先日、某テレビ局で犬に関わる仕事をしている方々のドキュメンタリーがあったらしいのです。
らしいというのは、自分はまだその番組を見ていないのです。
数名の生徒さんから「先生見ました?」と尋ねられ、内容についても若干説明してもらいました。
みなさんが興味を持たれたのは、人に怯えたり咬みつくようになった犬の訓練についてでした。
どうやらその犬は、訓練士に一定期間預けられる預かり訓練で、更生して無事に飼い主の元に戻ったとのことです。
犬の訓練士、トレーナーとかインストラクターといわれる人が、問題犬を預かれば非常に短期間で犬の行動には変化が見られます。
もちろん、技術的な職業もでありますので人によって多少の差は出るでしょう。
しかし、どのようなトレーナーでも専門家として働いているのですから、一定の成果は見せてくれます。
先日ブログで紹介した、訪問トレーニングのときに犬たちがみせる「先生モード」がずっと続いているような感じになります。
犬は大変落ち着きを取り戻し、ルールを理解しそれに積極的に従おうとするので、自主的に行動します。
安定と自主性を与えられた犬は、活き活きとしながらもゆるやかな行動を多数見せるようになります。
しかし、グッドボーイハートでは預かり訓練をしていません。
なぜなら、預かり訓練を終えたあとに飼い主の元に戻ると犬は以前と同じ問題犬に戻ってしまうことが多いからです。
考えれば当然のことです。
ドッグトレーナーが準備した新しい環境の中で、ルールや人との関係について学んで安定した犬であっても、不安定さを生み出す環境に戻れば行動は不安定に戻ってしまうからです。
犬はまたストレスを上昇させて、咬みつきにいたるかもしれません。
預かりトレーニングを成功させるためには、飼い主がより良い飼い主になるための機会をどこで得るのかということが大切なのです。
預かり訓練を通して、犬の変化を見た飼い主が改心して学びはじめれば、犬も飼い主も変化していく本当の関係が始まっていくでしょう。
犬がひどく咬みつくようになると、飼い主が犬に接触することすら難しくなります。
掃除もできない、体も拭けない、食べ物も与えられないなど、お世話全般ができなくなるような状態では、一時的な預かりは必要なこともあります。
ただ、本当の犬のしつけや発達という飼い主に委ねられた責任を預かり訓練で放棄することだけは避けていただきたいと思います。
テレビ番組は編集の仕方によってドラマチックに仕立て上げられることもあります。
感動して涙された方も多いかもしれません。
冷静になって現実を見て、自分の犬にできること、犬が必要としていることを今日ひとつやってみましょう。
現実はとても地味で劇的ではないにしても、犬と本当に触れ合え成長していけるのは飼い主さんだけなのです。
Author Archives: miyatake
<犬のしつけ方>犬の預かり訓練でできることできないこと
<クラス>プライベートトレッキングデビューの小さな犬ちゃんたち
寒暖の差が激しいので、今日は暖かいかな寒いのかな?と天気予報が気になる日々です。
七山では今日も朝からかなり気温が低く、雪がちらついていました。
気持ちを引き締めて、いただいた木材をチェーンソーで切る作業をしながら、生徒さんの到着を待ちました。
はじめて七山に、いや山歩きデビューする小さな犬ちゃんたちを連れて来られるのです。
飼い主さんはドキドキでしょうし、私の方も気合がはいります。
山歩きデビューをした小さな犬ちゃんたちは、初回のため1頭ずつ歩いて犬の行動を飼い主さんといっしょに観察しました。
普段の散歩とは何が違うのかとか、飼い主さんとの距離感はどうなのかなど、観察して得られることは犬について大切なことばかりです。
犬の行動を細かに観察する力をつけることは、飼い主が犬を理解するためにできる最初のことです。
行動の意味はわからなくとも、行動を見る力をつけることはできるからです。
知識がなくてもできることで、この情報がないと先に進まないこと、それが犬を観察するということなのです。
緊張しやすい犬くんの方は、適応に時間がかかりましたが、やはり変化がみられてきます。
犬がどのような状態であるのかを、普段とは異なる環境で、さらに環境を整えながら経過観察を続けることで、犬が必要としていることが見えてきます。
トレッキングの帰りがけに、笹薮へ1頭のジュニアイノシシが走っていくのが見えました。
イノシシがいますと飼い主さんに声をかけて、イノシシの様子を伺うとなんと数頭いました。
1頭が走り出し、2頭目が走り出し、そして3頭目が走り出しました。
いずれもジュニアサイズ、ウリボウよりも大きく成獣よりも小さなサイズです。
ジュニアだけが集団で行動しているのをはじめて目撃しました。
すべてのイノシシが走り終えたあと、移動を再開します。
犬くんの方は全く気づいていない様子でした。
まだそこまで余裕がなかったのでしょうね。
山道という坂で自分の体を落ちつかせるのが精一杯だったようです。
環境が整えば、動物たちの行動の予測もたちやすいのです。
環境が不安定でストレス値が上がってくると、行動の予測がたちにくくなります。
動物の行動は案外シンプルなものだと思います。
人の行動が複雑で入り組んでいるため、犬もそのようになっているのかもしれません。
人にとっても犬にとっても、楽しいことはそんなに難しいことではないと感じてしまうのは、楽観的な考え方でしょうか。
単純なことで犬たちは楽しい、それは信頼できる家族と日常という自然をを楽しむことかなと思いながら、山歩きを楽しむ一日となりました。
<クラス>犬語セミナー開催しました:多頭飼育のコミュニケーションを読み違えるな!
七山に戻ると…積雪していたのでビックリしました。
突然風景が変わってしまうので、山に慣れていない方にはドキドキの運転になります。
クラスにご参加のみなさんには、直前でもルートについて連絡しますのでご安心ください。
わずかな積雪とちらつく雪の中を、気持ちよく犬たちとトレッキングしました。
ずっとトレッキングを続けている犬のバランスや使い方が、少しずつですが変化していき体のバランスが整っていくのは不思議なことです。
トレッキングクラス後は月に一度の犬語セミナーを開催しました。
今日は、はじめて参加される方に撮影をお願いした、同居の2頭の犬たちの動画を主題にしてすすめました。
多頭飼育の犬たちの関係性は、かなり違った見方をされていることが多いため、科学的にちゃんと見て、現実をちゃんと把握して理解したいところです。
今回のビデオは、その誤解されやすい典型的な行動のパターンだったので、犬語セミナーの教材としては最適なものでした。
多頭飼育の犬たちの中には、かなり行動が増えています。
走り回りやとびつき、なめる、じゃれる、プロレスするなどの激しい犬と犬のコミュニケーションをすべて遊びとしてしまうのはとても危険です。
多頭飼育の犬と犬が、適切な関係とコミュニケーションを構築している場合には、散歩中に他の犬に吠えかかるなどの行動はほとんど見られません。
なぜなら社会的行動の安定は、テリトリー内で作られているからです。
散歩中、他の犬に吠えるなどの行動が出る犬も、室内同居の犬たちでは吠えあうことはめったにありません。
そのためか、おうちでは犬が好き、お外の犬は嫌いと犬の行動を判断(評価)してしまうことがあるようです。
これは擬人的な見方であって、犬を行動学的に理解する見方ではないのです。
犬語セミナーは、ただ単純に犬という動物のコミュニケーションを理解しよう、そしてその理解を犬そのものへの理解につなげようというセミナーです。
セミナーの主旨は簡単ですが、とても奥の深いセミナーです。
来月は2月25日(日)に七山校で開催予定です。
福岡では2月の平日に開催しますので、決まり次第ブログでご案内します。
<犬のしつけ方>犬が快適に生活できる空間作りを目指そう
今月から来月にかけ、アロマ風水の講師をお招きして風水講座を企画しました。
グッドボーイハートという学校をよくご存知ない方すると、なぜドッグスクールなのに風水講座なのかと疑問に思われることでしょう。
逆に、グッドボーイハートをよくご存知の方は、グッドボーイハートならではの企画だと納得してくださることでしょう。
グッドボーイハートのドッグトレーニングは、犬に落ち着いた生活を提供することが目的です。
犬が落ち着いて、つまり安心して暮していくためには、いくつか整えなければいけないことがあります。
そのひとつが、物理的な空間の整備=環境整備なのです。
いろんなご家庭を訪問して犬のしつけ方についての相談に応じ、指導させていただいています。
ご家族の理由はいろいろですが、この空間では犬は落ち着く事はできないだろうと感じることは少なくありません。
犬は理屈抜きで自然に近い動物なのです。
人側から見ると、犬は自然に近い動物なので汚いという印象を持たれるかもしれません。
毎日お風呂に入らないし、土の上を歩いたりします。
排泄をお庭や散歩中にしますし、人の立場からするとそれらが野蛮で汚く感じられるかもしれません。
ですが、それは大きな誤解です。
犬の自然は行為が汚いと感じられるのは、犬が人工的な空間で暮らしているためです。
もし、イヌという動物が自然に近い状態で暮らすころができるとすれば、イヌの排泄物はすぐに土の中の微生物が分解して臭いもなくなってしまいます。
土はいつもきれいですし、土のにおいは心地良いものです。
何日もシャンプーをしなくても、自然のイヌは臭ったりしません。
犬は本来、自然に近い動物なのです。
だから、犬は自然の気を取り込めない空間におかれると、とても不安定になります。
「気がおかしくなる」という言い方がありますが、そこまでとはいわなくとも気が乱れるという感じにはなるでしょう。
行動としては、犬は落ち着かなくなってしまうのです。
人の生活にも自然のエネルギーを上手に取り入れる空間作り、それが風水です。
今回の風水講座を通して、みなさんのご家庭の環境作りがよりすばらしいものになると信じて、講師の先生に出張講座を依頼しました。
風水講座を受けるからということで、早速お部屋の掃除にとりかかっていらっしゃるところもありました。
不要なものが出たからと、いくつかグッドボーイハートにもいただきました。
素敵なコーヒーサーバーと北欧のお盆で、グループクラスも盛り上がりました。
暖炉の風景とよく似合っています。
使っていないものは、使っていただくところでお役に立ってもらうとものにも命がよみがえります。
落ち着いた生活を実現させるには、安心できる人との信頼関係も含みます。
できるところから一歩ずつ、いっしょに楽しみましょう。
<セミナー告知>風水による犬に快適な空間作りセミナー開催しました。3月の福岡セミナーご案内
唐津市から風水の講師をお招きしてグッドボーイハート七山校で風水セミナーを開催しました。
講師の山岸先生は、リンパマッサージを教えていただいた先生です。
アロマ風水講座で犬たちの空間がもっと良くなればという気持ちからグッドボーイハートでの出張講座を希望して、快諾していただきました。
おひとりおひとりの環境にあったアドバイスもいただけるので、参加された方は具体的にどのように整えていけるのかを熱心にメモされていました。
わたしもグッドボーイハート七山校の図面を手に参加しました。
十分に整えているつもりではいるけれど、レイアウト変更も考えていたのでまた新しいアイデアもいただきました。早速取り組んでみます。
生活環境を整えると、犬たちは自然と落ち着きを取り戻します。
それは、環境を整えようとする飼い主さんの気持ちが整ってくるからです。
山岸先生によると早ければ3週間で変化が目に見えるように訪れるとのことです。
慌てる必要もありませんので、楽しみながら犬と暮らす空間を整える風水を身につけ実践しましょう。
七山校では2月4日(日)12時~16時に2回目が開催されます。
現在数名の空席がありますので、この機会にぜひご参加ください。
この講座を3月に福岡校でも開催します。
貴重な学びの機会を逃さないように、あと数名で募集終了となりますので早めにご連絡ください。
開催概要は以下のとおりです。
・・・・・・・キセキが起こる風水セミナー概要・・・・・・・
2018年お家の風水勉強会~初心者向け
<キセキ☆が起こるお家と心のお片付け風水講座>
お家を整えることは、動物の日々の健康や生活の質を良くするための基本です。
風水の面から見た簡単なお家の整え方、お家の間取り図でアドバイスします。
☆片付けたいけどどこから手をつけたらよいかわからない人。
☆どうせ片付けるなら良い 流れを作り出したいと思っている人。
☆運気アップしたい人。
☆自分が変わりたい人。
☆ずっと自分も家族も犬も健康でいたい人。
お家にも身体にも心にも良い氣を流し出すと、思うような暮らしが手に入ります!!
<講師紹介>
● 山岸厚子 先生
プライベートサロン<ペタルローズ>を4年前にオープン
日々、整体アロマリンパトリートメントのお客様や
風水勉強会で受講生の方々を癒すお仕事をしています。
モットーは周りの人を元気にすること
その為に 自分自身も元気であり続けること
リンパセラピスト&インストラクター
整体師・アロマ風水ティーチャー資格
<日程>
2018年3月10日(土)
時間12時~16時
<場所> グッドボーイハート福岡
福岡市博多区(詳しい場所は参加者にご案内します)
<募集> 各3~5名 完全予約制 ※定員に達しました。
少人数制で実際の自宅図面を持参していただき、
すぐに生活に取り入れられることを学ぶ実践講座です。
<料金> おひとり 6000円(税込)
<持参するもの> ご自宅の図面、筆記用具
※今回は屋内風水が基本となります。お家と自分に起きるキセキを屋外飼育の犬たちにも届けましょう。
<申込先> グッドボーイハート TEL092-409-0749
メール:goodboyhaert7@gmail.com
<主催・企画>
主催 プライベートサロン「ペタルローズ」
企画 GoodBoyHeart
犬と共に成長する2018年に、本気のセミナーで犬との生活を見直してスタートしましょう!
このセミナーは犬と暮らしていない方でもご参加が可能です。
お友達を誘ってご参加ください。
<クラス>上級者のトレッキングクラス
七山では家の裏や玄関には解けきれないわずかな雪が残る程度になりました。
この季節、雪の降るたびに暖かさを増していく春の訪れを感じられる季節なので、天候を見ながら犬と山に入るのはワクワクする時間です。
七山に移ったばかりのときには、木々の変化もほとんどわからず、季節の移り変わりにも無頓着でした。
10年も山の中を犬と歩いていますので、木々の色の変化などで春の訪れを感じるようになったのです。
臭いもなんとなく若葉のような青臭さをひろえるようになりました。
雪の下でいつの間にか大きくなったいろんな植物が、雪が解けると一気に顔を出しています。
犬の方はわたしたちよりももっと鋭く、この環境の中に起きていることを気づいているようです。
日曜日には、上級者の方でトレッキングクラスを開催しました。
上級者とはどういうことかというと、山のかなり奥の方まで歩いていきます。
足場があまりよくありませんので、体力もバランスも必要です。
油断するとこけてしまうようなそんな山を歩いています。
周囲には野生動物の気配もたくさんあります。
流れるにおいを察知するのか、犬が鼻を高くあげて臭いを嗅ぎ始めたり、少し落ち着きなく体を左右に振ることがあります。
こちらも早めに察知して備えをしなければいけません。
整備された山しか歩いたことのない方からすると、単純に怖いと思われるような行為かもしれません。
安全を周りに確保してもらうのではなく、自分でつくっていく必要があります。
慎重さも必要だし、行動する必要もあります。
体も緊張するし、心も緊張します。
そして、感知力の高い犬とのパートナーシップは絶対です。
一頭の犬、ひとりの人の衝動的な行動が、周りを危険に巻き込んでしまうこともあります。
環境把握をしながらブレーキとアクセルを上手に使って進みます。
その間、心地よい風、きれいな光、山のにおいを味わえるのですから、最高に心地良い時間です。
山歩きの最中に、遠くからバイクの音が聞こえてきました。
数台のバイクが山中を走り抜けていく音です。
集団で競い合うように走るバイクの音はあまり得意ではありません。
でもゆっくりと山間を走り抜けていくような流れのある音は心地よいものです。
バイクを上手に乗る人は、一体感とコミュニケーションを大切にするといいます。
知人にバイク乗りがいて、バイクに乗る理由を尋ねたら「美しくなれるから」という答えでした。
緊張と緩和、そして自然を感じながらバイクに乗ることで、美しくなれるということらしいのです。
犬との山歩きといっしょなんだなと思いました。
犬との山歩き、最初はみんな初心者です。
まず一歩からぜひお試しください。
<おすすめの映画>「ビハインド・ザ・コーヴ」
昨日おすすめの映画としてご紹介した「ザ・コーヴ」のあとに見ていただきたい映画が、この「ビハインド・ザ・コーヴ」です。
よく見ているニュース番組に監督の八木景子氏が出演して紹介していたのを見て、これはザ・コーヴとセットで見るべき内容なのだろうなと期待しました。
映画の題名通り、ザ・コーヴの主体者の反対側から捕鯨問題をみることができます。
太地町の人々の声、捕鯨委員会に出席していた委員の方々の声、捕鯨問題に国内で取り組む専門家の意見は、捕鯨についてザ・コーヴとは異なる視点で知る機会となります。
環境保護団体のシーシェパードのメンバーがインタビューに答える画面もあり、捕鯨に反対する側の声も拾われています。
映画をみて捕鯨問題に審判を下す必要はないと思います。
むしろ、良い悪いを決める前に、自分はこの問題をどのように捉えているのか、どのように考えるのかという姿勢を自分自身に問うきっかけになります。
社会的な問題こそ、みんながそうだから自分もそう思うという姿勢よりも、自分はどう思うのかを自分の中で明らかにすることが、社会そのものを変えていく力になるのではないかと思うからです。
犬についても同じことです。
犬にとって何が必要なのか、犬と人の暮らしをどういう方向へ向わせていきたいのか。みんながしているからそれがいいのか。みんながやっていることが犬に必要なことなのか、なんどもくり返し自分の頭で考える習慣を取り戻していけば、犬に対して人が行うことは、今とは少し違うものになるのではないかという希望が見えてきます。
欧米では、犬はイルカと同様に人と知能が高く保護すべき存在として扱われています。
その一方で商業的な繁殖や販売、愛玩的な接し方や扱いはむしろ強まっているのではないでしょうか。
動物を愛するなら、可愛がる前に動物に対する理解を深めるべきです。
そして、動物にまつわる人の暮らしについても知る義務があるでしょう。
この映画、ぜひザ・コーヴといっしょにご覧ください。
<おすすめの映画>ザ・コーヴ
日本のイルカ猟についての実態を明らかにするドキュメンタリーとして紹介されている「コーヴ」という映画は、日本では上映場所も限られていたようなので見られた方も少ないのではないでしょうか。
予告編ではイルカ猟で海が血の色に変わっていくシーンが放送されていて、予告編を見ただけで映画を見ることを躊躇してしまった方も多いと思います。
わたしもいつか見たいと思いながらそのままになっていたのですが、今回コーヴを見ることができました。
結論から言えば、動物に深く関わっている人にこそぜひ見ていただきたい映画です。
それは、この映画が正しいとか、この映画の主張の通りだということではありません。
映画の中で一番興味を持った部分は、取材をする主人公のリック・オリバーがイルカのフリッパーの元調教師だということです。
リック・オリバーが調教したフリッパーが「イルカのフリッパー」で爆発的人気となり、これをきっかけにイルカが水族館などで曲芸を披露するビジネスの道具として使われていったことを、オリバーが大変悔いており、イルカへを助ける活動へ向っていくというその苦しみが伝わってきます。
動物を訓練や調教した人の中には、人側に立ちすぎた行き過ぎた訓練や人が楽しむために仕込んだ芸について、後悔の気持ちを持つことがあるということは自分に当てはめても十分にあることです。
しかし、その後悔の気持ちを表現する方法として、こういう形での活動を賛同できるということではありません。
また、映画の中ではイルカ猟に携わっている姿勢や視点が全く取り上げていないので、ドキュメンタリーといってもイルカ猟に反対する立場から作り上げられた映画であるということを前提に見る必要があります。
IWC国際捕鯨委員会で行われていることや委員のコメントなどは新しい情報として関心が広がりました。
映画の中では、私たち日本人が一番イルカ猟について理解をしていないのではないかと感じされられることもありました。
イルカ猟についての動物福祉的な問題は、死に至るまでの過程と苦痛が重要なテーマになっています。
牛や豚、鳥といった食用の肉でも、この過程はとても大切なものなのです。
死の恐怖に触れさせることを最小にして、死に至らせることができるのかどうか、野生動物の猟をする場合には、必ず考えなければいけないことです。
この課題についても、映画の中では曖昧な表現が多く、実際に血に染まる海を見ると、動物福祉的な面でクリアできているのかどいう疑問は残ってしまいます。
映画はイルカ猟の一部を取り上げただけに過ぎませんが、自分たちの身近に起きている動物の利用について考える機会になります。
犬は家族として身近にいるため、動物を利用しているという姿勢とはかけ離れているように思えますが、その飼い方によっては犬もやはり人に利用されてしまうことが多いということも含めて、じっくりと考えたいものです。
<犬のしつけ方>あの大震災から23年:被災に備える犬のしつけとは
阪神・淡路大震災から23年たったというニュースを終日聞いて過ごしました。
震災でお亡くなりになった方々のご遺族は、どんなに辛い日々を送ってこられたのかと人の立ち上がる強さを思っていました。
震災がいくつも続いていますので、被災時の犬の備えについても考えることが増えました。
あのとき出来なかったこと、ちゃんと学んでこれだけはということもお伝えしています。
被災に備える準備として、備品の配給については最近は大変早いスピードで供給されているようです。
むしろ被災地へのたくさんの救援物資で混乱を生じている現実を体験しました。
被災に備える準備として日常的に行っていなければできないことがあります。
これだけはどうしてもやっておいて欲しい犬のしつけ、お分かりでしょうか。
犬のクレートトレーニングです。
クレートをハウスとして使用するため、ハウストレーニングといわれることもあります。
室内で生活する犬には必須の生活道具です。
このクレートの利用がなぜ被災に大切なのかというと、被災時に移動の際に犬のためにテリトリーを提供する必要があるからです。
クレートを持参していないと、犬は被災場所で落ち着いて過ごすことができません。
車で移動する際にも、クレートを車に乗せた状態で犬にスペースを与えてほしいのです。
クレートを生活の道具として導入する際に、狭いから可哀想だといわれることがあります。
クレートは自分のベッドのようなものなので、ベッドサイズだと思うと決して狭くはありません。
クレートが犬にとってどのような場所になるのかは、その使い方や導入の仕方で決まります。
クレートが安全な場所で、隠れることのできる場所だと犬が受け入れ始めると、不安や緊張を感じたり、少し具合の悪いときなどに自分からクレートに入って休むようになります。
このクレートやハウスの活用ですが、一般的にはまだまだだと感じています。
というのも、犬のしつけやトレーニングで依頼を受けてご家庭を訪問した際に、ほとんどの家庭では犬用のクレートやハウスを上手に使うことができていないからです。
クレートトレーニング開始のときには、被災のときには必ず必要な道具であることを足して説明しています。
クレートは犬を閉じ込める場所ではありません。
クレートというテリトリーは犬の行動に自由さをもたらすものです。
被災時にはクレートが必須をぜひ実現してください。
<クラス>雪山の初トレッキングクラス
昨日のブログでご紹介したとおり、グッドボーイハート七山校あたりは大変な大雪でした。
大量の雪はまだ解けきれておらず、引き続き外は真っ白で室内は鏡に照らされたように明るくなっています。
しっかり積雪すると犬たちを雪の中に連れて来たいと思ってしまいます。
この大きな自然の景色の中に犬という動物がいてほしいという単純な気持ちからです。
気持ちは単純なのですが、実現するのは大変です。
積雪しそうなんですけど、七山まで犬を連れてきてくださいとはなかなか言えないからです。
自分の車は4駆でタイヤも冬用に履き替えていますが、福岡・佐賀近郊のみなさんの車は2駆でノーマルタイヤが一般的です。
観音の滝あたりまで起こしいただければ、こちらで送迎して雪山歩きに来ていただいたことがありました。
実は今回もトレッキングクラスが数件入っていたのですが、コンディションが読めずお越しになったのは1家族だけでした。
積雪はあったけど吹雪はなく、路面の状態も良い上に山には雪がどっさりというベストな雪山になっていました。
実は今回、始めての七山トレッキングクラスにご参加の犬くんとご家族でした。
最初のトレッキングで雪山となると、多少抵抗があるものです。
この困難を乗り越えられたのは、小学生の子供さんが楽しみにしていたことでした。
雪が積もっていると聞いて、前の日からとても楽しみにされていたそうです。
なんども雪の上に寝転んでいました。
寒くないかと尋ねると、全然寒くない、気持ちがいい!といいます。
さすが子供ですね。自然と一体化しています。
犬くんの方が少しドキドキだったでしょうか。
普段は都市空間のなかで、建物に囲まれて緊張しながらの散歩です。
今日は雪山の中にいろいろな野生動物の臭いを見つけながらドキドキしたことでしょう。
同じドキドキでも、少し違いがありそうです。
普段の散歩コースで会うときには、私に対しても緊張の行動を見せる犬くんですが、トレッキング中はそれどころではなかったようで一緒に山歩きをがんばりました。
一生懸命やらなくちゃいけないことがあって、しかも誰からも強制されていないのに自然を向き合う行動というのは、なかなかありません。
犬の場合には、山があって集団で移動すれば自然とその行動をするようにできています。
それが悪路であれ、困難があっても、協力しあって進むしかありません。
我先にと駆け出すと危険が待っているだけですし、動かないと決め込んでもみんながそこに戻ってくる可能性は100%でもありません。
お父さんもお母さんも子供さんも、そして犬くんもみんなでがんばって歩きました。
実は私は小学校低学年まで都心で育ちました。
自然の中で遊んだ経験がほとんどありません。
ただ一度だけ、尾瀬の川で遊んだ記憶があります。
今でもその記憶が頭に残っています。
自然の中で体感したことって、大人になっても深く根付いているものです。
子供さんにとっても犬くんにとっても、雪山トレッキングが体と心に大切に刻まれたと思います。
行動をするのは思い出を作るためではありません。
ただ、この瞬間を充実して感動して、そしてちょっとワクワクしていただければ、犬との関係も少しずつ変化していくでしょう。
山の中につくった雪だるまは、数日中になくなっても、無くならない大切なものを持って帰りましたね。