グッドボーイハートの生徒さんたちの中には、ブログやインスタで見る「犬との山歩き」の姿にあこがれと希望を抱かれる飼い主さんがたくさんいます。
とても単純に「犬と山を歩くなんて楽しそう!」と思っていただいて全くかまいません。
しかし、この犬との山歩きを学ぶトレッキングクラスは実は本当に奥の深いクラスです。
もちろん価値観はそれぞれなので、ただ楽しめればいいのですという姿勢でも参加は可能です。
ただこの奥の深さに到達していただくことがわざわざドッグスクールで学ぶ価値のあることです。
先生の立場としては伝えることがたくさんあります。
説明すること、感じていただくこと、考えていただくこと。
先日は生後5ケ月の子犬ちゃんがはじめての山歩き体験をしました。
山歩きにはまだ早い月齢や状態というものあります。
犬だから山を歩くなどなんともないことなのです。
四つ足の動物が山道を歩く身体的な能力のことを、二本足のおぼつかない人間であるこちら側が心配する必要もありません。
もしもリードがなくて犬が走り出したら、圧倒的に犬は姿が見えなくなるほど遠くへと走り出し、わたしたち人類は追いつくなどできません。
だから犬が山歩きをするときに「大丈夫」などと励ます余裕があるなら、もっと人の方が自分のバランスをとって歩くことの方が大切です。
※子犬ではなく成犬であってもこれが一番大切なこと。
子犬にとって大変なのは身体的能力のことではありません。
テリトリーを離れるという行為が子犬にとってはとても大変なことなのだと理解してあげましょう。
子犬は生後6ケ月になるまではほとんど自分の生活圏をでることはありません。
生活圏とは巣穴まで自力で戻れる距離のことです。
この範囲は犬によりますが都市空間では数メートルしかありません。
あとは親犬について歩くだけ、その距離すらたいした距離ではありません。
危険があったら巣穴に戻ること。
これが子犬のルールだからです。
その子犬が移動した巣穴であるクレートからかなりの距離を歩いて進むわけです。
飼い主がそばにいるのだとしても子犬にとってはこれはかなり大変なことです。
ただ山から遠ざけられていた子犬たちは、テリトリーからかなり離れていることなど忘れてしまい、ただ山の臭いに誘われるように山を歩いています。
この臭い嗅いだことがある…。
子犬の脳はそう思っていることでしょう。
都会から山までの車での移動。
テリトリーを離れて歩くこと。
この二つのストレスがかかることを前提で子犬に山で過ごすことを体験させる価値がないかというとあります。
でもそれは人や犬がたくさん集まるキャンプに連れていくことでもないし、田舎のドッグランで走らせることでもありません。
子犬が安心して自分の周りの数メートルの範囲の情報を受け取り、その中に安心を獲得できるように入念に準備された空間の中で、子犬の脳はゆるみはじめ混乱を整理する時間を得るのだと思っています。
子犬の脳内のことをセンサーをつけてみるわけにはいきませんが、子犬の表情筋のゆるみや目の柔らかさを取り返したのを確認すると「自分は犬という動物だと思い出してくれたのかな。」と安堵します。
年末年始は大掃除の時。
犬たちが山で過ごせるように七山にこもるようにしました。
今年は帰省もしないし犬との時間を大切にしたいと考えている方はお気軽にご予約下さい。