グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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昭和の犬

最近はインターネットでも気軽に映画がみられるようになりました。
映画「ALWAYS 3丁目の夕日」を久しぶりにみました。

犬が主役の映画にはあまり興味がありませんが
映画の風景として隅っこの方に出てくる犬には注目してしまいます。

この「ALWAYS 3丁目の夕日」は時代設定が昭和30年代だということもあり
まだ私が生まれていない時代で少し豊かになり始めているころの
犬や猫がどうしていたのかを知る機会になります。
映画の時代表現が正確であればあるほど「犬はこうしていたよね」
という事実に基づいて作られているので、信憑性も高まります。

映画の中の犬は、和犬風の雑種で体重は7キロくらいのやせっぽちの犬でした。
もちろんリードにつながれていません。首輪もしていません。
子供達が遊び相手にして触ったりしています。
子供に反応はしないで、辛抱強く餌をまっている感じですね。
誰が飼っているという感じでもないですが、誰かが餌を与えているのでしょう。

猫もいました。玄関の外に座っていてひなたぼっこしている感じ。
人を気にすることもなく、こちらも誰も飼っていないようです。

家の前の道はまだ土です。車もたいして通りません。
家事が大変な時代で、主婦は一日中家で仕事をします。
だから家やその周辺は奥さんで溢れています。玄関戸口も空いたまま。
冷暖房がないので熱気が出ることもありません。

そして映画の中では駐在さんが家にチラシをもってくる場面もありました。
「狂犬病が発生しています。大変危険ですので野良犬には近づかないように下さい。」といわれます。
狂犬病予防法は昭和25年に施行されているのですけど、一般の方には
それほどの脅威は感じられなかったのでしょう。

あれから60年。
人の生活が変わり、人の価値観が変わりました。
それに応じて犬の生活も変わり、生き方にも変化を強いられます。

今わたしたちが見ている犬の姿が全てではないのだということを
映画の一場面が教えてくれます。
昔のことだからと人は思うでしょうが、犬はどう思うのでしょうか。

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Posted in 日々のこと, 犬のこと

じっくりと育てる大切な命、宇宙一大切な柴犬のすみれちゃん

黒柴のすみれちゃんは子犬のときに飼い主さんといっしょにグッドボーイハートにやってきました。

飼い主さんによると「犬を飼う予定ではなかったんですけど、ペットショップで小さなケースにいれられているこのコをみて、衝動的に飼ってしまいました。実は前の犬が柴犬だったのでとてもかわいそうな気がして…」ということでした。

子犬のすみれちゃんはいろいろな困った行動をしていました。子犬は環境になじんでいないため子犬なりの問題が生じることがあります。でも、すみれちゃんの行動は単純な子犬の行動だけではありませんでした。

すみれちゃんの問題は、子犬販売の問題を抱えたケースでした。
というのは、ペットショップによっては販売までショーケースでの展示だけになることもあり、子犬にとっては強いストレスのかかる状態で子犬期の大切な時期を過ごしていることがあります。当時は動物愛護法の「子犬の販売に関する規制」がなく、こうした子犬の行動問題はとても多いものでした。

また飼い主さんは、「以前飼っていた柴犬が、犬が全くダメで近づけることもできなかったので、今回は犬になれてほしいと思っているんです…」というすみれちゃん育てへの希望も語られました。

子犬の時期の成長と発達は、犬が成長してからのコミュニケーション力や、犬同志で社会的な関係を作り上手にやっていく力に強く影響を及ぼします。子犬の頃にトレーニングに取り組んだとしても、生後1歳くらいまではその影響下に置かれるため、行動はすぐには変化しません。

実際、すみれちゃんは生後5ヶ月くらいで散歩に出るようになっても、慣れない環境に接すると硬直して動けなくなったり、ビックリして興奮するようになりました。でもこうしたことも事前把握しておくと、心の準備もありますので「やはりこういう行動がでたのか」と慌てることもありません。

飼い主さんには今できることと、これから起きる可能性のあることの両方をお話しながら、もし困った行動が出てきても大丈夫。きちんと対応していけば安定した状態を保つことができるようになりますよ、という説明をしてトレーニングを進めました。難しい散歩の練習などは多少のサポートを行いながら、飼い主さんができることをひとつずつ進めていくということが、一番大切なことなのです。

飼い主さんは毎週の宿題をひとつずつクリアしながら、すみれちゃんとのコミュニケーションを高めていかれました。すみれちゃんが、教えたことをできるようになることがとても楽しいようで、いろんなことを教えたり、話しかけたり、すみれ、お利口ね~。」と笑顔たっぷりです。

飼い主さんが犬と真剣に向き合うようになれると、すみれちゃんのできないことも笑って話せるようになっていきました。まだ不安定な犬を支える強さも、飼い主さんの力です。すみれちゃんはそんな優しく強い飼い主さんの気持ちを求めていたのかもしれません。

すみれちゃんの犬の先生はオポが担当してくれました。若くて力のあるオポはすみれちゃんにとってはビックリするような存在だったでしょうが、すみれちゃんの衝動性を一番知って引き止めていたオポ先生の対応によって、すみれちゃんにとって大切な「抑制力」を少しずつ身に付けていきました。このことが他の犬とのコミュニケーションにとっても大切な力になっていき、他の犬にもビクビクしない犬「すみれちゃん」が成長していったのです。
「抑制力」は全ての動物にとって欠かせない力です。ところがオスワリやフセを覚えることとは違って、一旦身に付けたように思える「抑制力」も環境の変化に応じて急速に落ちてしまうことがあります。過保護になりすぎるとか放任しすぎると低下しやすい不安定なものです。すみれちゃんの中に育った大切な「抑制力」を飼い主さんがこれからも育ててくださることでしょう。

もしみなさんのそばに犬の先生がいなくても大丈夫です。オポがしたことと同じことを人がやってあげればいいだけなのです。オポとすみれちゃんとの関係から私もたくさんのことを学びました。

すみれちゃんは飼い主さんの目標通り、他のワンちゃんともそれなりにかかわれるようになっていきました。たまに抑えがきかなくなって興奮遊びに発展してしまうこともありましたが、同じような性質のワンちゃんと出会ったこともあって、若いエネルギーを上手にはじけさせていました。
他のワンちゃんと一緒に過ごせるようになることが希望だった飼い主さんは、すみれちゃんをいつも笑顔で見守っていました。すみれちゃんのちょっと無礼な行動も、苦笑いながら可愛いと思ってしまうところは、飼い主さんならではの親心的反応ですね。

今では落ち着いた年齢になってきたすみれちゃんと飼い主さんの関係作りは、まだ終わっていません。これからも、すみれちゃんが何才になっても、すれみちゃんが伝えたいこと、教えてくれることをたくさん受け取ってください。
飼い主さんの「宇宙一可愛い」すみれちゃんの笑顔が、これからも続きますように。

すみれちゃん

Posted in 犬のこと, コラム

マーキング行動

対面のトレーニングクラスを行いました。
グループクラスを希望するわんちゃんの犬同志のコミュニケーション力を見たり、
飼い主さんとの関係性や日頃のストレスの度合いなどもいっしょに知ることができます。

いろいろな行動を見ることができましたが、比較的数が多かったのがマーキングです。
マーキングはイヌ科動物が行う匂いつけ行動です。
様々なマーキングの方法がありますが、どの犬でも行うのが排尿によるマーキングです。

オスの場合には脚上げ排尿で行われますが、実はメス犬も脚上げ排尿を行います。
また脚を上げない場合にもマーキングは行われています。
メスの場合には若干排尿の仕方が通常とは異なる形で行われています。

イヌ科動物といっても犬の場合には、マーキング行動は特殊なものです。
人に飼われることによってテリトリーや自己主張の度合いが本来の力量とは見合わないものになっています。

イヌ科動物にとってのマーキング行動はテリトリー=なわばりを死守すべき重要な社会的行動です。
社会集団の中で力のある個体によって行われています。
個体で行動する場合でテリトリーを離れる場合には適切な場所に目印的なマーキングを行います。
これも社会集団の中で力のあるものによって行われます。

こうした社会的行動が人との暮らしの中で不安定になっているのが犬です。
特に人が強く関与して飼われている場合にはこの傾向が強くあります。
このことが犬と犬の関係性を難しくしてしまいます。

さて、マーキング行動の種類に話しを戻します。
排尿マーキングの中に、排尿後や排便後に後ろ脚で地面を蹴る行動をすることがあります。
時には四つ脚で地面を蹴る行動をすることもあります。
この「脚で地面を蹴る行動」もマーキングのひとつです。

猫が排泄物の上に砂をかける行動を間違われることがありますが、これはそうした行動ではありません。
排便を撒き散らすために行うものでもないので、少し横側で行っていることが多いでしょう。
前述の通り、オスでもメスでも行います。

自分の確固たるテリトリーの中ではこの行動は見られません。
たとえば、安定した庭などのテリトリーがある場合にはその中では行われない行動です。
テリトリーが不安定であるのに、自分のテリトリーを主張する行動として見られます。
室内の排尿のあとに行われる場合もあります。
同じく、テリトリーの管理者が誰であるかわからないために、テリトリーを主張しようとするが
自分ではテリトリーができていない状態として現れます。

日常的、頻繁にみられる場合には犬がストレスをかかえているというシグナルですので
飼い主と人の関係性を見直したり、散歩コースの選択など何らかの対応が必要な状態です。

今日の対面トレーニングで確認できたことは、犬同志の距離感やシグナルの受け取り方の状態に応じて
この脚蹴り行動が出たり出なかったりすることでした。

撮影したビデオは5月の犬語セミナーで使用させていただくことになりました。
犬語セミナーはどなたでもご参加いただけるセミナーです。

犬の行動を読み解くことが「犬を理解する」ことにつながっていきます。
もっともわかりやすく科学的で直接的な方法です。
たかがマーキングですが奥が深い、でも読み解いていくとわかりやすいメッセージです。

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犬が初老を迎えるとき

犬も10歳を過ぎると初老になります。
体型が若いころと変わってきたり、
体の動かし方に少しずつ変化がみられたり
消化機能に変化があって体調を崩したりすることもあるでしょう。

家庭、特に室内で飼育されている犬の場合には
食べものや温度変化が管理されているため、犬は長生きになったなと思います。

四つ足の動物で10歳といえば相当の年齢です。
イヌ科動物のタヌキでも野生下での寿命は6歳~8歳くらいです。
人の飼育によって犬が長生きしているとはいえ
かなりの年齢になっていることは、他の動物を比較するとわかります。

でも、犬の場合には、特に純血種の犬においては、
人が可愛いと思うような容姿を備えているため、初老になっても幼い顔立ちをしています。
頭が丸くって、目が大きく、耳が垂れている、とかですね。
それに顔周辺に白い毛色が多いと、白髪もほとんど目立ちません。

だから老犬になっているという事が飼い主さんには伝わりにくいのかもしれません。
犬の寿命が15歳とか18歳とかいわれていることも、
11歳や12歳はまだ若いと思ってしまう要因なのかもしれません。

でもですね。
老いは突然やって来るのではなく、じわじわとやってくるのです。
老いを感じ始めている年齢、人だと50歳以上にもなれば
若いときのようにはいかないなと思うことが出てくると思います。

犬も同じです。
若いときのようにはいかないな、と思うことが出てきているのです。
それが初老です。
だからといって年寄りというわけでもない以降期の年齢です。
老年期というのは早すぎるし、壮年期から老年期の以降期という頃です。

「散歩のときに自分より後ろを歩くようになってしまって…
これって散歩に出た方がいいのか、歩かせない方がいいのか、どっちなのでしょうか?」
というご質問をいただきました。

質問の答えは、どのような場所でどのように過ごすか、ということです。
犬が好むやわらかくて、きれいな土の匂いのする空間はなかなかみつかりません。
たくさんを歩きたいわけではなく、少しウロウロしたり休んだりできればいいのでしょうが、そんな場所は近くにはないのかもしれませんね。

他の犬とのテリトリーにも問題が生じます。
とくにテリトリーを主張するタイプの犬になると、他の犬が集まる場所や
公園やドッグランなどには行きたがりません。
自分の力の及ばないことはわかっていますから、今度は自分が排除されるだけになります。
次第に散歩で歩く範囲も狭くなってきたり、逆にテリトリーを離れてしまった方が落ち着いてくることもあります。

都心暮らしの方には初老の過ごし方が難しくなってくるかもしれません。
犬と飼い主さんだけでゆっくり過ごせる、田舎の休憩所が必要なのかもしれません。

ともかく、初老になっていろいろな変化が見られてもビックリしないでください。
長生きをすることを心の中では望んでいても、
長生きをさせることを目的としないで、今日どのように過ごせるのかを大切にしてあげてください。
犬は単純な生き物ですし、それも犬の魅力のひとつです。
3年先のことよりも、今日を、今をどう過ごすのかが犬にとって大切なのです。

余震が続き不安も続いていきます。
地面にたまったエネルギーが少しずつ放出され始めています。
そんな時代だからこそ、いらないものを手放して
自分が大切にしているものを、もっと大切にしていきたいですね。

犬との時間には、たくさんのヒントが隠されています。
初老になっても犬は楽しむことをいっぱい知っています。

まる20160507

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お気に入りのラジオ番組

お気に入りのラジオ番組があります。
大田こぞうさんというパーソナリティの「月下虫音」という番組です。
LoveFMという放送局で毎晩10時~11時半まで放送されています。

番組の内容は本当にバラエティーです。音楽にも詳しいし雑学も豊富。
大田こぞうさんのキャラクターもとても素敵です。

ですが、なによりお気に入りの理由は、大田さんが生き物好きだということです。
特に昆虫は小さいころから好きだったそうで、めっぽう詳しいです。
虫博士の大田こぞうさんは、虫だけでなく生き物全てについて博識です。
樹木や草花についても大田さん目線の特別の話しを聴くことができます。

最近では番組の中で、シマヘビやマムシの話題があがりました。
シマヘビは七山校では同居動物といえるほど近いへびです。
先日は草刈の後部屋に戻ると室内に子シマヘビが入ってきてました。
残念ながらマムシも七山校ではご近所さんです。
遠慮なく室内に入ってくる最も苦手な生き物です。

博多に生活しているときには蛇やマムシは遠くなっていました。
子供の頃にも博多に住んでいて、その頃は蛇などよくみかけていたのに。
さすがに博多周辺は蛇が生きていくことができない環境に変わってしまったのですね。


みなさんは犬のことに興味はあっても、昆虫や樹木のことには興味がないでしょうか。
私はそうでした。嫌いなものには殺虫剤があるし、考える必要もないし
知りたい犬のことと、そんなことがつながっているとは思っていなかったのです。

ですが、今は違います。
犬のことがもっと知りたくて山すそにオポと暮らしてみて
犬が生きているということが、こうした小さな生き物や植物といかに関わっていくことかを
知ることができたからです。
犬のオポからたくさん学んだことの中の、とても大きな学びのひとつです。

オポがヘビやマムシやアナグマやタヌキやイノシシなどと
対話という関わり方を持っていたことを知りました。
犬は人のようにネットで検索しているわけではないのに
どうしてその動物について知ることができるのだろうということが
不思議でなりませんでした。

私はオポのようにその感覚を通して全てを知ることができませんが
身近にいる、自分と関わってくる生き物についてはよく観察し
その習性や行動のパターンを知ろうと学んできました。

動物、虫、生き物について、好きとか嫌いはともかくとして
人は身近で自分にかかわりのある生きているものに関心があるのだと思います。

それが「嫌い」なものであったとしても無関心であるよりはいいのです。
マムシが嫌いだからこそ、マムシの習性を知って自分をどう守っていくのかを考えます。
簡単に殺虫剤を使う前に他の方法をいろいろと考えてみます。
マムシが部屋に上がってこないようにするためには何をしたらいいのかとかですね。
なぜ殺虫剤を簡単には使いたくないかというと、それが自分に与える影響について知るからです。
環境に対して敏感になれるからです。

都市生活で自然環境が遠くなってしまい、昆虫や草花、雑草、動物たちも
いっしょに遠くなってしまいました。
関心がないとそのことを知ることもありません。

犬や猫などのペットは、人によって都市環境に連れてこられた動物です。
小さな虫とかかわる機会も奪われてしまいました。
私は都会っ子ですが、私の世代にはまだ小さなころに虫や動物と共に
成長した人たちもたくさんいらっしゃると思います。
それが自分に与えた影響について考えるとどう思われるでしょうか。

七山は山の裾にあるためかラジオの電波があまり入らず
LoveFMはエリア外だったのですが、最近有料でラジオが聴けることを知り
七山にいるときでも聴けるようになりました。

大田こぞうさんの番組は、遠くなった小さな虫達を少しずつ人に近づけてくれます。
もちろん大の犬好きで、犬の話題もときどき出ているみたいですよ。
犬と暮らす方にぜひ聴いていただきたい番組です。

そして犬と生き物の関わりについて、これからもっと深く考えていきます。
それも犬のことを知ること、そう強く思っています。

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プライベートトレッキングクラス

いつもは家庭訪問クラスを受講されているワンちゃんが
プライベートトレッキングクラスに来てくれました。

トレッキングクラス=グループクラスではありません。
目的に応じて、プライベートトレッキングとグループトレッキングに分かれます。

プライベートトレッキングクラスは飼い主さんと犬と
インストラクターの私だけが一緒に歩くクラスなので
物足りないと感じられるかもしれませんが、
トレーニングクラスとしては重要な位置づけなのです。

なぜかというと、普段の生活ではわかりにくい犬のある面が分かるからです。

実は私も当初、オポと山でトレッキングをしていたときは
都会でがんじがらめ、ストレスいっぱいのオポを解放させたいという気持ちだけでした。
ストレスを解放させる方法として、ボール遊びや海や川での遊びもあります。
ですが、なぜだか、それらの興奮遊びとはことなり、
このトレッキングの最中のオポの行動は特別のものに思えていました。

それで七山校を開設する前から、山でのトレッキングクラスを開講しました。
グループクラスのトレッキングは気持ちがいい、楽しいという感想をいただき
トレッキングクラスはグループで定着していきました。

ところが複数の犬や人が歩くときと、一頭の犬と飼い主さんと歩くときでは
大きく違いがあることがわかってきました。

プライベートトレッキングのときに、犬の行動をよく観察すると
グループクラスのときにはわからなかった犬個体の性質や状態が
よくわかるようになってきたのです。
ご家庭の中でもたくさんのことがわかりますが、それに後押しする行動や
もしくはご家庭の中の行動を読み解く鍵も見えてくることがわかりました。

オポと私の関係も、この毎日の散歩代わりのふたりだけのトレッキングで
大きく変わりました。
都会生活では実現できなかった関係をつくることができたという感覚があります。
もちろんオポの山での行動は日一日と変化していきました。
私の中では、犬という動物に対する知識や概念が大きく変化したのです。

生徒さんの犬たちにもプライベートトレッキングクラスをお勧めするようになり
その行動の変化と人と犬の関係性について、クラスの中で学んでいます。

ちょっとした犬の動きも全てがシグナル。
犬が何を感じ何を考えているのか、飼い主という人をどのように位置づけているのか。
犬と人です。多少の距離があったとしても、どのように変化する可能性があるのか。
トレッキングクラスは、日常生活がどのように行われているのかの判定のような
気がしています。

ただ山を歩いただけでは、犬と人の関係は作れません。
ですがそこに一定のルールと秩序があれば、今までとは異なる
犬との関係を築き上げていかれることでしょう。

トレッキングクラスは困っていても困っていなくても
若くても、年老いていても、体験していただきたいクラスです。

今日はビデオ撮影も行いました。
肉眼でもたくさんの行動をチェックできましたが、
他にももっと犬の隠された何かを見つけることができるでしょう。

犬の本来の能力は飛んだり跳ねたりすることではありません。
ただ従うというということでもありません。
彼らのひとつひとつのその能力がきちんと開花して
犬らしい時間を充実したものとできるように
飼い主さんといっしょに取り組んでいきます。

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犬のゴハンの時間

トレーニングクラスのときにこんな質問を受けました。

「犬がゴハンのときに興奮するようになるから
いつも違った時間に与えた方がいいと聞いたんですけど
それって、本当ですか?」

さあ、どう思いますか?

いつも同じ時間にゴハンを与えていると
その時間になるとゴハンを予測して落ち着かなくなり
要求吠えがでるようになったり、興奮するようになる。
だから、ゴハンの時間を予測させないようにするため
毎日少し時間を変えて与えたほうがいいというのです。

犬の学習としてはこういうことです。
いつも同じ時間にゴハンを与えていると
その時間になるとゴハンをもらえることを期待するようになる。
これはその通りです。
みなさんだっていつも同じような時間に食事を食べていれば
運動しなくても、対して頭を使っていなくても
同じ時間になるとお腹がすいたように感じませんか?

だからといって、ゴハンの時間が近くなると全ての犬が
要求吠えをするようになったり、興奮するということではありません。

室内飼いの犬は、飼い主がちゃんとゴハンの準備をするかどうか
見逃さないように、飼い主の動きを観察しているでしょうし、
飼い主がパソコンに熱中して犬のゴハンのことを忘れているようであれば
近くまでいって「すみません、何か忘れてませんかね。」くらいの合図を送って、
飼い主をキッチンへ連れて行くくらいの仕事はするでしょう。


犬のゴハンの時間を一定させずに、毎日不規則に与えるようにしたら
どうでしょうか?
犬は、いつゴハンが与えられるかわからないため、飼い主への注目度が高まり
不安行動を示したり、食べ物への執着行動を示すようになるかもしれません。

「ゴハンを不規則に与えたほうが要求されなくていい」という
聞き流すとなるほどねと思ってしまいそうなこの考えにも
落とし穴があるものです。

動物は習慣により安定します。
逆にいうと、安定した動物は習慣的な行動をします。
朝起きる時間、夜寝る時間が太陽の高さに比較しながら一定している。
いつも同じ時間に食事をとる。
同じ時間に散歩に出かける。

規則正しく安定した行動は、動物の心にも安定を引き出していきます。

いつも同じ時間に与えると要求するようになるから、というのは
いつも同じ時間に与えることができないのだから、
最初から要求をかわすようにした方がいいということの裏返しです。
これはかなり、人には親切だけど犬には不親切な考え方です。

犬と暮らすことで規則正しい習慣を取り入れ
人の生活がより健康的になる方がずっと人にも犬にも
ためになるお互いのルールであると思います。
ぜひみなさんも実践してください。

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犬は外で飼う?それとも室内で?後編

犬を外で飼うのか、室内で飼うのか。
人の生活環境の変化によって、犬の飼い方の常識が変わってきたいきさつについて
昨日のブログでお話しました。
https://www.goodboyheart.com/blog/dog/822

ではどうしてこのことを「決めておくこと」が大切なことなのかを説明していきます。

犬は社会的な動物で「群れ」を構成する動物だということはご存知でしょう。
その「群れ」が全員で守っているものがあります。
それは自分たちの「生活圏」です。

この「生活圏」ですが、犬の行動学では「ホームレンジ」という言葉を使われることもありますが、それよりも良く知られている言葉が「テリトリー」です。
本来は動物行動学の分野で他の種類の動物の生活圏を表現した言葉でしたが、犬の生活圏についても日本ではテリトリーといわれることが多くなっています。
「なわばり」よりも一般的なので、ここでは犬の生活圏を「テリトリー」という言葉で説明していきます。

犬の生活圏はテリトリーです。
このテリトリーは捕食や生殖などを行い、他者の侵入を許されないスペースということです。人で言えば「家を含む自分の土地やスペース」ということです。

テリトリーは中心のテリトリーと他者との境界線に近い周辺のテリトリーにわかれています。戸建ての場合には家と庭、マンションの場合には室内とベランダや共有部分、というようにですね。

ココに犬をどこに飼うのかを当てはめてみましょう。
室内で飼う場合には、人の中心のテリトリーと重なり、人と共有する形になります。

庭で飼う場合には、人の周辺のテリトリーと重なっています。
共有スペースではありますが、お互いに中心のテリトリーを棲み分けることになります。

人の生活の中では周辺のテリトリーをしっかりと守ることが大切です。
お互いのテリトリーが近ければ柵を立てることになるし
周辺のテリトリーを守るために番犬を庭先につないでいたのです。

庭で番犬をする犬は自分の中心のテリトリーを守りながら、人と共有する周辺のテリトリーも守っていたことになります。
この形だと同じテリトリー内の群れであっても中心にいる方が殿様、つまり優先権を持つものだということが決定されていきます。

室内で犬を飼う場合には、どちらも中心のテリトリーにいます。
社会的な群れとしては、人と犬、どちらが優先権を持つのかわかりにくいです。
役割を理解させることはできます。理解している場合には犬は落ち着いており適宜の番犬行動を行い、テリトリーの境界線にマーキング(排泄)を行いテリトリーを適切に管理していることでしょう。

混乱を生じる場合もあります。犬の方が人よりも中心になったり、家族の誰かを支配したり排除しようとする行動が出たりします。
たとえば、来客に吠え続けたり攻撃する、特定の家族の行動や声に吠えるなどです。
これには対応が必要です。吠えられたり攻撃される人にも迷惑ですが威嚇しなければいけない犬の方にしても、理解できない人の行動に悩んでいるわけです。
これは犬としてはかなり消耗することです。ぜひ解決してほしいものです。

そして、これらのテリトリーがはっきりと決められていない場合、
家の中で飼ったり、と思えば犬を部屋から追い出したり、逆に庭に犬を飼うようにしたのに、寂しいからと室内に連れ込んだり
こういうことが日常的になると、犬のテリトリーの認知が混乱してきます。
自分のテリトリーは一体どこだろうという風になります。
こうなると犬は落ち着きません。
テリトリーがはっきりしないということは、自分には所属している群れがないということです。安全を確保できる手段がないということなのです。
不安定な状態が続き、ストレスを感じることがあると逃走やパニック行動などが生じるようになったり、虫追いや尾追いを激しくするようになります。

テリトリーをきちんと決める、そしてお互いの役割をはっきりさせる。
これが社会的集団にとって大切なことであり、こうすることで犬は人という動物と社会的集団をつくるということになります。

外で飼うか室内で飼うか、決めておく必要性をわかっていただけたでしょうか。
この選択にあたって重要なことがあります。
それは犬の性格が外で飼うことがあっているのか、もしくは室内で飼うことで安定する性格なのか、ということです。
このことについてはまた別にお話することにします。

オポお昼ね22年3月

Posted in 犬のこと

犬は外で飼う?それとも室内で?前編

プライベートトレーニングクラスで継続して進められる
最優先事項のトレーニングが生活環境を整えることです。

生活環境を整える中でも、最もシンプルで最初に決めることは
「室内で飼う」か「庭で飼うか」ということです。

50年くらい前までの日本の生活環境では「犬は外」が常識でした。
ペット飼育可のマンションなどは珍しいというよりも存在しなかったと思います。
戸建ての家でも室内で飼われえる犬は特別の犬でした。
そのため「お座敷犬」という呼び名もあったほどです。
マルチーズやシーズーがその代表の純血種でしたが、今ではこの呼び名も使われなくなりました。

ところが、人の生活環境がすごい速度で様変わりしてしまったため、
それに伴って犬の生活も合わせて急に変化していきました。
犬は「室内で飼うペット」と位置づけられるようになったのです。
ペット飼育可のマンションが急激に増えるようになると、
それまでペット飼育不可だったマンションでもこっそりと犬を飼う方が増えてきました。
庭のある戸建ての家でも、犬を室内で飼うことが一般的になってきました。
都市部で飼育される犬がミックスの日本犬から純血種に偏ってきたことも
大きく影響してきたと思います。

それで、犬を飼育する場合に「室内で飼うのか?それとも外飼いにするのか?」
という選択を迫られるようになりました。

庭のないマンションの場合には、犬を飼うと決めたときから「室内飼い」を
前提にしているのでしょうが、実際には室内での問題が多発生し、
結局ベランダで飼育されている犬もいることも事実です。

戸建てで庭のある家庭でも「室内で飼う」という目的で犬を飼われることが
多くなってきました。
それでも大型犬の純血種を最初は室内で飼っていたのだけど、室内での問題に対応できず
結局、庭につないだり、犬舎を作ってそこで飼うように変更される場合もあります。

逆に、最初は外で飼うつもりでいたのだけど、
犬が外にいると飼い主さんが犬に接触する時間が少なくなるという理由や
庭で吠える犬の声がご近所の苦情になったという理由で、途中から室内飼いに
変更されるというケースもあります。

そして、もうひとつ特異なケースがあります。
生活環境が外の庭になったり、室内になったりとはっきりと決められていない
ケースです。ホームページのコラムでひとつのケースを紹介しました。
https://www.goodboyheart.com/column/column15.php

このコラム欄を読まれた方から
「犬の住む場所ってどちらかにに決めないとダメなんですか?」
という質問を受けました。

答えは「そうです。」
そしてこれは犬にとって大切な問題なのです。

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ドギー・テントクラス

昨晩はずい分と冷え込みましたね。
5月が近いとは思えない気温だったので装備が不十分で
テントの中でも寒さがこたえました。

こういうときは体温の高い犬に暖めてもらおうなどと思うのですが
なぜか昨晩に限って犬たちが少し離れたところに寝ていて
思惑通りにはいかないものです。

テント泊の部屋割りを今までと異なるパターンにしてみました。
犬たちがどのように行動するのかを観察しながら一晩が過ぎました。
今朝の朝ごはんの時間は、誰ちゃんがどうしていたとか、こういうときは
どうすればよかったなのかなど、忘れないうちに反省会です。

お昼は庭の山菜、オオバコ、ユキノシタ、ウドの天ぷらうどんを
いただきました。オオバコやユキノシタの天ぷらを初めて食べました。

お昼は再びお山へ。今日は作業が多かったですね。
でも、不思議と人間が働いているときは、犬たちはそばで
それぞれに落ち着いて行動したり待ったりしてくれます。

今日もまた部屋割りを変えてみます。
どんなテントで過ごす時間になるのか楽しみです。

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