犬と花火大会
少し前のことになりますが、帰宅中に渋滞にはまってしまいました。
地域の花火大会を見学する車で車道の一列がふさがれていたため、花火を見ている人たちを横目でみながらゆっくり運転していました。
そこで、こういう間違いも起こりやすいのだなという風景を見ました。
花火見物に犬を同伴させている飼い主さんがいたのです。
散歩の途中なのか、リードをつけた中型犬をそばにして、その飼い主さんは花火に見入っていました。周囲にもたくさんの人たちが花火を笑顔で見ていました。
もちろん、飼い主さんも笑顔で見ています。飼い主さんが座っているので、飼い主さんのすぐ横に犬の顔があるような位置ですね。
犬の表情は、大きく口を開けて舌を思いっきり出しています。
身動きをしようとする感じはありません。視線は飼い主ではない方向に向けられています。
この犬の表情から、犬がどのような状態であるのかを知ることができます。
画像で確認しないと、イメージできないかもしれませんが、少し想像してみてください。犬に関心のある方なら、どこかでこんな犬の表情を見たことがあるかもしれません。
その花火見学をしている飼い主さんと同伴されている犬。
飼い主さんとしては、きれいな花火を犬と一緒に見たいという、犬を大切に思う気持ちから発した行動だと推測されます。
そして、きっとその犬が喜びを表現していて「犬も喜んでくれている」と思って、さらに笑顔になっているのでしょう。
動物の表情の中でも、大きく口を開けている表情は読み違いされやすいのです。
イヌ科動物以外の犬も大きく口を開けている表情を、リラックスしていると受け取られてしまうことがあります。
イヌ科動物、特に犬の場合にはこうした表情は「笑っている」と勘違いされやすいのです。
勘違いが答えになりますが、つまり犬は笑っているのではないのです。
犬は緊張を緩和させたい、緊張しているときにこのような表情を出します。
動物の大きなあくびや、口を開けたままにしている表情も、やはり緊張の強いときに動物が表現する表情です。
表情は他のコミュニケーションと同じように、他者へ伝達するシグナルとしての役割を果たします。社会性がつよい犬は、特に社会的なグループの中で常にコミュニケーションをとっているために、表情によって自分の状態を伝える仕組み(機能)を備えています。
では、犬が大きく口を開けている表情を、笑っているのだと勘違いしてしまうのはなぜか。
ひとつは擬人化されることでおこります。
人が口を開けて笑顔を見せる「笑う表情」と似ていることから、犬が笑っていると勘違いしてしまうのです。ですが、人の笑う表情も緊張を緩和させるためにも使われています。
叱られると笑顔を見せる人もいるのをご存知だと思います。
人の表情も進化の過程で少しずつ変化はしているものの、筋肉の使い方、特に顔から上の筋肉の使い方は、緊張緩和のためにはよく使われています。
花火は楽しいものと人が思い込む価値観から、犬も大好きなはずと思ってしまう間違いもあるのかもしれません。
近くを通行する車に乗っている私でもストレスを感じるほどの爆音がしていて、動物が平静さを失うような刺激でした。
犬の気持ちを知る方法はいろいろあります。
表情などのコミュニケーションを上手に読み取ることは、案外練習によってできるようになるものです。
飼い主さんの気持ちをきちんと犬に伝えていくためには
まず犬の表情と行動から、犬の状態(気持ち)を知ることです。
昨日は犬語セミナークラスを開催しました。
ビデオで見る犬の表情と行動。
何度見ても、見逃している小さな部分に気づきます。
知らなかったことは少しだけ悔しいけど、気づいたときはやっぱりよかったと思える。
学び続けるためには、謙虚な気持ちを持ち続けることが大切のようです。
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熊本被災ペット支援ネットワーク
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