グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<おすすめの本>共感の時代へ“動物行動学が教えてくれること”

夏の読書週間の準備が始まりました。

お盆のお預かりクラス期間に七山に滞在することが多くなりそうなので、読みたいという本を大量に購入してしまいました。

手元にある本でも、何ども読んでもっと深く知りたいと思っている本がたくさんあるのに、ついつい読んでいない本や遠い過去に読んだ本の再読に時間を使ってしまいます。

最近、ゆっくりと読み終えてそれでもなお、もっと深く読みたいと思った本がありました。

それが、共感の時代へという本です。


「共感」という言葉、犬との暮らしにはあまりにも重要な要素です。

説明するまでもなく、他者の感情や状態、行動の目的や意図を感じ取る知的な能力であり、場合によっては同一化によって相手にコミュニケーションを行い、相手と協調行動をとろうとする能力につながります。

犬との暮らしで起きる様々な問題について共感という力は、なくてはならぬものです。


犬のストレス行動を見た人が、犬が喜んでいるとか、楽しそうと思ってしまうことは、なんらかの共感性の不足によって生じている可能性もあります。

緊張や興奮によって失禁している犬の行動を、「うれしょん」などという言葉で片付けられているのも、ある意味共感性を失った結果かもしれません。


共感性という能力は、高度に発達した人という動物にしかないといわれていた時代もあるそうです。

人以外の動物を劣位に置くことを動物を支配する理由にしようとした古い時代の話ですが、こうした一旦うまれた価値観を覆すためには、いくつもの科学的根拠や事実が必要なのでしょう。

そしてこうして、ようやく反論を述べる人を覆すほどの資料とその資料に基づく共感に関する理論がくりひろげられているところです。みなさんも身近な人と論じてほしいものです。


著者のフランス・ドゥ・ヴァールは動物行動学者です。霊長類の社会的知能研究で知られています。

同著者の有名な本といえば「利己的なサル、他人を思いやるサル」などは読まれた方も多いのではないでしょうか。

本書では専門のチンパンジーの行動だけでなく、他の動物の行動にもふれて動物の共感の能力について触れられています。

それはむしろ、人の方が優位であるというよりも、動物のもつ古典的な共感の社会から学べといわんばかりの内容になっていて、非常に愉快なものです。

また、自分の利益と他人の利益のどちらを追求するのかという興味深い問題を解決する道具としての共感についても興味深く読むことができました。

本書は専門的な知識のない方でも読める本ではありますが、動物や人の行動と心理に関心のない方には多少手ごわい本になるかもしれません。

一気に読み倒そうと思わずに、まず手にとってゆっくりと読み進めていただくことおすすめします。

共感の時代へ