グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

ニホンオオカミに最も近いのは現代の柴犬である論文が発表された。

先日生徒さんから送っていただいたネットニュースの情報が面白いものだったのでここに紹介します。

紹介していただいたのはジャーナリストの田中淳夫氏がYahooに寄稿された記事です。

題名には「オオカミよりも柴犬を放て。獣害対策に有効な「放し飼い」」とあります。

田中氏が記事の中で紹介されている、サル対策のための忠犬事業については以前からネットで配信されている記事などで知っていましたが、二ホンオオカミの遺伝子情報の解析についての論文発表については初めて確認しました。

田中氏の記事の中から引用します。

総合研究大学院大学(神奈川)を中心とする研究チームは、各地の標本から9頭のニホンオオカミの遺伝子情報を取り出して解析し、他種のオオカミやイヌ属の動物と比べた研究が「bioRxiv」に発表された。

それによると、ニホンオオカミは他のオオカミとは遺伝的に異なるユニークな亜種で、現代のイヌにもっとも近いことがわかったのだ。

 しかもDNAの共有率を調べた結果、シェパードやラブラドール・レトリーバーといった西欧の犬種とはほとんど共有していず、日本の柴犬やオーストラリアのディンゴなどと、最大で5.5%のDNAを共有していた。

 

ニホンオオカミは残された標本や写真などから見て、明らかに西洋のハイイロオオカミとは骨格よも容姿も異なることがわかります。

ですから、ニホンオオカミに一番近い犬種が柴犬だということが遺伝子情報として証明されたことについては驚くことではありませんが、科学的に証明されると納得できるということでしょう。

同時に柴犬そのものが野生のオオカミに近い性質や行動体系を持っていることは、犬を長く飼育された経験のある方なら気づかれます。

特に西洋の洋犬種と日本の純血種とは明らかに違いがあり、同じように育てようと思ってもうまくいきません。

同じイヌであっても、これだけ違いがあるのかと思うほどに面白い違いがたくさんあります。

例えば、多くの柴犬はワンワンと澄んだ声でなくことはなく、ギャンギャンとかギャとかといった締め付けられたような声を出します。

声だけを聴くと犬というよりは狐の鳴き声に近いような音を出します。

現在も生育しているハイイロオオカミもワンワンと鳴くことはありません。

やはり同じようにギャとかウォーとかそういった特徴のある音を出します。

日本に生育してきた犬の中でワンワンとなくのは、柴犬よりも野良犬の方です。

その野良犬の多くは雑種=ミックス犬です。

人がきっちりと管理してきた純血種の柴犬の方が、人から離れて勝手に繁殖を繰り返した野良犬の方が犬っぽいというところがあるようです。

西洋のイヌと日本のイヌでは大きな違いがあるうえに、日本の純血種と日本の雑種犬にもまた大きな違いがあるのです。

日本の雑種犬の中には西洋犬が混在を初めていますし、同時に雑種犬たちは純血種の柴犬のように完全管理で飼育されずに、一度の野に放たれて自由になった犬たちも多いのです。

生育の過程の違いが遺伝子に流れ込みまた遺伝子情報に変化を及ぼします。

今度は、柴犬と日本の雑種犬の遺伝子情報がどの程度離れているのかも研究していただきたいと期待しています。

田中氏は記事の中で、獣害被害を抑えるための方法として西洋のハイイロオオカミを持ち込むよりも訓練した飼い犬の放し飼いの方が安心だという意見を述べられています。

私ももちろんこの意見に賛成です。

もともと日本の犬たちが守ってきた里山の獣と人との境界線を守らせるために西洋から動物を入れる必要はないと考えます。

人とより良い関係を作ることができる日本の飼い犬こそ、里山を獣から守るためにともに戦ってくれる同志ではないでしょうか?

今月からイノシシ猟が解禁となります。

七山で活躍してくれる里山犬たちを募集しています。

Posted in 犬のこと, 自然のこと

理不尽だと思う犬に対する扱いについてどうすべきかを考えた結果

改めてこのブログの役割について

このブログでは「犬のこと」という大きなカテゴリーで区切られていてそれ以上の分け方をしていません。

普通なら、犬のしつけ方、トイレのこと、散歩のこと、手入れのこと…などと細かく分類分けされていて選んで見やすくすべきだと考える意見もあるでしょう。

しかし、このブログは犬のしつけ方やトレーニングについてのハウツーを伝えるために書いているのではありません。

グッドボーイハートのブログの目的は、犬について考えたり悩んだりすることを私自身が解決する場を設けることであり、また生徒さんを中心とする犬と暮らす方といっしょに考える機会をつくるためにあります。

細かな情報を得られたい場合には、ブログの検索機能を使って必要な話題をピックアップしてご覧いただくこともできますが、あえてカテゴリーを「犬のこと」と犬ついてはひとくくりにすることで、どんなことでも犬を考える機会にしています。

このことを前提にしてタイトルの話題に入ります。

理不尽な犬の扱いについて先生は自分の考えをどのように整理されますか?

といった質問を生徒さんから受けました。

自分の家族の犬との暮らしを真剣に考えて生活をしている中で、SNSを通して入ってくる様々な犬に対して行われている問題について苦しい思いをする機会が増えている方も多いと思います。

確かにSNSの普及で自分が探していなくてもネットの方から勝手に動画などの情報提供が行われて見る必要のないものに触れる機会が増えてしまったことは確かのようです。

ひとつの情報をクリックすると新たな情報が流れ込んでくる、それが「犬がこんなにひどい扱いを受けています。」という情報だとすると、精神的に苦しくなってしまうことも当然のことです。

私も毎日こうして犬のことを書いているわけですから、ネットの方から「犬について」の情報提供を受けることがあります。

しかし多分ですが大きく違うのは、私の場合には犬のことをネットで調べたりはしません。

犬の行動について分からないことがあったとして、例えば「犬が尻尾を追いかけているのはなぜ?」と検索することはありません。

犬についての情報をネットの中には探していないので、皆さんほどは情報の波には襲われていないはずです。

なので、ブログを読んで下さっている方とは同じ情報を共有していないということを前提に、以下の意見を読み進めて下さい。

何をもって理不尽な犬の扱いだとするかは価値観の違いが前提にある

見聞きする犬の扱いについて「あまりにもひどい」と思われるものはたくさんあるでしょう。

例えば、保護された動物が殺処分されるという情報、海外では犬が食用として使われているという現実問題、炎天下に隠れる場所もないところにつながれたままにされている犬を見ること…など。

自分にとっては「明らかにひどい犬の扱い」だと思うことも、それぞれの文化や価値観の中では正当だとなっていることがほとんどなのです。

犬が食用とされている文化を持つ国は今でもあります。

人に飼われていない犬は世界中にたくさんいて、むしろ人が動物病院に連れていく犬の方が圧倒的に少ないのが現時点での事実です。

世界では今でも多くの犬がごみを食べて暮らしています。

日本にもまだ山の中に暮らす野犬は存在しているし、人の手の届かないところで生きている犬もいます。

ですが逆に、日本では散歩に連れ出すのがかわいそうという理由で家を一歩も出たことのない犬もいます。

多頭飼育の家では数十頭の犬が同じ敷地内に飼われていることもあります。

犬のことを考えて生きている人もいる一方で、人が社会の中心であるという前提をなくしては考えを進めることはできません。

理不尽かどうかをはっきりさせるために法律が存在している。

人が社会の中心になってしまうと、動物の扱いは限りなく闇に近づいていきます。

私たち人間は、自分たちの残虐性を抑えるために「法律」を作っています。

人は地球の知的生命体だと宣言しているのですから、すべての生き物に対してやさしくなければならないという寛容な姿勢を示す必要があります。

特に動物を様々な形で活用している先進国にはこのくくりが必要なので、先進国には「動物の福祉」にかかわる法律があります。

日本では「動物の愛護および管理に関する法律」に記されています。

犬に対する扱いについても、この法律を犯す内容であれば罰則が設けられています。

犬という動物を活用している社会には必須の法律はすでに整えられているのです。

実際のところ、犬の福祉を守る法律は必要であれば各国で準備されています。

一方で、犬の福祉を考える文化が生まれていない国ではまだ整備されていません。

国内においても犬の福祉に関する法律はここ15年くらいで一気に整備が進んだものですが、急速すぎてペットビジネスにかかわる人々は対応が追い付けないほど速度です。

もし「動物の愛護および管理に関する法律」をご存じなければネットで簡単に閲覧できますので一度読んで見てください。

法律の中にはなぜ?と思うこともあるでしょうし、納得できる部分もあると思います。

まだまだ変化する法律ですが、決まってしまうと守らなければいけません。

犬に関する法律が自分たちが知らないところで次々と改定されているという事実もほとんどの方がご存じないと思います。

法律では語れない犬の扱いについての納得のいかないこと

そして最後に、みんなが感じているもやもやはこの部分にあると思います。

犬が汚れるからという理由で散歩に連れ出さなくても法律に触れることはありません。

犬という動物の習性を満足させることが法律には記されていますが、習性の具体的な部分には触れられていないからです。

犬が散歩中に靴を履いているのを見て、驚く人もいれば逆にやさしい飼い主だと思う人もいます。

犬という動物に対する価値観が非常に幅広く広がってしまい、まったく意見の合わないこともたくさんあるのです。

犬を毎日シャンプーさせることを犬に対する思いやりととるのか、行き過ぎているととるのかもその人の価値観が入ります。

なんにしても、前記の「犬の習性」を元に話さなければいけないのですが、まだまだ「犬の習性」は明確には語られません。

科学的には証明されていることがたくさんあるはずですが、都合の悪いことを封印するのが人間ですからなんとなく曖昧にされてしまっています。

犬の幸せのためにできることを考えるなら、犬の習性について学ぶ価値がある

だからこそ、犬の習性について学ぶ価値があるのです。

この学びは、他人の行いを非難するためのものではありません。

誰かを訴えるためのものではありませんが、法律を作る際にはきっと役立つと思います。

そして、何よりも大切なのは「最も身近な犬が必要としていることを知ることができる。」ことです。

犬に対する扱いについて理不尽だと思うことがネットの情報ではなく目の前に繰り広げられていると最も感じているのはおそらく私の方です。

人間が犬に対してしたいと思う欲求と、犬が必要としてることがかみ合っていなくてたくさんの問題が犬に生じてしまい、それが犬の問題行動となってしまうからです。

毎日の街中を散歩する犬の姿を見て、たくさんのストレスを抱えて歩いている犬の行動や表情を見て辛くなっているのは私の方です。

しかし、私は自分の感情をあまり押し殺したりはしません。

その感情は、自分が犬の生活が改善するために、犬たちが犬として生きる機会を持つためにできることはこうして仕事を続けることで解決されています。

そうした場が自分にあることを感謝したいと思います。

またそうした機会をたくさんの生徒さんにいただいていることをありがたく思っています。

歯がゆいと思うのは、使いすぎた自分の手首が思うようにいかないことです。

この数ケ月は腱鞘炎に悩んでいまして、動きが思うように取れないことが悔しい限りです。

でも、私にたくさんの難問をぶつけてくれるグッドボーイハートの生徒さんたちがいる限り大丈夫です。

これからもたくさんみなさんと議論をして本当の犬とはどういう動物なのかを楽しみつつ見つけていきます。

人を変えることなどできません。変えられるのは自分だけです。


 

Posted in 犬のこと

はじめてのお預かりクラスで犬の性質を探るヒント・自然環境にどのように反応をするのか

今はお預かりクラスを初めて利用する1歳未満の犬たちの観察に追われています。

はじめて自宅を離れて家族と離れて過ごすこと、場合によっては大人の犬といっしょになることもあり、まだ成熟していない犬たちの行動には成長期にみられる性質の特徴を見ることができるので毎回楽しみにしています。

お預かりクラスを利用したときにどの犬といっしょになるのかということも犬の行動に影響はしますが、犬の性質は変わらないのですからどんな部分が見え隠れするのかという程度です。

一緒になった犬が何歳なのか、どのくらいの預かり経験があるのか、その犬の性質はどうなのかということもはじめて預かりクラスを利用する犬の行動に影響を与えます。

たくさんの情報が知りたいという気持ちと、犬に負担をかけすぎてはいけないという気持ちが行き来しながら対面をさせつつ行動の変化をうかがっています。

自宅では自由気ままにわがままいっぱいで怖いものなしのように振舞っている犬が、預かり場所ではキョロキョロ、おどおどしているのは珍しいことではありません。

特に室内犬の場合には、だれにも襲われることのない安全かつゆるーい空間にいるのですから、七山の山の中の環境に置かれるだけでも犬にとっては驚くことがたくさんあります。

特にこの季節は蜂がぶんぶんと頭の上をよく通過するので、私もときどき大きな蜂の羽音に座り込むことがあります。

昨年、スズメバチに刺されてから少し敏感になっているかとは思います。

室内で暮らす犬にとって、休んでいるときに頭上にまで配慮しなければいけないという環境はありません。

犬はお気楽に慣れすぎてしまいあまりにも無防備かつ無知にもなっているような気がします。

自然の中とか犬にそんな怖い思いをさせるのはかわいそうだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、キングギドラが頭上から舞い降りてくるわけではありません。

犬という動物であればみんな出会う可能性がある小さな生物が空を飛んでいたり地面をはっていたりするだけのことです。

そんなことにびっくりして自分のクレートに戻っていこうとする犬も珍しくありません。

しかし、最初はおどおどしているはじめてのお泊り犬たちも数日を過ごすようになるとたくましく変化していきます。

「そうだわたしは犬だった」と気づいたかのように、飛んでくる虫にカツリと威嚇をしたり身をかがめて隠れたり、地面を動く虫に気を奪われなくなったりしていくのです。

これは犬の野山に対する社会化というものですが、本当であればコンクリートよりも先にこちらの社会に社会化させることが大切です。

なぜ大切なのかというと、犬の脳の発達はそのような仕組みになっているからです。

続きはまた。

 

はじめてのお預かりクラスでクレートから世界をのぞくグリーズちゃん

Posted in クラスのこと, 犬のこと, 自然のこと

都市と田舎を行き来する生活で学ぶこと。

新しい生徒さんに必ずといっていいほど聞かれる質問。

「いつもはどちらにお住まいなんですか?」

どちらにというのは、福岡なのか七山なのかということです。

毎回答えに詰まりますが、住まいは福岡、スクールは七山なのです。

犬のお預かりクラスやトレッキングクラスのある時は七山にいます。

季節にもよりますが半分は七山にいたいと思いつつも、訪問レッスンが増えると福岡に滞在します。

都市空間と自然の真逆の環境を行き来しているのは仕事の為に結果としてそうなったというこですが、今のところこれが理想的ではないかと考えています。

同じことを早くから実践して薦めているのが解剖学者の養老孟司先生です。

知識だけでなく人格者としても尊敬する先生が薦めて下さる生活なので、自信をもって人にも薦めています。

すでに田舎に育ちそこにコミュニティがあり家族がいて生活が成り立っている方は、わざわ都会で暮らす必要はありません。

行き来しなければいけない自分などは、仕事にために都市に行く必要があり、また大家族というコミュニティを持たないために孤立怯えるからです。

都市空間で育った私が自然環境に出向くことになったのは犬のためです。

知識で学んだわけではありませんが、オポ連れて山や海に出かけることは「オポ」にとって必要なことだと思っていたからでしょう。

この事を誰からも教えてもらったことはありあません。

言葉では伝えくいことですが、一度でも犬と山で遊んだことのある人なら、山の空間の中で広がっていく犬の感性というものがあることに気づくはずです。

犬何を必要としているか?を常に考えているわけですから、この気づきは当然のことでした。

話を元に戻しますが、この都会と田舎を行き来する生活について薦めている養老先生も、これを人にすすめると贅沢だと言われると話されていました。

お金があったらできるんだけど、ということについては、実際にはお金があってもしなものですよね。

自分にとっての必要性の最重要項目にならなければ、人は環境を変えられないものです。

その都会の生活の中で犬たちがストレスを抱えています。

福岡市内はもちろんのこと、福岡の新興住宅地も都会の付属品です。

ストレスによって犬に起きているのは問題行動ばかりではありません。

歪みなら修正が効きますが、障害となると時間がかかります。

欠損となると回復は難しいものです。

犬の脳や精神が壊れる前に、犬を自然環境で過ごさせましょう。

福岡の新興住宅地も都会の付属品です。

飼い主さんができないということで、お預かりクラスもやっています。

行き来には労力もかかりますが、犬に必要な事を提供するためならまだまだ頑張ります。

山で遊ぶ金太郎くん

Posted in 犬のこと, 自然のこと

犬用フレキシブルリードの正しい使い方

街中でフレキシブルリードを使って散歩している人をよくみかけます。

フレキシブルリードとは、巻尺のように長く伸びるリードです。

フレキシブルリードの使用目的は、広場などの広い場所で犬と歩くために使用する道具です。

「広い」という意味にそれぞれの価値観が入ってしまいます。

私の価値観では30平方メートルの見晴らしの良い場所で誰もいないときなら。

さらに、フレキシブルリードは長さが5〜8mありますので、その範囲であれば呼び戻し「おいで」の合図に応じることが使用の条件です。

犬の呼び戻し練習のためにこの道具を使うこともあります。

*クラス生のみなさんは段階になったら説明しますのでそれまではお待ちください。

フレキシブルリード使用時に犬に伝える指示は「フレキシブルリードの可動領域内で活動すること、ただし合図があればすぐに応じること」です。

フレキシブルリードの使用時に、オスワリ、フセ、マテ、ツイテ、トマレ、オイデなどの活動の指示に応じて行動できるように教えます。

犬の全てのリードは、犬の活動を制限するものではなく、犬に活動の機会をあたえるもにです。

しかし、多くの犬の飼い主はできないことに制限をつけるためにリードを使用しています。

結果としてできることは広がらず制限は増え続けます。

犬を理解して道具を正しく使ってトレーニングすれば、出来る事は増えて犬の生活は楽しくなります。

フレキシブルリードを正しく使いましょう。

短く制限しても移動のルートでは役立ちません。

何故でしょう。ここは宿題です!


 

 

 

 

 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

飼い主が犬を厳しくしつけることができない本当の理由とは?

犬のしつけ方を教えてもらっているというと「犬がかわいそう」と言われたことがあるという生徒さんがいらっしゃいました。

おやつなどの食べ物を与えるために犬に「お座り」や「伏せ」をさせることはかわいそうだと思わない一般の方も、「待て」や「飼い主について歩く」などのしつけについては「犬がかわいそう」と思うらしいのです。

私は自分の愛犬だったオポにオスワリ、フセ、マテ、ツイテ、ベッドなどの合図を使って指示を出したのを見た人に「オポがかわいそう」と言われたことはありません。

むしろ「おりこうさんですね。」とか「さすがは先生の犬ですね。」といわれることばかりでした。

この差を考えてみたのですが、オポは嫌々従うようなしぐさを見せることはありませんでした。

むしろ「当たり前」に私の指示に従ってヘルプをしてくれました。

もしかしたら他人に「犬がかわいそう」と思われている犬は、できないことをできるようにさせる段階であるのかもしれません。

しかし、その奥にはもっと深い理由があるのです。

しつけをする犬がかわいそうだといわれる理由は、飼い主さんが犬に対してきちんとしつけをすることに対するかすかな抵抗があるからではないでしょうか。

かすかな抵抗とは、もっと犬を甘やかしたいという自分の欲求を抑えているということです。

育てるという関係の中には、厳しくするのか、甘やかすのか、常にその間を行ったり来たりすることがあるのは、犬育ても子育ても変わりはありません。

子育てに対しては、子供の将来の成長のために厳しくしつけをしたという飼い主さんも、犬くらいは甘やかしたいという気持ちになることがあります。

たかが犬なんだから別にいいじゃないかという緩い気持ちでいたいのでしょう。

ところが犬も、正しく厳しく愛情をもってしつけをされた犬はストレスに強く能力も発達するのですが、逆にごまかしと甘やかしの中で、ナデナデしながら好きなようにさせてきた犬は大変ストレスに弱くなります。

ストレスに弱くなった犬の中には吠える噛みつくといったストレス行動が増えてしまい結局トレーニングとして改善しなければいけない状態になるケースもたくさんあります。

しかし中には、ストレス状態であるけれど犬が自分の体をなめたりアレルギー体質になったり、飼い主に付きまとったり、留守中にイタズラをする程度の場合もあります。

それでも、この甘やかされて育った犬は、社会的にとても弱く他の犬との豊かなコミュニケーションができるような生活を送ることはありません。

そしてそもそもそのような犬は、犬自身がストレス状態を抱えているという事実をきちんと見つめてあげてほしいのです。

 

私自身もある程度は厳しく育てられたと思っています。

周囲の友達と比較していろんな規則が多くそれを守らることを求められて育ちました。

ただ大人になって厳しく育てていただいたことを両親に感謝しました。

社会活動の中で起きるたくさんの困難を超えながらこうして仕事を続けて来ることができたからです。

だから私も犬を厳しく育てることに対しての抵抗はありません。

むしろ「犬を規律正しく厳しく愛情をもって育てること」が犬を本当に愛することだと思っています。

厳しく育てるというのは体罰のことではありません。

犬ができるようにたくさんの時間と労力と根気強さを使って、向き合い続けることを言います。

弱い犬はすぐに吠えたり逃げたり噛みついたりしようとしますが、それがなくなるのもこちらの態度次第です。

あなたのことを心から思っている、だから私はあなたに厳しくできるのだと思えるようになれば、犬は必ず変化していきます。

なんども書きますが、犬は本当にすばらしい動物なのです。

規律正しく厳しくできることを増やしていき、境界線を守るルールを徹底させて下さい。

愛をもって厳しく育てられた成長した犬は豊かな社会生活を送るでしょう。

Posted in 犬のこと

犬と犬のコミュニケーションを学ぶ。犬と犬の対面クラスを開催しました。

プライベートクラスを利用して七山で犬と犬を対面させるクラスを開催しました。

お預かりの犬たちが数頭いたこともあり、いろんな組み合わせでの対面ができました。

犬と犬の対面のクラスとはどのようなクラスなのか?

犬と犬の対面とは、犬と犬を会わせるということです。

リードつきで対面させることもあれば、リードを外して対面させることもあります。

犬の状態によって変えています。

リードをつけた犬と犬の対面について

リードを付けた状態で犬と犬を近づけることは、お散歩ではよく見かけられるリードを近づける行為になります。

日常の散歩ではリードを付けたまま知らない犬に近付けさせないようにお願いしています。

リードをつけた対面には特にやり方によっては犬にストレスを与えることや、トラブルの危険があることがあるためですが、飼い主さんにやり方を覚えていただくことで犬のあいさつを上手に進められるようになることもこのクラスの目的です。

次に犬と犬を対面させると、犬と犬の間でコミュニケーションが生じます。

その行動を読み取ることで、お互いにどのようなコミュニケーションをとろうとしているのかを学びます。

2頭の犬の間で起きている「犬語」を読み取るクラスです。

リードつきで対面させる時間は短ければ数秒、長くでも数分程度でそれ以上はありません。

対面の状態によってはオフリードでの対面に切り替えていきます。

リードをつけた犬同士の対面で飼い主が学ぶこと

また、リードがついているということは、リードを少しフリーにしたとしてもそこにリードを持っている人とのコミュニケーションも発生しています。

他の犬に近づいてよいという合図がリードで送られる、同時に他の犬に対して行動を起こすときには犬の方からリードを持つ人に対してどのように行動すべきかという逆の合図もあります。

リードをつけて犬と犬を対面させるためには、リードを通して犬と会話ができる技術も必要です。

リードをつけた犬が散歩中に他の犬や人に対して近づこうとしたり走り出そうとしたりしたあとに起きる行動をみたことがあるでしょうか?

他の犬や人に対して興奮しやすい犬、かつリードをつけて飼い主とグループ行動ができない犬は、この興奮した対面行動によって社会性を落としていきます。

犬と犬をリードなしで対面させることの危険性とメリットとは

オフリード(リードがない状態)で対面させる場合は、オンリード(リード付き)での対面が上手くいった場合のみです。

同時にオフリードで人の合図に従わなければいけません。

何らかの方法で人が犬の首輪を持てる状態になることを前提としてオフリードで犬と犬を対面させます。

オンリードでは対面が難しい犬、またオフリードでは飼い主がコントロールできない犬をドッグランなどの囲いのある場所でフリーにする状態で対面させると他の犬に対する社会性はどんどんと落ちてしまい、他の犬に吠える怯える行動が増えていきます。

逆に、飼い主もしくは誰かが犬のコントロールができる状態で犬と犬の相性があう状態ではオフリードで対面させることでコミュニケーションはすすみ関係性も進みます。

結論になりますが、結局飼い主は犬をリード上で信頼関係をつなげるようになること、リードなしでもお互いの役割を果たせるようになることが犬の世界を広げるということです。

プライベートクラスでの対面クラスは、グループクラスで相性のよさそうな犬の飼い主さんにお声かけして開催することもあります。

まずはリードをつけた散歩の練習からしっかりとがんばりましょう!


 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

犬は違いを見分けるのが上手。“わたし”に特別待遇をしてくれるたくさんの犬たちについて。

犬の行動について説明をするときは、実証されていることの積み重ねで行っていきます。

たとえば、犬が吠える行動をしたときには、いつ、どこで、誰に対して、どのような声で、吠えるのかという情報をできるだけ詳しく把握します。

その中で、「吠える行動」にどのような意味や目的があるのかを推測することで、犬の行動から情報を得ていきます。

ところが、それがたまに特定の人に対してだけ他の対象とは違う「反応」を示すことになります。

今回の話は、犬が他の人にはしないのにわたしに対してだけする行動がとても多いというなぞについてです。

「わたし」に対してだけ違う反応をする犬の例

家庭訪問レッスンの回数が進んでくると、犬はわたしが訪問したときには特別の態度で迎えてくれるようになることは今までにもお話しました。

それは、わたしが特に犬に対してすごく訓練をしているわけではないのにです。

家庭訪問レッスンの目的は「飼い主に対する指導や説明」ですから、簡単なリードの持ち方や多少のやり方をアドバイスする程度で、基本的にはあまり犬に直接的に接しないようにしています。

それでも、家庭訪問レッスンに行ったときのわたしに対する犬の反応は、他の一般的な来客に対する反応とは違う場合がかなりあります。

回数が進むたびに飼い主がいう「いつもはこんなじゃないんです。」のセリフ。

レッスンを受講されている生徒さんたちはこの行動の変化を見ることになります。

はじめての「わたし」との対面でも他者とは違う行動をする犬たちのこと

その違いもいろいろありますが、「こんにちは。」と部屋に足を踏み入れたときにいつもの来客とは違う行動をする犬もいます。

いつもは飛びついていく犬が後ずさるとか、

いつもはそんなに吠えないの、吠え続けるとか、

逆にいつもは近づかないのに近づいてくる犬などいろいろです。

はじめてでも直接対面のときにはわたしの服についている他の犬の匂いや、バッグについている古い犬たちの匂いなどがありますから、「普通ではない」と犬が違いをかぎ取ることがあるでしょう。

しかし、匂いを嗅ぐ相当前から反応をする犬もいるのです。

インターホンを鳴らしたときに「わたし」に対して特別の行動をする犬たちのこと

玄関を入ってもいないのに、まだ一度もあったこともないのに他者とは違う行動をした犬たちもいます。

一頭ではなく数頭、こうした犬がいました。

はじめての訪問カウンセリングのときに、玄関のインターホンを鳴らすと部屋の中から「ワンワンワン」と声が聞こえてきます。

よくあるインターホンに対する吠える行動なのだろうと思い戸口を開けると、犬はかみつきそうな勢いで戸口の前まできています。

「すみませーん。リードをつけていただけますか?」というわたしの声に、びっくりしたようにリードを準備する飼い主さん。

ようやく部屋に入ることができたのですがワンワンと吠え続ける犬にリードをつけて持っている飼い主さんと大声で会話をした結果わかったことは「今まで他人に吠えたことはないんです…。」ということだったのです。

そのときにもこのような例はよくある行動だったので、わたしの方は「そうなんですね、よくあることですから。」と受け流しました。

この犬のように特別な反応をする犬が他にもいます。

わたしのインターホンにだけ吠えてくれる犬について

上記で紹介した犬に似ているのですが、別の犬ちゃんはわたしがインターホンを鳴らしたときだけ吠えてくれます。

宅配のときも友達のときも来客のときも、マンション下のインターホンにもドア前のインターホンにも一切吠えないのに、なぜか「わたしのインターホン」にだけ反応してくれます。

吠えるという行動なので「警戒」であることは間違いありませんが、わたしにだけ反応してくれるわけです。

こちらは過去にもこうした例があったので、何かが違うのだろうなと思うのですが、わたしが見えてもいない状態で「わたしのインターホン」だけに反応するわが犬が何を察しているのかを一番知りたいのは飼い主さんの方でしょう。

もちろんわたしも知りたいです。

わたしが他の人と違うのは何なのか?

いつかそんなこともわかるようになりたいです。


 

 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

犬の多頭飼いで2頭目に子犬を迎えるならいつ頃がベストなのか。

「先生、子犬を飼いたいんですけどいいですか?」

推定7歳になる犬とトレッキングクラスに通っている生徒さんからの突然の質問でした。

今まで、7ケ月くらいの犬や3歳くらいの成犬を保護犬として迎えて育てて来たけれど、一度も子犬を育てたことがないので一度は子犬を迎えたいということでした。

先住犬と4年ほど暮らしているので、おそらく推定ですが7歳くらいか。

そうなると子犬を迎える時期は、このコが旅立ったあとに迎えるか、もしくは今迎えるかのどちらかになります。

先住犬が10歳にもなってしまうと活動力が落ち、子犬に対応する体力も気力もなくなります。

先住犬は社会活動を縮小しようとするのに対し、子犬は成長と共に社会活動を広げることになり、共に活動することが難しくなります。

これは、犬との活動場所のほとんどが室内だという飼い主にはどうでもよいことです。

でも、先住犬と毎日山歩きをしているような彼女には重要なことです。

「子犬を迎えるなら今…ですね。」

多頭飼いを始めるために必要な環境とは

多頭飼いとなると他にも考えなければいけないことがあります。

・生活上のスペース

犬と人が生活をしているスペースが十分にあるのかという問題です。

室内でそれぞれの犬ともちろん人も休める広さがあるのか。

庭に2頭の犬がお互いにリラックスできる広さがあるのか。

2頭の犬を別々に散歩に連れていくこともあれば、場合によっては2頭をふたりで、もしくは2頭をひとりで散歩にいくことになるかもしれません。

車に乗せるなら、2頭の犬をのせて移動ができるのかどうか。

・物質的な問題

2頭の犬を飼育するための資金が確保できるのか。

2頭目を迎えることで先住犬の生活の質が落ちるようなことはないか。

動物病院に連れていく資金があるのか。

子犬のトレーニングクラスのための資金があるのか。(※重要!)

・時間の問題

留守番を数時間程度にとどめられるほどの時間的余裕があるのか。

・家族の問題

小さな子供やお世話の必要な家族などにかかわる時間や労力を減らすことなく子犬を飼えるのか。

・社会性の問題

先住犬は子犬を迎えられるほどに精神的に成長しているかどうか。

先住犬は子犬の社会性の発達を阻害しないような安定した性質であるかどうか。

先住犬は子犬が成長して多頭飼いとなった場合、今よりも豊かな社会生活が送れるのかどうか。

そのような柔軟性のある子犬の確保ができるかどうか。

 

考えなければいけない問題がたくさんあります。

先住犬のいる環境に子犬を迎えて多頭飼いを始めたいとなると、最初の条件をクリアした上で迎えて下さい。

「子犬を迎えるなら今…」と思い悩んでいたような生徒さんですが、翌日になると「子犬を見てきました!」とラインで報告がありました。

思い悩んでいたように見えたのですが、すでに子犬を迎えることは決まっていたようですね。

子犬は先住犬と共にスクスクと成長しています。

新しい子犬が来たことで、先住犬も成長する、飼い主も成長する、飼い主の家族も成長する。

家族が豊かになりその成長が周りの人々へも影響を与えていく。

これが多頭飼いの目指すところではないでしょうか。

子犬くんはそろそろトレッキングデビューしそうです。


 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

山のお預かりクラスで犬の社会化が進むのは安心できる場所、管理と時間があるから。

お預かりクラスを繰り返しご利用いただくたびに、犬の行動に変化が訪れてくるのを見るのが毎回楽しみです。

七つの山に囲まれたこの空間の中に、飼い主から離れて過ごしている犬。

最初は不安を抱えている犬も、繰り返しお泊りに来てくれるようになることでここでの過ごし方に馴れていくようです。

特に「おひとり様お預かりクラス」の場合には優雅にテラスを独り占めしています。


写真の中に犬ちゃんの姿は見つかりましたか?

ひさしの向こう側の下あたりにチワワちゃんが休憩しています。

テラスの上で、周囲見張っていたり休んでいたりしながら一日をゆっくりと過ごしています。

寝ているようですが、たくさんのものを感じています。

空気の流れ、その流れにのってやってくる匂い、太陽や雲の動きで変わる気温、湿気と風、鳥たちの声、川の流れる音、草のふれあう音など。

この中心的テリトリーから出るときは、私と共に広場や散歩やトレッキングに行くときです。

戻ってくると、ここが自分の居場所とばかりにすぐにお庭に入り、テラスの上や草の中にある所定の位置にむかいます。

寝場所はドアの内側にあるクレートの中。


クレートカバーの隙間から撮影したけれど起きてしまいました、ごめんなさいね。

クレートの中は犬にとっては巣穴なのでここには外敵は入ってきません。

ゆっくりと丸まって頭を休めて、そしてまた外で見張り番をしています。

この小さなチワワちゃんを空からみたらどんな風景なのか。


グーグルマップの航空写真でみたらこんな感じです。

ブルーの丸印がチワワちゃんが休憩しているテラスですね。

周りは緑に囲まれた山です。

都会のマンションの中と比べるとやっぱり環境が大きく違います。

犬にとっての楽しみや幸せは、オヤツを食べることやドッグランで走り回ることでは全く物足りないと考えています。

犬にとっての充実した時間は、犬としての時間を持つこと。

それがこの風景の中に自分の居場所を持って役割を果たし、心地よく一日を終えることなのです。

犬たちがこうして過ごしてくれるから、テラスの片づけも頑張らなければ!


 

Posted in クラスのこと, 犬のこと, 自然のこと