誰しも、初めての経験には期待と不安が伴うものです。
初めて他の犬といっしょにトレッキングクラスに参加するときも、飼い主さんはそんな気持ちでしょう。
犬の方は予測の立たない行動には、常に現時点で起きていることとほんの近い未来に起こる可能性を予測しながら、社会化が発達した犬は環境が安定するように行動していきます。
ただ、初めて他の犬とトレッキングクラスに参加する段階の犬たちは、大半は十分に安定した社会化の身につけた状態ではありません。
リードをつけた散歩では、他の犬に緊張してしまいなかなか社会化が進まない中で、他の犬との山歩き体験を通して社会化を促進しようというのがクラスの目的もあります。
成長の過程で、なかなか社会化が進まない状態が続き、散歩中に他の犬と出会うと興奮したり吠えたりするような行動が継続するようになると、同じ状況下で社会化を発達させるには限界があります。
社会化といってもいろんな考え方があるようですが、ここでいう犬に対する社会化とは真に安心を獲得する深いレベルでの社会化です。
他の犬を無視して吠えずに通り過ぎることができるようになることも、社会化された状態だといわれることがあります。
これは、人側の立場に立った上での犬の社会化の形です。
他の犬の吠えたり興奮しなければいいという意味では、社会的な行動を実現しています。
逆に、当の犬の立場に立った上での社会化とは、他の犬と散歩中に出くわしても、環境を十分に理解しながら平常心をある程度は保っていられるようになることではないでしょうか。
この後者の方にいたるには、犬や人が多く空間の閉ざされがちなと都心環境では、社会化学習に限界があります。
その意味も含めて、実はもっと深い意味も含めて行っている他の犬とのトレッキングクラスですが、先輩方の力がなければ実現しません。
環境にある程度順応した状態の犬がいなければ、新米犬は入っていけるコミュニティがありません。
新しい犬の参加は、クラスに多少の緊張感をもたらしますが、慣れている犬にとっては後輩犬を迎えるという、新鮮かつ新たな学習の機会になります。
クラスの生徒さんたちはみなさんとても協力的です。
一貫してグループのルールに従って行動してくださることで、成り立っているクラスなので感謝しています。
初めての飼い主さんたちの感想は、こんな風に他の犬に近付くのを初めて見ましたとか、
思ってもみない光景でしたといわれることもあります。
犬は犬という種の社会に生きる動物です。
種という枠の中は、種の異なる動物とのコミュニケーションよりも厳しいのです。
でも、一定の環境をルールを守れば、小さな社会の中で居場所を見つけることもできます。
気負わずゆっくりと、犬の成長を見守っていきましょう。