グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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はじめてのトレッキングクラスで子犬にとって良いこととは「犬であることを思い出すこと」

グッドボーイハートの生徒さんたちの中には、ブログやインスタで見る「犬との山歩き」の姿にあこがれと希望を抱かれる飼い主さんがたくさんいます。

とても単純に「犬と山を歩くなんて楽しそう!」と思っていただいて全くかまいません。

しかし、この犬との山歩きを学ぶトレッキングクラスは実は本当に奥の深いクラスです。

もちろん価値観はそれぞれなので、ただ楽しめればいいのですという姿勢でも参加は可能です。

ただこの奥の深さに到達していただくことがわざわざドッグスクールで学ぶ価値のあることです。

先生の立場としては伝えることがたくさんあります。

説明すること、感じていただくこと、考えていただくこと。

 

先日は生後5ケ月の子犬ちゃんがはじめての山歩き体験をしました。

山歩きにはまだ早い月齢や状態というものあります。

犬だから山を歩くなどなんともないことなのです。

四つ足の動物が山道を歩く身体的な能力のことを、二本足のおぼつかない人間であるこちら側が心配する必要もありません。

もしもリードがなくて犬が走り出したら、圧倒的に犬は姿が見えなくなるほど遠くへと走り出し、わたしたち人類は追いつくなどできません。

だから犬が山歩きをするときに「大丈夫」などと励ます余裕があるなら、もっと人の方が自分のバランスをとって歩くことの方が大切です。

※子犬ではなく成犬であってもこれが一番大切なこと。

子犬にとって大変なのは身体的能力のことではありません。

テリトリーを離れるという行為が子犬にとってはとても大変なことなのだと理解してあげましょう。

子犬は生後6ケ月になるまではほとんど自分の生活圏をでることはありません。

生活圏とは巣穴まで自力で戻れる距離のことです。

この範囲は犬によりますが都市空間では数メートルしかありません。

あとは親犬について歩くだけ、その距離すらたいした距離ではありません。

危険があったら巣穴に戻ること。

これが子犬のルールだからです。

その子犬が移動した巣穴であるクレートからかなりの距離を歩いて進むわけです。

飼い主がそばにいるのだとしても子犬にとってはこれはかなり大変なことです。

ただ山から遠ざけられていた子犬たちは、テリトリーからかなり離れていることなど忘れてしまい、ただ山の臭いに誘われるように山を歩いています。

この臭い嗅いだことがある…。

子犬の脳はそう思っていることでしょう。

都会から山までの車での移動。

テリトリーを離れて歩くこと。

この二つのストレスがかかることを前提で子犬に山で過ごすことを体験させる価値がないかというとあります。

でもそれは人や犬がたくさん集まるキャンプに連れていくことでもないし、田舎のドッグランで走らせることでもありません。

子犬が安心して自分の周りの数メートルの範囲の情報を受け取り、その中に安心を獲得できるように入念に準備された空間の中で、子犬の脳はゆるみはじめ混乱を整理する時間を得るのだと思っています。

子犬の脳内のことをセンサーをつけてみるわけにはいきませんが、子犬の表情筋のゆるみや目の柔らかさを取り返したのを確認すると「自分は犬という動物だと思い出してくれたのかな。」と安堵します。

年末年始は大掃除の時。

犬たちが山で過ごせるように七山にこもるようにしました。

今年は帰省もしないし犬との時間を大切にしたいと考えている方はお気軽にご予約下さい。

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テレビのバラエティー番組で取り上げられる残念な犬の姿

先日レッスンのときに生徒さんとお話していて、犬を取り上げたテレビ番組の話になりました。

生徒さんが見たテレビは犬が視聴者の自宅でするイタズラ行動をどの犬がしているかを当てるような内容だということでした。

隠しカメラの設置によって多頭飼育の中の1頭の犬が留守中にものを破壊する行動をしていることがわかったのだけど、それを面白おかしく取り上げられていて最後は「楽しく笑い」を誘う内容であったらしいのです。

しかし生徒さんはその犬のやっている破壊行動がどうみてもストレスによる行動としか思えず「犬の悲鳴なのになんでわかってあげないのだろう…」と悲しくなり見るのを止めたとのことでした。

わたしは生徒さんの話を聞きこう答えました。

「自分でもきっと同じことを思うに違いないはずです。共感していただきありがとうございます。」と。

 

日常的に、犬や動物のテレビ番組をほとんど見ることがありません。

科学的に構成された動物のドキュメンタリーなどを厳選して見ることはありますが、まず絶対に見ることがないのが動物の登場するバラエティー番組です。

なぜなら動物の中でも特に犬を題材にした番組を見ると、怒りや憤りを感じるか違和感や嫌悪感を感じることが多いからです。

先の生徒さんと同じような気持ちになるのです。

犬の気持ちを理解することを全くせずに、犬の行動を笑い飛ばして自分たちの楽しみにしてしまう…あり得ないことと思われるかもしれませんが、実際には普通の方々が巻き込まれていることです。

メディアが準備した内容は間違いないという思い込みが、そのような形の犬の行動に対するひどい扱いを次々と生み出していきます。

テレビ番組で犬の行動が紹介され、楽しそう、イタズラしているから可愛い、お茶目など脚色された内容で落ちまでついていると、その犬の行動はそうしたものだと誰もが誤解するようになります。

誰もがというのは間違った言い方ですが、メディアが正義と思う人はそうなるでしょう。

 

犬のことがきっかけになったのかもしれませんが、自分はメディアの放送をすべて正解と思って受け取ることはありません。

本当にそうだろうか、いやそれは違うだろうという視点をいつも持っています。

自分だったらこう思う、この人はそうかもしれないが他の先生は違う意見でもあった。

などと納得のいくまでそうだと思わないような思考回路になっています。

専門分野外になると自分もついついあいまいな情報に惑わされることがありますが、簡単に正解はでないと思えるようなあいまいさを維持することの大切さを身を持って知っています。

テレビ番組に違和感を覚える自分、同じ番組を楽しむ人。

もはや共感をすることができない関係になっていきます。

犬に対する価値観は様々、犬に対する理解は二極化しています。

あなたはどちらへ進みたいのか。

今一度冷静に、犬を取り上げた年末年始の動物番組を見て考えてみてください。


 

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「都市化によって考えない人間が増えている」のに犬は自然なのだ。

昨日の「犬と山歩き=トレッキングクラスの効果は頭で考えてもわからないのです。」の捕捉です。

捕捉したい内容は“頭で考えてもわからない”というところです。

この“頭で考えてもわからない”を使って犬を語るならこうでしょう。

犬のことを頭で考えてもわからないことがたくさんある!

 

「頭で考える」というキーワードから、養老孟司氏が講演動画の中で「人間が頭で考えてもわかることには限界がある…だから自然に行け」というようなことを話していらしたことを思い出しました。

簡単な言葉のようでとても奥の深い言葉です。

同氏の著書『「都市主義」の限界』に記してあることが参考になりますのでこちらに引用させていただきます。

「なぜ、人間が都市を人工物で満たすかというと、一つには安心を得るためである。

人口のものは、物質に限らず、社会のシステムにしても、すべて人間の脳のなかにあったもので、人間であれば、少なくとも表面的には理解し、予測、推測できる。

これが安心につながることはお分かりいただけるだろう

引用:養老孟司著書『「都市主義」の限界』より

 

人間が頭の中で考えたものを形にしたのが都市。

そうであれば、その都市の中で起きることを予測したり推測することは簡単なのです。

ところが、相手が自然となると予測も推測も都市のようにはいきません。

だから自然相手のときには頭の中で考えることを止める必要が出てくるのです。

 

子供は都市の中にはない、なぜなら子供は自然だから。

同じように、犬は都市の中では理解できない、なぜなら犬は自然だからです。

こう考えると、犬のことを頭で考えることだけでは理解することができないことも納得できます。

犬を理解したいなら、頭で考えているだけでは行き詰るのです。

 

自然の中で予測したり推測したりするためにできることは、まず考えることを止めること、次に感じる事です。

ブルースリーの言葉をお借りするなら「Don’t think! feel.」。

「考えるな!感じろ」。

この名文句を実際にやっているのが自然の中で活動できる犬たちです。

山をゆるやかに動く犬の動きを見ていると、考えて行動しているというよりも、感じて行動しているという風に見えるのです。

とこうしてまた見ていることを考えている自分もどうかと呆れてしまいますが、考える癖が抜けないのが現代人です。

ある程度は考える人と感じる動物の犬。

このふたつの種類の動物がいっしょに山を歩くこと。

とてつもない力が生まれそうだと感じるのは私だけでしょうか。

すごく現実的かつロマンティックな犬との山歩き=トレッキングクラス。

参加するたびに変わるのは感じる力です。

犬も人もいっしょに自分の変化を楽しみましょう。

関連記事→犬と山歩き=トレッキングクラスの効果は頭で考えてもわからないのです。

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犬と山歩き=トレッキングクラスの効果は頭で考えてもわからないのです。

先日のオポディにたくさんの犬たちと山歩きを楽しみました。

どの犬たちも尾歩山の山歩きトレッキングクラスになんども通ってこられて山に親しまれた犬ばかりです。

飼い主さんと犬の頭の中にはこの山のある程度のメンタルマップが出来上がっており、行動には安定が見られます。

このクラスにご参加されている方に「どうして犬と山歩きをするのか?」という質問をしても答えは簡単には出ません。

クラスにはそれぞれに目的があります。

トレッキングクラスを提供する側としては目的をある程度説明することができます。

でも、トレッキングクラスの目的は飼い主が犬と山を歩きたいという欲求と同じではないのです。

飼い主側の犬と山を歩きたいという欲求の一番は「気持ちがいいから」ではないでしょうか?

数頭の犬たちと飼い主さんの小グループトレッキングはとても心地よく気持ちの良いものです。

少し頭数が多くなるとテンションが上がりますから、ちょっと気持ちいいけどたくさん楽しいになるでしょう。

楽しいが多すぎると気持ちがいいが少し減る感じがするのです。

オポディのトレッキングはまず楽しいで始まり、その後は各自で気持ちがいいを探していただくようなクラスになりました。

なんども犬と山歩きをしているけれど、トレッキングクラスに参加しているけれど、まだ一度も「気持ちがいい」を体感したことがないのであれば、自分の気持ちが目標と達成に集中しすぎているのかもしれません。

何事もチャレンジ、目標があり達成がある。

そうやって頑張って生きてきたのですから、ただ犬と気持ちいいーと思うことができなくなってしまったのかもですね。

犬をいつも触っていたいとか、犬をなでたら気持ちがいいと思っている人こそ、犬との山歩きをおすすめします。

犬と山歩きの気持ちがいいは、犬に触って気持ちがいいを大きく超えていきます。

いつかきっと体感してください。

今年もあと少し、年末まで犬とトレッキングまだまだ行きますよ!


 

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犬の小さな変化を見逃さないことが犬との関係をより良くする

ご家庭訪問タイプのトレーニングクラスのために定期的にご家庭を訪問していると、犬の行動の変化を見ることができます。

トレーニングの内容に沿って進められた環境の変化に対する適応。

たとえばクレートというハウスで寝るようになる。

犬用のベッドで遊ぶようになる。

適切な場所に準備された排泄場所に排泄をするようになる。

そして排泄の失敗(トイレの失敗)というのがなくなってくる…など。

これはほんの一部ですが確かにトレーニングやしつけを行った結果に変化した犬の行動です。

ですが、犬の行動はいいことばかりではないし、いつもパーフェクトなわけではありません。

「今週も1回トイレを失敗しました…」

「まだ、とびつきがなおりません。」

「ものをかじるのを止めません。」

「吠えがなくなりません。」

飼い主側はできていない行動をたくさんあげられることは得意ですが、犬ができるようになったことを探すのは苦手のようです。

もう少しはっきりというと、犬ができるようになりつつあること、に気づかれるのが苦手のようです。

0か100。

完璧にできたら「できた」と思えるものも、中途半端な数字10とか50とか80ではまだまだ合格とは言えないので不安になられるのも分かります。

そのことに気づいて説明するのがインストラクターとして訪問している自分の仕事です。

先日まで訪問のときに吠えていたのが今は吠えていない。

最近まですぐに飛びついていたけれどゆっくりと近づけるようになっている。

ハウスの合図に対する反応がかなり高くなっている。

そんな、飼い主さんにとっては満点とはいえない犬の行動も、より良い方向に向かっていることを感じることができたら飼い主さんに報告しています。

これは、飼い主が現在整えている環境整備がうまくいっていますよ、ということなのです。

つまり自信を持ってこのまま継続されて構いませんという、私の中での合格サインです。

生徒さんからは「犬がまったくよくなっていないと思っていたけれど、こうしてお話を聞くと変化しているのがわかりました。」といわれます。

飼い主としてはとても高いところを目指しているので、そこまでにはまだまだ時間がかかるということで焦りがあるのかもしれません。

しかし犬のしつけや犬と関わるということは、完璧になりすぎてしまったら犬はそれだけ年をとったということもであります。

今「犬が出来ている」こと、今「私ができていること」を認めることの方がずっと有益だということを、客観的にみればわかることですが当事者というのはなかなかそうでもないのです。

責任感があってちゃんとしなければという気持ちが強ければ強いほど、犬へのプレッシャーもかかってしまいます。

犬がプレッシャーを抱えているシグナルとしては、しつけの練習の途中で逃げ出したり走り出したりしてしまうときです。

逃走は犬がもっとも得意とする行動なので、走り出すたびに練習を止めていたら練習にはなりません。

ただあまりにも拒否が強い場合には、少し深呼吸して自分にかかるプレッシャーを開放してから再びトレーニング練習にのぞみましょう。

繰り返し行動のしつけの内容はすごく単純で難しいことでも過酷なことでもないのです。

ちょっとの我慢ができれば、どんな犬にもできるようになります。

毎日が犬との闘いであっても良いではないですか。

より良い関係をつくるための闘争です。

犬を愛する気持ちが生まれるなら問題ありません。

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犬のするプレイボウ(遊びのお辞儀)は本当に遊びのシグナルなのか?

犬のコミュニケーションについてのお話です。

犬のコミュニケーション方法は嗅覚、視覚、聴覚といろいろと発信の方法があります。

ですが私たちヒトとしてより正確に把握できるのは視覚的なコミュニケーションです。

嗅覚や聴覚で受け取れるものもありますが、視覚ほどはっきりと認識できません。

だからまずは視覚をつかって犬のコミュニケーションを勉強するのが一番です。

 

今日は視覚的なシグナル「プレイボウ」=「あそびのお辞儀」を取り上げます。

プレイボウとは、犬が前脚を地面につけて尻を上げるポーズです。

お相撲さんのはっけよいのポーズに似ていますね。


 

子犬が遊びを誘うシグナルとされていることからプレイボウ=「あそびのおじぎ」という名前が付けられました。

同時に敵意のない行動だとしても知られています。

ただ実際にこのプレイボウのシグナルを犬が出しているときに、

犬と犬が遊んでいる

だから犬と犬は仲良しで友達

と断定してしまうのは早すぎます。

 

犬と犬はプレイボウをしている最中はお互いに対立を避けようとしている。

だけどその対立を避けるシグナルは次の瞬間に破られてしまうこともあるのです。

 

プレイボウで犬が飛ぶ方向は左右飛びです。

右に左に飛びながら犬は境界線を引いていきます。

ここまでがボクのテリトリー、だからここからこっちには入ってはダメだよ、

という境界線を引いているのです。

それがプレイボウの横跳びです。

 

テリトリーを守っている、テリトリーに入るなと言っているとなると

いっしょに仲良くお友達ということでもありません。

お互いのテリトリーを主張しあい、お互いのテリトリーが守られる陣地取りなのです。

 

子犬のころはこの陣地取りの行動を遊び行動として群れの兄弟犬たちと繰り返すことで自分のテリトリーを確保することを学びます。

だから遊び行動の中に見られるプレイボウ…ですね。

 

兄弟犬であってもプレイボウの横跳びから相手のテリトリーへ向かって飛ぶ前後とびや手をかける、体当たり、飛びつき、空かみ、甘噛み、立ちあがりが入ってくるとこれはもう闘争の形になっています。

これをみなさんはワンプロと言われるようですね。

ワンプロは闘争のひとつの形です。

もみ合って遊び楽しいで終わるのか、犬によっては他の犬が苦手になることもありますので要注意ですね。

プレイボウについてはこれまでブログでもなんどか取り上げましたので検索して探してみてください。

ブログで犬語の説明難しいですね。

かといってYouTubeで説明するのも虚しいし、また犬語セミナ―開催のときにはみなさんといっしょに学びたいです!

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犬のメンタルマップの神経回路基盤について得た助言

少し前のブログ記事で犬のメンタルマップについて書きました。

記事はこちらです。

犬の行動を決める「メンタルマップ」について考えてみました。

要約するとこのような内容でした。

・動物の脳内には「自分とその周辺の地図」が存在していてそれをメンタルマップと呼ぶ。

・メンタルマップは犬にもあり犬はそのメンタルマップを基に行動している。

・メンタルマップの構築は犬の場合、嗅覚で得た情報によって構成されている。

 

上記のブログ記事にも書いたとおり私は脳科学者ではありません。

あくまで犬を行動する立場にある人間ですが、その中で犬たちがどのような仕組みでどのように物事を理解しているのかが知りたくいろいろな科学的見方を探しています。

メンタルマップは行動を決める指針ともいえるもので、犬の行動を考える上で重要な情報なのです。

 

今回このブログ記事を読んで下さったグッドボーイハートの生徒さんからメールをいただきました。

内容は「メンタルマップの神経回路基盤について」というものでした。

なんとその生徒さんはメンタルマップの最前線で活躍している教授や研究者の方々から直接話を聞けるような研究室にいらっしゃるとのことで、メンタルマップについてより詳しい情報を得られるサイトを紹介して下さったのです。

詳しい情報にはメンタルマップを説明するにあたり3つの脳内の部品について紹介されていました。

この三つを動物がどのように使っているのかを理解することでメンタルマップがどのように構築されているのかがわかるようになる仕組みの部品です。

1 海馬

2 場所細胞

3 格子細胞

海馬については有名なのでご存知の方も多いと思います。

犬の脳内にももちろん海馬は存在します。

記憶の整理をする場所として有名な海馬ですが、メンタルマップも記憶を基に構成されていくので海馬が関係しているということでより分かりやすくなります。

私の説明では今一つなので生徒さんがメンタルマップについて要点として書いて下さったメールの一部をここに紹介させていただきます。

 

マウス脳において、記憶に重要な役割を果たす「海馬」という部位の中に、特定の場所にいる時のみ反応する「場所細胞」があること。(つまりカーナビでいうと「現在地」を告げる細胞)、またその特定の場所に反応する仕組みとして、三角の格子状に分布する点にいる時にのみ反応する「格子細胞」を複数組み合わせる機構(つまりカーナビでいうといくつかの手がかりから現在地の座標を計算する仕組み)があることが示されています。

 

犬が脳の中に自分を中心とした地図を構成するには地点というものがたくさん必要になるということです。

つまり地図を書くときに線を引きまくるのではなく、郵便局、銀行、パン屋さん、信号機、公園といったものがありそれを結ぶように道があるというふうに構成されていくということです。

さらに最先端で研究されている生徒さんによると「これはメンタルマップの神経回路基盤と言えるような研究」なのだそうです。

私のブログ記事を読んで下さり「神経科学的なレベルでの知見と実地で実際に生物に触れる行動分析のレベルで得られた知見とが合致するような結果」だと感じて下さったということでとてもワクワクいたしました。

さらにその地点を把握する方法ですが、動物は知覚に基づいて情報を得ます。

人の場合にはほとんどが視覚に頼っています。

しかしほとんどの動物は嗅覚から得られた情報を最優先にします。

この人と他の動物との違いについてはまだ研究がすすめられているとのことです。

しかしもうひとつ大切な情報として、実は海馬に直接的に情報を送り込めるのは嗅覚だけなのです。

だから嗅覚は記憶に最も近い情報とされています。

その海馬がメンタルマップの構築をしているとなると臭いを中心にして生きる犬などの動物の方がメンタルマップの構築はむしろ確実なのではないかと考えました。

カーナビを持たない動物がどこを見ても同じ風景の森の中を移動するための手段として使っていたメンタルマップ。

あなたの犬の中にはどのように存在していると思いますか?

続きはまた次回。お楽しみに。

 

関連記事→

犬の行動を決める「メンタルマップ」について考えてみました。

<犬のしつけ方>動物同士の距離感:犬と人、犬と犬、人と人

地図「オポの行動から学ぶメンタルマップの構築について」

Posted in 犬のこと, 自然のこと

他の犬に対して興奮しやすいのたくがさんの犬に会わせ過ぎたからというのはどういうことですか?

他の犬に吠えたり興奮したり逃げたりする犬がいます。

小さいころからたくさんの犬にあわせて社会化を進めてきたはずなのに、どうしてこんなに吠えるようになったのだろうと思っているなら大きな勘違いをされています。

その勘違いというのは、犬と犬の社会化とはただたくさんの犬を会わせるということではないというということです。。

また、犬と犬のプロレス遊びの回数を増やすことでもありません

小さい頃のこうした犬に対する経験は、犬と上手にコミュニケーションを取れるようになるどころか、むしろ他の犬に対して攻撃性や怯えがでるようになることの方が多いのです。

たくさんの犬に会わせることよりも、もっと重要なことがあります。

それは、

どのように他の犬に会わせるのか。

どのような時間をいっしょに過ごすのか。

こうした、過程の方がずっと大切なのです。

ところが、本やネットなどの簡単に伝えられる方法や、コピペで回っていく情報はすごく単純な内容になります。

「たくさんの犬にあわせた方がいいんだって」という情報で伝わっていきます。

よく生徒さんから「この本にたくさんの犬に会わせた方が良いと書いてあります。」

と犬のしつけ方の本を見せていただくことがあります。

でもその本の中には他の犬にとびついていく犬の写真などは乗っていません。

ただ同時にどのように会わせていいのかの指導はありません。

なぜならそれは犬によって異なり、単純な文章として紹介することができないからです。

他の犬と安心して対面させていき、より良い関係を作っていくにはどうしたらいいのだろうか?

どうすれば自分の犬が他の犬と社会的に安心できる関係を作っていくことができるのだろうか。

そのためにはまず飼い主同士がお互いに共通の価値観を持っていることが大切です。

飼い主同士が犬のことについてはある程度お互いを信頼できるような関係を作ることが、犬と犬の社会性の発達につながっていきます。

この辺が日本で犬の社会化が難しい理由です。

犬に対する価値観など、ヨーロッパで犬と暮らしている方ならそれほど多様ではないからです。

日本の場合には犬との暮らしの価値観が多様化しすぎていて、また犬に対する理解があまりにも不足しているのに、動物を可愛がる愛護の精神だけが突出しています。

動物に対する理解のない愛護は、動物に対して相手を尊重しない態度に結びつく危険性があります。

共に学ぶ機会があるなら、その中でより良い関係が作れそうな方を見つける。

もしくは、自分の友達にも犬のことを伝えていっしょに学んでみる。

私などはあとで家族として入ってきたダンナくんが犬についての情報が全くない人でした。

すべての犬が足をあげて排尿をするものだと思っていたほどです。

どうしてかというと、自分が漫画で見た犬たちはみんな足をあげて排尿していたからだというのです。

なるほど、それもそうですね。

もちろん尻尾を振っている犬は、みな喜んでいると思っていた普通の人でした。

でもそのダンナくんは今は違います。

私の教育の元すごく短期間で犬のことを理解できるようになってきました。

今年は動物取扱士の資格をとるべく勉強中です。

いっしょに学べる飼い主を見つけて、いっしょに成長しましょう。

そうすると犬の世界もきっと広がります。

それが犬の社会化です。

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成長した犬のお乳を吸う行動のなごりはなぜ見られるのか?

犬が哺乳類であることをご存知だと思います。

哺乳類とはその言葉のとおり、子育てをするにあたって母にあたる動物が子の動物にお乳を吸わせて成長させる類のことです。

人と犬はどちらも哺乳類です。

人と犬にたくさんの違いがある中で明確な同じ部分がこの哺乳類という分類です。

身近な動物、猫、牛、馬、サル、イノシシ、鹿も哺乳類に入ります。

哺乳類である犬は、子犬のころに母犬からお乳を吸って大きく成長します。

ところがこのお乳を吸う行動=哺乳行動が犬が母犬から離れた後も、成長後かなりの年齢まで残ることがあります。

犬の哺乳行動が母犬から離れた状態で起きるときには、こんな行動になります。

・タオルに口をつけて吸う

・オモチャを持ち上げて吸う

・ケージの網を噛んだまま眠ってしまう

・飼い主の洋服を噛みながら寝てしまう

・飼い主の指を吸う

・他の犬の尾や体の一部を吸う

・フードの早食い

こんな何かをしゃぶっていたり吸っていたりする行動は、犬が哺乳をする行動なのです。

 

なぜこのような行動をするのか、人や他の動物の研究によって明らかにされていることが一つあります。

それは「十分に母犬から哺乳されなかった」という欲求不満です。

犬の哺乳欲求は食べ物を食べられるようになったらなくなってしまうように思えます。

実際には食べ物を食べていたらお乳を欲しがるわけではありません。

しかし必要な時期に必要な欲求を満足させる行動をしなければ、哺乳行動は満たされなかったということで長い間「他の何かを吸う」という転嫁行動として身についてしまいます。

先日のアニマルウェルフェアの講習会にも同じような話題があったのですが、牛も子牛のころにある強い吸入欲求を満たすことができなければ、舌遊びや柵かじり、ごはんの早食いをするようになるそうです。

子牛の場合にはお乳は人用に捕られてしまうため子牛たちはバケツにいれたミルクを与えられることがあり、この際にミルクをがぶ飲みすると上記にあげたようなストレス性行動をするようになるとのことでした。

これは犬にも同じことが言えるためとても興味深いなと感じました。

犬も同じようにお乳を十分に吸う時間を与えられないと、お乳を吸う行動の転嫁行動が生涯を通して残る場合があります。

犬にこのようなお乳を吸う行動が見られると少しびっくりされて慌てられるかもしれません。

しかしこの行動はそんなに簡単にはなくなりません。

ストレス行動は叱ったりほめたり、罰を与えたり、ご褒美を与えたりすることでは治すことができないのです。

犬が抱えている幼犬期の欲求不満をよく理解してあげ、適切なものに転嫁しつつ、他の対応を考えてあげる必要があります。

みなさんは笑顔で子犬を迎え入れられたでしょうが、子犬の方は「いろいろあって大変だった」ということだと思います。

最近は子犬の販売数が増えており、繁殖を急ぐあまりお乳を吸う時間を十分に取れていないこともあるでしょう。

あなたの犬を理解して対応してあげられるのは飼い主であるあなただけだということさえわかって下さればあとは飼い主さんが学びの中で今子犬にとって最も大切なことは何かを知って根気強く対応することです。

犬はあまりにも人になつきやすい動物であったばかりか、あまり理解されずに人のそばにいるようになりました。

犬の良いところが、犬にとっての難しさを生んでしまったわけです。

それでも犬は長い時間人と付き合ってくれる動物ですから、こちらも犬から学んだことを犬に返してあげる時間を持てます。

そのことだけが救いと言えます。

犬の乳を吸う行動の名残を見たら、犬にはまだこれから解決していきたいことがあるのだということです。

やりがいがありますね。

Posted in 犬のこと

こんな時代でも犬と楽めることを続けてきて良かった

紅葉の終わるこの時期、山では一番活動ができる季節です。

気温良し、スズメバチいない、葉が落ちて山全体がよく見渡せる、体が動く。

山の手入れを急がなければいけないと気持ちだけが焦る中、助っ人参上で助かりました。

グッドボーイハートで学ばれ生徒さんが手入れのお手伝いに来てくださいました。

すでに犬ちゃんは他界。

今は自然と関わる様々な楽しみを生活の中に取り入れていらっしゃるようで時々お逢いしてお話を聞くのも楽しい時間です。

グッドボーイハートの尾歩山をいっしょに育てて下さったので、私がしっかりやっているかどうかチェックも含めてのお手伝いかと心から感謝いたします。

昨年の今ころは、まさか世界中の人間がマスクを着けて歩く姿など想像できなかった時代がやってきてしまいました。

旅行もイベントも自粛…。

こんな時代だけれど山で犬と過ごすことは以前と少しも変わりません。

昨年のこの時期も「早く山の手入れをしなくちゃ…」と預かり犬ちゃんを連れて山に入っていました。

やっていることは全く変わっていないし、これが一番楽しいし、これが一番学びになると昨年よりもずっと強く思っています。

今日あたりは北風の吹く風がときどき強まり「冬が来るよ~」となんどもお知らせが入っています。

昨日午後は福岡でのトレーニングクラスを開催し、こうして今は七山に来て犬といっしょに山歩きをしている。

人からよく「先生もお忙しいですね。」と言われるのですが、今はこの二つをつなぐことば役割なのだからさせていただくことはありがたいことです。

日本の山や田舎はヨーロッパのように管理されておらず暗い雰囲気が漂って人があまり寄り付きません。

でもそれは、近代になって小さな日本という国土の中で田舎から都会に向かってたくさんの人々が流れ出てしまったせいです。

こんな時代だからどこでも仕事ができると、今は郊外や田舎に家を探している人も増えていません。

芸能人のキャンプや山暮らしもYouTubeにアップされるようになり、これからは都会から田舎に向けて人が流れていく時代が来てくれると田舎はもっと洗練されて居心地よくなるでしょう。

そしたらきっとその自然あふれる里山に犬たちの健康な姿を見ることもできると想像します。

妄想とイマジネーションの違いがあるとしたら実現の可能性のある想像の方は、今できることをどれだけやっているかどうかなのではないかと。

犬の生涯は人の十分の一です。

だから毎日を大切に実現に向けて世界を作っていきたいのです。

福岡と七山を結ぶ「ドラえもんのどこでもドア」ができたらいいなと次世代につなぎます。

Posted in 日々のこと, 犬のこと, 自然のこと