犬の学習やトレーニング、犬のしつけを学ばれている方にとって、罰を用いたトレーニングよりもごほうびを用いたトレーニングの方が圧倒的に人気があるのは分かります。
犬が「罰=痛みや嫌悪刺激」を避けるために何かを学ぶ罰を回避させるトレーニングは犬にとっても飼い主にとっても辛いものです。
オヤツを見せたらすぐにオスワリをするなら、オヤツを使ったごほうびトレーニングの方がずっと犬に優しいと思うでしょう。
でも、よく考えてみましょう。
「ごほうび」と「罰」はコインの裏表のようなものです。
楽しそうな「ごほうびトレーニング」にも実は落とし穴がたくさんあります。
ごほうびトレーニングと罰を伴うトレーニングが同じものだとはいいませんが、同じ種類の道具で犬を操作しようとしていることに変わりはありません。
そして何より(ここが一番大切なところ)ごほうびか罰トレーニングでは犬に教えられないことがあります。
それは「犬が安心&安全を得ること」です。
犬にオヤツを用いたトレーニングをしても、犬は安心&安全を得ることはできません。
犬はオヤツを見ると集中するし、オヤツを見せればすぐにオスワリをするし、オヤツをみせればすぐにハウスに入ります。
本当にすぐにできるようになるので食べ物をドッグトレーニングに使うことが流行りました。(すでに過去形ですみません。)
でもこのトレーニングは何かの特技を教えるときには有効な場合もありますが、他の場合ではほとんど無効です。
ほんの動機付けにはなっても、すぐに引き上げることをおすすめします。
さて、犬が安心して生活をすることを「ごほうびか罰か」のトレーニングでは教えることはできないと言いました。
では、犬はどのようなトレーニングで「安心&安全」を得ることができるのでしょうか。
グッドボーイハートで真剣に学ばれている生徒さんなら即答していただけると思います。
そうです。
不安を抱えている犬には、犬が安心して生活できる環境を整える=「環境整備」が必要です。
犬に必要な安全な寝床、安心できる休める場所、信頼できる飼い主。
この「環境整備」ですが、飼い主さんが準備できる環境がすべて異なるのと、犬の性質や経験や遺伝が全部違うので、一言でこの形とお伝えすることはできません。
室内飼育されている犬の飼い主なら、うちの犬は室内にいるから安心だと思っているはずと思い込んではいないでしょうか。
もし犬が室内で吠えたり騒いだりするなら、もし飼い主が留守番のときに犬が吠えるなら、もし来客のときにインターホンで犬がワンワンと吠えるなら、その犬は自分の住処をまだ安心だと感じていないのです。
犬は物理的な環境整備と、飼い主との関係性という精神的な環境整備のふたつによって安心と安全を獲得していきます。
犬は不安やストレスを感じると、吠えたり、騒いだり、飛びついたり、噛みついたりするのです。
犬にごほうびや罰を与えることよりも、もっと基本を整える環境整備トレーニングからおすすめします。