お預かりクラスの犬たちを対面させながら一緒に庭に出して様子を見ていきました。
昨晩到着した犬たち、今日の夕方に新たに参加した犬ちゃんもいます。
今までにいっしょに過ごしたことのある犬と犬の組み合わせもあるけれど、どのくらい間隔があいてしまっているのかも犬の状態に影響します。
犬の社会的な態度や情緒が行動となって表現されるため、それを犬の状態として把握していきます。
その状態がどのくらいのペースで変化していくのか、どの犬をこのグループからのぞくかどの犬を新しくいれるかもさじ加減ひとつです。
できるだけ安定させたいと思うと新しい犬たちを全くいれることができません。
新しくお預かりクラスに来て他の犬とのコミュニケーションがうまくいっていない犬も交えていかなければいけないのです。
でもそれはいつも安定してお預かりクラスを利用している犬にとってはひとつの不安材料になります。
社会性が未熟で緊張した状態でいるのですからそれに影響を受けない犬はいません。
むしろ、他の犬を拒絶している犬の方がずっと周囲の影響を受けていない、つまりいつもと変わらないのでストレスは上がっているとはいいがたいのです。
緊張するとゴハンを残したり食べなかったり、排泄の回数が減ったり増えたり、お腹がゆるくなったりとみんな体調にも変化があります。
でも、ゴハンをよく食べて排泄ができるからといってストレスが低いと判断することはできません。
それはそれぞれの犬が日常的に過ごしている自分の中の安定の基準から下がってしまうのであればどうかと考えてあげる必要があるからです。
例えば、学校の生徒たちに対する接し方のことで「問題のない子供に一番目を向けてあげなければいけない」といわれるのと聞かれたことはないでしょうか。
これは本当にそうだと思います。
我慢している犬は問題がないように見えるのですが、将来的に本当にその犬が発揮すべき能力を発達させられない可能性もあるのです。
だから、不安定な犬だからといって余計に構うことはしません。
それは周囲の犬のためだけでなく、その犬にとっても必要なことだからです。
そして犬たちのグループ分けはとても大切です。
今日は初日なのでグループ分けを繰り返しながら様子を見ていきました。
頭数がとても多かったですが、庭のサイズ的にすべて見渡せて走れば間に合う距離感でもあって比較的スムーズにすすみます。
たくさんの犬を管理観察する能力は、若いときに訓練所に勤めさせていただいたことで身に付きました。
排便をさせるときの頭数がそのときは20頭ずつくらいになっていましたので、どの犬がどの便をしたのか、犬同士が小競り合いをしないか、どの犬も服従して行動できるかはとても大切なことでした。
頭数は少ないのですが家庭犬の預かりの方が難しいです。
犬たちはみな飼い主さんという人との関係が社会性のベースになっています。
社会性の育っていない犬、人との信頼関係が生まれていない犬をグループとして扱うことは基本的には無理なのです。
だから預かり中にそれを育てていきたいと欲張るのですが、まずは今の犬の状態をよく把握することからなので、今日はそれに徹しました。
こうして預かりクラスを行うと普段飼い主さんがどのように接していらっしゃるかがよくわかります。
そういうとお預かりクラスを利用するのが不安になってしまう飼い主さんもいるかもしれませんね。
でも問題は小さなうちに発見したほうが解決も早いのです。
お預かりクラスで知りえたことを飼い主さんにお返しして、飼い主さんには今後の犬育てに役立てていただければと思います。