グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬のしつけ方>愛犬を「抱っこ」は犬の発達を阻害する:拘束は不安症の犬を育てる(犬を抱っこしたい人は必読です!)

犬のしつけ方の方法の中で、できるだけ犬を抱っこしないようにお願いしています。


それには様々な行動学的に裏づけされている理由があります。

単純な「甘やかさないように」という程度の問題ではありません。

そのような感傷的な問題ではなく、犬の安定した成長と発達のために、
犬をできるだけ抱っこしないようにとお願いしているのです。


すべてをここで説明することはできませんが、ひとつだけお伝えします。

犬を抱っこすることは、犬を拘束することだということを忘れないでください。


そもそも、犬を抱っこして散歩をするという人の不思議な行動は、
赤ちゃんを抱っこして社会性を育てるという人の育児から発展しています。

赤ちゃんを抱っこして環境に対する適応力を高めるのは、当然のことです。
なぜなら、赤ちゃんは歩けないし、ヒトという動物は赤ちゃんを「抱く」行動をし、
そしてまた赤ちゃんも親に「つかまる」という行動を通して発達しています。

先日ブログでチンパンジーの松沢先生から学んだことを書きました。
チンパンジーの赤ちゃんは親に抱きつき、親チンパンジーは子供を抱くのです。
これは、チンパンジーとヒトという種の育児の習性です。

しかし、イヌは違うのです。
母犬は子犬を移動させる必要があるときには、首の後ろ側をくわえて運びます。
子犬が多少動けるようになって、巣穴から離れたが自分で戻ってくることができないときや、
緊急時に巣穴の移動を必要とされたときに行うものです。

赤ちゃんのように子犬を抱っこすることは、子犬の発達を助けることはなく、
むしろ子犬を拘束するという不安状態に置かせた上で環境に接触させていることになります。

拘束されて外界と接触した子犬は、社会化の発達を阻害されているばかりか、
むしろ、不安を抱きやすいという性質を育てられています。

不安を抱きやすい性質を持つ犬は、将来様々な行動の問題を生じます。
行動が問題であるばかりでなく、その犬は生涯を通して不安を感じつつ生きることになります。

良かれと思ってやったことが、全くの逆効果になるのです。


犬を抱っこすることは、犬を拘束することということ。
ぜひもう一度各自で考えていただき、犬の習性にあった健康な発育を支えましょう。

dav

Posted in 犬のこと

福岡で犬語セミナー開催しました。

福岡で平日クラスの犬語セミナーを開催しました。

いつもは参加者の多くが純血種犬と暮らす飼い主さんですが、
今日は、参加者の全員が雑種犬、いわゆるミックス犬たちと暮らす飼い主さんたちでした。

さらに、その犬たちの年齢も17歳、14歳、13歳と高齢犬たちもたくさんいました。
3頭とも若いときから知っている犬たちなので、感慨深いものがあります。

犬たちと飼い主さんが重ねてきた日々の重さがとても深いものであることと、
犬が高齢になっても、まだまだ犬のことを学ぼうとするその姿勢に頭が下がります。

犬が高齢になると、知りたいのは犬の病気のことばかりになってしまいがちです。
犬のことを知りたいというよりも、病気を探して病名を見つけて、
そしてその病気を解決するための方法ばかりに偏ってしまうことがあります。

高齢になれば、どんな犬もそれぞれにどこかに不具合は出てくるものです。
体に不具合がでなくても、脳の問題や行動の問題などいろいろと不具合は出てきます。

高齢になっても病気に焦点を当てすぎずに、
犬といっしょに過ごすお互いの時間を大切にしたいなら、
犬に対する理解について、思いを向けていかれるといいでしょう。

犬が高齢になっても、こうしたセミナーに参加される方々を見ていると
犬たちは深く愛されているのだろうと感じることができます。

動物を愛するということはどういうことか、
愛することは「理解すること」であると思うからです。

ビデオの教材になるのは、グッドボーイハートで撮影したものが中心になります。
しかし、実際には一般的な家庭の犬の日常の行動は、とても良い教材になります。
ビデオ撮影に協力してくださる方がいたら、ぜひお願いします。

月ちゃん

Posted in 日々のこと, 犬のこと

<犬の習性>犬の食性と人の食の選択、どちらが正しいのか?

秋深まり七山に戻ると思いっきり空気を吸ってリフレッシュしています。

野外活動をしていた生き物たちは息をひそめています。

とても静かで誰もいない感じが漂っています。

動物のヒトであるわたしの方は、様々な文明の利器を使って暖をとっています。
冬でも活動できるようにした人間の欲求とは、本当にすごいものだなと感動します。


プライベートトレッキングクラスに参加してくれている犬ちゃんが、
この季節に一番おいしい雑草といわれるハーブを食べていました。

その雑草はオポもよく口にしていたもので、なつかしく思い出しました。


「この草ってとっても苦いんですよ。」とわたし。

「食べたことあるんですか??」と驚く生徒さん。

オポがよく食べていたので、食べたことがあることを説明し、
そしてその場でも口にいれてむしゃむしゃと食べました。

その光景にビックリされたのか、生徒さんから質問を受けました。

「犬に食べさせる前に、全部を試食してみるタイプですか?」


一瞬その質問にとまどい、またとても可笑しくなり笑ってしまいました。

そうですね。そういう方もいらっしゃいますよね。
犬に与えるドッグフードもオヤツも全部自分が食べてから与えるという対応ですね。

この場合は全く逆の発想です。

犬が必要で食べている草だから、きっと体にいいものなんだろうと思うのです。
だから自分もその草を食べてみるのです。

犬の食性という知恵から学び、その知恵を分けてもらっているのです。

結果、その草はとても苦くてそんなには食べられないと知ることもできるし、
また、その大変苦い草を食べている犬が、単に味覚重視とも思えないのです。

よほど、自分というヒトの方が、美味しいものは口にするけど、
苦いものは避けたいという食の選択になってしまいます。

さらに、もうお腹いっぱいなはずなのに、つい食べ過ぎてしまうというのも日常ですね。


良薬は口に苦しといいますので、その苦いハーブは大変良い薬なのでしょう。
そうしたものを誰から教えられなくても選別できる犬という動物の力は恐るべきものです。

ところが、都市部ではこの選択ができません。
生き生きと生えるこれらの雑草が存在していないからです。

選択する力を発揮することができなければ、その遺伝子は死に絶えていきます。


ヒトは自分が失ってしまったものを、また犬からも奪おうとしていると感じます。

だからこそ、雑草を美味しそうに食べる犬ちゃんを見て、なんだかホッとしてしまいます。


雑草が食べられるのは11月中旬くらいまでです。

限られた季節に、どうぞ山歩きにお出かけください。


dav

Posted in 犬のこと

<山と犬>秋のお手入れ無事に進んでいます。

わずかに紅葉し始めている静かな尾歩山。

秋の深まりをみせながら、夏に騒いでいたいろんな生物たちはほとんど姿を消しています。

大きな女郎蜘蛛と蜂が最後の活動をしているくらいです。


やっと、落ち着いて山の手入れができるようになりました。

とりきれていなかった蔓を払いながら、木々が育つ環境整備の応援です。


山の手入れのときにも、犬がそばにいてくれるとなぜか安心します。

手入れに夢中になっていますから、周囲の危険を教えてくれる役割を担ってくれるからです。

そうした自分の役割に気づく犬たちは、飼い主の方をじっとみたりそばによってきたりはしません。

鎌や鋏をもって活動していますので、人のそばでは危険もあります。

犬たちは人の作業を邪魔しないように、少し離れたところで周囲の気配をとりながら、ときには山の斜面に落ちているイノシシやウサギの落し物を食べたりしながら、ゆるやかに過ごしています。


私達ヒトの方もしっかりと山の恵を拾って降りました。

dav
オポが食べていたので気づいた椎の実。
ほんのり甘くて生でもおいしくいただけます。

dav
皮も食べられるらしいあけび。
私はあまり得意ではありませんが、生徒さんがペロリと食べました。

dav
山の甘柿。
柿はたいてい渋柿で、甘柿は1本だけです。
すでに熟したものは、お手伝いしてくれた犬くんがしっかりいただきました。

熟した柿が落ちてくるのを待つのは、オポのお得意芸でした。

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山が育つと動物が暮らす場ができるのが、ただうれしいのです。

山が育つと犬たちが生き生きとなるようで、ますますうれしいのです。

七山から離れた福岡の土地にも、活力ある山の空気が届くと思えるからです。


夜に七山から福岡まで移動するときに、動物たちとの遭遇が増えました。

ウサギ、アナグマ、タヌキ、イタチなど。

秋から冬にかけて活動が活発になる野生動物たちです。

わたしたちヒトも、そしてイヌも活動期の季節といえるでしょう。


また来月も山のお手入れ行います。

Posted in 犬のこと, 自然のこと

<犬のしつけ方>犬のハウス、クレートにはカバーをつけよう!

室内で暮らす犬たちの安全確保のために、ハウストレーニングは必須科目です。

そのハウスに利用するクレートには主にハードクレートとそふとクレートがあります。

こちらがハードクレート
クレート
そしてこちらがソフトクレートです。
ネットケイジ
クレートの種類の選び方と導入の方法やその目的については
プライベートトレーニングクラスで詳しく説明しています。

犬によっては、このクレートトレーニングで大変苦戦しますので、
その手順やステップアップも犬の状態にあわせて進行します。

どのクレートにも、カバーを準備していただくようにお願いしています。

「売ってないんですか?」とよく尋ねられます。

メーカーによっては売っているものもありますが、ナイロンの案外味気ないものです。

手作りで作られるとこんなにかわいいものもできます。

dav

こんな風に、犬のためのクレートカバーを準備するだけで、結構夢が膨らみます。

犬のために、冬はキルティングで、夏はリネン生地やガーゼ生地でと…。
自分は裁縫は得意ではありませんので、誰かに「作って!」と頼むことでしょう。

最近では、通販でオーダーで作ってくださるようです。
作家さんが手作り品を販売するようなネットショップでは、
案外気軽にオーダーができるようですよ。

オリジナルで作るとかわいいものや、インテリアのイメージにあわせたものもできますね。

向かって左側の犬ちゃんが、ハードクレートに入っています。

dav
右側の犬ちゃんが、ソフトクレートに入っています。
クレートの中に休んでいるのですが、外からはほとんど見えませんね。

dav
カバーの生地はぜひ天然素材のものを使ってください。

犬は案外「違い」がわかります。





Posted in 犬のこと

<犬のしつけ方>「効果」ではなく「関係」を求めよう。

犬のしつけ方について、「効果」を問われたことがありますか?

たとえば、こんな疑問が浮かぶことがあるかもしれません。


犬に不妊手術をすることが、何か効果があるのか?

犬にマテを教えることが、何か効果があるのか?


この「効果」という言葉については、犬のしつけ方について使うことには違和感を覚えます。


「効果」という言葉の中には、望ましい結果や変化、効き目のようなものがあるのかという
飼い主さん側の期待がこめられているように感じるからです。

こういう捉え方になると、実際の犬の変化は起こりにくくなってしまいます。
なぜなら、見方が人の立場に寄り過ぎることと、結果が重要となってしまうからです。


犬のしつけ方を学ぶということは、犬を理解することを学ぶこと、犬の必要性について学ぶこと、
犬と暮らすとはどのようななのかを学ぶこと、そして犬とのより良い関係を作り上げていくこと、です。

犬のしつけ方を学んだたくさんの飼い主さんと犬たち。
結果としてより良い関係や絆を手にした方も多いことでしょう。


犬に落ち着きの変化が見られ、犬とより良い関係を築いてこられた飼い主さんには、
ある特徴があります。

結果を求めず、過程を大切にするということです。

犬の行動が変化する結果を求めずに、犬と関わるという過程、つまり時間を大切にできる飼い主さんです。


時間も労力もかけずに犬だけが落ち着いて自分に注目してくれるという結果だけを求めてしまうと
犬との大切な絆を失ってしまうかもしれません。

どの飼い主も目の前の犬のことを大切に思っているでしょう。

でも関係作りは面倒くさいと思ってはいないでしょうか。

犬は素直で純粋であるため、飼い主のそうした気持ちもすべて読み取ってしまいます。

そうした犬特有の読心術は本当にすごいなと思います。


犬と向き合うのにも時間がかかります。
そしてそれこそがとても楽しくすばらしい時間です。

大変だったことも、後で思い出せば楽しく笑える思い出ばかりになるでしょう。


犬のしつけは家庭の中で作られます。
家と庭、その周辺で過ごす犬との日常の一瞬一瞬が
犬と人の関係をつくっていきます。

それが犬のしつけ方です。


dav

Posted in 犬のこと

ブランとマーゴの引っ張りっこ遊び:犬の引っ張りっこ遊びは勝たないとダメ?と思っていませんか?

犬の大好きな引っ張りっこ遊びについてです。

引っ張りっこ遊びとはオモチャやタオルをひっぱりっこする遊びのことをいいます。

実はこの引っ張りっこ遊び、犬の発達に影響するとても大切な遊びです。


引っ張りっこ遊びができますか?という質問を必ずクラスではしています。

実際に飼い主さんにやってもらうと、引っ張りっこ遊びになっていないことの方が多いのです。


引っ張りっこ遊びが重要なのは、犬と犬が実際に行う遊びだからです。
そして人も犬と対等にできる可能性のある遊びです。

対して、ボール遊びは犬と人が行うものです。
人がボールを持ってくることを要求して犬がそれに応える。
逆になっていることもありますね。犬がボールを投げるように要求して人が応えるというように。
このボール遊びは犬と犬ではできません。

引っ張りっこ遊びの大切は、継続性と対等性です。
この二つを実現しないと、引っ張りっこ遊びはすぐに終わってしまいます。

もちろん、遊びはひとつのことだけで簡潔はしていません。
遊び行動はとても複雑で、その中には発達の要素のほかにも、葛藤あり、関係性あり、社会性あり、
ストレス行動の表現になることもあります。

では、生後6ヶ月のブランとマーゴがする引っ張りっこ遊びを見てみましょう。

ブランとマーゴの引っ張りっこ遊び動画

引っ張りっこがうまくいっているなというときと、
引っ張りっこが終了しそうだな、という場面があります。

生後6ヶ月ともなると、お互いの関係性に強く影響してくる引張りっこ遊びですから、
引っ張りっこ遊びを継続すること以外のやりとりも見られる動画です。

犬語セミナーに使えそうな動画ですね。

こうして犬の遊びひとつをとっても、いろんな要素が見えてきます。


引っ張りっこ遊びは取り合い遊びではないのです。
本来の引っ張りっこは、お互いに引っ張ることによって実現する共同作業です。
この状態では左右に引っ張っていますが、成長すると同じ方向に引っ張る作業もできるようになります。

引っ張りっこ遊びのときに、飼い主であるあなたが「なんとしても勝たなければ」と
必死になってオモチャを自分のものにしようとする行動を向きになってすることは、
犬から見ると、とても未熟で自信のない存在に感じられるかもしれません。

引っ張りっこ遊びのときには、合図があったら一旦引っ張りっこ休憩というルールは導入しますが
それは、「ちょっと作業中止」的なものであって、「これ私のだからあげないよ」というものではありません。

引っ張りっこは関係性が対等にならない場合にはなかなか難しいのです。
依存性の高い性質をもっていたり、依存の状態にある犬、
甘えが強かったり、甘やかしが日常化されている場合、
権勢的な性質をもっていたり、ストレスの強い犬、
これらの犬たちは引っ張りっこが苦手です。

上手な引っ張りっこ遊びを飼い主が主導となって伝え、
犬の成長と発達をサポートしてあげてください。

mde

Posted in クラスのこと, 犬のこと

やってはいけない犬の抱き方:犬の仰向け抱っこは危険なこと

最近はネットでもいろんな写真を見る機会が増えました。

犬用のペット用品を検索することが多いためか、
グーグルがいろんな犬の写真を出してくれたりします。

そんな写真の中にはビックリするものもあります。

そのひとつが、犬を赤ちゃんのように仰向けにして抱っこする写真でした。


犬を仰向け抱っこさせる方法として、人が座って延ばした足の上に
犬を仰向けにして押さえて寝せるという方法まで紹介されています。

これはやってはいけない抱き方です。


理由は三つの側面からです。

理由1 犬と人の関係性に影響する

理由2 犬の精神的な安定と発達に悪影響を及ぼす

理由3 犬の身体的な発達と健康に悪影響を及ぼす


理由の3については、犬の骨格形成を体の使い方を勉強していただければ
理解していただけるでしょう。

理由2については、犬はどのような状態でも4つの脚が何かに着陸していることで
安定性を得る動物です。体の安定は精神の安定に直接的につながっています。

犬を仰向けにするときに反抗を示すようであればそれはまだ健康な犬です。

子犬期にこれをすると犬は脱力してしまいます。
脱力というと、人では力が抜けるという良い意味にとられてしまいますが、
脚が立たなくなり動けなくなる状態を脱力というのです。
子犬期には必要に応じて脱力状態に入ることがあります。
親犬が子犬を加えて運ぶなどのときには、子犬は脱力するようにできています。
かといって、これを矯正することは子犬の発達を阻害することになります。

犬は4つの脚で立つところから、その自律性が発達します。
自律性というと精神的な自律のこともいいますし、
一方で、身体的は発達の自律のことも含みます。

体の発達と精神の発達。
どちらも大切なことはいうまでもありません。
それが、ひとりで立つ、歩く、バランスをとるという行動と結びついてもいるのです。


理由のひとつめの関係性については、とても大切です。

赤ちゃんのように犬を上向けに抱いてしまうときには、
無意識なのでしょうが、犬を擬人化している可能性があります。
犬を未熟な赤ちゃんとして抱っこするのと同じように、
物事を理解させることを諦めてしまったり、どうせ言ってもわからないと放棄することにもつながります。

犬という動物は、能力が高く人と同じように崇高な動物です。
このように赤ちゃん扱いをするようなことは、犬を尊重することにはなりません。

また、犬を仰向け抱っこすることをしつけやトレーニングとして取り入れることには
十分に考えてから行ってください。

よく間違えられていることに、犬がお腹見せるのは服従のサインだから
人にもお腹を見せるようにひっくり返って押さえつける練習をする必要があるということです。

こうした服従を強要するしつけ方やトレーニング法が、今でも存在していることは認めます。

しかしこの方法では、犬と対等な信頼関係を気づいていくことはできません。
なぜなら、犬は犬に腹部を見せることを強要したりはしないからです。

これは腕力による抑え付けになり、犬の自律性を育てません。
犬は怯えるように飼い主に従いますが、自律した服従の精神は育ちません。

犬が腹部を見せて服従行動を示すのは、2才未満くらいまでです。
よく見られるのは生後1才くらいまでです。

さらに、仰向けの時間も短く、仰向けというよりも横向けといった方がいいような形をしています。

犬の背骨は人のようにまっすぐにひっくり返されて長時間自分の体重を支えるようにできていません。
犬と人では骨格のつくりには違いがあります。
やりすぎると体を損傷する可能性もあり、とても危険です。

腹部を見せる行動については、犬語セミナーでもよく取り上げていますので、
詳しく学びたい方は、犬語セミナーにご参加ください。


犬を仰向け抱っこすることは、犬を尊重する行為ではありません。

犬を尊重し、犬と共に学び共に成長することを望まれるなら、
他の形で移動をサポートしましょう。

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Posted in 犬のこと

犬のしつけの基本:何かを変えなければ何も変わらない

犬のしつけという言葉が一般的なので、この言葉を使いましたが、
別にもたくさん言い方はあります。

犬とどのように暮らすのか。

犬とどのような関係を築いていくのか。

犬に何を求めているのか?

犬の何を解決したいのか?

犬を幸せにしたいのか?

犬の笑顔が見たいのか?

犬を尊重したいのか?



飼い主さんが犬のことを学び始めるとき、
犬のしつけ方教室やドッグトレーニングスクールに通い始めるとき、
それはどんなタイミングでも、どんな理由でも構いません。

犬を理解し、犬にとって必要な環境整備をして、犬とより良い関係を築くこと、
これはすべて、犬のしつけといいます。

飼い主のしつけという風に言い換えられる方もいますが、
それもいいですね。

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犬のしつけのやり方やアプローチの方法にはいろんなものがあります。
グッドボーイハートでも、やり方やずい分と変化し続けてきました。
これからも変化し続けるのだろうと思います。

より犬にストレスがなくしかし効果がある環境作りはすぐに思いつきます。

しかし、飼い主ができるかできないかという段階になると
かなり選択肢が狭まってきます。

それは、飼い主の能力の問題ではありません。

どちらかというと飼い主の価値観とか考え方とか習慣に基づくものです。


犬にとってより良い環境を作り上げるのに、食事の内容の提案をすることがあります。
犬のしつけとは全く関係のないように思えることが、実際にはとても関係があるからです。


ところが、飼い主の中には食事は変えたくないといわれることがあります。

この変えたくない理由は飼い主さんによって様々です。
価格なのか、内容なのか、面倒なのか、もしくは今のフードが一番犬にあっていると
思っているからかもしれません。


これは極一例ですが、他にも飼い主さんが変えたくないことはたくさんあります。

犬の散歩のために朝起きる時間を変えることはできない。

ひとりで待っている犬のために早く帰ることもできない。

犬が滑っている床をより良い環境に変えることもできない。


飼い主さんの「変わりたくない」「変えたくない」はたくさんあるのです。


無理に変化を促すことはできません。
飼い主さんに変化が起きるのを待つしかありません。

ところが飼い主の方は、犬には変わることを要求します。

もっとおりこうさんになってほしい

もっと言う事を聴くようになってほしい

もっと大人しくしてほしい


なかなか難しい話なのです。


飼い主さんが変わりたくないと思っているのなら、犬も同じようになることでしょう。


ところが、飼い主さんが何かをひとつ変えることで、犬は急激に変化を見せてくれます。
その変化は始めはゆっくりで途中から激変したようになります。

変化をきちんと認めていくと、次の変化が起きてきます。

変化が少なく満足できないと飼い主が喜ばなければ、犬はまた元にもどっていきます。

犬と飼い主は本当によく似ていることは、故人の言い伝えでもありますが、本当に不思議です。


床面を変えてあげるだけでも犬の行動には変化は起きます。

しかし、飼い主が変化させることで、犬が最も影響を受けるのは、飼い主のあり方です。
見方、考え方、接し方、これすべて「飼い主のあり方」です。


犬に変化を望むなら、飼い主もいっしょに変化していきましょう。

そちらの方が楽しいし、気持ちも健やかだし、犬も人も健康であるように感じます。


だいずおひるね2

Posted in 犬のこと

山歩きが犬にもたらす不思議なもの:山歩きのクラスを開催しました

昨日からお預かりクラスを利用して、お泊まりにきてくれている犬くんがいます。

グッドボーイハートのお預かりクラスは、グッドボーイハートでクラスを受講されている生徒さんの犬だけが対象の特別クラスです。

さらに、その中でもクレートトレーニングが完了していること、トイレトレーニングを進行中もしくは完了していることが条件です。

今回、お泊まりに来てくれた犬くんは、熊本地震によって保護された犬くんです。
ご縁があって、グッドボーイハートで学ばれたことある方の家族として迎えられました。

dav
熊本県は保護施設が大変な状態になっており、保護された犬たちにもいろいろと難しい面もあります。
特に子犬期にたくさんの犬がワンワンと吠える施設で育っていますので、社会化にも時間がかかります。

保護されてから半年。

迎えた飼い主さんの熱意と愛によって、保護犬くんは立派に家庭犬として成長していきました。


そして、今日はその預かり犬くんをお山歩きをするグループクラスに合流させて
いっしょに行動する勉強もしました。
もちろん、飼い主さんたちも犬語セミナーなどでよくお話しされていて、事情も知っており
お互いに協力してやっていただけることを了解していただいています。

山歩きがまだ未熟な上に、いろんな刺激にも反応しやすく衝動性も高いので
山の中では十分に注意が必要です。

ですが、コントロールしすぎてがんじがらめにしてしまうと、学びの機会は得られません。
どこまで学ばせて、どこをコントロールしていくのか、さじ加減というものが社会化学習には必要です。

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社会化学習というと、なぜか街中を歩くことや人に会わせることと勘違いされていることがあります。
都市空間で生活する上では、車や道路、工事の音など、適応しなければいけない環境は確かにあります。
しかし、犬の脳形成は人と同じ手順で社会化の過程を行っても、成功しないばかりか社会化が厳しい状況に追い込まれてしまうこともあります。

典型的な例が、抱っこして散歩をするという社会化学習です。

抱っこして社会化できるのはヒト科の動物や、子どもが親に抱きついた状態で移動する動物だけです。
ヒトとか、チンパンジーとか、サルもそうですね。

こうした社会学習を身につけていない犬に、抱っこして散歩すること
抱っこしてベランダから外を見せること、犬用バギーに乗せて風景を見せること、
車に乗せて風景を見せることなど、すべて社会化学習には逆効果です。

社会化とは環境に対する接触を図りながら、脳に学習の機会を与えていくということです。

犬という動物が、外界の環境に対して接触を図る機会とは、嗅覚が一番大切なのだということを
忘れてはいけません。さらに、行動できることが前提で社会化学習が促進されるのだということも
覚えていてほしいことです。

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犬と山を歩くクラスをなぜするのですか?と尋ねられることがあります。

さて、なぜでしょうか?

たくさんの答えがあるのですが、ぜひその理由は自分で体感して知っていただきたいと思います。


犬の社会化期は生後4ヶ月までで第一段階を終えて、生後6ヶ月が次の段階。
そして生後1才までにほぼ9割型の脳形成が終了するようにできています。

といっても慌てて外に出すことも失敗します。
社会化学習が有効になる犬は、室内犬も室外犬も排泄行動が適切に行われるようになってからです。

えー。どうしてとまた思われることでしょう。

犬の行動とテリトリーは切り離して考えられない。

犬のテリトリーと排泄行動は切り離して考えられない。

そして犬の社会化と行動(活動)は切り離して考えられない。

これがその仕組みです。


どこからはじめたらいいのか。

まずは犬の行動を通して犬を理解することから始めてください。
そして犬の習性について学んでください。

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いつもクラス時には写真撮影はしないのですが(クラスに集中するためです)
お預かり犬くんが2頭いたので、参加された生徒さんにお願いして撮影してもらいました。
山歩きの途中で尾歩山の手入れをする私、横にはそれを待つ犬たちの風景です。
号令の「マテ」をかけているわけではありません。
オヤツも使っていません。
ちょっと待っててと声をかけているだけです。


山歩きの不思議について知りたい方は、初回カウンセリングを受講してみてください。

まずは自分の犬について知ること、すべてのスタートはここからです。




Posted in クラスのこと, 犬のこと