グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

犬のゴハンはいつ与えるのか?

犬のトレーニングやしつけ方についての情報があふれすぎています。
本でもあちこちから集めたような雑用知識本いわゆるハウツー本として出版されている内容の曖昧なものもある上に、ネットの情報となると個人の価値観や自分はこうやったという、不安定な情報が拡散されています。

たとえば「犬のゴハンは人の後に与えなければいけない。」と思って取り入れている飼い主さんが結構いるようです。

「犬のゴハンは私たちの食事の後に与えるようにしています。」ときっぱりいわれます。
「なぜ、人が食事を済ませなければ犬に与えられないと思うのですか?」と尋ねます。
すると、飼い主さんはたいてい「え?」という感じになります。
それもそうですね。今まで信じていたことが、違うのかもしれないと言われる瞬間なのでビックリするでしょう。

実際には人が先に食事を済ませる必要がある理由を応えられない方も多いのです。ネットに「人が先に食べるほうがいいと書いてあった」といわれる曖昧な答えです。ただ、ネットに書いてあるとおりにやってしまうというのは、とても怖いことだと思います。食事をどちらが先に食べるかというのは、犬には全く影響を与えません。そのため、この順番を守っていたとしても犬に良い影響もでなければ、悪い影響も出ないということでしょう。ですが内容によっては、犬との関係性や犬の成長と発達に強く影響を残してしまうこともあります。良かれと思ってやってきたことなので、できるだけ間違いは避けたいものです。

本に書いてあったという理由の中には、オオカミは強い方が先に食べてから弱いものが食べるからというものがありました。似たような状態を人の生活で説明するなら、武家社会でお父さんの食べるものには少し特別なものが添えられているということでしょうか。実際、父親よりも下のものが先に食事に手をつけることはありません。

人と犬の食に関する影響はこれとは全く違うものです。大切なのは、犬は人が与えたものを食べるという事実です。
人が与えないと食べられないのです。勝手に冷蔵庫から食べ物を出してきて、他の家族よりも先に食事を済ませてしまう子供とは違います。みなで協力して行った狩によって獲物を得たオオカミの群れでもありません。まず、人が与えるという行為だけで十分に犬に優先していることを理解してあげましょう。

注意して欲しいのは、食べ物の受け取り方のほうです。
食べ物を与えられなければ受け取れないのは子オオカミも同じです。親オオカミが吐き戻しをして子オオカミに食べ物を与える行動は、子オオカミが親オオカミの口をなめる行動によって引き出されておきる行動です。幼少動物が権利をもつ「要求行動」です。

食べ物の受け取り方の間違いのひとつは、犬の要求行動によって飼い主が犬に食べ物を与えているということです。
「人が先に食べてから犬にゴハンを与えています。」という飼い主さんが、その食事の前に犬が吠えたり飛び跳ねたりする犬の要求行動に応えるように犬にゴハンを与えています。これでは犬は自分と飼い主との関係性を、犬が要求し飼い主がそれに応じる存在だと認識してしまいます。

ゴハンの順番はあまりというより、全く関係性には影響をしません。
お腹を空かせている犬のために早く食事を済ませる必要も全くありませんので、安心して人より先に犬にゴハンを与えてください。

犬のしつけ方については、本やネットの情報はあまりにも曖昧です。
犬のしつけは「いれる」ものではありません。
犬のしつけは「犬が必要な行動を自らできるように、飼い主が環境を整え学ぶチャンスを与える。」ということです。
飼い主が環境を整え犬をサポートしていることを犬は理解します。その過程で作り上げられたもののも人と犬の関係性に影響します。

犬のしつけはハウツーではない。
ぜひ、犬との関係作りを楽しんでください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと

犬の遠吠えを聞いたことがありますか?

預かりクラス利用中の犬が、昼に放送される音楽にあわせて遠吠えをしたので、久しぶりに生遠吠えをききました。七山の里山の地域の犬の中には、昼のこの音楽にあわせて遠吠えをする犬がいましたが、最近引っ越してしまい、しばらく聞くことがありませんでした。
しかも、預かりクラス利用中の犬もなんどもこの音をここで聞いたはずなのに、今までは一度も遠吠えをしたことがなかったため、予期せぬことでビックリしました。

予期せぬことというのは、すべての犬が遠吠えをするわけではないからです。
遠吠えをしない犬は、生涯この吠え方をすることはありません。
そのため、あれ君も遠吠えするのね~と思ったのです。

遠吠えを聞いたことがありますか?
遠吠えとは、「うぉーーーーーん、うぉーーーーん」という非常に長くて少し高めの音を出し続ける音のコミュニケーションです。イヌ科動物の中でもっとも鮮明にこのコミュニケーションの機能を発揮しているのはオオカミです。オオカミに続いてイヌです。

イヌといっても、私たちの生活する環境の中に存在するのは家イヌ、つまり「犬」なので、その犬たちはオオカミのような見事な遠吠えをすることはありません。そして、その遠吠えは、コミュニケーションというよりも、遠吠えの際に出される音のピッチや長さが同じようなものであればその音に「共鳴」というシステムで反応してしまいます。そのためこのとき犬に「遠吠えでコミュニケーションをとる意志」はありません。この共鳴システムですが、他の音のコミュニケーションでは使われないのに、遠吠えのときだけは共鳴して行動が出るのは不思議なことです。

とても気に入っている写真があります。オオカミのグループが円陣を組み、互いに顔を向け合って立ったまま顔をあげて遠吠えをしているというものです。私が今までに見たオオカミの遠吠えはほとんどが立ったままで行うというものでした。犬は座ったまま、伏せたままでも遠吠えをしているのを見たことがあります。オオカミと犬では遠吠えの中に含まれる意味合いが異なるでしょう。

声質もずい分違います。家犬はオオカミのように高低のある音を使いこなせていないこともあります。もしくは顔や形の変形により、そもそも音がきちんと出ないようになってきている傾向が強いです。オオカミの遠吠えのCDをたまに聴くことがありますが、オルゴールの音への共鳴反応とは違い、静寂の中にひびく豊かな音として心に染み入ります。

救急車やオルゴール、車の宣伝の音などで反応してしまう犬の遠吠え。
意味のないコミュニケーションだとしても、動物として生きてきた時代の名残を感じます。

今回遠吠えした犬くんも、「うぉーー」あれ、なんで声が出る、という感じで途中でやめてしまい、再び「うぉーーー」あれれ、自分の意志とはちがって声が出るよ、という感じでいちいち戸惑うように首をかしげながらやめようとしているけど止められないという表情と行動がとても可愛らしく感じました。そしてそれを見ている私に対して、なにやら恥ずかしそうに顔を背けてなかったことにしようとしている落ち着かせ行動も見逃せません。そうね。犬がイヌであることを忘れようとしても、その中に流れる血がイヌであることを思い出そうとしているのかもしれないね。

dav



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと

犬とのテントクラス開催しました:犬と山の関わりに触れる大切な時間

山肌がすっかり茶色に染まってきました。
ようやく色づいた秋が終わり冬が始まろうとしているのだと感じ、身の引き締まる思いと少しだけワクワクしてしまいます。この枯葉色のカモフラージュが大好きです。いつまで見ていても見飽きることがありません。茶色なのにいろんな茶色が混じっていて、心が落ち着きます。

色味に興味のない犬たちも、風の冷たさと北からふく新しい風の臭いをとりながら、夏とはちがってやっぱり落ち着いていくような気がするのは気のせいでしょうか。


今年最後のテントクラスを週末に開催し無事に終了しました。

毎年どのくらい寒かったかとか記憶になくなってしまいますが、12月の3週目の寒さは厳しすぎますね。昼間の暖かさにごまかされてしまい、夜の冷え込みは、芯から冷えるとはこういうことかというほどでした。今回は預かりクラスの犬もいっしょにテントに宿泊するイレギュラークラスで、犬が多いほうが暖がとれるからと少し油断もしていました。

暑い季節のときは、犬たちが自分の体温を下げるために一気に熱を体から放出させるのでテントの中が蒸してしまい、夜遅くにならないとテントの中に入りたいとは思わないほどです。ところが、寒い季節になると犬は丸まって自分の体温を温存させようとしますので、犬のそばにいても暖かさを全く感じることができません。狭いテントなので人と犬はひっついた状態で寝ているのですが、暖かいというよりは、枕にしないで、という気持ちの方が高くなります。

朝になると木々の少ない場所では地面が白くなっています。霜ですね。
歩くとジャリ、ジャリと音がしています。朝になるとうさぎやアナグマの歩いたばかりの気配に鼻を奪われてオロオロとする犬もいました。

犬とテントに泊まる時間はとても好きです。
お酒や食べ物を持ち込んで騒ぐようなキャンプには関心はありません。

自然の空間の中で犬と人が過ごすときは、いつもとは違う時間になります。なかでは場所とりやらなにやらでワイワイいいますが、テントの中では食べ物もない、テリトリーもない、お互いに対等です。テントの出入り口を人が管理しているので境界線は人の方ですね。環境の受け取りに関しては、感覚の鈍い人の方が無力です。最近の犬たちはお家っこになっていますので、動物の気配などに少し緊張しすぎる犬もいるようですね。人との関係性がしっかりしていないと、犬としての機能をしっかりと使うチャンスもなくなってしまいます。犬は尾根をいく動物。山の中で最も見晴らしの良いところを歩き、その周辺を隠れながら別の動物たちが動いている。そして人という最強の友を見つけたのだから、しっかりしようよとエールをおくります。

来年のテント解禁は4月ころでしょうか。

改名したばかりの尾歩山(おぽさん)の冬景色がこれから楽しみです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in クラスのこと, 犬のこと

22日ラジオ出演します。

ラブFMの大田こぞうさんがパーソナリティをつとめる番組「月下虫音(げっかちゅうね)」に出演する日がきまりました。

12月22日木曜日です。番組は22時~23時30分なので、その中のどこかに出演します。


今回のテーマは、大田さんとも話し合って「犬の分離不安行動について」ということになりそうです。
いつもあちこちへと話しが飛んでしまうので、あくまで予定ということでお伝えしておきます。

分離不安という言葉は、もともと幼児の発達の過程で、主に母親に対して生じる心理的状態とその状態を表現する行動をさします。
愛着をもっている人が自己とは異なる存在であることを理解し始めると同時に、離れる事に対しての不安を示し対象に対して執着するという心理的状態やその心理からくる行動や身体的な変化を含むものです。

犬のしつけの社会で、分離不安という言葉がいつ頃から使われ始めたのか記憶にありませんが、30年くらい前にはこのような言葉は用いられていなかったように思えます。犬の行動問題は「しつけが悪い」という表現で収められていたように思い返します。
犬が飼い主に執着して起きる行動を「分離不安症」として扱うようになったのは、飼い主が犬を幼児同様に扱ってしまい、いわゆる飼い主と犬の分離が十分にできていないという風に考えると、いろいろな行動が理解できやすいとは思います。幼児の状態と犬の状態を比較して説明することは、犬の心理を伝えやすいというメリットが十分にあります。

ただ、ここには落とし穴も潜んでいます。幼児の分離不安については、犬の不安状態を比較するために用いた例であって、犬が幼児と同じ状態ではないことをもっとシンプルに理解する必要があるからです。飼い主が飼い始める子犬は生後約2ヶ月齢です。それよりも早い1ヶ月半くらいの犬も中にはいるかもしれません。子犬は単独でたって歩いたり排泄行動ができる状態であり、社会的コミュニケーションが発達する時期です。人の年齢の成長と比較すると幼稚園くらいだと考えられるといいでしょう。幼児が愛着のある対象である母親に分離不安状態に陥るのはもっと低い年齢のときです。幼稚園にいきたくないと泣いてしまう幼児もいるとは思いますが、他の社会的な対象、幼児からみると他人とのコミュニケーションがとれるようになっている状態で、幼児は幼稚園に預けられています。

子犬にも社会的コミュニケーションの発達や、子犬としてのテリトリーの構築が見られる時期なのですが、ここに異種である人が介入するその介入のし方が犬の不安行動を強くしてしまう要因になっています。単に「うちのわんちゃんは私のことが大好きなの」という説明では済まされないような行動が生じています。犬の飼い主と分離されるときに生じる不安行動は、犬の年齢限らずいつでも生じる可能性があり、そしてそれは生涯続く可能性もあるのです。愛玩動物として飼われることになった犬の場合には、可愛がられる事がその目的になります。その可愛がるという行為が実際には犬の不安を高めストレス状態に追いやっているとすればどうでしょうか。

飼い主に対する執着、分離に関して犬がかかえる問題とその行動は、飼い主が冷静に見極める必要のある重要な行動です。
そんな「分離不安」というテーマでお話できればと思っています。
次回は打ち合わせ時間が短いためぶっつけトークになりそうです。
反省することは多いですが、それはそれで本音ということで、ぜひ楽しんで聴いてください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと, お知らせ

犬の臭いが気になりますか?犬の体臭について

七山校で犬のお預かりクラスをしているときに気づく事。
お預かり日数が3日目くらいになると、犬の体臭がかなりなくなっていることです。

環境の変化に敏感な犬の場合には、1日で毛質がずい分と変わってしまいます。すごく柔らかくなるのです。臭いも減ってきます。臭いに関しては、当初は「自分の鼻が臭いになれたのかな。」と思っていましたが、何どもお預かりをくり返していくうちに、やはり犬の体臭が変化しているのだという確信にいたりました。毛質の柔らかさといった変化については、飾り毛の犬はわかりにくいのですが、それでもあきらかに毛が柔らかくなっています。

犬の体臭は一番が犬の状態の臭いです。犬は自分の状態を臭いとして表現することで、自分が今どのような状態かを周囲に知らせることができます。ストレスのレベルが上がってくると、体内ではその状態を臭いとして周囲に知らせることになります。ストレスがあまりない環境だと、臭いを出す必要がなくなります。そのため体臭はかなり減ってきます。シャンプーやアロマで臭いつけをする必要はありません。

都市環境で犬の体臭が強く感じられるのは、空気の汚れや排気ガスが犬の毛についてしまうということもありますが、同時にその汚れた環境に犬がストレス値を上昇させていく結果なのです。

動物は体臭が臭いと思われているでしょうか。
動物にとって体が臭いということは大変危険なことです。動物はいつも身を隠す必要があります。気配を隠しても臭いがプンプンと漂っていれば、そこにいることがばれてしまいますね。
野生動物が臭いと思われているのは、人に捕獲されたときに危険信号のストレス臭を一気にはなつためです。動物園が臭いのは、まさにそこにいる動物達がストレスをかかえて飼育されているからです。最近は動物園には行っていませんが、動物園は今でも臭いのでしょうか。

どんな動物も狭い場所でつなぎっぱなしにすればストレスはかかります。また狭い場所で隠れられないような柵の中に入れられてしまえば、それも大変なストレスです。犬も同じです。屋外飼育であれ、室内飼育であれ、犬はストレスを感じると臭いは強くなります。臭いは犬のメッセージです。だからそれをシャンプーやアロマスプレーで消さないで欲しいのです。

子犬の飼い主さんから「まだシャンプーに連れていっていないんですけど…。もう連れていってもいいんですか?」といわれました。
「臭いが気になりますか?」と尋ねると、
「いや、そういうわけではないのですが、連れて行かなくてもいいんですか?」というお答え。

犬をシャンプーしなければいけないという思い込みでしょうか。
少なくとも自然や毛や多少の飾り毛の犬で毛が抜ける普通の犬は、体臭が気にならない限りシャンプーの必要はありません。都市環境でほこりや排気ガスで毛が汚れてしまうため、体を毎日拭いてあげるくらいの配慮をしてあげるといいでしょう。

皮膚は保湿が一番大切です。人だったら強い石けんで洗って、そのあとクリームを塗って保湿ということなので、犬にも同じことをしようと考えてしまうのかもしれません。

動物には動物のもっている体の機能というものがあり、できるだけその機能が発達できるように支援するのは動物を飼育している人、犬と暮らしている人つまり飼い主の役割です。シャンプーしすぎると犬の皮膚の機能性は落ちてしまいます。健康で楽しく愉快な犬は、体臭はほとんどありません。シャンプーをしなくても、犬の背中に顔をくっつけて(もちろん犬に了解をとってください)思いっきり臭いをかいで臭くないと感じるのでしたら、どうぞ安心してください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in クラスのこと, 犬のこと, オポのこと

北風に強い元気な犬たち

福岡でも少しだけ冷たい風を感じるようになってきました。

山の冬をもう9回くらい越してきたので、博多の北風がそよ風くらいにしか感じられなくなっているようです。

北風が吹くときに犬の様子を見ながらいつも関心をすることがあります。

風が真っ向から吹いてくると、犬は胸を開き顔をまっすぐに上げて風に立ち向かうように進みます。

人は肩をすくめたり、腕を組んだり、頭を下げたりしながら歩く姿を多くみかけます。
そういうわたしも、つい顔を下げて肩をすくめがちになってしまいます。

犬がなぜこのように強い姿勢を取るのかとても不思議でした。
個体差が多く生じる行動なら、多くの犬が北風に立ち向かうようにして歩いたりはしないでしょう。
教えられてもいないことを、多くの犬が同じようにするには、動物として意味のある行動だと感じました。

自然の中で暮らしてみて知ったことは、動物は自然の力に負けてしまっては終わりだということではないだろうかということです。自然の強い力に対して、立ち向かうか潔く隠れるか、その選択は大変早いもののように思えるのです。

強い日差しからは穴をほったり日陰を捜して隠れ、北風に対しては立ち向かって歩き続ける。
しかし、雪の吹雪の日となると移動することはせずに、やはり静に隠れている。
自然に対する態度はわりとはっきりとしたものであるのではないでしょうか。

だから、犬が北風をまっこうから受けても胸を向けて歩いている姿を見ると、自分もそうありたいと背筋を伸ばしてしまうものです。都心のビル風も肌あたりは強いですが、いくつもの山を越えてきた山の中の北風は本当に力強くその冷たさは肌身に沁みます。

今年はどこまでがんばれるか、今のところ北風には負けそうにありません。
吹雪が来るまであと1ヶ月。胸を張って歩いている犬の姿をしばらくはたくさん見たいものです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと

犬の恐怖心、不安を考える

それはひと月ほど前に起きました。

庭に続く山の笹林の手入れをしていたときです。
その日は小雨がふっておりコンディションが悪かったのですが、時間がとれなかったため、今日のうちにやってしまえと思ったのです。
少し前に切り倒したばかりの笹が横倒しに倒れており、その上の踏みながら歩かなければいけません。倒れた笹はまだ若いために踏みつけることもできず、笹の重なりがばねのようになってしまい、とても歩きにくく、濡れてすべりやすくなっていました。
夕方で作業を早く終わらせたいという気持ちのあせりもありました。それで、うっかりと脚を滑らせて後ろ向きに倒れたのです。背中が倒れている場所は平地ではなく下り坂なので90度倒れるよりもっと大きく、180度に近いほど後ろに倒れることになりました。

不思議なことはこの瞬間に起こりました。

あ、倒れると思ってから背中が地面に着地するまでの間が、スローモーションだったのです。
倒れてしまった瞬間に普通の速度に戻っていました。
倒れて怪我をしなくてよかったと思うよりももっと前に「今、見たものがスローモーションに見えたのはなぜか」と思ってしまったのを鮮明に覚えています。

映画の事故などの危険なシーンを直前にしたときに映像がスローモーションになるのはそのように見た人がいるからなのだと、今さらですが自分が体験してはじめて真実であることがわかったのです。

ネットではありますが少しだけ調べてみました。今年千葉大学が「危険なときには視覚能力が高まり事態がスローモーションのように感じる」という研究結果を出していることがわかりました。科学的に説明されればさらに納得がいくのでしょうが、実際にその体験をしたことがある人たちが証言すれば、それも信憑性のうちといえるのでしょう。

生徒さんにこの体験を話したところ「私の友人も遊具から落ちる瞬間にスローモーションになったといっている」という話を聞きました。同じような体験をした人がいて安心すると同時に、こうした不思議な動物の能力はきっと、いや確実に犬に備わっているに違いないと思えたのです。

なぜかというと、危険を感じる能力は動物の方が人よりも圧倒的に高いからです。それは動物が脅かされているという意味ではありません。動物は危険を感じたらそれに対してみずから行動する力を持っているという意味です。人は自律して行動しているようで、意外にそうではありません。自立や独立はしているのだと思いますが、いざというときに必要に体が動く人はそれほど多くないと思うのです。人はあらゆる道具と科学の力を駆使して安全を獲得したと思っているため、危険に対して鈍感になりすぎていると思うのです。

犬も同じかもしれません。危険なものを危険だと犬が認識してしまうと、人は犬を飼うことが難しくなります。犬を人のそばでたやすく飼う方法として、危険なものを見せないごまかす、認知力の低い動物にしてしまうことで危険を感じにくい自律しない犬をつくっているのかもしれないのです。周囲の環境を把握するよりも、ごほうびを選ぶ行動を取るなどです。

あのゆっくりとたおれる瞬間、何かをつかまなければと思ったのですが、つかめるものが周りになく、そのまま倒れてしまいました。唯一できたのは、背中が着地したとき頭を手前に引き上げて衝撃と怪我を和らげる事ぐらいでした。でもそれすらも、スローモーションになっていなければできなかったのかもしれません。

オポのお墓のすぐ近くの出来事でした。


OLYMPUS DIGITAL CAMERA



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 自然のこと

犬の預かりサービス(ドッグホテル)始めました。

では、飼い主さんが外泊や出張で不在のときのお手伝いとして、犬の預かりをしています。いわゆるドッグホテルというものです。

「ホテル」というと、上げ膳据え膳お客様としてお迎えしてビップな気分を満喫するというイメージがありますが、グッドボーイハートのお預かりはそんなにゴージャスな感じではありません。どちらかというと「家庭環境でお過ごしください。そして飼い主さんの代わりにお世話するのは先生ですよ。」という預かりサービスです。

預かりは原則として1頭もしくは同居の犬複数です。家庭環境と同じようにといっても、環境が変わると犬はテリトリーを失い不安定になります。室内犬の場合には、いつも使っているクレートやソフトケイジを持って来ていただき、マイハウスを利用しながら少しずつテリトリーを安定させていくように練習していきます。預かりサービスというよりも、結果として預かりクラスという内容になります。

預かりをするといろんなことがはっきりと見えることがあります。カウンセリングやプライベートクラスのときに犬の行動について飼い主さんにお尋ねして、犬の状態を把握していきますが、どうもはっきりしないということもよくあります。その行動を犬がクラスのときにしないので、ビデオを撮って見せていただくこともありますが、ビデオではその時点の環境しか移りません。前後や時間差で犬の行動に影響を与えていることなど、すべては記録できません。

預かりクラスに来ている犬の中には、異なる環境におかれることで安定を失いより管理をする必要が生じてくる場合もあります。当然、一旦は管理を高める必要があります。年齢が若いと環境への順応性も高く、すぐに安定をはかろうとすることもあります。安定度が増してくると犬は日々生活の中で行っている行動をするようになります。事前に飼い主さんに、問題のある行動を聞き出しておけば、それを未然に防ぐための方法も取り入れながら預かりをします。

たとえば、成長過程で排泄を庭でさせようとしているけど、室内で排泄をしてしまうことがあるという問題をかかえていたとしましょう。「ちょっと目をはなしたすきに室内でしてしまうのです。人がいるときにはちゃんと庭にいって排泄ができるのですが…。」といった状態だとします。こういうケースでは、庭で排泄をさせたいという目標があるのですから、それを達成するように管理していきます。かといって、クレートにいれる時間を長くするのでは家庭勉強にはなりません。犬が何を受け入れれば排泄の失敗を超えることができるのかを把握しながら、環境管理を行っていきます。「預かり中排泄は全て庭でしました。室内ではしていませんよ。」というとビックリされます。ちょっとしたことなのだけど、犬の行動には常に犬と人の関係性が反映されてしまうのは、結局は大きな違いになります。

預かりをすることで犬の性質や状態がよりよくわかるため、必ず飼い主さんに知りえたことについて報告しています。預かりクラスといっても、「預けてトレーニングしてもらう」クラスではありませんので、そこは間違えないでください。トレーナーが教えてオスワリやフセやトイレのしつけができるようになったとしても、それは犬と飼い主さんの関係には影響がないどころか、逆に関係作りを難しくすることになってしまいます。お預かりして新しい合図を教えたり、芸を覚えさせたりすることはありません。今練習していることをそのまま取り入れるのですが、ひとステップ上がるかもしれないという程度のものです。飼い主さんと犬の関係に踏み込むようなことはしません。

預かりクラスの目的は、犬をできるだけストレスなく家庭環境で安全に預かること、その時間で知りえた犬のことをお伝えすること、そして、犬を知人や友人に預ける必要があるときには、その前練習としても利用していただくことです。預かりは七山校で行っています。わずか1、2日でも自然環境の中で犬たちにリラックスして過ごして欲しいからです。

預かりサービス(クラス)はグッドボーイハート生であればどなたでも大丈夫です。まだ、利用したことがないという方、ぜひチャレンジしてみてください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in クラスのこと, 犬のこと

犬の体型に影響を与える性格とは

数日前のブログでご紹介した床面のことと、昨日の伏せる動作についてにつづいて、体型と気質の関係についてお話していきます。

床面の素材で犬の体に負担がかかっていることを説明しました。つるつるとすべる素材の床面では指を開いて立つことや歩くことができずに脚そのものに負担がかかり、結果体全体が硬直して背中が丸くなってきます。つまり、体型というのが変わってきてしまうのです。

人の背中がまっすぐに伸びているように、犬の背中もまっすぐに水平になっているのが健康な背中です。
背中が丸くなる体型は、お腹が引っ込むような体型ですね。そして尾が下がるのですが、この体型で尾を上げようとするため丸い背中はもっと丸くなっていきます。お腹が上に上がるというのは、ちょうど肋骨の一番下部分が少し上がるということです。この体型は、犬が不安を抱えているときに力の入る部分です。つくりは違うものの人も不安をかかえるとこの部分に力が入って横隔膜全体が上に上がってしまうらしいです。

不安を抱えている犬は日常的な行動に不安行動の表現がみられます。たとえば、小さな物音で吠える
、来客に吠えたりとびついたり興奮する、散歩中のリードのひっぱりや他のストレス性行動がみられることもあります。他にも、室内でとびつき行動が多かったり飼い主の膝の上にのりたがる、飼い主の後ろをついて歩くなどはその一例です。

たとえば不安定な床面が犬に影響を与えているとしたらどうでしょうか。不安を抱えやすい性質をもつ犬が不安定な床面で過ごすことでその不安が上昇しやすい傾向が高まったことで、日常的に不安行動が増えているということも十分にあります。そして、その不安を表現するように背中が曲がっているという体型をしています。

自分におきかえて考えてみても、自分が不安を抱きやすいかどうかを冷静に判断することは難しいことです。長い間、習慣化した考え方や感覚を持ち続けているのですから「わたしにとってはこれが普通で特に違和感を感じない」状態となってしまうからです。ですが、姿勢は外側からでも見てとることができるし、なにより自分でも違和感を抱きます。腕が疲れやすい、腰が痛い、肩が張るなどの身体的不具合がでることもあるでしょう。そして姿勢は、人の気分を左右してしまうことがあります。体と心はつながっているということです。

犬の行動をすべて犬の性質だと思ってしまうのは違います。犬のストレス性行動は犬の性質ではありません。犬には不安を抱きやすいという性質はあっても、不安症という性質はないのです。それは心や脳の病気です。

犬の中には行動表現を抑え始める犬もいます。飼い主の反応に敏感な犬は不安を抱えても行動を起こさずにじっとしています。また、社会的な関係となる対象が身近にいない場合でも、犬は不安行動を表現しません。不安行動とは社会的に伝達するメッセージでもあるからです。メッセージを読み取りにくいそんな犬でも、その犬の体型をみればその不安や緊張を見て取ることができます。
純血種だからこんな体型なのだと思われるかもしれません。純血種として受け継いだ体型の中には性質も含まれています。人が繁殖した犬について深く理解し考えることは人の責任だと思います。

犬の体型や行動を見て犬が不安を感じやすい傾向があると判断されたら、まず身近な環境から整えてください。千里の道も一歩からといいます。どんな小さなことも無駄にはなりません。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと

犬の「伏せ」トレーニングの注意点

犬が4つ脚で立っているところをイメージしてください。
つぎに、その姿勢から犬が伏せる姿をイメージしてください。

さて、あなたのイメージした犬はどのような体勢で伏せたでしょうか。

イメージ1 立っている状態から座り、座ったあとに前脚を伸ばして伏せる。

イメージ2 立っている状態から前脚をさげてお辞儀のようなポーズをし、そのあと後ろ脚を折りたたんで座る。

イメージ3 立っている状態から4つの脚を同時にたたみこむように地面に水平に腹部をつけながら伏せる。

イメージ4 立っている状態から後ろ脚を崩すようにしてすわったあと、腹部を床につけて伏せる。

イメージ5 立っている状態からクッションなどに倒れこむようにしてズドンと伏せる。

他にも何か違う形をイメージされたかもしれませんがいかがですか?
ここで取り上げたい犬の動作とは、犬が自分から伏せたときの行動についてです。人が合図や号令をかけてそれに応じて伏せるときではありません。

普段は犬が伏せる行動を、号令でさせる場合にはほとんどの方がはじめにオスワリをさせて、その後にフセの合図を出すことが多いようです。フセを完全に覚えてしまえばすぐにフセをするようになりますが、その際にも、犬は一旦座ってその後伏せるという、イメージ1の動作でフセの合図に反応することが多いです。犬が座る動作や伏せる動作をするのは、人に合図されたときだけではありません。犬は自律的に伏せるときはこのような体の使い方をしません。

犬は自らの必要性に応じて座ったり伏せたりすることがあるのです。伏せる行動をコミュニケーションとして、また一定の目的を果たすためにすることがあるのです。

犬が伏せるとき、最も多いのは休むときです。犬に落ち着ける休むスペースがある場合、たとえばベッドやクレートなどのやわらかいところへいきそこに伏せます。イメージ5のようにズドンと腰を落とすこともあるし、一旦後ろ脚を横に曲げるようにしてゆっくりと伏せる場合もあるでしょう。ズトンと腰を落としてしまうのは、老犬になって筋力が落ちてしまった場合や、成長過程で背骨が変形してしまい背骨が湾曲したようになっている場合です。背骨の動きが硬いためそんな伏せ方になります。

他に、犬が伏せる行動は服従行動でみることができます。お辞儀のポーズのようにしたあと伏せることが多いでしょう。数ヶ月の子犬が成犬の横に来て、犬が通り過ぎるときや近づいてきたときに伏せをして顎も床につけていることがあります。きちんと服従姿勢になるときには顎を床につけ尾も一旦とまります。土下座でいったら頭を地面につけているような感じでしょうか。お殿様に「ハハー」とひれ伏す姿勢です。服従姿勢に近いけれど少し違う体制のことがあります。伏せのあと飛び上がろうとするときには顔を上に向けています。そのままジャンプして飛びついたりすることがあります。伏せの動作にも次の行動にうつる要素が入るため体重の安定度で気持ちの動きも測れるというわけです。

他には、隠れるときに伏せの動作をします。わずかな草むらのなかに伏せをして身を隠している犬を見ることがあります。このときはゆっくりと四肢をたたみこむように音もなく伏せて相手から気配を消します。たまに散歩中にこの伏せの体勢をとって相手が通り過ぎるのを待つ犬がいます。ところが草むらがありませんからすぐに見つかってしまいます。伏せている犬に対して顔を背けて通過すればその犬は伏せたままでしょう。伏せた犬をちょっとでも見てしまうと、見つかったことになり跳びかかってきたり作戦をかえます。
他の場面でも隠れるときに伏せる行動を使うときには、この四肢を折りたたむゆっくり伏せるが王道のようです。

四肢をたたむようにゆっくりと伏せるためには背中がまっすぐでないとバランスが悪いのです。
背中が丸くなっていると前脚を二つおりにするようにして伏せてしまうことがあります。後ろ脚が横に開いたり、たたれずに後ろに伸びきってしまう場合にも背骨の使い方がうまくいっていないということです。
純血種の繁殖の過程で、犬の体型にいろいろな不具合をきたしています。人が改良したといわれていますが、純血種は人為的な繁殖であり犬のための繁殖ではありません。犬の体型はくずれてしまい自然な動作も崩れています。

自律して伏せるという動作には、犬が人から強化された行動は入りません。たとえば、伏せるとオヤツがもらえるということを期待したり要求するために伏せるという行動をするときには、自律した行動ではありません。それは人が食べ物によって強化した行動ということです。自律性はごほうびにささえられないのです。バランスのとれた体型の自律した犬の伏せる動作はとてもきれいなものです。犬という動物が、その美しい姿を人の繁殖によって失っていくというのも悲しい気がします。

また、先日ブログでご紹介したようにすべる床面が体の動きに負担をかけています。いつもベッドの倒れこむように伏せている犬は犬の背中をよく見てください。少し丸くなっていませんか?
環境を少しだけ改善するだけで、犬の体への負担はなくなります。そして、犬の体のつくりは犬の精神的な安定にも影響しているのです。

明日はこのおはなしにつなぎます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと