犬の小型化が進んだ結果増えたのが、小型犬の多頭飼育です。
小さな犬を2頭いっしょに散歩させている姿をよく見かけるようになりました。
多頭飼育の目的は飼い主さんによって様々です。
なんとなくというもの。犬を飼われている方で多頭飼育の方にはよくあります。
特に理由はありません、ということですが、ショップで見かけてしまってというケースも多いようです。
家族で取り合いになったりモノ化しすぎてしまうと、「だれそれの犬」という分類になります。
この犬はお母さんのもので、この犬はお父さんのものとか娘のものとかいうこともあります。
多頭飼育で一番多い理由は、1頭ではかわいそうだから、というものでしょうか。
確かに犬は犬とのコミュニケーションを楽しむことができます。
ただ、逆に犬との関係性を作ることが難しく、犬と過ごすことや多頭での暮らしが
犬にとって負担になっていることも多々あるのも事実です。
この意味では、非社会的動物である猫の方が、社会的関係を築く必要がなく
室内を分離して住み分けることがうまくいけば、多頭飼育でも問題はおきにくいのかもしれません。
犬は社会的な動物です。人とも社会的な関係を築きます。
犬という同種であれば、一層社会的な関係を築くのか否やということになります。
多頭飼育で関係性がうまくいっていないお知らせは、犬のいろいろな行動によって表現されます。
わかりやすいのは排泄行動です。
いままでうまくいっていたトイレ場での排泄ができなくなり失敗が多くなる。
新しく迎えた犬がなかなかトイレが上手にできない。
食糞をする。などです。
散歩中の行動にも変化があわられることがあります。
多頭になったことで2頭での散歩をするようになるかもしれません。
先住犬が散歩に行きたがらない、歩きたがらないという行動もそのひとつです。
犬と犬が直接的に関わっている行動はもっとも分かりやすいものです。
興奮して2頭が走り回る。プロレスをするように歯をあてあって興奮している。
どちらもくり返し腹部をみせあって興奮する。
など、犬と犬の直接的なコミュニケーションにはいろいろなパターンがありますが
興奮が激しいと感じられたり、歯を相手に当てる行動が多くなるようでしたら注意が必要です。
よく先住犬をたてればいいというような対処法の紹介があります。
先住犬に先にゴハンを与えるとか、オヤツを先に与えるとかですね。
序列を教えるためにこのようにすればいいというアドバイスなのかもしれませんが、
犬は本質がわかるためこのようなことで関係性がごまかされることあはりません。
多頭飼育でよく読み違える、2頭の興奮を遊び行動だと思ってしまうこと。
ケンカ行動にまで発展すれば飼い主も気づきやすいのでしょうが、
興奮行動は喜びと受け取られやすいため、気づきも遅くなってしまいます。
子犬化している犬たちは実際の攻撃をせずに、興奮行動をすることで回避し続けることにもなりかねません。
同じテリトリーの中にいる動物を攻撃することは、自分のテリトリーを奪われる行為にもつながるからです。
来客が入ってくるときと出るときには吠えるのに、室内に居座ると吠えなくなるのも同じ状況です。
今まで問題がないと思っていた行動を、問題があるかもと思ってみることには勇気がいります。
たとえば病気ではないと思っていたことが、もしかしたら病気かもと思ってしまうと
不安になってしまい、どうしたらいいのか思い悩みますよね。
病気の場合には病院にいけばいいというのが解決への道になるので、気持ちも楽になります。
ところが、犬の行動療法は、動物病院ほど一般的ではありません。
知ってしまったり、気づきの兆候があってどきどきしてしまうかもしれません。
それでも、犬の行動から得られる気づきを大切にされることをお勧めします。
気づいて知ることは、犬と犬の関係ばかりでなく、犬と人の関わりをも大きく変えてしまいます。
それは、新しい関係作りへの一歩といえます。
気づいたときは扉が開いたとき、勇気を出して一歩を踏み出してください。