は吠えたり、噛み付いたり、かじったりすることではなく、自分をなめたり、毛をむしったりする自虐行動と呼ばれるストレス行為に変化していることが多いのです。
犬が自分を傷つける自虐行動は犬の困った問題として取り上げられることはあまりありません。
そのうち皮膚が傷つき感染症を引き起こすようになるので、動物病院で治療を受けるようになるかもしれません。
薬や治療を通して傷は癒されるでしょう。
でもストレス行為は続き、犬の心は癒される機会を得られません。
犬はそのうちに行動自体を起こさない無反応な状態に陥っていきます。
目は気力を失いおとなしいお人形さんのような状態で黙って抱かれているだけの存在となります。
これが老犬になってしまって飼い主に訴えかけることを止めてしまった犬の姿です。
そんな犬を見るととてもつらい気持ちになります。
もっと騒いでいいんだよ、もっと問題があると訴えていいんだよと言いたくなるのです。
だから犬が年を取ってからご相談をいただくケースはむしろありがたいと思ってしまいます。
良かったまだ間に合う、良かったまだ犬が飼い主に対して無力になっていない、まだまだ犬として生きる希望を持っているのだと思ってしまうのです。
同時にここまでよくがんばった犬をこの辛さから解放してあげるために飼い主さんといっしょにがんばろうと気持ちを引き締めてクラスに向かいます。
犬がどんなに年を取っていても、ぜひ一度相談してください。
やってみる価値は必ずあります。
飼い主として超える壁は、もっと早く犬についての勉強をやればよかったという後悔の気持ちを整理することだけです。
それはあくまで飼い主の都合で、気持ちの持ちようでなんとでもなることです。
犬は現在進行形で後悔の念を持たないすばらしい動物なんですから。