福岡市内とその近郊は都市化が進み始めて40年くらいはたとうとしているのではないでしょうか。小学校のときに博多区に住んでいましたが、昭和50年くらいに自宅の前の小さな道路が砂利道からアスファルトに変わり始めたころから、博多区も一気に都市化が進んでいった記憶があります。
佐賀県唐津市でも最近はスーパーが大きくなったり、大型のショッピングモールの駐車場もこの10年でずい分混み合うようになったなと感じていて、福岡には及びませんが都市化が少しだけ進んでいるのではないかと感じさせます。
都市計画とは少し違うでしょうが、住宅地のつくり方は時代にあわせて少しずつ変化してきているようです。ご自宅を訪問する地域によって家の使い方が違うなと感じるのです。バブルの時期に立てられた家の多くは、庭がほとんどなくて近隣の家とも接近しており、家の中はとても広くつくられている家が多いようです。環境とか自然とかアウトドアといった感覚よりも、室内を広くとって人を招いたり部屋の中で楽しみたいという間取りのようです。
最近では、庭や緑などの自然環境を家の一部にとりこもうとするデザインが多いのではないでしょうか。遠出よりも家の庭で休日をゆっくりすごしたり、自然環境を身近に感じていたいという基本的な欲求が復活したのかもしれません。近隣の家とも通りを隔てて接触面が少なくなるように配慮されているように感じます。
屋外飼育の場合には、こうした家のつくりが犬の飼育環境に直結して影響してしまいます。近隣との境界線が多く庭がほとんどない家の屋外飼育になると、犬が生活する場所は家の横のいわゆる「犬走り」といわれる通路になってしまいます。すぐとなりはとなりの家になる上に、それぞれの住宅地に圧迫がないように境界線は塀ではなく低いステンレスの柵のようなもので仕切られているだけなので、となりの人がすぐに横を通るスペースで犬が過ごさなければならないということです。
すぐ隣の家に犬がいなかったとしても、2件隣に犬がいるとすれば、風にのって犬の気配を感じることになったり互いの吠え声がとびかうかもしれません。生活圏のテリトリーの狭さは犬を落ち着かなくしてしまいます。
生活圏で犬が落ち着かなくなると、落ち着かないことを示すシグナルを表現しますのでチェックしてみてください。
キューキューと鼻をならす
円を描くように歩いている
柵の前をいったりきたりして歩く行動をする
柵に2本足立ちする行動をする
飼育場所の中にあるものをかじりはじめる
排泄を足で踏み散らかすようになる(特に便)
飼い主が犬のスペースに出ると飛びついたりマウンティングをしきたり服をかんだりする
以上は、その落ち着かないシグナルの一例です。
この落ち着かない環境を落ち着く場所にしてあげるための方法には限界があることも確かです。家の構造を変えることはできないので、庭を広くしてあげることもできません。隣の家との境界線を変えることも柵を塀に変えることも禁止されています。
それでも少しでもできることをしてあげれるなら「犬は隠れる動物」だということに基づいて考えてみます。
※過去ブログ「犬は隠れる動物」も参考にしてください。
犬が隠れるためには外用の犬舎は必須ですが、夜に犬舎の中にいれても落ち着けない犬が多いのです。自分は逃げることができないのに外での動物の気配や音だけを感じるため相当に身をひそめていなければいけません。昼間は寝る場所に使う犬舎も夜閉じ込めるために使ってしまうと犬はますます落ち着かなくなることがあります。
犬の性質にもよりますが、耳の垂れている洋犬種は屋外飼育が得意でない事が多いため、夜だけでも室内のクレートに寝せてあげるなどの方法も取り入れることもできます。あくまで犬の性質と環境によりますので、洋犬種のすべてということではありません。ここでは一例としてお話ししていますので参考までにとどめ、迷ったら専門家に相談してください。
つないだ方がいいのか、つながない方がいいのかといった問題も、犬の性質と成長の度合い、飼育場所の環境や飼い主の飼い方によって異なりますので一概にどちらがいいのかと判断することができません。自由にさせてあげたいという思いから室内も外も行き来自由にしても落ち着かなくなってしまうことがあります。
どちらにしても落ち着かなくなるときには落ち着きをなくすという行動をしますので、犬の状態を受け取ることは可能です。犬の落ち着きのない行動、たとえば、飛びついたり、マウンティングしたり、吠えたり、ものをかじったりする行動をイタズラとして罰を与えたりゴハンを抜いたりするのは全くフェアではない上に、犬を理解するせっかくのチャンスを失ってしまいます。
都市環境で屋外飼育で犬を飼うことは、工夫すること、時間をとること、そして面倒かと思える犬を管理しなければいけない作業を日常の作業と思えるまでくりかえし行うことです。
都市環境で犬を飼うのは面倒なことが多いのです。それでも犬を飼いたいと思い、そのことで得られる幸せがあるのですから、がんばるしかありません。
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熊本被災ペット支援ネットワーク
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