梅雨の前半なので、まだ晴れ間の見える時間もあります。
わずかな雨の隙間を利用して、プライベートトレッキングクラスを開催しています。
グッドボーイハートのクラスのご利用で一番多いのは家庭訪問タイプのトレーニングクラスです。
ご家庭の環境を改善しながら、犬との暮らし方、過ごし方、しつけの仕方を覚えていただきます。
トレーニングクラスのご依頼も、家庭内での犬の困った問題解決のご相談がほとんどです。
家庭訪問トレーニングで日常的な接し方やしつけについて学んでいただく過程が進んだ方を対象におすすめしているのが、プライベートトレッキングクラスです。
なぜ、おすすめしているのかはひと言ではいえませんので、少しずつブログでも紹介させていただいています。
それでもひと言でというならば、犬と人という動物が自然とのつながりを思い出し、心身を健康にして生きる術を身につける機会とでもいえばいいでしょうか。
結局、ひと言では収まりませんね。
犬とのトレッキングクラスは奥行の深いクラスなので、あせらずじっくりと細く長く親しんでいただくことが大切です。
犬との関係と同じように、自然との距離感も一気に縮めることはできません。
急いで学ぼうとしたり、何かを得ようとする行動はむしろ危険です。
犬に動物らしさが残っていれば、山歩きをする犬の行動はとても慎重なのです。
自然の方が近付いてくれない上に、とてつもなく広く大きく、そしていろんな生き物がそのスペースを利用しているのが山という空間です。
山に入る動物は、警戒心を持ってゆっくりと行動してしまうのは、山という生き物に対していつの間にか身に付いている接し方のルールではないでしょうか。
いつの間にか身に付いているというのは、それぞれの動物が種として生きる文化の上に成り立っています。
犬には犬の文化が、人には人の文化があり、そして人という種の場合には地域によって異なる文化の違いがあるのが、他の動物の比べて際立っています。
犬という動物として、人という動物として、山という自然環境がどの程度遠くなってしまったかを行動を通して知ることは、それぞれの文化の変化を感じる瞬間です。
今回は、プライベートトレッキングクラスを利用して山歩きデビューをした犬と飼い主さんと一緒に山歩きをしました。
まだ若い年齢の犬くんですが、興奮の度合いはいつもよりもぐっとひくく、歩行の速度もゆっくりで立ち止まりながら臭いをかぎながら、最初は慎重に行動しています。
普段は飼い主さんの方ばかりをずっと見ているのに、飼い主さんをチラチラとは見ますが、他のことに強い関心を示しているようです。
山歩き初めての飼い主さんたちの方が、体や気持ちが山になじんでいないため、バランスを崩したりビックリしてしまいます。
犬くんが最初の体験で山環境に夢中になっている間に、人の方も自然に近付く練習をしなければなりません。
犬くんが視野を広げて観察できるようになったとき、そこに不安定な姿勢と気持ちの飼い主さんがいるということでは、群れという家族としてのバランスも失ってしまうからです。
山歩きという犬との静かな時間は、犬の生涯を通してできる関係作りの場です。
しかも、どの犬にでもできるということではありません。
犬という動物としては可能なのですが、犬の状態や飼い主側の準備としておすすめできない場合もあります。
山歩きを学び始めたということは、階段を一歩上がったといえることでもあるのです。
自分も都心での活動が多くなり、山で過ごす時間が今はかなり少なくなっています。
せっかく学び始めた自然とのつながりを大切にしたいと思います。
自然の中で人として過ごすことは、時間があるからではなくて、まず最初に選択したい時間です。