犬ちゃんのお預かりクラスのときに私が楽しみにしているのは、その犬ちゃんといつもはできない時間を過ごすことです。
犬ちゃんが普段はあまりできないけれどすることといえば、ドロ遊び、庭遊び、山歩きです。
庭が山になっているグッドボーイハート七山の学校ですから、山のにおいを嗅ぎながら山歩きもせずに返してしまうことはあまりにも酷です。
といっても初回のお預かりではなかなか安全に山を歩くほと落ち着きを得ることができないので、数回の預かりを通してやっと山歩きへとたどりつくといった感じです。
お預かりした犬ちゃんの状態によっては、もっとテリトリーに対して積極的になれるような山の活動をいれていきます。
それが犬をお供にしての作業「山の手入れ」です。
山の手入れとは、山が健全に育つようにこの冬の時期、3月くらいまでの時期に無駄に生えている木々を刈り込んだり、倒木が藪を生まないように処理をしたりするものです。
足場は道もなく段差もはげしくロッククライミングのようにつかみかかって登るような場所もありかなりアクロバティックです。
そのような場で作業をするのですから、とても犬のことをしっかりと見ていることはできません。
むしろ犬の方が人の動きをよく把握して自分の身を守りつつも周囲のテリトリーを守ろうとする行動が引き出されてこなければ大変危険です。
なので、この山の手入れに連れて行ける犬は本当に限られています。
作業中に邪魔をされることは犬にとっても危険ですが、作業をする私にとってもとても危険なことです。
ではなぜそんな場所に犬を連れて行くのかということ、犬がこのことを通して引き出される行動には特別の意味があるからです。
特別な役割を任されているそんな力が犬の中に湧き上がってきます。
オヤツをもらうためでもない、人から命令されたわけでもないのに、なぜかその仕事をやろうとする犬。
これが最高に犬として楽しい時間のようで、その表情、行動も活き活きとしています。
犬が小さい場合には段差や足場の厳しいところでは、抱き上げたり手を出してサポートすることもあります。
それでも必死でその困難を乗り越えて人と共に活動している犬の姿は本当に美しいものです。
自分自身も体力が落ちてきており、自分の年齢を感じる作業になってもいますが、私もこの山の手入れが大すきです。
夏場の草刈は太陽と汗と虫との闘いなので過酷すぎますが、この季節の山の手入れは気持ちがよく、体が温まり、終わると暖炉にあたってコーヒーを飲めるというごほうびもあります。
こんな山の手入れにつきあってくれる犬ちゃんがもっと増えればいいなと、勝手に期待を膨らませています。
山の手入れのお供までいかなくても、山歩き、庭でのテリトリーの番、テラスの番犬など、それぞれにグッドボーイハートには犬の仕事がたくさんあります。
グッドボーイハートのお預かりのときには、泥まみれ、草がいっぱいついた状態でお返しすることは了解していただいていますので、犬ちゃんには楽しんでもらったらと思っています。
お預かりの犬ちゃんはトレーニングのために預かっているわけではありませんが、犬の性質や行動の特徴を観察して新しい発見をすることは、個人的にどうしても止められなくて突っ込んでしまいます。
お預かりクラスのときには睡眠不足で辛いですが、この楽しみがある限り続けていきたいです。