グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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笹林と戦う日々に寄り添うヤギのゼットのいろんな不思議行動。

引き続き、笹林と戦っています。

草刈バサミ、チェーンソー、エンジン草刈機、電動草刈機、バールとありとあらゆる文明の利器?を使って山の学校の笹林を刈り続けています。

笹林と向き合い奮闘していると必ずやってくるのが山羊のゼットです。いつも気づくと足元に来ているので、どうやって笹を払っているのにゼットが気が付くのだろうと不思議でなりません。

ゼットは、草刈鋏を持って笹を刈っている私にまとわりつきながら笹や笹にまきついた大好物のカズラを食べています。笹を刈っている私の足の上に自分の脚をのせたり、私の体に自分の体を接触させたりするのは偶然ではないように思えます。

擬人的に見れば、自分の食べ物だからとったらダメという感じの攻撃なのかと思うのですが、止めさせたいなら体当たりするとか頭突きをするとかもっと有効な攻撃の術を彼女は知っています。

止めさせているのではないと思う理由のひとつは、笹林を刈り終えて休憩に入るときにはいっしょにその場を離れてテラスまでついてきます。テラス近くで別の方向へ向きを変え姉妹山羊のアールのいる場所に戻っていきます。

なかなか山羊の頭になって考えることができないのですが、共感性という能力からすると草をとるという作業を一緒にするというところにはまっているのではないかとうことです。

ゼットが私と共感する時間を大切にしてくれているとすれば、本当にうれしくありがたいことです。実際にひとりで笹林と戦っている時間はとても孤独です。草刈とは違いやってもやっても1メートル進むのがやっとなので、敵が巨大すぎで気持ちが折れてしまいそうなのです。そんなときに、ゼットという仲間がいることで精神的に支えられています。

小さな子山羊を迎えたのは昨年の7月でした。山羊たちがここにきて1年が過ぎて、笹をきれいに食べてくれるアールとゼットにとても助けられています。他にも犬たちの相手をしてくれたり、ゲストのおもてなしをしたり、私の笹刈のサポートまでしてくれてありがたいことばかりです。

そして、楽しいことは他にもあります。

先日、生徒さんが柚子の苗を持ってきてくださいました。草刈作業を手伝って下さったときに誤って柚子の小さな苗を切ってしまったのでお詫びに、ということでした。

誤って切るのは誰にもある間違いですが、ご厚意なのでありがたく受け取りました。

この柚子の苗を植えようと準備をしていたとき、カサカサという音に振り返るとすぐうしろにゼットが立っていました。柚子の苗の柔らかい葉を狙っているのです。苗を植えるために穴を掘っていると早速ゼットが柚子の葉を採ろうと急接近しました。「ゼット、これダメよ」とゼットを払いのけると、いつもの小さなベーといって後ろに下がりました。

山羊たちにやられないようにと網の枠も準備して挑んだ苗木を植える作業、穴を掘ったあとにしゃがみ込み苗を穴の中にいれて苗の根をほぐしていました。そのときです。

私の背中にどーんとふたつの脚が乗りました。ゼットです。

ゼット痛いよ、と叫んでも私の背中に乗ったままです。近くにいたお手伝いのトシちゃんがゼットを払って助けてくれました。

20キロ近くあるうえに山羊の蹄が背中にあったので痛かったのですが、それ以上に「なぜそれをする?」という疑問が湧いてきました。

ゼットが食べようとした柚子の苗を守って私が植えた。そのときにゼットが私の背中に脚を乗せた。どうみてもこれはひとつの攻撃です。

動物と過ごす楽しみは、たくさんの生まれてくる「何故」です。

山羊を飼っている知人も近くにいないし、山羊のことを全く知らずに迎えたので、いろんなことに「何故」が生まれるのですが、特にゼットの場合には謎だらけです。

いろんなコミュニケーションを見てきたので、ゼットは相当コミュ力が高いものと思われます。そんな動物と暮らす楽しい何故があるから、やっかいな笹林との闘いも続けられるのかもしれません。

そういえば、最近になってヒゲが生えてきたゼット、女子なのにヒゲが生えるなんてますますゼットくんと言われるようになりそうです。ちなみにアールには生えていません。話題を提供してくれるゼット、いつもありがとう。

髭が出てきたゼット

Posted in 山羊, 未分類

脱走したアールのルートを特定。動物の行動観察に思い込みは禁物。

先日のブログ記事「ヤギたちの飼育小屋をめぐる様々ないきさつと事件から学ぶ動物のこと」の後編です。

 

柵から脱走したアールの脱走ルートを探る

新しいヤギの小屋を囲む柵から脱走を繰り返すアール。

脱走を阻止するために柵を強化するわたしたち管理者(私とダンナくん)とアールの戦いを終わらせるために、脱走ルートを特定することになりました。

最初はゼットを柵の外に出してアールを柵の中に入れればそのうちにアールが脱走するはず、という作戦を立てました。

柵の中のアールの様子を少し離れて見守り続けましたが、アールは脱走を実行しません。

犬であれば人から観察されている気配を察知すればおとなしく、人の気配がなくなってからルールを破るということはよくあることです。

ヤギが犬ほど賢い動物なのかは不明のため意外と簡単に脱走するのではないかと軽く考えていましたがヤギも警戒はしますので、このトラップ作戦が成功するには時間がかかりすぎると考えて断念しました。

次の作戦は道具。人間の素晴らしいところは様々な道具を開発して使えることですからこれで動物との闘いを終結させます。

今回は野生動物の行動を知るために活用している録画機材を使用しました。

昼に設置して3時間程度でちりんちりんという鈴の音がします。アールのつけている鈴の音です。

見に行くとアールが柵の外に出ていました。作戦成功。

録画を解析すると、なんとアールは柵の下をくぐって外に出ていることが分かりました。

 

思い込みが解決を遅らせるという基本に戻る

アールの脱走で柵を強化するために柵の上を高くすることに集中してしまいました。

柵を飛んだかくぐったかを話し合った結果、飛んだ可能性が高いと思う理由があったのです。

理由1、アールは脱走しているのにゼットは脱走していない。

くぐったのであれば、なぜアールは脱走したのにゼットは脱走しなかったのだろうか。

アールがくぐったところからゼットがくぐろうとして鳴いているという行動はありませんでした。

アールが脱走したあともゼットは小屋の中から動いておらず、うろうろする様子もありません。

犬だったら、どちらか1頭がくぐれば残された1頭もくぐろうとするはずです。特に2頭が常にいっしょに活動する群れ状態であれば行動を共にしようとするために残された者が追う行動はでるはずだと考えました。

またアールがゼットよりも4キロほど体重が軽いです。

そもそもの跳躍力はアールよりもゼットの方がある傾向が強かったこともあります。

アールが飛べてゼットが飛ぼうとしなかった、だから柵を飛び越えたのだと仮定しました。

理由2、柵から出たアールが新小屋に戻れずに旧小屋に戻っていた。

4回ほど柵の中から脱走したアールは古い小屋の方に帰巣していました。

脱走したのは人の気配のない夕方以降が多かったことと、雨が降り続いたため脱走したアールもなんらかの形で小屋に戻りたかったのでしょう。

しかしアールが戻ったのは新小屋ではなく旧小屋です。

新小屋を出たのに旧小屋にもどったのはなぜか。

もし柵をくぐったのであれば同じ場所を逆からくぐれば新小屋に戻れたはずではないか。

アールが旧小屋に戻ったのは、柵を超えたからだと考えたのです。

急斜面の山に囲まれた場所ですから、柵を超えた場合に逆から同じ場所の柵を超えようとしてもジャンプする位置は低い場所から高い場所へ飛ぶことになり成功する可能性は低くなります。

そのため、アールはくぐったのではなく柵を超えたのだと考えました。

理由3、思い込みが見方を狂わせてしまう。

動物の行動を観察したり評価したりする過程で一番やっかいなのは「思い込み」です。

動物はこうであるとか、このような行動パターンがあるなどという思い込みが一旦強くなるとそれを強めようとする考えが次々と浮かんできます。

そして、別の行動が起きたという可能性を否定する案も勝手に沸いてきます。

例えば、アールがもしくぐったとしても体があまり汚れていないとか、怖がりのアールがくぐるはずがないといった考えがアールが柵をくぐったのではないかという案を否定していきました。

ところが、動画ではアールが柵を揺らすようにくぐっている映像が撮影されていました。

かなり強く押さなければ通れないような小さな穴をアールは押して通ったわけです。

アールの性質や行動パターンを含めて脱走ルートを考えたはずでしたが結果は負けでした。

行動のパターンや習性は行動を理解したり予測するために十分な武器にはなりますが、思い込みは決して良い結果を生みません。深く反省です。

 

私たちの知らないアールとゼットの関係性

そして、私たちはまだアールとゼットについて十分に知らなことがたくさんあるのだということを教えてもらいました。

いつも共に行動をしているアールとゼットですが、ここ数ケ月はフリー活動するゼットがアールから結構離れていることもありました。

と思っても、アールを小屋に戻すと走ってくるゼット、やっぱり2頭は仲良しなのねと思っていたのです。

しかし、柵を強化させてゼットの待つ新小屋にアールを戻したところ、2頭は激しい頭突きあいを始めました。

アールが柵から脱走したのにゼットがなかなか出ようとしなかった理由は、ゼットがくぐるには穴が小さかったという理由とは別に、ゼットは新小屋を自分のものとするために必要以上に出る行動をしなかったとも考えられます。

2頭は群れであり仲良しであるはずですが、力比べやテリトリー争いには非常に厳しいものがあります。

群れの中の闘争行動はポジショニングのために大切な社会活動であることはヤギでも犬と同じであるということのようです。

ヤギのアールとゼットにいろんなことを学んでいます。

 

動物の行動は、その種の動物の習性を調べたり理解することとは別に、動物と動物の違いと類似を比較することでよりその理解を深めることができます。

ヒト、イヌ、ヤギはみな哺乳動物であると同時に社会性の高い動物であることで似ています。

イヌとヤギは人に家畜化された動物ということで似ています。

「似てる」と「違う」を探す毎日。

動物との暮らしは学びがいっぱいです。

右がアール、左がゼット。新小屋の上で。



でも脱走は困るので、今後はほどほどにお願いしたいです。

頭突きで喧嘩するアールとゼット。



関連記事:ヤギたちの飼育小屋をめぐる様々ないきさつと事件から学ぶ動物のこと

Posted in 山羊, 自然のこと

ヤギたちの飼育小屋をめぐる様々ないきさつと事件から学ぶ動物のこと

ヤギのアールとゼットが今年の4月に1歳を迎えました。

ここ最近、アール&ゼットというヤギたちから学ぶことが多く、一旦ここにまとめ記事として記録させていただきます。

今まで、子山羊たちが毎日草を食べながら成長する姿を微笑ましく見守っていたと言いたいところですが、そんなに平穏なことばかりでもありませんでした。

最初は可愛らしくよくメーメーとヤギらしくないていたのですが次第になくことも少なくなり、今年に入ってアール&ゼットが青年期を過ぎるようになると2頭の活動は日ごとに広がっていきました。


一時期は2頭をフリーにしていてもちゃんと夜になると巣となる山羊小屋に戻っていく山羊たちに「ヤギは案外賢いね~」と関心していたのもつかの間、ついに2頭は彼女たちのメンタルマップ(脳内にある活動マップ)を超えて、七山のこの巣から佐賀大和方面へのガードレールのある車道をまっすぐと進んでいってしまい、たくさんの目撃情報が入ったことで捕獲に行かなければならない事態が起きました。

その後は周囲のご迷惑もあるため慎重にしていましたが逃走の傾向の強いアールの方はなかなかフリーにすることができず、ずっと係留せざるを得ない状態になりました。

色の濃いゼットの方はアールよりも逃走傾向が少なく、明らかに姉妹ヤギであっても資質の違いを感じました。犬に対してもすぐに逃走するアールに対して、頭を突き出して自分のテリトリーを主張するゼットは安定した行動を見せるようになり、その変化についてはまた別の記事としてまとめたいと思います。

結局、ゼットは常にフリーでも逃走することもなく安定した行動をするが、アールは常に係留されておりストレスが強くなっていると感じるいろんなことがありました。

石の上がお気に入りのゼット



アールになとしてでも自由時間を作ってあげたいと思い、ダンナくんともよく話し合って二つのことを計画しました。

プランA⇒今ある小さな山羊小屋は狭くて雨に耐えられないため、新しい山羊小屋を作る。

プランB⇒新しい山羊小屋を囲む柵を作って、アールとゼットをフリーで入れられる場所を作る。

プランは立てたので早速実行です。

新山羊小屋を作るダンナくんとそれを見守るゼット



いつもは計画にものすごい時間を費やすダンナくんですが、今回は梅雨入り前に山羊小屋を完成させるのがプランAの時間制限だったため猛スピードで山羊小屋を仕上げていきました。

プランBの方は私が担当しました。

もともと最初の山羊小屋を作ったときにも小屋を柵で囲ったのですが、なんどか柵の隙間からまだ小さかったアールとゼットが逃走したことがあって柵作りを諦めていたのです。

その後、フリーでも巣となる小屋に戻ることがわかったが逃走が激しくなり係留にいたったため、今回は木の柵の内側にイノシシ用の鉄製の網を張り巡らす二重の柵として作りました。

小屋も柵も完成してやっと2頭を柵の中にフリーいれてホッとしたのが数日前のこと。

ですが昨日、なんとアールが柵を超えて外に出てきたことが数回続いたのです。

アールは夜の間に柵から出て、柵の中の新小屋には戻ることができず、柵の外にある旧小屋で雨をしのいでいたのです。

柵は私が作りました。高さもかなりあるしジャンプ台になる足場的なものも取り払ったはずなのですがどこから出たのかを検証しました。

くぐれる場所はないので、出たとしたら柵を超えたはずだと判断します。

しかもアールが出ているのにゼットは出ていないのなら、ゼットはアールよりも4キロほど大きいので跳躍の高さならアールの方があると思ったからです。

ならばと柵の低そうなところをさらに高いイノシシ網で囲って、足場になりそうな木を撤去して「これで大丈夫ね」と安心して部屋に戻りました。

夕方、雨模様でかなり薄暗くなるとテラスにいた小鉄くんがウーと唸る声、そしてちりんちりんとアールのつけている鈴の音がとても近くに感じます。

「アール出たかも…」とダンナくんと顔を見合わせてしまいました。

下からライトで照らすと、新小屋には山羊の目ふたつ、そして旧小屋に山羊の目ふたつ。

上がゼット、下がアールです。

頑丈につくった柵のどこから出たのか今でも不明ですが、こちらの想像を超える行動をしてくれるアールにしてやられた感じです。

ですがアールの方も出たはいいけど戻れないということで、雨を防げる新小屋に戻ることができず、雨が入ってくる旧小屋にいる選択が不思議でもあり納得いくでもあり、面白い動物だなと楽しくなりました。

アールがどこから出たのか、古畑任三郎さんに聞いてみたい気分です。

Posted in 山羊, 自然のこと

ヤギのゼットが蛇に噛まれて負傷した。自然の中に生命力を感じたこと。

ある日の夕方、ヤギのゼットがいつも出さない声を出しているのを聞いて、ダンナくんが様子を見にいきました。

ゼットは鼻から出血しており最初は何が起きたのか分からなかったのですが、どうやら蛇に噛まれたようです。

激しく鳴き体をゆする様子からして、ゼットに噛みついた蛇は毒を持っている蛇である可能性も高いです。

アールの方は平常なので伝染病ということはないかと思いましたが念のため家畜保健所に問い合わせて状態を説明しました。

獣医師の先生は、蛇である可能性が高いが心配だったら連れて来られたらどうかとのことでした。

自然界に存在する動物から攻撃に対してヤギたちもある程度の免疫は持っているはずですが、「見ていられない」というダンナくんが軽トラに乗せて家畜保健所に連れていき診療を受けて戻りました。

傷を見てもらったところやはり毒蛇、おそらくマムシであるだろうということになりました。

帰宅したゼットはよろよろと自力で歩きながら小屋の中に入っていきました。

それから次の日も次の日もまた次の日も、ほとんど動くことがありません。

2回ほど小屋から出たところで地面に伏せていて、帰るときには補助をしたり。

小屋に自分から戻った様子だが頭を奥に向けたままで、回転できない状態で倒れているなどでした。

それでも時間がたつとなんとか頭を小屋の表側に向けており、ゼットにできるのはそれだけで、もちろん草など食べることなどできません。

マムシに噛まれて動かないヤギのゼット



細い顔が真ん丸になってしまい、目を開けると瞳孔も開いているので黒目が丸くなっています。

「ゼット、大丈夫…」と頭を触っても動くこともありません。

事件があってから3日間全く動くことがなかったヤギのゼットを見守り続けました。

そして4日目の朝、ゼットが小屋から出て草を食べている風景を見ました。

脚はよろよろ、少し収まったかのように見える顔はまだ腫れています。

草を食べていますが上手く食べられないのか食べこぼしたりむしるのにも時間がかかっていました。


それでも淡々と草を食べ続けているゼットを見てホッとし、また偉いなと関心していました。

誰かにすがったり頼っても解決することのない自分の問題を自分だけで抱え、ひたすら耐えて3日間を過ごし、完全いに回復していないのに自力で草を食べ始める。

動物としては当たり前のことなのでしょうが、騒ぐことに慣れている人間のひとりとしては動物の強さを感じる出来事でした。

何としても生きようとする力がこれだけ発揮されるのは、常に自然の中にあっていろんな生き物と対立したり闘争しながら過ごしているから、生きているのが当たり前ではないからかもしれないと思えました。

人に家畜化された動物であるヤギ、でも私たちが与えているのは小屋と塩だけです。

ちなみに、ゼットといつも一緒にいる姉妹ヤギのアールのこと。

ゼットが瀕死の状態にあることでアールも少しダメージを受けるのではないかと観察を続けましたが、アールの方はいつもと変わりません。

ゼットがずっと小屋から出なくても寄り添うこともないし、ゼットに気遣う様子もありません。

山羊たちの間には共感はきっとあるのでしょうが、人のような感情移入がないようです。

この感情移入こそ人と犬の関係を難しくする人の性質ですから、ある程度にとどめておかなければいけません。

ご心配や応援のメッセージを寄せて下さりありがとうございました。

ゼットの完全回復まであと少しです。

マムシに噛まれた後、回復したヤギのゼット



 

 

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暴走する仔山羊のアール&ゼットとの暮らし

山羊の名前にアール・ゼットその由来とは

山羊につけた名前は「アール」「ゼット」。

昭和中期を生きた男性なら聞き覚えのあるRZという単語は、ヤマハのバイクの名称です。

ダンナくんが自分の命の次に大切にしているバイクの名前を山羊につけたのは、RZ同様に大切にしてもらえますようにという私の願いからでした。

ヤマハのRZは今は生産中止となった2ストロークエンジンを乗せたバイクで「白い棺桶」と言われたいたくらい、走り屋にとっては魅力的かつ扱いにくいバイクなのだそうです。

その子山羊のアール・ゼットですが、名前の与えたエネルギーが強すぎたのか、彼らは山の学校で暴走しています。

 

仔山羊にも個性がある。走りのアールと鳴きのゼット。

色の白い方がアールで黒いの方がゼットです。

山羊にも個性があるのですかと聞かれることがありますが、もちろんあります。

姉妹山羊のアールとゼットですが、動きや行動のパターンが違っています。

「走りのアール」と名付けた白い子山羊の方は、小さいころから動きが俊敏でした。

高いところへのとびあがりやすべりやすいべニア板の上でのバランスも、ゼットよりも圧倒的に良く体も軽くうごきます。

「鳴きのゼット」と名付けた黒い子山羊は、引き受けた当初の親を呼ぶ鳴き声がメエーなどといった牧歌的なものとは程遠いギャー鳴きでした。

こんなに小さな体からどうやったらあんなに大きな声が出るのだろうというくらいの大きさのべえーーーーという大音量を発していました。

ゼットの方はアールよりも好奇心が旺盛で、新しいものに積極的に近づきます。

犬たちとの接し方を見ていても、アールは下がりながらですがゼットは前進します。

どちらかを繋いでいるときの行動も違います。

アールを繋いでいるときはゼットはかなり遠くまで離れることがあります。

一度はアールを置いてトレッキングについてきてしまいました。

逆にゼットを繋いでいるときは、アールはあまり遠くまで離れません。

来客に対しても、ゼットは積極的に近づいたりとびついたりすることもありますが、アールはそれほど積極性はありません。

同じ遺伝子を持っていて2頭はつねに離れずに行動をしてきたのですが、こうして性質の違う個体になっていくのですね。

行動だけでなく、体格や表情もそれぞれに違いがあります。

向かって左がゼット、右がアール。後ろにいるのは柴犬の小鉄くん。



 

柵内に収まらず活動を広げるアール・ゼット

最初の2ケ月ほどは逃走を注意して夜も柵内で係留するなどしていたのですが、そもそも敷地が平らでなく山の斜面を囲むようにして山羊スペースを作ったため係留による首つりの事故を大変心配していました。

仔山羊が慣れてきたら柵内にフリーで活動できるようにと簡易の柵を作った上で、簡易柵の周りの強靭な木製の柵をダンナくんが作っていきました。

そして夜は柵内でフリーにするようにしていたのですが、いつも朝になるとゼットが柵の外で散策しています。

アールの方が運動能力は高いはずですが、ゼットの方が頭が回るため柵から出る方法を身に着けたようです。

簡単に柵を超えられるのですが、逆に入るときには入口の方に戻っていきます。

じゃあ出入り自由にしてしまったらいいのではないかという結論に達し、柵の入り口付近を開けたままずっとフリーで活動するようになりました。

完全にフリーで活動するようになって1ケ月近くになりますが、ふたりで出かけていき勝手に戻って休憩したりと昼夜を問わず出入りを繰り返しています。

 

活動の範囲を広げて動くアールゼットに反応をしない犬たち

出かけていく方向が山の方角の時には「いってらっしゃい」と手を振るとふたりでゆっくりと草を食べながら消えていきます。

しかし、問題となる方向がひとつあるのです。

広場前の車道を下道に降りていくアールゼットの姿を見ると捕獲しに行かなければいけません。

車道の前の家はすでに空き家でその空き家の草を食べていることもあるし、お隣さんの庭に入って草を食べているのを発見したこともあります。

道路に飛び出して車が事故を起こしたりと大事になってはいけないので道路方向に行かないようにと常に気をはっています。

山羊たちはわざとではないのでしょうが思ったより静かに移動するため、最近ではカウベルを首に装着しています。

広場前を通って見過ごしたときに犬たちが吠えて教えてくれれば助かるのですが、人には吠える犬たちが山羊には吠えないのです。

犬たちも「あれ~」という感じで山羊が通行するのをじっと見守っています。

むしろ猫や他の動物の方が反応をするのに、なぜ山羊ならスルーするのか不思議です。

私たちがアールゼットを追いかけて制御しているのを犬たちはわりとおとなしくじっと見ています。

人間が制御できる動物だということを犬たちがわかった上で観察を続けているだとすれば、アールゼットに好き勝手させるわけにはいきません。

動画は災害で壊れたテラスで場所取りをするアールゼットですが、テラスの上ではわたしがテリトリーを主張しています。

どんな動物にも居場所取りは大切なコミュニケーションであり関係性を深める機会でもあります。

(動画の中の鼻なき声はこの風景を見ている犬ちゃんの声です。)



山羊を観察するだけでなく、山羊との関係性を深めるためのいろんな活動があります。

犬と山羊を比較しても学ぶところが多いのですが、やっていることはとても役に立ちそうにない大したことのないことです。

そんなことが日常に起きているだけで楽しくなります。

アールゼットの成長が楽しみです。

 

Posted in 山羊

グループトレッキングの開催&仔山羊のR・Zが皆様にご挨拶。

7月10日の災害以来のグループトレッキング開催となりました。

7月は開催を断念したため、尾歩山でみなさんといっしょに山を歩けたことに感無量でした。


豪雨当日の朝のこと、停電して右往左往した時間、土砂の撤去を生徒さんやボランティアさんたちと繰り返した日々が続き、これからどうしていこうかと悩んだことなどが思い出されてしまいました。

土砂はずいぶんと撤去されて生活できるようになっていて前進した方なのですが、地すべりのあったオポハウスの裏の悲惨な光景を見てびっくりされた方もいらしたと思います。

トレッキングコースの方は全く問題はなく、山自体はびくともしていなかったことがわかります。

崩れたのは、道や家や畑を作るために削り取った部分からです。

要するに人が手を入れた弱い斜面が崩れ落ちた部分でした。



何事も謙虚に受け止めなければなりません。

山の気温はかなり低くなっており、不快な刺す虫もかなり減ってきました。

参加してくれた犬たちも、暑い夏を超えたばかりでほっとした顔つきで安心しました。

 

そして、この日は仔山羊のアール・ゼットがたくさんの人に会う日でもありました。

皆さん交代であいさつに上がってきてくださいました。

ワイワイしすぎて写真撮影をするのを忘れてしまいました。

普段は「触ったらダメルール」を徹底させているこの私が、「触ってもいい」と山羊には犬とは別ルールを導入しています。

皆さんが「山羊は触ってもいいんですか?」と聞きながら触っている風景が楽しかったです。


それにしても、人間の数は30名くらいいたのですが、人には全く動じることなく草を食べ続けている仔山羊のアール・ゼットにまた驚かされました。

人には動じないことはわかっていましたが、人だけでなく犬も15頭くらいいたのです。

それでも全く動じることなく、草を食べ続けているのですから…。

オポハウス前の斜面で草を食べる仔山羊を見る犬たちの様子ですが、ほとんどの犬は顔を若干背けています。

仔山羊を直視したり、吠えたりする犬は1頭もいませんでした。

頭数が多かったので山羊に近づけることはしませんでしたが、4~5メートルの距離でも犬たちは顔を背けて直視しません。

擬人的にいうと「見ないふり」ということですが、これもまた犬の社会性のひとつです。

グループクラスに来ている犬たちが山羊を見て興奮したり吠えたりせずに、山羊を見ないふり行動に徹してくれたことは、嬉しいことでもありました。

少しずつ時間をかけて距離を縮めていけたらいいなと思っています。

来月もグループクラスを開催します。詳しくは後日のブログでお知らせします。

Posted in 山羊, クラスのこと

犬たちと仔山羊の楽しい交流が始まりました。

8月4日に生後3ケ月半になる仔山羊のR&Z(アールとゼット)を迎えて、2週間がたちました。

夏休みの合宿中に迎えたこともあり、仔山羊たちを犬に社会化させようといろんな対面を試みています。

それが、楽しくて面白くて、また学びの深いことがたくさんありすぎて、ブログ記事としてまとめる時間が足らないため今回は雑談として軽く紹介します。

仔山羊を迎えるときに仔山羊を繁殖させられた山羊飼いの先輩からは「山羊は犬が苦手だ」と聞いていました。

山羊は散歩している犬を見かけると、避けたり逃げたりするということだったのです。

ドッグスクールにいる山羊なのに犬を子が怖がるようになっては山羊のストレスが心配です。

そのため、仔山羊を早くお迎えして犬に対して社会化させようという計画を立てていたのですが、7月の被災により1週間延長となりました。

しかし「社会化」は後戻りできないのを一番知っているのは私です。結局、待ちきれずに山羊小屋も仮完成のまま、仔山羊たちを迎えることになったのです。

仔山羊たちに最初に対面させたのは、当初の予定通りに小鉄くん(2歳半の雄の柴犬)でした。

預かり経験が豊富で環境にも慣れており、社会性が高く怯えや恐れがあまりない犬であるからです。

仔山羊と小鉄(オポハウスにて)



予想通りではありましたが、小鉄くんは仔山羊を脅かすことなくゆっくりと距離を縮めていきました。

仔山羊と小鉄くん(山羊小屋の近くで)



上の写真は小鉄くんと仔山羊のアールとゼットがフリーの状態ですが、お互いの距離を保っています。

他の犬たちとも対面を練習していきました。

仔山羊とクルルちゃん



仔山羊とアンちゃん



仔山羊と菜々ちゃん



仔山羊のゼットとはるちゃん



仔山羊のゼットときいろちゃん(間にいるのはダンナくん)



こんな感じで対面を重ねています。

白いアールはいつも逃げ気味なのに対して、色の濃い方のゼットは逃げが少なく、一定の距離で相手が戦うシグナルを見せなければ、自分のスペースをキープして頭を突き出し「はい、そこまで」と相手の接近を許しません。

牙のない雑食性のさらに角もまだ生えきっていない仔山羊ですから、犬からの攻撃の合図を受け取ればすぐに逃げます。

コミュニケーションの違う動物でも、わずかにですが共通に交わされるシグナルというのを山羊と犬という二つの対象を通して見ることができるのがこの対面の醍醐味です。

最後の写真ではダンナくんが仲裁役となっていますが、普段は私が間に入り込んでいるので写真は動画を撮影することがほぼできない状態です。

動画を後でゆっくりと見たいという気持ちもありますが、肉眼でしか受け取れない感覚というのが絶対的にあるためそれを優先させたという気持ちもあり、もやもやした感じで観察しています。

まだまだ観察したことが蓄積されている時間が続いており、ブログで説明するには時間がかかりそうです。

そうこうするうちに、仔山羊たちもどんどん成長しており環境に馴染み始めることでこちらはこちらで行動が変化しています。

地すべりで崩れた裏山の悲惨な斜面がまだ復旧していないので心痛む日々ですが、仔山羊と犬の間で交わされる何かを見る楽しみがあることで救われました。

いつか本当にアールとゼットと犬たちでトレッキングに来る日が実現できるかと、妄想を重ねています。

木で頭をこするゼットと左がアール。右はスタンプーのレオンくん。

Posted in 山羊, 日々のこと, 犬のこと

仔山羊がオポハウスにやってきました。山羊との暮らしが始まります。

復旧作業はまだ終わっていませんが、同時並行して仔山羊を迎えることを決めました。

8月2日に仔山羊2頭を七山のオポハウスにお迎えしました。


波佐見町の「お庭」さんという民宿で今年の4月17日に生まれた仔山羊のメス2頭を引き受けるお約束をしていて、本日オポハウスに移動させました。

復旧作業や犬たちのお世話で私たちが迎えに行けなかったため、緊急で作った“山羊部”の皆さんにお願いしました。

引き渡しの様子を聞いた話では、お母さん山羊とのお別れのときにはそうとう強く鳴いたらしく、心痛むほどだったとのことでした。

群れで暮らす習性のある山羊にとって辛い経験になったに違いありません。


移動後は比較的落ち着いて草をもりもりと食べていたのですが、日が暮れ始めると戻る場所に親がいないことを知り猛烈に鳴き始めました。

ちょうど私が不在にしていたのでダンナくんが対応してくれたのですが、なんども逃げだそうとして大変だったらしいです。

日が完全に暮れてしまうとおとなしくなり(電気を消すとおとなしくなる犬のように)、鳴きは収まりました。

ここで起きて、食べて、寝るという時間を繰り返すことで少しずつ慣れてくれると信じています。

それにしても、はじめて山羊を飼うので山羊の行動のひとつひとつが新鮮で目を離すことができません。

すでに預かりできていた犬たちとは遠巻きに対面をさせていますが、山羊の方は反応が低く犬の方が非常に強く反応しています。

8月の夏休み合宿はすでにスタートしているのですが、今年は「犬と山羊」がテーマになりそうです。


 

Posted in 山羊, 自然のこと

“山羊のいるドッグスクール開校プロジェクト”がスタート

七山スクールに山羊を迎える準備をスタートさせることになりました。

七山スクールに来られたことのある方なら、山羊を迎えることになった理由についてお分かりいただけると思うのですが、このプロジェクトのそもそものきっかけは「草刈大変」という理由からです。

七山のスクール敷地は半分以上が山、つまり平らな地形がほぼありません。

トレッキングに使用している山の斜面の一部は山と里の境界線にあたる部分で常に緑に覆われており、坂面に立った状態での草刈には大変時間と労力を使います。

重たい草刈機を持って山の斜面にたって草刈機を左右に振る動作の繰り返しで、数年前に肋骨を疲労骨折しました。

骨折した箇所はほとんど糸のようにつながってはいますがずれたままで、これ以上骨折することは避けたい。

といって手仕事で草刈を進めようとしても、やってもやっても終わらぬ草刈の日々。

犬たちのお世話の合間なので、一日のうちの作業時間もほとんどありません。

それで、山羊たちが少しでも草を食べてくれたらな、とそんな想いで草刈隊員山羊部隊をお迎えしようかとほんわりと妄想しておりました。

ところがそんな妄想があっという間に現実になったのです。

これもご縁だと思うのですが、知り合いから知り合いへとつながってあっという間に山羊を譲って下さる方とつながったのです。

ところが、先日子山羊の出産についてお尋ねしたところ「今のところ出産予定はありません。」というお答えでした。

うちはまだ山羊を迎えるような時期ではないのだな、もう少し勉強しながら時期が来るのを待とうと腰を落ち着けていました。

すると、数日前に「突然ですが子山羊が産まれました。」と全く予期せぬお知らせをいただきました。

オスを去勢手術したので妊娠はないと思っていたところになんと去勢前にできた子種が大きくなり出産したとのことで飼い主さんもサプライズの出産だったそうです。

さらにすごいのが、超忙しく全く時間がとれないはずなのに、一日だけ開けていたその日程に子山羊の対面をすることができました。

私にとっては奇跡の一日なので、その日に子山羊と対面するなど…。

対面した子山羊たちはまだ生後5日で授乳中でした。

視覚も発達しておらずほぼ寝ている時間が多いような状態です。

まだバランスもとれずヨチヨチ歩きでした。

子山羊のご紹介から対面までがあまりにスムーズで、生まれた子山羊たちは自然の恵みの子たち。

「これはうちに来るべき子山羊たちに違いない」とご縁を信じるしかありません。

4月17日生まれの子山羊のうち2匹を7月末にグッドボーイハート七山にお迎えすることが決まったのです。

山羊に慣れていない犬たちのために、子山羊のスペースは犬のいる場所から少し離れた場所で考えています。

使っていない山のスペースはたくさんあるし、なにしろ山羊は山の羊、谷間の地形は最も得意とするところです。

山羊は犬と同じくらいの寿命です。家族として迎えるも同然の山羊です。

草刈隊員といっても、役割のある人の飼う家畜という意味でも犬と重なりますね。

すべての犬がとはいいませんが、子山羊たちにぜひ慣れて欲しいと思います。

子山羊たちにも犬に慣れてもらうために、これから山羊の習性についても勉強していきます。

犬と人の関わりを学ぶと犬のことが分かり、山羊と人の関わりを学ぶと山羊のことがわかり、山羊と犬の関わりを学ぶと、さらに犬のことも山羊のこともわかるようになると思います。

山羊と犬がどのように対話するのかを学ぶことも楽しみにしています。

グッドボーイハートは自然と調和することを目指すドッグスクールです。

グッドボーイハートらしい空間づくりとしてみなさんも楽しんで下さい。

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