グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬と夢

犬も夢を見るんですか?と尋ねられることがあります。

犬が夢を見ているように感じられるのはどういうときでしょうか?
犬が寝ている最中に、吠えたり唸ったりして、声を出すことがありますね。他には、寝ているときに、歩いたり走ったりするように四肢を動かしたり、耳をぴくぴくさせたり、尾を振ったりすることもありますね。

犬が夢を見ているかどうかは、犬にしかわかりませんが、犬が夢をみているような睡眠をしているかどうかなら、知ることはできます。犬にも人とおなじように、睡眠の深さに違いがある深い睡眠と浅い睡眠があります。深い睡眠のときには、脳も体も休んでいるので、ぐっすり寝ているような感じです。浅い睡眠のときには、体は休んでいるのだけど、脳が機能しているため脳の反応によって筋肉や神経が動き、それが動きや声などとなって表現されています。

寝ているときに声を出したり走る四肢の動きを見せると、「夢のなかで楽しそう、走っているのかな。」と思ってしまいますね。

実はこの浅い睡眠は、私たち動物にとっては大切な睡眠らしいのです。脳の情報を整理する役割をもつ睡眠で、余分な情報を処理するためにも必要な睡眠です。浅い睡眠ができていると、脳もスッキリするということです。「なんか昨日いやな夢を見たな。」という風にはならないでしょうから、安心してください。

逆に、寝ているときに吠えたり鼻を鳴らしたりしているのがかわいそうに思って、犬を起こしてしまうことがあるかもしれませんね。せっかくの情報処理の時間ですから、そのままにしてあげた方が犬のためにいいので、ぜひ見守ってあげてください。

この浅い眠りと間違えられるのが、ほとんど寝ていない眠りです。たとえば、犬の目の前を静かに歩いただけでも目覚める、なんども目をあけて寝返りをうったり顔を上げたりする、などの行動をして、寝付けない状態になっている犬がいます。安心して寝る場所が確保できていなかったり、興奮してハイになりすぎたり、緊張しすぎたり、不安が継続すると、犬も「眠れない症候群」になってしまうのです。静かな環境が得られにくいとか人工灯が明るすぎるなど、犬の「眠れない症候群」も増えているようです。

なかなか眠れない犬は、他の行動も不安定になってきますので、飼い主さんは早めにそのシグナルを受け取ってあげましょう。事情があってたくさんの犬たちの入る犬舎や、多頭飼育を強いられいている環境にいる犬の安眠は難しいものです。一時的に睡眠の取れる場所に移動させるなどの工夫も必要です。

夢を見ているような犬の睡眠は、犬にとって大切な睡眠です。
今日もいい夢がみられますように。

オポお昼ね22年3月


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留守番する犬のためにできること

レッスン以外でも犬と暮らしている飼い主さんと話す機会がよくあります。どんな飼い主さんからも犬が喜ぶためにできることをしたいという気持ちを感じます。みなさんがすぐにできることでやっていることは何でしょうか?

順位付けるのは難しいと思いますが、オヤツや食べ物を買ってきて与えるということではないでしょうか。都市環境で忙しく時間もないし、伸び伸びとした環境も整っていないとなると、帰宅の時に留守番してくれた犬に何かお土産を買い与えたくなるのも、飼い主ゴコロというものです。もちろん、犬は大喜びするでしょう。与えられれば喜んで食べる、犬は素直に反応してくれます。

でも全く別の面からも、犬の留守番を助けてあげることができます。何だと思いますか?

犬の留守番する環境を整えるということです。
このブログでも何ども紹介した、犬が落ち着けるように道具などを用いて環境を整えるということはもちろんです。これについては、犬の成長の段階や、生活環境、ライフスタイルによりステップアップ式なので、個別の指導を受けられることをお勧めします。さらに、もうそんなことは十分にできているという飼い主さんでもできることがあります。

今日、本屋さんに立ち寄ったら、掃除や整理整頓、持たない暮らしなどの話題の本を集めたコーナーがありました。
現代の人の生活で見直すべきことのひとつなのだろうな、みんなが必要としている本なのかもしれないと眺めつつ通り過ぎながら、今日のブログの話はこれにしようと決めたのです。
実は、これらの本に書いてあることを実行することで、犬が過ごす環境を整える手助けができます。


一時期流行ったコトバでいうと「断舎利(だんしゃり)」という整理整頓です。以前にこんな間違いがありました。留守番するスペースに、犬が隠れるような場所を作ってあげてほしいと飼い主さんにお願いしたら、使っていない荷物をダンボール箱に入れたものを部屋に敷き詰めて、犬のスペースを小さくしたというケースがありました。隠れる場所を作ってくださいというお願いには応えてくださったのですが、不要なものをいれたダンボール箱で囲まれた犬の感覚は、理解しがたいものだったようです。犬も空間のかもし出す空気感に敏感なんですよ~と説明しました。

エネルギーつまり「気」の話しになりますが、犬や猫が「気」に敏感だということを感じられることはありませんか?
では、人が要らないものに囲まれて暮らしていると精神的に不安定になることがあるけど、物や気持ちの整理整頓をすると、身も心も軽くなり今までできなかったことをやってみようと思ったり、悩んでいたことが解決したなどの体験をされたことはないでしょうか。

少しでもそんな体験をしたことがある飼い主さんなら、飼い主さんが抱えている余分なものを犬もいっしょに抱えているという姿を想像してみるとよいでしょう。犬の生活空間である部屋の生理整頓や、要らないものや心を整理することで、部屋の空間はずい分と変わります。それは他人が部屋に入ったときでも感じられるほどの変化となります。室内だけで留守番している犬は、人よりもずっと長い時間その部屋にいるのです。忙しくて帰って寝るだけという短い時間ではなく、昼間もずっとその部屋の中で過ごしているのです。留守中に犬が寝ているだけでほとんど動いてなかったとしても、その部屋から感じるものの影響を受けるとしたらどうでしょうか。

そんなことあるわけないと思われた方も、ぜひ一度やってみてください。この要らないものを捨てることって結構エネルギーが必要です。買うことの10倍以上のエネルギーが必要だと感じます。本当に要らないものならいいのでしょうが、捨てられないものを捨てることが難しいからこそ、断舎利やものを整理する本がたくさんあるのでしょう。

普段はできないと思っていたことでも、大切な犬のためなら!と一念発起する飼い主さんもいると思います。
犬はいつも以外なところで背中を押してくれます。雨の週末、ちょっとだけ犬のために整理整頓する時間をつくってみてください。オヤツをもらったときのような反応がなくても、犬は心地よさを感じてくれるはずです。

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純血種の繁殖について

大雨で地盤が緩んでいたり、鉄砲水に襲われたり、浸水したりと、福岡でも避難勧告や避難準備を促すサインがネット上に出ています。七山校はすぐ裏手が山なのですが、七山校よりも博多駅の近い福岡の方が、よほど危険にさらされているのは不思議なことでしょうか。

グッドボーイハート七山校は、七山地区でも最も奥、つまり一番標高の高いところで、七山校の集落を基点に佐賀市へ向かうと下りになるという場所にあります。あまりにも奥地過ぎて人の手が入りにくい状態で維持されているので、山の奥の姿は昔とたいして変わっていないようです。

それと比較すると、人の入りやすい場所はなんども手を入れられ、植生も人の必要にあわせて変わり、道路も作り変えられるなど、人の手による改善がくり返されてきました。博多の都市環境になると、都市整備は大変進んでいるのですが、その分、大量の雨水の流れる場所がないことで、こうした大雨には弱い環境になってしまったのでしょう。

人が手をいれるということは、人にとって良い方へと考えて行われているはずなのに、自然の力までを考慮できなかったという反省は、都市整備だけではないと思います。

犬の場合もこれは多いにあります。純血種の犬を家族に迎えている方が増えました。先日もミックス(雑種)の犬を人に紹介したところ「これは何犬ですか?」と尋ねられました。純血種が犬だと思ってしまうと、全ての犬が何かの純血種だと思ってしまうのかもしれません。純血種が犬だという誤解も、いつの間にか広がってしまいました。

純血種とは、人が必要だと思う形質を、人為的な繁殖で強めていき、それを固定化させて作った様々な犬の種類です。その繁殖方法は、非常に狭い遺伝子のプールの中でくり返し行われます。そのくり返しの繁殖により、通常のイヌ科動物には出ないような毛の質、色、尾の形、骨の形、脚の長さなどが出るようになって、今のような、いろんな種類の純血種をつくってきたのです。

人為的に選択した形質は残せたけど、近親繁殖により動物に不利な情報を持つ遺伝子を隠すことができず、本来なら隠れている弱い部分が現れやすくなります。
特別な形質を持った犬はいろいろと弱い部分をかかえているのは、純血種と暮らしているみなさんもご存知のことと思います。遺伝的な病気として有名なものは当然のこととして、神経の障害、脳の障害、骨の形成の異常、関節形成の異常など、純血種の抱えている問題はとても深刻です。

純血種の繁殖が始まってから120年くらいになります。これを長いと考えるか、短いと考えるか。その間、遺伝子のプールはどんどん小さくなっており、そして、今でもまださらに、その純血種をさらに人の好みにあわせて繁殖する動きは止まりません。最近、日本では純血種をさらに小型化させている傾向があります。

小型の純血種が一番多いのは、日本ではないかというのが私の印象です。それほど旅人ではありませんが、外に出るたびに犬の行動にはつい目がいってしまうのですが、これほど小型の純血種が街中を歩いているのをみることも、海外では珍しいと思います。

小型化は、小型の犬のさらなる小型化と、日本犬のような中型犬の小型化にも広がっています。マンションなどの住宅事情で、小さな犬しか買えない日本人のライフスタイルに合わせた工夫と、愛玩化を好む傾向に応えることのようです。この小型化をビックリする方もいるようですが、今までの純血種の繁殖の目的と変わらない「人為的繁殖」ということで、流れとしては何も変わっていないのです。

ですが、みなさんに注目してほしいことがあります。小さな遺伝子プールでの繁殖は、動物の機能にいつか障害をもたらすことになります。行動が不自然、ストレス行動が多い、不自然行動が多い、など、なんらかの形で行動に異常が見られたら、それは動物としての危険信号として受け取ってあげてください。

犬という動物も自然とひとつです。自然からあまりにも離れてしまうといつか大きな災害を受けるように、犬もその波に飲まれてしまう危険性もあります。犬が犬らしさを失わないように、犬を愛する皆さんで見守ってほしいのです。

犬の繁殖をされる方も、純血種と暮らしている方も、みんな犬のことを本当に好きなのだと思います。あまりにも好き過ぎていろんなものが見えなくなることもあります。だから、犬好きたちは、お互いに関わりをもって、「もしかしたらおかしいかも。」という犬のメッセージを大切にしてほしいのです。そのためにも、犬の行動のいろいろについて、これからもブログを通して伝えていきます。

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<犬のしつけ方>子犬のトイレ失敗はいつまでに解決する?

子犬の家庭訪問のときに、初回のカウンセリングで説明する必要があるトレーニングが、トイレトレーニングについてです。そして、子犬のトイレの失敗について、ほとんどの方が「まだ犬が小さいから、トイレを失敗するのは当たり前」という誤解をされています。

人間の赤ちゃんのころにはオムツをしているし、オムツを外せるようになっても排泄の失敗はしばらく続くので、子犬のトイレも同じように思われているのかもしれません。子犬を母犬から離して人が飼うようになる年齢は、生後7週齢~8週齢が一般的です。子犬のこの年齢は、もう幼稚園生に入るくらいの年齢になっており、人でいうとオムツはとうに外れている年齢にあたります。

子犬がひとりで排泄行動ができるようになるのは、生後21日目からです。生後3週齢という早い時期なのはあまり知られていません。生後21日になると、子犬たちは巣穴から出てきます。この巣穴から出てくるときと、排泄を巣穴の外でするようになるときが同じなのです。巣穴から出て排泄をするようになった子犬は、巣穴を汚したりしません。外環境でこのまま成長する犬は、成長と共に排泄をする場所を変化させていきますが、そもそもトイレトレーニングとも、トイレの失敗とも無縁ということです。日本の一昔前の犬たちはみな外飼いでしたから、トイレトレーニングなどなかったということですね。

「トイレの失敗」という環境を作っているのは、犬を室内に閉じ込めたことでおきてしまうのです。犬は室内空間で排泄をする場所を失い、がまんできずにいたるところで排泄をするようになってしまいます。子犬だからトイレの失敗をするのではなく、必要な環境が整えられていないことで排泄の失敗をしてしまいます。

戸建てで庭のある環境でも、子犬の排泄場所として庭を提供できていない場合があります。ワクチン接種が完璧でないから外には出せないと思われていますが、そんなことはありません。ご自宅の庭には他の犬も入ってきません。子犬の時期から庭で排泄できるようになり安定している犬の方がストレスが少なくなり、免疫力にも影響を与えます。

集合住宅で庭がない場合にも、環境を整えてあげるとトイレの失敗をすることはありません。環境の中には人に対する社会化や、新しい家庭に移動するまでにどのように過ごしていたのかということも含まれます。せっかく子犬が生後21日で排泄行動を自律してできるようになっているにも関わらず、子犬が育った場所がその行動を可能にするものでなければ、家に連れてきた子犬はすぐに排泄の失敗をしてしまうでしょう。

とにかく、トイレの失敗は子犬の問題ではなく、環境の問題であることがわかれば、トイレトレーニングはほめたり叱ったりすることではないことも、わかっていただけると思います。

排泄の場所を室内に限定させたいという飼い主さんも増えています。外に出ないと排泄をしてくれないのは困るとか、預けたときに室内でしてくれたら助かるとか、その理由は犬側の都合ではなく、人側の都合によるもののようです。

室内で排泄をしたがらない犬と、室内でも排泄をする犬の気質は異なります。室内飼育される場合に、室内で排泄したがらない犬の方が性質が安定してきます。性質とは犬の性格のことです。性格は、遺伝的要素や、後天的に得られた経験や環境の影響などがあり、一概にひとつのことだけをとりあげて限定することはできません。それでも、犬の排泄行動が犬のテリトリーを決める行動であることなど、犬の機能性のしくみを知っていただくと、排泄行動と、日常行動の安定の関連性について理解していただけると思います。。

といっても、排泄を街中でされると臭いがきつい、家の周辺でされるのは迷惑だというご近所の言い分も十分にわかります。都市環境では、犬の生活密度が上がっていますので、こうしたペット公害に対しては、犬を飼っている側が気配りをして対応をすべき問題です。排尿のあとは水を流すことなどは当然のマナーであると思います。

犬の排泄行動が、犬にとってできる限りナチュラルな犬の習性にそったものとなるよう、飼い主さんとしてぜひ協力してあげてください。

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犬の隠れる術「カモフラージュ」

ご家庭にレッスンに伺うと、汗だくで「犬を洗ったんです。」といいながら飼い主さんが出てこられました。様子を伺うと、田舎のご実家に連れていったところ、田んぼの中を走り回ってドロだらけになってしまったため、汚れた犬を洗ったとのことでした。

犬が楽しげにやっていることは、遊びもあるけど犬なりに意味のあることもたくさんあります。若い犬が泥まみれになってはしゃいだりするのは、遊びの一面もありますが、犬としては理にかなった行動でもあります。

若い犬で、まだマーキング行動を行えない犬は、自分のテリトリーを守ることもしません。生活圏となるテリトリーは群れで守っているので、飼い主さんの気配に頼りきりになるか、黙って隠れていたりします。
ところが、守るスペースといってもいろいろとあります。一番小さな自分だけの領域、つまりプライベートスペースは最初に守るべき空間となります。自分で守る術を身に付けながら、生きていくために必要な安心を獲得しようとするのです。群れに守ってもらうだけでなく、個体でも安全を確保する「身を守る術」に「カモフラージュ」があります。

昆虫がいろんな色や形で自然の風景の中にカモフラージュしていることは有名ですね。森の動物が木の葉のような目立たない色をしているのも、カモフラージュのひとつです。人は視覚の動物ですが、犬は嗅覚の動物です。カモフラージュも臭いを通して行われます。田んぼを走った幼犬は、最初は広い場所に興奮して走り出したのでしょう。そのうち周辺を漂う強い泥の臭いに気づきます。その臭いを全身につけるために、田んぼの中で寝転び四肢を空に向けます。このころには、その風景のそばで飼い主さんの悲鳴が上がることが想像できます。

全身が泥だらけとなった若い犬。臭い泥の臭いで自分の臭いはしっかり隠せています。これで安心して生活圏を離れても行動することができます。犬は自分を完璧にカモフラージュしました。でも、こうした行動は人にはなかなか受け入れてもらえません。人は犬と比較すると嗅覚が全く発達していないわりには、臭いものには反応が強いのです。犬にとって臭いものは、人工的な香料やシャンプーの臭いや洗剤の臭いなのに、人にとって臭いものは、泥の臭い、糞便の臭い、汗の臭いなどです。動物としては異種ですから、犬と人の世界は異なることがあるのは当然です。どちらの世界を優先するのか。人は案外迷いません。
若い犬が、カモフラージュした自分を満喫したのはわずかな時間でした。

もし、こんなことに遭遇したら、少しの時間でいいからそのままにさせてあげてください。洗ってはいけないなどとは言いません。室内に犬をあげるためには、汚れは拭き落としたくなりますよね。その気持ちはよくわかります。室内に臭いのついている香料や、アロマを焚かれるなら、それを少し遠慮してあげてください。集合住宅は風のとおりが悪く、以外に臭いがあります。それもいい香になっています。

自然の中で過ごすときには、思いっきり泥臭く過ごしてください。犬が犬らしい行動をするときは、それを認めてあげたいものです。私たちは違う世界観を持つ犬という動物と共に暮らしています。互いを認め合うこと、これからも大切にしていきたいです。

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うちの犬ってどんなコ相談会・行動は犬のメッセージ

今日は福岡市早良区にある脇山の家の「手づくりフェア」に行ってきました。
熊本被災ペット支援ネットワークで集めた、手作り品チャリティバザーの販売と、チャリティ犬の相談会を同時開催という形で参加しました。

チャリティ相談会「うちの犬ってどんなコ?」は、犬のしつけやトレーニングの相談とは違って、家庭でいっしょに暮らしている犬のことをいっしょに話し、犬への理解を深めよう!という目的の相談会です。

犬のしつけ・トレーニングで陥りやすいミスは、犬のことを理解する前に、犬を「イイコ」にするためのトレーニングを開始することです。犬にオスワリやフセを教える前に、飼い主さんが知る必要のあることがたくさんあります。飼い主さんの知る必要のあることというのは、犬が人のコトバを話すことはできないけど、伝えたい大切なことです。

といっても、犬の相談会となると、ほとんどが「犬の困っていることをどうやったら解決できるか。」という質問から始まってしまいます。犬を飼っている人は犬が大好きなのですが、犬に問題がないときには犬のことにあまり関心がありません。
このことは、私自身が学生時代に暮らしていた犬のことについて、ほとんど知ろうとしなかった経験があるので、身をもってわかるのです。その犬は、全く問題となる行動がなかったからです。よく人のいうことをきき、イタズラもしない、吠えもない、噛み付きもない、家具をかじるということもありませんでした。だから犬のことが大好きだったのに、犬の本を何冊も買って読んでいたのに、目の前の犬について本当に知ろうとはしなかったのです。今思えば、あのときもっと関心をもってあのコのことを知ってあげれば、もう少しいろいろとできたことがあったのにと悔しい気持ちもいっぱいです。

犬に関心を示される機会は「犬の行動を問題と感じたとき」だという方が、ほとんどだと思います。
その問題をどのようにしたら解決できるのか、という気持ちでドッグスクールを尋ねたり、本を読んだりされるでしょう。ですが、ここが大切な分かれ目です。どうやったら解決できるのかということに焦点をあわせて学び始めると、単なる対処法で終わってしまい、犬のことを理解するせっかくのチャンスを失ってしまいます。

「犬の行動を問題と感じたとき」に、犬が必要としているのは、その行動の意味を理解してほしいということです。犬の行動はコミュニケーションの手段だからです。犬は社会的な動物です。そのため、自分の状態を、常に群れの仲間に対して表現するさまざまなコミュニケーションの形を備えています。その中でも行動という表現は、私たち人間が受け取る場合にも最もわかりやすいコミュニケーションのツールです。犬のように嗅ぐ力を持たず、感性の低い人間に対して、犬たちはわかりいやすい行動でメッセージを伝えてきています。それを、受け取っていけばいいのです。

どうやって?もちろん、最初はひとりでは読み解けません。犬のコトバは、人間にとっては外国語と同じです。だから通訳を使ってください。それが私たちのような犬の専門家の仕事です。動物の心の声を聞くアニマルコミュニケーターという通訳者もいます。そのコトバは奥深いものではありますが、それより以前に受け取る必要のある現実的なコミュニケーションがあります。犬が一番伝えたいことは、犬の行動から発しているメッセージです。そして、そのメッセージは、勉強すれば誰でも受け取れるようになります。

相談会では、そんな「犬が伝えたい大切なこと」を受け取りながら、犬がどういう状態でいるのかということを焦点にお話しました。その状態を解決してあげるためには、少し時間が必要です。「ああ、そんな状態だったんだ。知らなかったよ、ごめんね。」と思える方は、もう何歩も先を進んでいます。「そんなことどうだっていいよ。自分が困らなければいいんだ。」と思う方は、犬との関係作りにまだ時間がかかりそうです。感じるのことも、思うことも、選択することも、自分の自由です。

準備のできた方から遠慮なく、犬の世界へ飛び込んでください。
そこには、難しいことはなにもありません。あるのは犬の平和です。


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犬の不安を解消する

犬の問題行動を見つめていくと、その犬がどのような状態であるのかを知ることができます。
犬の困った問題行動について「どうしたらよくなるのか?」ということより先にまず考えるべきことは、「犬はどのような状態なのか?」ということです。

犬が感情を持つ動物だということは、よく知られています。
ですが、その感情は人と全く同じものではないことは、あまり知られていません。

いっしょに暮らす犬という動物を家族として大切に思い、人と同じ気持ちで付き合うあまり、彼らが「犬」であることを私たちは忘れてしまいがちなのかもしれません。
犬の感情的行動について触れるときには、犬という動物としてみることが大切です。

犬にも「不安」という感情があり、その感情を表現する行動があります。たとえば、飼い主に執着するような行動や、ものを破壊するような行動などは、不安を表現する行動にみられます。

「飼い主に執着する行動」とはたとえばこういう行動です。飼い主にとびつく、強くじゃれるようにして飼い主の手や服を口でくわえる、歯をあてる、マウンティングする、膝の上にのりたがる、体を寄せたりよりかかってくる、後ろをついて回る、など。

飼い主に執着する行動がみられる犬は、飼い主がそばにいないときや気配を感じられないときに、不安を表現する行動をします。何かをかじったり破壊する、排尿をする、置いてあるものを動かしたり散らかしたりする、自分の皮膚をなめたりかじったりする、ウロウロして落ち着かない、などの行動をします。

飼い主への執着行動は、犬の生活の中で解消されない不安が元で起こりますが、執着する対象が「飼い主」である場合には、飼い主の犬への接し方がその行動の原因になっています。原因となる飼い主の接し方もいろいろありますが、多いのは「人の赤ちゃんのように子犬に接して育てた」場合です。
特に、子犬が不安を感じているときに、抱き上げるとか、抱きしめる、なだめる、撫でる、声をかける、という接し方をしていると、子犬から成犬になったときの不安傾向は強くなります。

人間の子供だったら同じことをしてなだめるから、という飼い主さんの優しさから出た行動でしょうが、相手は犬です。子犬が不安を感じたときにできることは、その環境を整備することだけです。それよりも不安を感じやすい生活空間や、長い留守番によって、日常的に不安を強めていることがほとんどです。

犬の不安行動の解消、できることのひとつは「生活環境の整備」です。環境整備についてはくりかえし強調します。たとえば、屋内飼育や移動の多い犬にクレートトレーニングは必須です。過去のブログでクレートについてお話しました。→クレートトレーニング

次に、犬らしい行動ができる機会を与えてください。土の上を歩く、都会の臭い臭いのしない風を感じたり臭ったりする、静かな環境でゆっくり過ごす、草を食べる、新鮮な水を飲む、山をゆっくりと歩く、犬に伝わるように接することなど、犬の成長に応じてできることがたくさんあると思います。

犬は犬らしくいきることで不安を解消できるということ、これも犬の力です。

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ペットドア使ってますか?<庭で排泄すること>

犬の生活環境の大切さについては、いつも話のテーマに上がります。環境を整えることについては、ブログ記事「引越し後の環境整備」でもご紹介しました。この記事でペットドアについてもふれています。

ペットドアは「ペットが自由に出入りできるようにするためのドア」で、室内を区切るドアにつけたり、室内から庭へ続く戸口や網戸に設置する使い方があります。
グッドボーイハートでは、環境整備の一環として、囲いのある庭付きの戸建て住宅で犬と暮らしているご家庭に、条件付きでお勧めしていることがあります。室内から庭に、犬が自由に行き来できるようにすることです。このツールとしてこの「ペットドア」を取り入れることがあります。


ペットドアを使う前に、犬の現在の生活状況をよく把握してみましょう。

囲いのある庭付きの戸建て住宅。普段は室内で暮らしている犬、室内で寝たり、ゴハンをたべたり、飼い主と過ごしたりしているとします。みなさんの犬がこれに当てはまるなら、犬の庭への出入りはどう管理されていますか?

1 庭には出さないようにしている。
2 犬が庭に出たがるときに、戸口を開けてあげる。
3 飼い主の決めた時間だけ、庭に出してあげる。
4 生活習慣として庭に出す時間が決まっている。
5 室内の戸口を、日中は開けたままにしている。
6 室内の戸口にペットドアをつけている。
7 外出のときは戸口は閉めてあり、飼い主がいるときは5か6にしている。

5と6の環境に暮らす犬は、基本的に室内から庭への出入りは、犬の自由です。犬の生活のテリトリー(生活圏)は、室内とその周辺の庭ということですね。

7は一部飼い主の管理が入る形となり、自由ではありません。飼い主不在の時間によって犬の行動自由時間がことなるため、犬の行動へ与える影響もマチマチです。

1と3の場合には、犬の庭への出入りは管理型です。飼い主がいなければ犬は外にでることはできませんし、犬の意志で庭に出ることもできません。

2は犬が庭に出る意志のあるときに出ることができるが、飼い主が気づかなければ出られないということです。

4は庭に出す時間の長さにもよって、庭で過ごす時間はまちまちです。ゴハンのあとだけ出して、すぐに中に入るのか、日中はずっと庭に出していて、飼い主が帰宅したら入れるなど、そのパターンは無数のため少し状況把握が難しいです。


庭というスペース、その空間への犬の行動の自由。不自由な場合にはその鍵を握っているのは「飼い主」という人間です。庭を犬が出入りできるスペースとして承認できるのか、犬の出入りを管理することになるのか。この違いによって、庭が犬にとっての生活圏を支えるテリトリーになるかどうかに、ひとつの影響を与えます。

庭への出入りに関して犬に行動の自由が与えられていると、自然に庭は室内という犬の生活圏をささえるテリトリーになります。庭も犬の生活圏のとなり、ここが外敵との境界線になります。柵のある庭では、柵の前で吠える犬をみかけたことがあるかもしれません。吠えることが全て番犬吠えではありませんが、しっかりと足を大地につけて、テリトリーに侵入して来ようとする人の方に身体を向けて、吠えている場合、吠えていない場合でもどちらも番犬といえる姿勢です。
この境界線は大切なのですが、ここで何かあっても、犬には室内という奥のテリトリーがあります。篭城で城の門を明け渡していない状況では、まだ余裕があるということです。

上記のように、安定した行動で生活圏をとりまくテリトリーを防衛しようとする犬は、庭の柵に近い境界線で排泄をします。排泄行動は犬のテリトリーを管理する重要な行動です。排泄行動の場所によって、犬がどのようにテリトリーを管理しているのかを知る手がかりにもなります。

庭への出入りに人の管理力が影響している場合、境界線は室内と庭をしきる戸口のところになります。室内空間は生活の中心となるテリトリーです。訪問者があったとき、あなたなら誰を室内にいれて、誰を戸口の前で対応しますか?その境界線を越えられる方は、あなたにとって信頼できる人でなければならないはずです。室内に人を入れてしまえば、逃げる場所はない、逃げるときは自分が室内から出て行くしかありません。これはテリトリーを明け渡すという行為となり、危機的な状況です。訪問者を知らせるインターホンに、犬は興奮しやすくなります。

境界線をつくる犬の行動を観察してください。犬はどのような場所で排泄しているでしょうか?前述の庭の柵に近い境界線での排泄行動をしている犬であれば、庭スペースへの自由行動をさせることで、行動は安定してきます。なぜなら生活圏とそれを取り巻くテリトリーが明確となるからです。

これはあくまで、犬が自由に行動できるようになっている上で形成される自然なテリトリーです。ですが、犬が飼い主に依存している、たとえば、飼い主の膝の上によくのる、飼い主の後ろをついて歩く、飼い主の外出で不安行動などの、飼い主への依存的な行動がみられる場合には、こうした形での生活圏(テリトリー)の形成はできません。その犬の行動は自由ではなく、飼い主の居場所によって変わってしまうからです。

飼い主への依存的な行動がみられる犬の場合には、ペットドアをつけたとしても、なかなかひとりで庭に出ようとはしません。飼い主さんが庭に出ると一緒に出られるが、飼い主さんが室内にいると出られないという場合があります。当然、排泄は室内のペットシーツになります。ペットドアがついていても、庭で排泄ができない犬はかなりいるようです。

依存的な行動の例として、食べ物に執着する行動がある場合にも、犬の自由行動は得られにくくなります。ペットドアがあっても庭への出入りが不自然であり、生活圏とテリトリーを構成する行動は得られないのです。
犬が部屋の中でウロウロとしていると「うちの犬は自由で楽しそう」と思われるかもしれません。本当に犬が自由を獲得しているかどうかは、そう簡単には判断できないのです。

犬って難しいなと思われるかもしれません。犬の生活環境は、飼い主の生活環境の変化や、生活パターンの変化、人為的繁殖、犬に対する価値観の変化によって、複雑になってしまったのです。決して犬という動物が複雑なわけではありません。犬はもっとシンプルな生き物で、混乱しているのは犬の方ではないかと思うのです。

「犬の環境が行動に影響を与える」ことは事実です。でも、環境を整えるペットドアをつけただけでは、犬の行動が変化しないことがあります。「成長」と「発達」この二つのキーワードは、環境を整えることと同じ、もしくはそれ以上に重要なことです。

※犬を理解するツールとして今回はペットドアを紹介しましたが、ペットドアの導入に関しては「条件付き」と説明しました。犬の行動管理の上で、注意すべきことも多々あります。
グッドボーイハートのクラスを受講でない方で、このブログを読んでペットドアを付けられる場合には自己責任で行ってください。


あきらめて帰宅のオポトリミング
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犬のシャンプー後の行動からわかること

昨晩、ラジオLoveFM放送の「月下虫音(げっかちゅうね)」に出演させていただきました。
事前打ち合わせをやったのにもかからわず、本番では全く違う話しになってしまい、思ったとおりです。

たくさんの質問をいただき、スタジオで拝見させていただきました。
どれも興味深く、ひとつのテーマを取り上げて相手が応じてくれる形式なら1時間くらいはお話できそうな内容でした。
色々な話題にふれたため、消化不良の方もいらっしゃるかと思います。ひとりの疑問は100人の疑問なので、ブログを通して少しずつ紹介できればと思っています。

それで今日の話題は、シャンプー後の不思議行動とその行動から分かることです。

大田さんがブログ記事「雨の日の散歩が嫌いですか?」を番組で紹介してくれました。犬の本では取り上げられないような小さな「犬の不思議」を大切にしていくと、ここから「雨の日は大丈夫なのに、何故シャワーはダメなの?」という疑問に発展していきました。実はこの謎解きは、この「犬のシャンプー」からたどりつきそうなので、ここから始めていきます。

番組でも「シャンプーの後に、部屋の中を走り回ったり、爪をとぐような行動をする」というメッセージをいただきました。これはおそらく、以下のような犬のシャンプー後に起こりやすい行動の組合せのようです。

シャンプー後に起こりやすい行動の例
・走り回る
・身震いをくり返す
・じゅうたんやソファに体をこすり付ける
・飛んだり跳ねたりする
・くるくる回る
・穴掘り行動をする
・耳を後ろ脚でかく行動をする
・体の毛をなめる
・体をカツカツとなめる行動をする
・眠り始める
・まばたきをする
・あくびをする

シャンプー後に、犬はこれらの行動のいくつかを行います。
犬にとって行動はコミュニケーションの手段です。行動の中には犬が伝えたいことがたくさん隠されていますので、これらの行動の意味をわかるようになると、シャンプー後の犬の状態がわかることになります。

これらの行動、どんな意味があると思いますか?

実はこれらの行動はがストレスを感じたときにする行動です。種類はいくつかにわかれますが、ストレスを発散させる行動だったり、落ち着かせることでストレスを回避するための行動、ストレスから逃避するための行動など、どれもストレスを解決させるために必要な行動です。これらの行動は、ストレスの要因となっているものが解決しない限り、継続して出ます。ストレスの要因となっているものが減少すると、これらの行動は減少してきて行動が落ち着いてきます。

シャンプー後の犬の行動を観察してみてください。シャンプー後に激しく犬が行動をします。しかし、飼い主がぬれた犬の体を乾かすための様々なことを行うことで、シャンプーによってぬれた犬の体は乾き始めます。そうすると、犬のこれらの行動は少しずつ減ってきます。ということは、体がぬれていたことが、犬のストレス行動を原因だったいうことになります。

「体をぬれていることがストレスになる?でもうちの犬は泳ぐのが好きなのに?」という飼い主さんもいることでしょう。人から見ると矛盾していそうなことですが、犬からすると当然のことです。なぜなら、泳ぐために水にぬれることと、シャンプーでぬれることは犬にとっては「別のこと」だからです。

では、何が違うのか。
まず、シャンプーという臭いのついた石けんを使われることが、犬にとっては大変なことです。犬は臭いの中で生きています。シャンプーによって犬の臭いは人が感じるところの「いい臭い」に変わってしまいます。これは犬にとって大問題です。犬は安全でリラックス環境の中ではほとんど臭いというものがありません。犬についている臭いは個体を表現するための「名札」のようなものです。ストレスのかかる環境で生活したり、ストレスのかかる経験が重なっていくと、犬の臭いはきつくなります。これも人にとっては好ましくないことですが、犬にとっては今の自分を表現する臭いであり、好き嫌いで済まされる話ではありません。とにかく犬はシャンプーの臭いによって「名札」をなくしたことになります。これは大きなストレスです。

次に、シャンプーを使わずにシャワーやホースで水やお湯をかけて洗っただけでも、上記のような行動をする犬はたくさんいます。この場合だと、水もしくはお湯のが犬の体に与える影響がストレスになっているということです。
このことについて、泳ぐことや雨の日にぬれることと、シャワーやホースで現れることの違いをどう思いますか?
人と犬は異なる動物なので、全く答えが出ない事もありますが、それでも一旦これしか考えようがないので、「わたしだったらどう感じるだろう」という質問はいつもしています。ここでこの質問を自分にしてみます。どういう違いを感じますか?ここで見つけた違いはとても答えに近づいてきます。

三つつの点で違いがあります。

一つ目に、水やお湯の圧です。犬にとって、体の表面にかかる圧というのはとても重要です。たとえばあなたが誰かがあなたの肩に手を置くことを想像してください。知人があなたの肩に軽く手をおきます。あなたには一定の圧がかかりますね。別のケースでは、知人があなたの肩に手をおき少し強く押します。肩にかかる圧の違いは、あなたにどのような影響を与えるでしょうか?そして、これが予期せぬ圧であったとしたら、動物の体に一定の情報が伝わってしまうということなのです。犬は当然それを避けようとします。そしてあなたはホースを振り回すということになります。水をかけるときでも、シャワーを霧状にしてやわらかく全体的にあたるようにすると犬が落ち着いていられるのは、この圧の違いによるものです。

二つ目に、毛を逆に撫でる行為により犬に与えている影響です。犬を洗うときは毛の中にはいった汚れや砂を落としたいので毛を逆に撫でる行為をします。人の手でやっているつもりはなくても、シャワーを毛の近くにあてると水の力で毛が自然に「逆なで」の状態になってしまいます。この行為は犬のストレスになります。犬の毛が濡れていないときに犬の毛を逆になでると、ブルブルっと身震いすることがあります。逆に撫でた犬の毛はすぐに元の方向に戻りますし、ブルブルっと身震いすることによって、すぐに毛の方向は整えられます。
シャワーのときにこの毛を逆に撫でる行為を行うことで、犬の毛は本来の向きとは異なる方向に向きます。横になったり、上になったり、逆なでになったりしますね。シャンプーの泡がつくと毛の向きがあちこちへ曲がったままになったりしています。

三つ目に、毛についている水の量です。泳ぐことが好きな犬も、水から一旦あがると激しく身ぶるをして水を払います。このとき同時に毛の方向も整えられます。身震いによって出てくる水の量は大変なものなので、そばにいる人間は「キャー」といって逃げることになります。海や川からあがって一旦はストレス状態にある犬の毛も、身震いによりそのストレスを解放します。雨の日に水をはじくタイプの毛質をもつ犬も、泳いだり、シャワーを浴びるという大量の水には水を一旦身に付ける状態になります。ただこのことがまた、犬の泳ぐことを助けているように思えるのです。全くはじいてしまうのでなく、毛の間に水がはいることで毛のひとつひとつが水に抵抗をもつようになるということで機能しているのではないかと。犬が泳いでいるときの被毛をみると水の中でそうした動きをしていると感じるのですが、これは私の推測の範囲内です。

とにかく、こうした理由で犬はシャンプーによりストレス状態におちいり、シャンプー後の行動が出るということです。シャンプー剤を使ったときと使わないときで、その後の行動も異なることがありますので、試してみてください。どうやったら止めさせられますか?という質問には、「ストレス行動はその原因を取り除くことが一番の解決策」だとお答えすることになります。「シャンプーしちゃだめなの?」となるでしょうが、そもそもシャンプーは犬にとってはストレスとなる行為なので、できるだけそうならないように工夫してあげてください。

ちなみに、私と共に暮らしていたオポには、7歳で山に引っ越した後から亡くなるまで、一度もシャンプーや水洗いをしませんでした。その必要がなくなったからです。引越しだけが理由ではありませんが、環境を変えたことで犬の毛質や皮膚は激変しました。大切なのは、私が犬にシャンプーをしなくなったことで彼が解放されたことがとても大きなものだったということです。専門家の私でも、知らないで犬にやってきたことがたくさんあります。逆に仕事としてみにつけた事のほうが、犬を混乱させることがたくさんありました。価値観を捨てて犬と向き合うことを選んだことで知り得たことがたくさんあります。このことが、今こうしてブログを書いている理由でもあります。

ここに書いたことは、トリミングショップなどでのシャンプーには当てはまらないことがあります。また、特殊な被毛をもつ純血種にも、当てはまらない行動があります。その理由はまたいつかご紹介します。


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散歩が苦手な犬

散歩が苦手な犬が増えています。

全く歩かないとか、人や犬への吠えが異常だとか、首輪をつけさせない、リードをすごくひっぱって歩けないというような状態のときに、トレーニングのご相談を受ける事があります。
こちらのブログ記事でも散歩行動のチェックについて紹介しました。→ お散歩チェック

最近は福岡、佐賀地域では小さな犬を飼う方が増えているため、リードのひっぱりや吠えはあまり問題にされなくなりました。また、歩かない事も「散歩が嫌いだから散歩に出ない」という解決法になってしまい、問題にされない傾向があります。

散歩は犬の生活の中でも大変重要な時間なのです。犬が唯一外の社会に触れる機会です。犬の散歩中の行動を観察してそこから情報を得ることの大切さは、「犬の社会性」がどれほど育っているのかを知るチャンスだからです。社会性についてはまだ詳しく紹介していませんが、わかりやすい言葉でいうと「環境への適応性」という意味です。よく社会性を「人が好きな犬」「犬が好きな犬」ととらえ違いされることがありますが、これは社会性とはいえません。好き、嫌いという嗜好は社会性の中には入っていないからです。
社会性は環境への適応力がどの程度育っているかという犬の成長の段階をいいます。

犬がテリトリーを離れる行動によって、社会環境への適応性を見ることができます。
都心部では、犬という動物が適応するのに時間のかかるもの、たとえばたくさんの車はバイク、多くの人、音、強いにおい、狭い土地にたくさんの家が建つことで環境把握が難しくなった風の流れ、など、犬が都市環境の適応するには相当の時間が必要です。

また仔犬のころに室内飼育をした経験も社会性を遅らせてしまいます。予防のためのワクチン接種後、屋外に出ることを禁じられるなどの処置で、室内から全く出ていないとか、ショップでの販売期間が長くなったなどさまざまな理由で仔犬のころの室内飼育は、成長後の社会性の発達に影響を与えてしまいます。

飼い主さんが多忙とか、季節的に日中歩けないなどの環境になると、散歩が暗い夜道になってしまうことがあり、社会性の育っていない犬にとっては、ますます社会化を退行させる原因となってしまいます。

子犬期にかわいがる、甘やかした犬は散歩が苦手になります。多くの飼い主さんが「かわいがる」と「甘やかす」の区別がわかりにくいようですが、甘やかしというのは犬という動物にとって、子犬行動を助長させ成長を促さないような接し方をすることです。例としては、ダッコ、口元をなめさせる、ひざのうえに乗せる、とびつくことを許す、さわりすぎ、よくお腹をなでる、などです。自分のテリトリーを離れて行動するというのは、イヌ科動物だと大人の一員になるための準備です。群れの統率を乱すような動物はいっしょに行動できないので、巣穴においていかれるのです。中身が子犬のままだと、外の社会への適応力は育つ準備ができていないということです。

そして、これが大切なのですが、子犬は群れの信頼できる「おとな」といることで安定した行動を引き出せるようになります。上記の甘やかす接し方が多くなると、犬からみて人間は「頼りにならないな。」と思われてしまい、散歩がとても不安定になってしまうのです。「かわいがる行為」が信頼を獲得するというのは、動物のしくみからは外れていますね。自分を律することができ、安定した行動をできる動物が信頼できる動物です。子犬といえども、飼い主さんのことをしっかりと観察しているんですよ。

これらのことを抑えていくと、犬の社会性の発達は希望がいっぱいです。

毎日の散歩が楽しいことは、犬の生きている世界を変えていきます。


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