お盆にお預かりクラスで七山にお泊まりしてくれた犬ちゃんの中には、まだ1才に満たない若い犬もいます。
普段は都心部のマンション住まいの犬ちゃんにとって、庭で過ごす経験は特別のもののようです。
庭といっても七山校の場合には、きちんと手をいれたような庭ではありません。
囲んだ庭は小さいですが、土はすごく柔らかく常に雑草が生えてきてような環境です。
やわらかい土の感触、雑草の臭いなど、子犬の脳にとっては格別安心を与える臭いでしょう。
子犬が庭で遊んでいるのを見ると、その好奇心の高さと反応の強さ、そして順応性の高さにも関心してしまいます。
成犬になったら見向きもしなくなるような小さな虫にも反応し、調べたり飛んだり下がったりと、小さなバッタひとつでこんなに行動が展開されるのだろうかとおかしくなります。
こうやって昆虫と戯れていることは、とても大切な社会化の時間になります。
科学者や研究者の中には、小さなころに虫追いや虫取りをして遊んだ経験を持つ方が多いということを、以前本で読んだことがあります。
なぜ、虫取りをしている少年が科学者として成功するのかということを今思い出せないのですが、人生の中での貴重な経験として推薦されていたことだけを覚えています。
というのも、子犬にとって小さな庭であれ命あるものと対話して行動するこの時間が、社会性を発達させるのにとても大切な作業だと思えるからです。
社会性が未熟だったり未発達で成犬になってしまった犬の中には、昆虫の動きにビクリとするような反応を示す犬がいます。
もしくは、成犬になっても昆虫追いが止まらなく執着行動としてしつように追いのを止められないような行動をする犬を見ることがあります。
これらの行動は、成犬の遊びと受け取られていますが、私は疑問視しています。
子犬は昆虫を追いますが、視線の中から消えてしまうと臭って多少探し、それでもいないとなると追うのを止めてしまいます。
環境に応じて必要な行動をする、また行動をとめることも社会性の発達です。
少なくとも生後10ヶを迎える前までは、自然学習ができる場を子犬に提供してあげて欲しいものです。
社会化とは、たくさんの刺激にさらすことではないこと。
何故なの?と疑問を抱いたら考えるチャンスです。