普段の生活の中でも、公園や地域にいる犬の行動につい注目してしまいます。
最近の犬たちの行動を見ていると、犬の行動はかなり「ハイ」な状態になっているではないかと感じます。
もちろん、全ての犬がというわけではありません。
そういう行動が目立つということです。
犬の行動がハイだと感じるのは、とびつき行動や吠えること、奇声を発する、多動など、行動に多さが見られるからです。
こうした行動の多い多動傾向の犬の脳は、常に活動しているということです。
行動には脳の活動を伴うので、活動が多いということは、脳が働いているということになります。
ときにこうした状態は脳が「活発である」とか「活性化」していると捉えられてしまうかもしません。
しかし、これらの無駄な行動は決して適切に活性化しているのではなく、脳は活発である反面、エネルギーを消費しすぎているのではないかと見ています。
つまり、むしろ活動が不安定と見るべきであり、脳機能が満杯な状態なのです
では、犬の脳が活性化しすぎることも犬にとって負担があるなら、どのような状態が犬にとって心地よいのでしょうか。
犬の生きることを健康に導く脳の機能とは、脳が正常に発育した上で、その機能をできるだけ長く維持し続けるということではないでしょうか。
犬の健康生活を考える上で、犬の発達と成長の機会を大切にしたというのは言うまでもありません。
その発達の中に、犬の脳の発育は当然含まれてくるのです。
犬の発育時で最も大切な時期は、生後4ヶ月までを含む生後2才くらいまでです。
犬が生後2才までに安定した経験を通して発育した脳は、大変安定したものとなるでしょう。
ところが、現在の犬の生活はとても安定した経験を積めるような環境が整いません。
人工的で擬似的な体験しか犬たちに与えられないからです。
犬がもう3才、5才、7才、10才にもなってしまい、犬の脳の発育が十分でないことに気づかれてうろたえてしまうかもしれません。
必要な時期に発達しなかった機能を、成犬になってから発育させることは100%はできません。
ですが、全くできないという訳でもありませんし、機能回復の可能性が0%ということでもないのです。
脳の発育と機能について自分たちに置き換えてみて考えましょう。
20歳を越えてから脳のは退行していて、その老化を止めることはできません。
さらに、幼少期に鍛えられなかった脳の発育を、大人になってから行うのは困難なことのように思えます。
困難であるということと、発育のゼロであるということの意味は違います。
犬の脳は人のそれよりも柔軟性があるように思えます。
科学的には解明されていないかもしれませんが、犬たちと接していることで感じることです。
環境の変化に対する行動や表情の変化、飼い主が変わったときに起きる劇的な変化など、犬の行動の変化や発育の過程にはいつも驚かされているからです。
先日、知人が若いころに聴いていた音楽を聴くと若返るからといって昭和のなつかしのメロディーのCDをプレゼントしてくれました。
果たして本当に脳が若返るのかどうかはわかりませんが、脳の柔軟性を高めることに役立つ感じはしています。
どんな方法が犬の脳の発育を助けてくれるのか、ある程度はわかっているものの、分からない部分もたくさんあります。
まずは、犬の脳の発育の現実的な段階について理解をした上で、いろいろと考えてみてください。
ただし、食べ物の存在をちらつかせたトレーニングは、犬の脳を硬くしてしまいます。
柔軟な発想は、縛られない脳から生まれるということです。