グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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きんきん王国に帰って行った“きんきん”は、本当の立ち位置を知っているから強いのです。

お預かり合宿クラスを終えて、犬をご自宅に送りました。

「きんきん」という犬くんです。

飼い主さんが迎えに来られたので車からきんきんを下すとなにやらキョロキョロと落ち着かない感じです。

見ている方向はこちらでもなく飼い主でもなく、少しテンションが上がったような感じです。

そこで飼い主さん曰く「今からきんきん王国に帰っていくからですね。」。

きんきん王国とは、きんきんが王様として暮らしている我が家のことのようです。

お預かり中は、どの生徒さんにもびっくりされるほどお利口さんでおとなしいきんきん。

どのくらいトレーニングしたらこんなにお利口になるんですか?とか、

この犬ちゃんはいつからトレーニングされているんですか?とか、

こんなにおとなしい犬なら飼いやすいですよね、など。

きんきんに会った人たちの大絶賛を今までに何度も耳にしました。

それもそうでしょう。

来客や他の犬がいても吠えもせずにじっと待っているきんきん。

リードを全くひっぱらずに人についてあるくきんきん。

私が「フセ」といえば50メートル先でもフセをするきんきん。

そんな完璧に人に従うことのできるきんきんですが、我が家では「俺様」状態になることがあるらしいのです。

状況によっては人に従うきんきんですから、そんなにはげしいいたずら行動やマーキングや吠えなどをするわけではありません。

それでも、ちょっと飼い主に対してカツカツと歯をあわせて音を出して挑発するような行動や、こっちを見て的な要求行動、おもちゃを投げろ的な要求行動など、自分に注目をさせるような行動を繰り返すということでした。

そんなきんきんのことを飼い主さんは、とっても可愛らしいとと思いつつも、あまりにも行き過ぎるときんきんがまた荒れてしまうという一線をキープしているようです。

子犬のころからトレーニングクラスを受講しているきんきん、強い犬たちにもまれながら打たれ強く成長しました。

きんきんは小さな我が家の群れよりも、もっと大きな世間の中での自分の立ち位置を知っています。

だから、決してきんきん王国のきんきん大王様は仮の姿であることを知っています。

問題がこじれてしまう他の犬たちは、我が家で王様状態である俺様しか知らないことです。

飼い主におだてられ、調子にのせられ、賢い、できる、えらい、と褒められまくって、たくさんのおやつをもらいながら、抱っこして、ソファに乗って生活をしていて、世間を知知らない犬が、俺が一番偉いのだと勘違いしても仕方ありませんね。

きんきん王国のきんきん大王様。

次回の合宿での再会が楽しみです。

合宿中のきんきん

Posted in 犬のこと

毎日飽きなくてシンプルな犬とのコミュニケーションが犬と飼い主の関係を作っている。

土井善晴先生の「一汁一菜」を読んで感じたこと

天井が回って見えたという私の状態に対してお気遣いのお言葉ありがとうございます。

とても元気に過ごしていて、山とシティを行ったり来たりする活動が続いています。

それでよく尋ねられるのですが「何を食べてるんですか?」という質問。

答えは「玄米ご飯とお味噌汁、あとは梅干しとかノリがあれば…」とだんだんと声が小さくなる私だったのですが、その自信のなさを克服させてくれた本に出会いました。

読んでいるのはあの料理研究家の土井善晴先生の著書「一汁一菜でよいという提案(新潮社出版)」です。

食事は基本だからこそ、毎日飽きない自然に変化するものをいただくこと。

食事のことで考えこまない、あるもの、残り物を生かして食べること。

最後まで読み進んでいくと、季節や自然と対話しながら今日の食事を作る、それが味噌汁とごはんという形になるというのですから不思議です。

 

犬との関係作りも毎日の飽きない活動の積み重ねにある

これって犬との関係作りにもつながってくるのではないかと考えながらこの本を読み進みました。

犬と共に毎日飽きずに続けられる、そして自然の中で対話しながら、季節によって変化するものって何。

そうです。やっぱり「犬との散歩」これにつきますね。

毎日、毎日。単純な犬との散歩。

でも、いっしょに歩きながら風を感じて、今日は暑いね、今日は寒いね。

今日はアジサイが咲いたね。緑がきれいだね。

シロツメクサが増えたね。タンポポが枯れたね。

鳥がよく鳴くね。空が青いね。雨が降りそうだね。

声に出して犬に話しかけなくても、心に感じている季節の移ろいを犬は違った感覚でとらえています。

昨日と同じ道、だけど何か少し違うね。

そんな毎日が、ずっとずっと繰り返されていくのです。

犬と関係を作っていくことがどのようなことなのかわからない飼い主が増えているように思えます。

難しいことや犬を楽しませることばかりを考えすぎてしまうと、基本の基本を忘れてしまいます。

今日はイタリア料理、明日はフランス料理、明後日は中華料理と、日本の主婦は食事に頭を悩ませすぎて大切なものから離れているというようなことを土井先生も書かれていました。

これは犬の飼い主にも同じようなことがいえます。

犬に特別なことをさせたい飼い主が増えているからです。

犬をドッグランに連れていきたい、幼稚園に通わせたい、フリスビーをやってみたい、トリックを教えたい…など。

ところがほとんどの飼い主は、地面をにおいながら歩く犬の後ろをただリードを長く伸ばしてついて歩いているだけです。

犬はマーキングをするために散歩に出ているのではないかと思えるような光景です。

自然を感じて生活の基本を作る犬との散歩はこんな光景ではありません。

人馬一体、散歩とはそのような息の合った活動で、しかも自然とのつながりを深める犬との暮らしの基本です。

犬との山歩き、犬とのトレッキングも、実は散歩の延長線上にあります。

犬との山歩きはイベントではありません。

普段、トレッキングクラスに使っている登山道は、私と犬のオポの散歩コースでした。

散歩とは本来楽しいものなのだということを思い出していただき、自然の中を自然を感じながら歩くことが本当の犬と人の散歩なのだということを、体感していただくためのクラスです。

ですから自然を感じることのできない街中では、犬との散歩は実現できません。

関係作りも難しくなってしまいます。

せめて都市空間に子供たちが豊かに育つ自然空間を取り戻したいものです。


土井先生は「味噌汁とごはんは手抜きではない。」といって下さいました。

今では堂々と「玄米ご飯と味噌汁食」を宣言します。

毎日の楽しみは「犬との散歩」そう言えるようになりますね。

Posted in 日々のこと, 犬のこと

犬が自分の体の異変に気付いたら行動を起こすのかそれとも…。

前回のブログ記事で、犬が自分の異変に気付いても容易には行動できないということを書きましたが、今日はこの記事に対する追伸です。

犬がくるくる回る行動は前庭疾患かそれとも興奮行動なのかを見極める。

まず、犬が自分の中の異変、たとえば自分の体がいつもと違うという異変に対して素直に反応する動物だということは犬を飼った経験のある方なら理解できます。

今日も子犬ちゃんの訪問レッスンに行ったところ、朝からクレートに入ったままで出てこないと飼い主さんが言われました。

私が入室するとすぐにクレートから出てきていつもとおりのご挨拶をしましたが、いつもよりは少し控え目です。

朝ごはんを全く食べずに、クレートの中に引きこもっていたらしいのです。

状況を伺うと、どうやら昨晩いつもより多目にガムをもらったようで、その分量からするとかなりおなかに負担がかかったのでしょう。

おなかの調子がいつもと違うと感じた子犬は、クレートである巣穴に引きこもり自分をケアする行動を選択したのです。

犬が少し具合が悪いときに巣穴であるクレートなどに入って丸くなる行動をみたことがあることもあるでしょう。

これは、犬が自分の異変に対して自分にとって必要な行動を選択したということですし、同時にその選択肢が環境の中にあったということでもあるのです。

もし、子犬が朝ごはんを食べないことに心配した飼い主が、すぐに病院へ連れて行ったり自分の膝に抱っこし続けたりしてしまえば、子犬には自分の選択肢はなくなってしまいます。

犬は人に飼われることで、自分の周辺の環境を整えることができなくなってしまいましたが、それでも自分にとって必要な行動をなんとか選択しようとしているのです。

自分の調子を整えるために必要な基本的なものは、ゆっくりと休める居場所、静かな空間、安心して隠れていられる場所、きれいな空気、そして犬なら土も欲しいですね。

オポもときどき庭の土の上に腹部を下にしてじっとしていることがありました。

そうすることが今のオポにとって必要なことなのだろうと、いつもそれを見守るようにしていました。

簡単には使えませんが、なんだか癒しを求めているような感じがしていたからです。

どんな個体も完璧ではありません。

どんな人も犬も、それぞれに弱点となる心や体を持っています。

バランスを崩したらそれをいかに早く回復させるかということが大切なのかと思います。

そのために必要な場所や時間を犬が自分で得られるのか、もし得られないとしたら犬は葛藤状態に陥ってしまうでしょう。

葛藤とはどちらへ進んだらいいのか分からないという状態のことです。

行き場を失ったエネルギーが攻撃性や常同行動を引き起こすこともあります。

犬を取り巻く社会は、人の社会が複雑になった以上に複雑化しています。

犬が異変に気付いて自律的にする行動を尊重しながら、改めて犬の選択肢が増える環境を整えていけば、以前よりは犬が生きていく環境が豊になったといえるでしょう。

一度にたくさんはできません。

まず何か一つずつからスタートです。

Posted in 犬のこと

犬がくるくる回る行動は前庭疾患かそれとも興奮行動なのかを見極める。

数日前の夜に天井が回り始めたので「あー、これはまずい」と自分に起きていることをすぐに察知しました。

回っているのは天井ではなく、回っていると誤解してうけとっている私の三半規管の方です。

おそらく疲労などのストレス状態が上がってしまい、自律神経のバランスを崩したようです。

緊急性のこのようなめまいに対する対応法は心得てはいるものの簡単に状態は回復しないため、具合の悪い状態が一晩は続きました。

犬もくるくる回る行動が出やすい前庭疾患という病気というか状態になることがあります。

多くは老犬ですが、若い犬でも見られます。

体や頭を少し傾ける状態でくるくると回りながらあるき続ける行動をします。

回る行動がでない場合でも、目がゆれるような眼振が見られたり、体が左右にふれて足元がおぼつかないような状態になっていることもあります。

しかし、前庭疾患になっていない状態でも犬はくるくると回ることがあります。

前庭疾患とは少し違うなと思う周り方は、体全体は円形を描くように回っているものの頭の傾きが見られない場合や、環境を変えると回るのを止める場合。

例えば犬が関心を示す物や声を出すと、すぐに回るのやめたときにふらつきがなくまっすぐとたったり座ったりして眼振がみられない行動。

後者のくるくる回る行動をする犬は前庭疾患ではなく、単なる興奮性のストレス行動として円形を描くように回ります。

散歩中にリードの範囲でくるくると回りながら歩く犬もいますが、この犬も前庭疾患の場合とそうでない場合に分かれます。

後者の前庭疾患という病気ではないストレス性行動のみの場合は、規則のある管理状態に置かれると回る行動は減少していきます。

経過が進むとゼロに、犬は全く回らなくなります。

いろんな犬の行動を「病気」として見過ごしてしまっていることがあるかもしれません。

当時は「病気」であったものも、どこかで別の方向に向かっていることもあります。

どんな時点でも精査が必要です。

問題の解決方法が薬物療法なのか行動療法なのか、その犬にあったことをしなければ犬はストレス性行動から解放されない、同時に病気を克服できるチャンスを失います。

さて、私のストレス性めまい行動に対する対処は以下のとおりでした。

夜寝るときに気づいためまい、吐き気、ふらつき。

まずはダンナくんに「めまいする」の連絡をいれ万が一に備える。

交感神経に傾ていると判断して胃腸をゆっくりと活動させるために熱いお茶を入れる、胃腸を少し働かせるために少しだけ甘いものを食べる。この日はいただいた黒豆があった。

体をリラックスさせるために足元にブラシをかける。気分が落ち着いたら横になって目を閉じて動かしたい方向に体を動かす。

眠れないのですがこうして自分の体が良い方向に向かっていくのを感じていくことで安心できます。

犬たちが寝ている時間に体調を整えて、朝の5時半には準備を始めなければいけません。

朝はちゃんと起き上がりめまいと吐き気は止まりました。

人間だったら初期状態なら思考で考えつつ行動できるものですが、犬はそうはいきません。

飼い犬は環境を人間に完全にゆだねているために自分で環境を変化させることが難しいからです。

犬の異変に気付いて環境を整えるのは飼い主の役割です。

そのくるくる行動、どこから解決するのか、糸口をまず見つけましょう。

トレッキングクラスでリラックスするサンタくん。

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飼い主に執着する分離不安傾向の犬たちを最後に救うのは自然環境です。

時代により変化する犬の問題行動

犬の問題行動って昔と何か変わってきてますか?

とある生徒さんに尋ねられました。

私が家庭犬のトレーニングに取り組み始めたのは2000年なので22年前。

それまでは誰もができないと思っていた集合住宅での犬の飼育が始まり始めたころのことです。

同時に特定の小型犬が流行り始めました。

小型犬といえばそれまでもシーズーやマルチーズが「お座敷犬」と呼ばれて特定の趣味の世界として飼われていましたが、小型犬のスタイルももっと違ったものとなりつつあったのです。

屋外に飼育されている犬も雑種から純血種に変わり始め、庭のある家庭でも犬を室内飼育するような犬の飼い方が広がっていきました。

室内飼育が広がると当時に犬の排泄の失敗に悩む方が増え始め、そのことでトレーニングの依頼が増えたように感じます。

質なし飼育の広がりと同時にワクチン接種が一般的になると、子犬の屋外活動が遅れてしまい社会化不足の犬たちが散歩中に吠えることになります。

散歩中にリードをひっぱったり吠えるという問題に対するトレーニング。

インターホンに吠えるという犬の行動問題に対するトレーニング。

そして飼い主にかみつくというご相談も、犬のサイズを問わずに増えてきました。

そして何よりも最も増えたのは間違いなく、飼い主に執着する分離不安行動による吠え、自傷行動、失禁、いたずら、留守番ができないなどのご相談です。

犬の問題行動の変化には、様々な犬を取り巻く変化が影響をしています。

犬の飼育環境、繁殖、流行りの犬種、飼い主の価値観、飼い主の生活スタイル、犬のしつけやトレーニングに関する情報などです。

ですから、自分の犬が飼い主に執着する分離不安行動を起こしていたとしてもそれをすべて飼い主自身の問題だとする必要はありません。

いろんな環境要因によって犬はそのようになってしまったということに過ぎないのです。

ですが、大切なのは執着という行動のパターンにはまってしまい苦しんでいる犬を救ってあげることができるのもまた飼い主の自分しかいないということを自覚してください。

どうしてこうなってしまったのだろうということに囚われるよりも、どのように改善していけば犬が楽になるのだろうかということを考えることが問題を解決します。

 

犬が飼い主に執着する行動とはどういう状態なのかを理解する。

犬の分離不安行動は犬の飼い主に対する執着行動です。

自分の犬が分離不安傾向にあるかどうかは行動チェックをすればある程度わかります。

このブログにもチェック項目がありますので確認してみてください。

犬の分離不安行動は、犬の脳が何かに執着している状態だと考えるとわかりやすいです。

脳が何かに執着するというのは、脳が快楽を追い求めている状態です。

といっても、私も脳科学者ではありませんから具体的な脳の仕組みはわかりません。

私がそう思っているのは、様々な脳科学や心理学の本を読み、犬の行動を照らし合わせながら考えた結果、今のところそうであろうと思っているということです。

快楽というのはある脳内物質(ホルモン)によって起こるらしいのですが、その快楽ホルモンもはじめは行動の意欲につながります。

何かをしよう、そして習慣化させようというホルモンですから、犬が獲物を追い続けるときなどにはこのホルモンが出ていると推測します。

しかしその活動ホルモンが過剰にですぎると興奮ホルモンとなり、何かを追い求めることでこの興奮ホルモンが出続けることになります。

快楽を追い求めることを止めない活動、それが執着です。

飼い主を追い続ける犬を見ると飼い主のことが好きだという風にも見受けられます。

しかし「好き」と「執着」には違いがあり、脳内的にも違いがあるということを理解してあげる必要があるでしょう。

見方としては犬の「興奮性」「攻撃性」が高まってきたときはすでに犬の執着はかなり高まっている危険信号なのです。

 

飼い主に執着する犬にこの行動だけはやってはいけない。

興奮しやすい犬の飼い主がやってしまいがちな間違いとして、興奮すると犬を抱っこしたり撫でたりすることです。

興奮する犬を抱き上げれば犬が落ち着く、だからすぐに犬を抱っこする飼い主がいます。

しかもほとんどのケースでは犬は小型なので、容易に抱っこできるし犬も飼い主の膝に上がりたがります。

中型犬や大型犬では犬が人の股の間に入ってきたり膝に犬の頭を乗せたり、飼い主が撫でている間中おとなしくしているようになりますがこれが依存の始まりです。

依存は共依存といって不安定な飼い主側にも一時的な落ち着きを与えてくれます。

これもまた本当の落ち着きではなく、依存という関係性の上になりたつ安定で大変もろいものです。

抱っこする飼い主、犬を撫で続ける飼い主の方もまた、快楽物質を出すようになり分離不安行動は共依存として犬と人の離れがたい距離感を作ってしまいます。

 

恐ろしい犬の執着行動を解決するためにできることのはじまりとは。

飼い主である自分のことが好きなのだと思っていた犬が、興奮しやすいとか攻撃性を見せるようになると、飼い主は何かが間違っているのかと感じるようになります。

それが排泄の失敗といった自分のテリトリー内を荒らす行動であれば飼い主はすぐに警笛を鳴らします。

犬の行動のパターンが興奮性となると、普段から興奮している犬のどこが興奮しているのかに気づかない飼い主も多いのです。

興奮性行動が屋外や環境の変化によってみられるようになると、散歩中に吠える、興奮する、旅行先で落ち着かないといった、犬と飼い主の社会生活を狭めるようになり問題に気づく飼い主もいます。

犬の行動を解決したいと思った時点からすぐに解決が進めばよいのですが、執着行動は根が深くなかなか思うように元には戻りません。

ほとんどの問題行動が子犬の脳の発達の段階から繰り返されたことなので、生後6ケ月未満に築いた飼い主との依存関係を改善するのはなかなか大変なことです。

犬を飼い主の執着から解放させるためにできるスタートは当たり前のことですが、問題の本質を見極めることです。

犬の行動全般を客観的に評価することができなければ、専門家のアドバイスを求めて下さい。

次の準備は、生活環境や飼い主の接し方、犬の分離不安行動を引き出すような要因をすべて解決することです。

これは飼い主側ができることなので、やる気があればだれでもできることです。

ただ人も習慣性の動物なので、新しい習慣を身に着けるまでに時間がかかります。

形を理解し、頭で描き、行動に移す。

トレーニングはこの繰り返しですが、まずはここからスタートします。

しかし、これだけでは不十分です。

上記のトレーニングと同時にやらなければいけないのは、犬の脳内を立て直すことです。

執着した脳からリラックスできる脳へ。

快楽を求める脳から、活動をする脳へ。

そのことを実現するためにどうしても必要な素材があります。それが「自然環境」です。

脳は全体でできています。

全体の中で自分がどのように活動するのかを考えているのが脳です。

その全体とは、犬という動物を取り巻く全体のことです。

自然環境というと大がかりな気がしますが、土があって緑があって生物がいる豊かな環境といえばいいでしょうか。

屋外の庭でも、人工芝や砂利石の庭であれば土もない草もない生物もいません。

人間ですら原始的な生活から離れてまだ間もないのに、犬という動物はほんのつい最近まで土の上で暮らしていたはだし族なのです。

分離不安状態となり様々な不安定行動をするようになった犬たちが、自然環境のここ七山に長く滞在していると自然と不安定行動がなくなっていきます。

ずっと室内で自分の手をなめている犬が、七山での預かり期間にその姿を見ることはありません。

犬の感覚が戻ってくるまでにはかなりの時間がかかりますが、犬たちの行動の変化を見てやっぱり自然しかないとなんども思い返しています。

飼い主のみなさんに自然の中で生活するという選択をしていただければ本当にうれしいのですが、もしすぐにはそうならないとしたら私が変わりに犬を自然環境に触れさせよう、それが七山のオポハウスでの犬との合宿です。

自然の猛威を回避するための毎日の草刈、笹刈、犬たちが見守る中で今日も頑張りました。

犬の分離不安行動は犬の脳の問題だということ、いっしょに考えいっしょに解決していきましょう。

犬たちの健やかな生活のために。

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犬は共に成長する飼い主を求めていると思う「犬との暮らし」コラムのご紹介。

犬との楽しい暮らしを想像して犬を迎えたけれど、予想もしていない問題に悩んでいる飼い主に最初にお伝えしたいこと。

犬の無駄吠えやかみつき、散歩ができない、留守番ができない、呼んでも帰って来ない、拾い食いをする、他の犬に吠える、落ち着きがないなどの犬の問題行動は犬が飼い主に発しているシグナルです。

犬は飼い主さんを困らせようとしてこのような問題行動を起こしているのではなく、犬の暮らしがうまくいっていない、飼い主との関係がうまくいっていない、何かが違うのではないかということを表現しているにすぎません。

犬のしつけやトレーニングというと、「問題のある犬の方を変える」方法を教えてもらうのだと思っている方がほとんどです。

しかしこれは大きな勘違いです。

変える必要があるのは、問題を起こしている犬ではなく、犬を取り巻く環境、一番は飼い主そのものです。

犬は人間でなく動物であること、動物であるからこそ自ら犬として活動することを望んでいること。

そして、犬として生まれたのなら、犬として発達して成長しようとする力が犬の命の中に吹き込まれていることを忘れてはいけません。

そんな飼い主としての成長を記された日記を、ある生徒さんが見つけて送って下さいました。

飼い主として共感できるという内容だったようで、実に正直にご自分の犬との関わりをつづってあります。

北海道に暮らしている中道智大さんという写真家兼エッセイストの方のようで、若いころはドッグトレーナーだったということで犬への思いも簡単なものではなかったでしょう。

エッセイ「犬と暮らすこと」をこちらにリンクを張らせていただきました。

興味のある方はご覧になって下さい。

犬と暮らすこと、犬との暮らしは人さまざまであって誰からもその暮らし方を否定されるものではありません。

ただ、あまりにも多様な犬とのいろんな暮らしがある中で、様々な暮らしがYouTubeなどSNSで発信されていることに翻弄されている飼い主が多いのではないでしょうか。

犬との暮らしは楽しい。

でも犬との暮らしはとても現実的な毎日の積み重ねなのです。

共に暮らし、共に学び、共に成長する。

そんな犬との関係を目指していらっしゃるなら、ぜひグッドボーイハートで共に学びましょう。

預かり合宿で自然の中で遊ぶマルクルちゃんときいろちゃん

Posted in 犬のこと

犬を落ち着かせる“”ツボ”は人と共通の身体の部位●●です。

サッカーのブラジル選手に学ぶ、喧嘩を仲裁する方法とは

サッカーのワールドカップの試合、ブラジル対日本の試合を訪問レッスン中に子供たちが観戦していました。

ブラジルの選手たちの様子がネットニュースでも上がっているのを見ましたが、私が食いついたのはブラジル選手たちのある写真です。

それは練習中にチーム内で喧嘩が始まったというニュースの写真でした。

こちらがそのニュース記事です。

リンク→ブラジル 練習中に“大ゲンカ” 日本戦先発濃厚のネイマールが仲裁、本気度の表れか?

写真の転載ができなかったのでニュース全体を転用させていただきました。

数名の選手がもみ合うように一枚の写真に写っています。

記事にあるとおり、練習が真剣化して喧嘩となり、ネイマール選手が仲裁に入っているという状態の写真です。

写真を一見してみたところ、ネイマール選手が仲裁に入っているとわかるのは、全体的な印象というわけではないのは報道記事ですから当たり前のことです。

写真では、ネイマール選手は興奮してもみ合いになている選手のある身体の一部に手を乗せていることがわかります。

首の後ろ当たりに手を乗せています。

ネイマール選手は興奮している選手を落ち着かせるための方法として首の後ろ部分に手を置いています。

もう少しいうなら、ただ触っているために置いているというよりも、少し強く圧をかけておいているのだと想像します。

なぜなら、犬の同じ場所を抑えることで犬を落ち着かせることができるからです。

犬の首の後ろの部位にアクセスすると落ち着きを取り戻す

人間の身体的な部位としてはいろんな表現がある場所ですが、犬については犬の「襟(えり)」と説明しています。

犬の首の後ろの襟部分を持つことで犬を落ち着かせることができます。

あえて襟(えり)といっているのは、襟はカラーともいいます。

首輪のことを英語ではカラーといいます。

首だと英語ではネックですが、首輪ではカラーです。

首というよりもむしろ襟といった方が首輪の用途を示しているはずなのです。

だから、犬を落ち着かせる身体の部位は襟(えり)です。

犬の襟部をもってキープする、同じことを首輪の後ろをしっかりと持つことで実現することができます。

犬を落ち着かせる方法としてレッスンの中でも取り入れています。

犬を落ち着かせるカラーを持つ方法もすぐに試さない方が良い理由

ここまで読まれて、犬の首の後ろのえり部分に手を当てると犬が落ち着けるのか、そう思って早速やろうと思うならちょっと待って下さい。

もし今あなたの犬が飼い主や人に対してかみついてくるような状態になっていたとしたら、犬のえり部分を掴もうとしたら間違いなく反撃をくらってしまいます。

犬にとって、いやすべての動物にとって、首の後ろの部位を掴まれるというのは圧倒的に相手が自分よりも優位であるということの証拠です。

全く逆のことをいうと、喧嘩や対立の関係がある場合でも、相手の襟部に対して攻撃をしかけるという方法もあるからです。

次の写真を見て下さい。

これはクラスの中で対面の練習をしているときに撮影したものです。


写真では、ミックス犬が柴犬の首の後ろの部位に自分の顎を乗せるという行動をしています。

注※ オンリードをつけて犬同士を対面させるには一定のルールが必要です。写真はクラス中に規則的に対面をさせています。日常ではリードがついているときの知らない犬との対面は避けましょう。

ミックスのオス犬は、同年齢に近いオスの柴犬に対して、牽制的に自分の強さをアピールする行動をしています。

柴犬の方も相手が近づいてきたのに対して応戦しようとする構えを見せたため、ミックスが先に首の後ろをとった形になりました。

このあとミックス犬の方から離れていきます。

完全に喧嘩を売るなら牙をあてることができるこの状況で、顎だけを当てて牽制をする。

同じ首の後ろにアクセスするといっても、これは落ち着かせ行動でないことはわかりますね。

犬の襟に対して落ち着かせを発揮するために必要なこととは

では、どうやったらネイマール選手のやったように首の後部に手を置いて落ち着かせを図ることができるのでしょうか?

落ち着けと言われている選手の立場にたって考えれば答えは簡単です。

自分の首に手を当てている人が、自分にとって尊敬すべき人であり自分よりも力があると認めた場合には、落ち着かせのコミュニケーションを受け取ることができるということです。

同じことを自分よりも弱く年齢も低い選手がやったとしても効果がないばかりか、喧嘩がエキサイトしてしまいます。

犬を落ち着かせたいと思うなら、落ち着かせ行動をする前にまず犬に対して自分の強さを伝えることの方が重要なのです。

それは、犬を叱ったりほめたりすることでも、食べ物を与えることでも、犬をたたくことでもありません。

犬に向き合って練習し、犬とともに毎日散歩にしっかりと出て朝活、夕活をして、今日も一日お疲れ様でしたと言い合えるような活力ある生活をすることが大切です。

良い上司や先輩がいれば安心して活動できる、それが犬の群れとしての安定した行動を引き出すコツです。

サッカーの試合を見る時間的余裕はありませんでしたが、サッカーを見る機会のない私でもこの写真のネイマール選手の落ち着かせ行動をみただけで、この選手がすばらしい選手であることを知ることができました。

犬と人は異なる動物ですがコミュニケーションの方法はいろんなところで似ていることもあるので不思議です。

グッドボーイハートにもネイマール選手が生まれるといいな



 

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 未分類

犬の屋外テラストイレにペットドアをつけて犬も飼い主も快適に暮らそう。

グッドボーイハートでは室内で生活する犬たちにも、屋外トイレの習慣をおすすめしています。

今回は繰り返し説明している屋外トイレの必要性と、テラストイレを快適にするペットドアの設置についてお話します。

犬にテラストイレの利用をおすすめする理由

戸建てで庭付きの家であれば、犬が庭で排泄できるように環境を整えます。

マンションなどの庭のない場合はテラスやバルコニーに犬用の排泄場所を設置していただくように指導します。

犬用のテラストイレの設置は、人側の視点にたった衛生面にもなりますが、むしろ犬の立場にたって考えた上での提案です。

犬が自分で行動できる範囲内に排泄場所が「屋外」にあることが犬の脳の構造に影響を与えるからです。

犬は自分で活動できる空間と、群れで活動できる地図=散歩、を自分の脳の中にナビとして装備しています。

「▶」この印が犬自身で、空間の中を動いている動物なのです。

その自分で活動できる一番遠い屋外空間に排泄をするのが犬の習性です。

それが庭であり、テラスであり、バルコニーです。

日本の庭のない生活事情の中では、バルコニーといっても洗濯物を干す程度のスペースしかないことも多いのですが、それでも外空間であることには間違いありません。

犬の脳内は、閉ざされた空気の空間が室内で、空気の循環の多い人のにおいが薄い空間を屋外と認識しています。

屋外空間に排泄場所があることで、犬が自分で歩いていける場所に屋外が入ります。自分のマップに屋外空間が入れば自然とそこが排泄場所になります。

もちろん、犬によってはテラスに排泄場所を設置してそこで排泄することができても、より近い別の空間に排泄をすることを好むこともあります。

散歩コースの中に排泄場所を作ると、柴犬や洋犬種の大型犬は散歩のときにしか排泄をしなくなることもあります。

犬の性質や飼い主の生活環境によって犬が何を選択するのかは様々ですが、より安定した選択を促すためにも室内トイレを取り去りテラストイレへ移行する環境整備はトレーニングの必須項目です。

テラストイレにすると犬が排泄にいく回数は数回しかありません。

室内トイレで一日7回8回と排泄にいっていた犬が、テラストイレでは3回程度になります。

排泄を我慢しているのではなく、排泄行動とはその程度のものだということです。ナチュラルな排泄行動とはむしろテラストイレの方なのです。

テラストイレで排泄をする生後6ケ月のチワワのシュートくん。



写真は子犬のころからトレーニングを受講されているチワワのシュートくんのテラストイレとテラスの遊び場です。

そもそも人工芝の上でも排泄しても構わないというスタンスで設置されましたが、ペットシーツが排泄場所で人工芝が遊び場所となっています。

テラスが温かいのでシュートくんはよくテラス遊びをしています。

おもちゃも自分でテラスにたくさん持っていきます。

テラストイレの利用を快適にする網戸用のペットドア

そのテラストイレを利用するために1日3回、テラスドアを開けてあげることが億劫なこととは思えませんが、夏場に一気に蚊が室内に張り込むことに抵抗を感じる方もいるでしょう。

その不快さを解決してくれるのがテラスの網戸用のペットドアです。

犬用のテラストイレに設置した網戸用のペットドア



トイレトレーニングが進んだ結果、ペットドアを設置されたコテツくんとテツくんの排泄場所の写真を掲載させていただきます。

室内でマーキング合戦となっていた2頭の犬くんたち、現在ではテラストイレに自分たちで行くようになり、夏場の虫対策のためにペットドアを導入されました。

これは小型犬用のペットドアです。

大型犬用のペットドアはないのですが、自作で作られた生徒さんもいます。

バルコニーに設置されたDIYのペットトイレと、排泄場所につながる人と犬が兼用するドア。



この写真はラブラドル・レトリバーのサクちゃんのテラストイレです。

テラスに抜けるところにもともとドアはなかったのですが、開いたままだと虫が入ってくるという理由でドアを自作で設置されました。

下部分はビニールが垂れ下がっており、メイちゃんドアとして利用しています。

オポも同じようなビニールのくぐりドアを作っていたので説明して、さらに素晴らしいものになりました。

人のために考えるのか、犬のために考えるのか。

犬との暮らしにまつわるいろんな整備について、人の立場にたって考えるのか、犬の立場にたって考えるのかで意見が分かれるところです。

わたしは、まず犬の立場に立って考えるところからスタートするようにしています。

なぜなら、犬の暮らしについてのことだからです。

犬の生活環境が犬の習性にあっていることが大前提だと考えるからです。

その中には思うようにいかない諸々の飼い主側の事情もあります。

そんな中で、持っている環境をうまく使いできるだけ犬の習性にあった生活環境となるように考えて工夫していく、それが飼い主としての勤めです。

犬の立場にたって考えたマンションでのテラストイレ、犬の室内の吠え対策にも必要なトレーニングです。

追伸ですが、犬のトイレトレーニングにおやつやフードなどの食べ物の使用は絶対にダメです。

犬の排泄行動は犬の習性にそって自然に引き出されるように教えましょう。

関連記事→<犬のこと>犬は境界線の上に排泄(トイレ)をする動物です。

関連記事→<犬のこと>子犬のトイレのしつけは将来にわたり犬の行動に影響を与えます

 

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クレートの熱さ対策に。ソフトクレートにするならどのサイズがおすすめですか?

移動中に車のエアコンをLO全開にする季節になりました。

訪問レッスンでご家庭の状況を見ると、エアコンをつけている家庭もあるしまだ窓を開けたままにされている家庭もあります。

家の作りや周囲の環境などで室内の温度は様々ですが、そろそろ犬の居場所を快適に保つための温度について考える時期です。

クレートトレーニング中の場合は、クレート中の温度が適温に保たれるように環境整備をお願いします。

そのひとつの方法として、ハードクレートをソフトタイプのクレートに変える方法があります。

ソフトタイプのソフトクレートは周囲はナイロンのネットで多くを覆われていて通気性が良いです。

隠れるのが目的のクレートの通気性が高すぎると犬が落ち着かなくなりますが、ソフトクレートのネット部分は網戸のように網目が細かくサークルのように穴があいているような通気はありません。

日本の網戸の仕組みはよくできたもので、網戸ひとつで安心感があります。

ソフトクレートも同じような仕組みです。

さらにソフトクレートは真四角にできているものが多く、サイズ的にもハードクレートよりも大きなものを利用できます。

以下のソフトクレートを利用している犬たちは、ハードクレートトレーニングが終了してから次のステップとして使っています。

体重11.2キロのはるちゃん。ソフトクレートLサイズ。



体重13キロの小鉄くん。クレートの奥行は70センチ。



体重6キロのシュナウザーのきいろちゃん。クレートMサイズ。



どこ犬たちもハードクレートよりソフトクレートの方がお気に入りです。

 

こんなに利点の多いソフトクレートでも、犬の状態や状況によっては使用できないこともあります。

ソフトクレート導入をおすすめしないケースは以下のとおりです。

ハードクレートでの練習を初めて間もない場合。

犬がハードクレートに入るのを嫌がる。

犬がハードクレートに入ったあとに騒ぐ。

犬がハードクレートに入ったときに戸口をカリカリする。

犬がハードクレートの戸口部分を咬む。

などハードクレート内でまだ落ち着かない行動をしているときには、ソフトクレートの導入はおすすめしません。

それでも、この夏場少しでも早くソフトクレートに変更をしたいというときには、他の生活管理も合わせて頑張っていきましょう。

ソフトクレートが犬にとって快適な居場所になるようにするのは、ただクレートに入れるだけではありません。

クレートは犬にとって最も大切な巣穴に相当するテリトリーです。

巣穴を持つということは、犬にとってとても大きなことなのです。

最初のステップをきちんと上がっていきましょう。

サーキュレーターで暑さ対策をしている13才のトイプードルちゃん。クレートトレーニングは13才からスタートしました。



関連ブログ記事→

暑い!夏場のクレート対策にはサーキュレーターが大活躍する。

<犬のこと>犬は湿気に弱い動物:この季節「湿度管理」に気をつけてください!

<おすすめのアイテム>クレートトレーニンの最後はこれで「ソフトクレートを買ってください!」

 

 

 

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ゴールデンウィーク中に飼い主のパーソナルスペースを奪った犬たちの闘争行動が止まらない。

ゴールデンウィーク明けのレッスン、犬たちにもいろんな行動の変化がありました。

お預かりクラスを体験した犬たちは、どの犬も「以前より落ち着いています。」と言われ、実際、若い犬ほど驚くほど落ち着いたなと感じる良い結果が出ていました。

ところが、ゴールデンウィークを飼い主と自宅でまったりと過ごした犬の中には、ゴールデンウィークが明けてから、吠える、噛みつく、暴れるなど荒れた行動が増えてきましたというご報告もありました。

飼い主側は「ゴールデンウィークが終わって相手をされなくなったから犬の機嫌が悪くなっている。」のだと、とても人間的な分析をされるのですがこれは少し違います。

犬の機嫌が悪いというのが、犬の精神的な状態が不安定であるという意味であればここは間違っていないのですが、犬の機嫌が悪なる理由が少しずれているようです。

結論からいうこういうことです。

ゴールデンウィーク中に飼い主のパーソナルスペースを犬に奪われたのてはいませんか?

グッドボーイハートの生徒さんたちなら、上の質問に即座にイエスor Noが答えられるはずです。

飼い主のパーソナルスペースとは、自分の個人的な領域のことです。

自分の領域とは全く知らない他人に立ち入ってほしくない身体的なスペースや距離感のことをいいます。

街を歩いているときに、横断歩道で止まっているときに、他人が自分にどのくらいまで近づくのを了解できるでしょうか?

もしくは室内で、来客が自分にどのくらいまで近づいて話すことを了解できるでしょうか?

室内での会話であれば、対面してテーブルの間分、大体60センチくらいは離れています。

横に座って話すときには、最低でも30センチくらいは離れていないと落ち着かないでしょう。

このキープしている自分の領域がパーソナルスペースです。

家族となるともっと近くなり、来客の半分くらい、隣に座って話すなら15センチくらいもあれば十分です。

でも、家族間であってもお互いの膝の上に乗ったり、肩に手をかけていたり、腕を組まれたりすると、自分のパーソナルスペースに家族という他者が侵入してくるという「形」になります。

この形ですが、飼い主と犬となるとまったくもってべったりの関係になり、ほとんどいつもくっついている状態であったり、犬はいつも飼い主の膝の上や飼い主の体のどこかに乗っているような状態になっていることがあります。

飼い主に抱っこされる犬、それって分離不安では?

この飼い主のスペースの上に乗ってくる犬は「飼い主と離れると不安=分離不安」傾向が強く、精神的にはかなり不安定な状態です。

行動としては飼い主の体の上に乗っかるだけでなく、飼い主が動くとついて歩くという行動も入ります。

トレーニングクラスを受講するご家庭の犬にもこの「分離不安傾向の犬」がとても多く、行動を改善するために「飼い主とは少し距離をとって休んだり過ごしたりすること」はレッスンの大切なルールのひとつです。

レッスン受講中の飼い主と犬はお互いのパーソナルスペースをお互いに侵さないようにしながら、適切な距離を保って過ごしていたはず…です。

しかし、ゴールデンウィーク中にその飼い主と犬のパーソナルスペースの境界線があいまいになってしまい、なぜか飼い主の膝の上や飼い主の足元、飼い主の膝の横に犬がいる時間が長くなってしまったり、犬が自分に付きまとうこと日常が戻ってきたのではないでしょうか?

外出の少ないゴールデンウィークはおうちでまったりとソファに寝転びながら体を休めて過ごした飼い主も多いことと思います。

「いつの間にか体の上に犬が乗っていたことがある」という状況になっていることもあります。

飼い主さんによっては「寝ている間じゃないんです。」といわれ、

飼い主さんの弁明では「ソファで寝ている間ではなくソファで気絶してしまうのでいつの間にか自分の体の上で犬が寝てしまうんです。」らしく、気絶しているのなら対応のしようがないのだという主張のようですが、そんなことは犬には関係ありません。

分離不安の犬は飼い主がいなくなると不安行動をします。

飼い主が安心できる我が家で無防備に休むのはあたり前のことですが、その無防備さによって飼い犬に自分のテリトリーを完全にとられてしまうなら、犬にしもべのような扱いを受けたとしても仕方ありません。

犬の方は「飼い主のテリトリーとった!」と勝利したゴールデンウィークがあけると、自分が占領しはずのテリトリーが勝手に仕事に行ってしまうのですから、何それ!と荒れてしまい、いつもはしない悪さに走ってテーブルに手をかけたり、甘噛みが復活したり、排泄を失敗して赤ちゃん行動を繰り広げるなど、飼い主さんのいう「機嫌の悪い」行動を繰り広げているだけです。

犬は、今日は特別とか、お休みの日だからいいのとか、お誕生日だから…といったイレギュラーが苦手です。

特に飼い主と犬とのスペース配分は、飼い主と犬の関係性をそのまま示したものでもあります。

だから今日も明日も明後日もいっしょ、それが一番落ち着くのです。

そして、お互いの領域を侵さない、さらに大きな領域を取り仕切るのは犬ではなくご主人である飼い主の方だということをわかるように伝えていかなければいけないのです。

道を間違えたと気づいたなら、元居た場所まで引き返せ。

帰り方がわからず迷子になりそうなら、ガイドとして私を呼んでください。

ゴールデンウィーク明けも訪問レッスンが続いています。

ガイドとして引き続き頑張ります。

オポ広場で緑に囲まれるサンタくん、はじめてのお泊りクラスで。

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