今年は良い書籍に巡り合えるという予感があったのですが、さっそく出会いがありました。
生徒さんからすすめていただいた本「馬はなぜ走るのか」辻谷秋人著・三賢社出版です。
本の紹介によると著者の辻谷氏は中央競馬ピーアールセンターという会社に所属されその後同社が発行する競馬雑誌「優駿」の編集に携わっているライターの方です。他にもいろいろな活動をされているのかもしれませんが、いずれにしても競馬に精通している方といえます。
その辻谷氏が書いた競馬の主人公であるサラブレッドという馬の本、タイトルを見たときは「馬の走り方などの仕組みの本なのかな?」と思ったのです。
本の帯にもこうありました。
「進化、行動、運動生理・・・・。
サラブレッドの生態・肉体を、
「走る」をキーワードに切り取った、
スポーツ科学的ノンフィクション。」
この帯の紹介からみると「仕組み」の話なのかなとはじめはふんわりとページをめくりました。
ところが、この本のテーマは全く別のところにありました。
本のテーマは「馬は好きで走っているのか?」という素人の問いに対する答えが主軸となっているのです。
その答えとは「馬は競馬のように全力で走ることが好きではない。」というものなのです。
多分そうだろうなと今まで思っていたことをこうやって現場の専門家の言葉として書いてあることで本当にすっきりしました。
競馬ファンならとても受け入れられない(本の中にもそう書いてありました。)こういう見方を「こういう見方もあっていいのだ」と書いて下さったことにも感動したのです。
この本が面白いのはただの感情論ではありません。
そもそも馬は競馬のように…いや私の言葉でいうと、馬は競馬場で全力で走ることを好んではいないという見方がどう発生しているのかという部分についてはとても生理学的、行動学的にとらえてあり納得のいくことばかりです。
さらに鼻息あらく便乗させていただくと「犬はドッグランで走ることが楽しいのか?」となるのですが、犬と馬では立場が違います。追うものと追われるもの。
追う者である犬の方は走るのが好きに決まっていると考えるのもまた単純すぎる発想です。
同書の中には動物として犬とつながる部分もたくさんあって、馬という動物、サラブレッドという生き物がより身近に感じられました。
また、社会的な背景についてもサラブレッドには純血種犬と同じような状況が起きていることを知ることができました。
この本の中からいくつものブログネタをいただいて書いていきます。
犬に対してもっと広い見方をしたい方にはおすすめいたします。