トレーニングにはいろいろな方向性や仕組みがありますが、グッドボーイハートで一貫してお伝えしていることがあります。
それは「犬は犬であるということ」を忘れないで欲しいということです。
当たり前すぎることなのですが、これが当たり前になっていないから人と犬との間にいろいろと行き違いがあるのです。
犬は犬のことを犬だと思っています。当たり前なんですが本当にそうです。
さらに当然のことですが、犬は犬のコミュニケーションで会話します。
だからタロウという犬に花子という犬が飛びついていけば、タロウは当然逃げるか構えるか、もしくはガルルと威嚇するなどして自分を守るでしょう。
花子に飛びつかれたタロウは「わたしが好きなのね、お利口さんね」といって抱きしめたりはしないのです。
でも花子に飛びつかれた人間の飼い主は「私が好きなのね。」といってコミュニケーションが始まります。
犬のとびつく行動は興奮している状態なので、上手に交わしてくださいねとお伝えすると、こんどは飼い主側が「どのように接していいかわからない」といいます。
犬が落ち着いてるのであれば、ただいま、と声をかえていいし、おりこうさんねと微笑みかけても全然構いません。
犬たちが留守番のあとなどにとても興奮してしまうのは、やはりひとりぼっちで、もしくは多頭で、もしくは閉じこもりがちの生活の中で何か不安な部分があるからなのです。
ひとりで生活空間から出ることができない、ひとりではゴハンも食べられない、ひとりでは逃げることもできない、そんな生活をしている犬がいつもストレスフリーであると考えることはあまりにも楽天的です。
人と犬の関係がある程度落ち着くまでは、犬が興奮しているときにいきなり抱きしめたり抱きあげたりほおずりしたりはしないので欲しいのです。
かれら犬がいつでも「落ち着いて人と接する」ことができるようになるまで、それほど時間はかからないはずです。
といいたいところですが、最近は繁殖犬の経験値が低いことが影響してか、人に興奮しやすい犬が増えてきました。
親犬もまたその親犬も犬舎で人とは隔離されて生活しており、人のことをあまり理解していません。
人と暮らしてきた経験も社会的な活動もほとんどもたない繁殖犬が多いのです。
そんな繁殖犬から生まれた子犬たちに人との暮らしを学ぶのに急がせるのはフェアではないと感じます。
ですがトレーニングでいろいろとお伝えするには時間制限もあります。
できるだけ長く細くトレーニングを続けていただき、犬の成長や変化をゆっくりと見守ってほしいのですが、人は何かと急ぐものです。
グッドボーイハートというドッグスクールは、どちらかというとじっくりとゆっくりとお付き合い下さる方に向いています。
犬と共に飼い主としても成長したいと思われる方にはもってこいのドッグスクールです。
犬のことを学びはじめて30年以上になりますが、この私でもまだまだ毎日が学びの日々です。
犬の学びは私たち人間についての学びでもあることが面白いところです。
犬について人についてまだまだじっくりと学びます。
きっとボケるまでそうしているかなと最近思うようになりました。