久しぶりに「かじりついて読んだ本」をご紹介します。
題目の本ですが「快楽としての動物保護」信岡朝子著です。
著者の信岡朝子氏は比較文学がご専門の文学研究学者であるとのことです。
博士課程論文に筆を加えられたとの内容が同書の「おわりに」のところで紹介されています。
本書を探したのはアマゾンで偶然見つけたのですが、この題名にすごく心を揺り動かされました。
動物保護か決して快楽と同等とは思ってはいないのですが、動物保護は動物ために必要なのではなく、人のためにあるのではないかと常々思っているからです。
さらに、本書のサブタイトルとなっている「『シートン動物記』から『ザ・コーヴ』へ」にも大変ひかれました。
映画「ザ・コーブ」は日本のイルカ漁を取り上げて話題になった映画ですが、同時にその後にこたえるように作られた映画「ビハインド・ザコーブ」を見たあとも、思うことがたくさんあるのだけれどなかなか言葉にはできないもどかしさのようなものがありました。
動物を助けたい、救いたいという単純な気持ちで起きている動物保護活動。
純粋で単純な気持ちであるはずのものも、莫大な歴史の流れの中に取り込まれており、私たち人類の歴史上の活動であることは間違いないと思います。
それは咲いている花をただ眺めてきれいだと思うだけの単純な気持ちとは違うからです。
この本のどこがいいのかを一言でいうことはできませんが、とにかくたくさんの方に読んでいただき、たくさんの犬と暮らす人がそれぞれの頭の中で考えていただきたい本なのです。
本の中に出てきた様々な動物にかかわきた方々から私はたくさんのことを学んできました。懐かしい名前もたくさんありました。
犬と狼について語る平岩米吉先生、オポの名づけとなったエルザの本の藤原英司先生、チンパンジーとコミュニケーションをするジェーン・グドール博士、イルカの脳の研究をするリリィ「博士、熊を負った星野道夫氏、そして尊敬するローレンツ博士…。
本を読みながら自分の頭の中の歴史を追うように夢中になって読みました。
この本は動物保護を否定するものではありません。
ただどんな歴史の中にも「良かれと思ってやったけれどやはり違っていた。」ということはあると思います。
自分自身の動物に対する愛、また世界の中での大きな動物保護活動という力についてもう一度考える機会にしていただける本だと確信しています。
読まれた方、感想を聞かせてください。
みなさんと語り合いたいです。