お盆に入り七山校周辺はますます涼しくなってきました。福岡佐賀方面では雨も降りました。一雨ごとに涼しくなれば、犬たちが活発になるあの秋がやってきますので、雨もまんざら悪くはありません。
このお盆の間に帰省する飼い主さんたちから離れて、七山の季節を楽しみにやってきた犬たちが数頭います。その犬たちの姿を見ながら、あることを考えました。
● お昼寝してますか?
まだ秋が深まるまでの間、どんな犬にも、そして多分人にも大切な時間といえば、お昼寝です。日中休みなく働いていらっしゃる方々には申し訳ないのですが、みなさんはお昼寝されるでしょうか?
お盆のある日、数頭の犬たちがお預かりでいっしょになることがありました。2頭は数年来のおつきあいで気のおける仲間、そのうちの1頭と子犬の方もなんどか顔を合わせて距離を保てる関係ということで、テラスや室内に犬たちをセパレートして過ごしましたがとても静かに過ごしていました。
交代で散歩や相手をしたり、草刈をいっしょに過ごしたり、それぞれにお昼のオヤツを食べたりしてまったりと過ごしていたのですが、昼過ぎの13時くらいになるとなんとなくわたしを含める全員が活動停止モードに入りました。
それぞれの場所でそれぞれに始めたお昼寝です。昼寝のポーズも時間を経て少しずつ変わってきます。立ち上がって部屋の中を歩いても犬たちの方は起きませんが、少し気配が大きくなると起きてしまうので睡眠の深さはそれほど深くないようです。犬たちのうちの一頭はおちびさんだったので、寝言を言っていました。
● 犬の昼寝の機能とはなんだろう
犬という動物をいろいろと観察していると、もしくは日々観察する飼い主さんに話しを聴いてみると、犬とひなたぼっこが切り離せないように、犬と昼寝という関係もかなり深いつながりがあるようです。確かに動物の活動時間は、陽が上っている間、陽が沈んでいく間の朝夕です。夏場は太陽が高いところにある時間が長いため、その時間は活動を停止しています。
動物は自分の内側の作用、つまり欲求に対して純粋に反応しています。人に飼われる犬ですから、飼われていることがストレスになるのですからストレスによる欲求の変化や行動の変化というのはある程度あります。その犬にかかるストレスを少し横に置いて考えると、犬の活動性は太陽や気圧によって左右される犬の中にある自律神経による調整によって行われているように感じるのです。
たとえば、太陽が出ているときは自律神経の交感神経が活発になります。交感神経は活動の神経なので、太陽がのぼっていれば活動が高くなるように思えます。しかし実際には熱帯低気圧が迫ってくるこの季節は気圧が下がるため副交感神経が活発となります。副交感神経は休息の神経なので活動が低下します。そのため、犬たちも低気圧の多い夏の季節、特に気圧の下がる日中には昼寝が多くなるという仕組みのようです。
● 睡眠の質を高めるためによいお昼寝をしよう
人は行動を情報操作によって左右され考えて決めてしまうことがほとんどです。たとえば、テレビでこれが老化防止に効果があると紹介された食品がその日のうちにはスーパーに山積みされています。つまり売れるからです。
睡眠についても同じような傾向があります。昼寝は短い方がいいとか長い方がいいとかいろいろと情報がたくさんありますね。情報によって正否を決めてからでないと行動できなくなってしまった人と違って、犬の方は自然体です(ストレスの低い犬のことです)。
自然体の犬は昼寝の時間を決めていません。好きなときに寝て好きなときに起きています。言葉を変えると体の要求に応じて寝ますし、体の要求に応じて起きています。ただ、犬が自然に寝たり起きたりしたいと思っても、周囲の環境が不安定だと動物は寝ることはできません。
犬の周りでは常に人間が活動しているわけですし、その人間が環境の安全の確保した状態で、部屋に閉じ込められているとかつながれているとか柵の中に入れられているのです。環境を飼い主などの管理人に委託しているといえばいいでしょうか。
ところが人はなかなか日中にゆっくりとすることがありません。行動は止まっていても脳内は常に活動しているのが人という動物です。妄想も含めて人の脳はなかなか止まることができません。一番できることは、自分も昼寝をしてしまうことですが、今度は人が昼寝をすると犬よりも熟睡しすぎてしまうため管理人として不十分となり、犬の方が起きてしまうことがありますね。人もいっしょにお昼寝はおすすめしますが、犬の気配ですぐに起き上がる程度のちょっと横になって浅く眠ったり起きたりするという術を身につけるといいでしょう。
実はわたしは大変長い間このタヌキ寝入り状態で過ごしてきました。犬を管理する施設で働いていたので夜でもいつも犬の気配で犬舎を確認しに行ったからです。若いからできたことですがとても疲れる仕事でした。当時は人手がなく毎日のことでした。しかしこの術は今とても役に立っています。犬たちの昼寝のときにタヌキ寝入りでうまく休息をとることができます。夜も短期間ですからこの状態で寝ています。ちょっとした犬の気配でも起き上がることができます。
夏の昼寝は犬の疲れを回復させてくれます。お留守番中には犬は十分に休めていません。たいていの犬は緊張して過ごしています。前脚や後脚をずっとなめている犬もいます。体をかき続けている犬もいます。雨の日や太陽の高い日にお出かけの予定がないなら、お昼は犬のお昼寝につきあってあげてください。今年も犬の夏が終わっていきます。あと少し体をゆっくりと休めて、活動期を迎えましょう。