雨が降ると梅雨入りしたかのようにシトシトと降り続く季節です。
それでもまだ5月、晴れ間のときには心地よい風が通る尾歩山。
この季節はプライベートトレッキングクラスのご利用が多く、とてもうれしいです。
うれしいのは、犬という動物そのものについて、もっと知りたいという気持ちを持ってトレッキングクラスに参加してくださるということが一番ですが、他にもいろいろとうれしいことがあります。
なにより、犬がとても充実しているように感じられるからです。
普段は家庭訪問を通して室内で見る犬たちが、山歩きをしているときにはいつもとは違うのです。
それは、楽しそうとか、喜んでいるという単純なことではなく、言葉では表現することが難しい感覚なのです。
その犬の「なんとなくいつもとは違う感じ」を、飼い主自身が受け取られるようになると、犬との関係性は今までとは違う新しい対等なものに近付いていく可能性を感じてしまいます。
その飼い主と犬の変化にワクワクしてしまうのです。
プライベートトレッキングクラスでの犬の行動は、最初はかなり不安定なことがあります。
土や獣の臭いに興奮したり、ウロウロと多動な動きをします。
普段から完全に拘束されているため行動の自律性が育っていません。
飼い主との関係性もトレッキングに影響するため、トレッキングクラスを通して学ぶことは限りなくあります。
「うちの犬もちゃんと歩けるようになるのだろうか?」というご質問を受けることもあります。
どんな練習やトレーニングも、結果ではないのですがやはり結果は知りたいですよね。
この段階でお伝えできることは、犬には可能性があり犬という動物として生きることについては躊躇はありません。
あとは、飼い主である人が犬が犬でいられる時間と場所にどれだけ付き合えるかということではないでしょうか。
山歩きをはじめたばかりの生徒さんは、犬よりもっと足元が不安定で「キャー」となってしまうこともよくあります。
最初はこけてズボンが真っ黒ということもあるので、着替えを持ってきたり、虫除けを持参したりと防衛の準備も結構大変です。
そんな大変さも苦にならないほど充実した時間が過ごせるのであれば、犬との山歩きの魅力は半端ないということではないでしょうか。
うれしいことのひとつに、自分が山で過ごせる時間をいただけるということです。
土のにおい、草のにおい、風が肌に当たる感覚、そして足裏のやわらかさを感じること、自分にとっても貴重な時間です。