今年も大型連休が近付いてきています。
犬といっしょに旅行の計画を立てていらっしゃるご家庭も多いかもしれません。
ところが、飼い主さんたちにお尋ねしてみると「連休中は人が多いので遠出はしません。」
という方が増えてきているようです。
最近では、食事も「家食」などといわれる、外食ではなく家でご飯をいただく傾向が高まっているようです。
同じ傾向で、休みのときには渋滞で疲れてたくさんの時間を消費してしまうのを止めようということでしょう。
渋滞を避けて近場に出かけたり、自宅のお庭でゆっくりと過ごすことについては、犬も大賛成ははずです。
なぜかというと、犬にとっては移動はやはり負担になります。
自分の脚で移動するよりもずっと速く移動するわけですから、室内でじっとしているとはいえ、動物の体に一定の付加がかかるのです。
それでも犬は外出したがります。
何よりも飼い主と共にいたいという気持ちが高いことと、外出によって普段過ごしているよりもより良い環境に過ごすことができる経験をしたことがあるからでしょう。
例えば、都心に住む犬なら自然環境に連れていかれることは移動のストレスを超えてでも、やはり心地よいことなのです。
山や海には上手に出かけていただきたいと思います。
そして、それとは全く違う日常的な空間として、身近な「庭」という自然環境を活用してはどうかと思うのです。
一時期、庭よりも室内を広くとってデザインされた間取りの家が多かったようですが、最近は庭のスペースを十分にとって日常的に活用するデザインに変化していることを感じています。
ご家庭に家庭訪問でトレーニングに伺うため、ご家庭の間取りをできるだけ活用する方法も提案しています。
この訪問トレーニングの中で、家の間取りや庭の取り方などがご家庭によって違うのだなと知ることになりました。
昭和初期くらいまでは、庭は家の中の自然と位置づけられていたようで、庭には山にある様々な木々が植えられていました。
この博多区でも、自分が育った古い家の庭は木々と豊かな土でおおわれ、虫や小鳥もたくさんいたのです。
この都市空間の庭は、そのうち硬い土となり、木々は勢いをなくし、人がゆっくりとは過ごしにくい家から見るだけの空間に
変わってしまったようです。
家庭訪問トレーニングで思うことは、庭には犬を出していないとか、庭はほとんど使っていないというご家庭がとても多いことです。
整備したり手を入れればとても豊かな庭になることが予想されるような空間なのに、あーもったいないなと思ってしまいます。
お庭を整備して、人も犬も心地よく過ごせるようになると、犬たちは庭に駆け出していきます。
庭でひなたぼっこでうっとりしていたり、探索行動する犬の姿を見ると、やはり犬は自然が近い生き物なのだなとうれしくなります。
ゴールデンウィークの間に、活用されていないお庭を犬といっしょに過ごせる空間へ生き返らせてみてはいかがでしょうか?
お庭のないマンション暮らしの方は、知人が使っていない庭の整備をしながら、犬もお邪魔させていただくというのも一案です。
お休みは楽しいものです。犬との限られた時間を充実させたいですね。
Author Archives: miyatake
<犬のしつけ方>犬と休日の過ごし方:お庭時間を満喫しよう!
<犬のしつけ方>人によくなつき頭がよく飼いやすい犬種って?
犬を飼っている人に、なぜその犬種を選んだのか尋ねることがあります。
犬種というのは、人為的繁殖によって分類づけられた純血種といわれる犬の種類です。
みなさんがよくご存知の犬種でしたら、柴犬、プードル、ゴールデンリトリバー、チワワ、など。
こうしたものを犬種というのです。
「なぜこの犬種を選んだのですか?」という質問に、多くの人は「一目ぼれ」といわれます。
雑誌やペットショップで犬の風貌を見て、愛くるしい、可愛らしいといった理由で犬種を選ぶのです。
次に多い理由が「この犬種は、人になつきやすく飼いやすいと書いてあったから」といわれることがあります。
今はほとんどの情報をインターネットに頼っている時代です。
テレビや雑誌で見た情報を基にして、もう一度インターネットで検索してみる方も多いでしょう。
実際にネットで「犬種 飼いやすい」と検索すると、なんと検索ランキングが莫大で出てきます。
それだけ検索される方が多いため、情報提供者も増えるというです。
ところが、これらのランキングも不思議なことがたくさんです。
まず、人懐こいとか人に馴れやすいというのは、犬種の性質ではなく家庭犬としては当たり前のことです。
逆に、人になつきにくいというと野犬などの人とのかかわりの薄い犬についていわれることです。
家庭犬は長い年月を掛けて人と暮らすことになった犬です。
その中でも純血種は人為的に繁殖を続けた結果、人になつきやすいというはあまりにも当たり前のことです。
人になつきやすい、それが家庭犬なのです。
ですから、人になつきやすく飼いやすいというランキングがあることが不思議なことです。
次に、頭がいいという犬種のランキングですが、このランキングにも疑問を感じます。
頭がいいというのはそもそもどのような犬の状態を指していっているのでしょうか?
犬は人への関心が高く、特に室内犬の場合は人に対して注目する時間がとても長くなります。
飼い主の行動を予測したり、自分のゴハンや散歩の合図を覚えたりするのは犬という動物としてこれも当たり前の能力です。
逆に、頭がいいといわれている犬種の中にこそ、テレビの動画に向って吠えたり、散歩中にポスターを見てビックリするなど
認知力の発達に問題を抱えている犬がたくさんいることは見落とされているようです。
頭がいいといわれることと、落ち着いてリラックスして過ごすということは同じものではありません。
犬の学習能力は一般的に人が思っているよりもずっと高いのですが、それが安定につながっているかどうかは、
犬の行動をよくみて判断して欲しいのです。
これらの理由から、自分の飼っている犬種がかならずしも「人懐こくて頭がいい」わけではないことをわかっていただけたでしょうか?
人と暮らすグループにいる家庭犬という犬たちは、みなそれぞれに人になつきやすくて飼いやすく、そして頭がいいのです。
純血種の場合には、実際の選択はそのサイズと見た目で決められているようです。
犬のかわいい顔は幼児性が高いもしくは、イヌ科動物としていびつな構造になっており、犬に負担のあることも多いのです。
犬を知れば知るほど、犬と暮らすことは大変だと思われるかもしれませんが、
愛する犬のことを何もしらないで無知なまま共に暮らすよりは、ずっと健全で前向きな関係性をつくることになります。
引き続きこのブログでは一般的な視点とは違った面から見る提案を続けていきます。
みなさんがどう考えるのか、どう思うのか、どうして行きたいのか、
いろいろと会ってお話できればうれしい限りです。
4月22日は七山で犬語セミナーを開催します。
グッドボーイハート生でなくても参加できるセミナーです。
ご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
<犬のしつけ方>[動画]熊本地震で被災犬として保護され家庭犬となったアルクの知的玩具遊び
平成26年の熊本地震から2年が経ちました。
テレビやラジオで被災後の生活やご遺族の紹介もあり、災害はいつも辛さや怒り、やりきれなさが積もります。
福岡、佐賀方面でも強くゆれを感じることのできた身近な災害であったために関心も高まりました。
そのため臨時にでも何かお手伝いをしようと、熊本県で被災した犬猫のためのボランティア活動を
ほんの少しですがさせていただき、機会を通してたくさんの学びを得ることができました。
この学びの中で、ご縁をいただいたのが熊本県の保護施設から福岡での犬の譲渡会に参加し、
福岡で家庭犬として迎えられたアルクちゃんでした。
熊本県の県営の保護施設には、サイズの大きなミックス犬がたくさん収容されていました。
福岡の生活事情からすると少しサイズが大きく、都心部では引き取りが難しいと思われるような犬たちです。
アルクちゃんも福岡市のご家庭に迎えられたのですが、以前からグッドボーイハートとご縁のあった飼い主さんで、
都心といっても自然環境がまだ十分に残る庭もしっかりとある環境で適切に飼育され暮らしています。
普段の生活も落ち着き始め、いくつかの学習のテストをしてみようとアルクちゃんに与えたのが知的玩具です。
以下の動画に出てくる知的玩具はヨーロッパで作られたもので、つくりはとても単純です。
木製のフタようなものを開けると中にオヤツが入っているという仕組みになっています。
事前に特別な練習はなく与えて、アルクちゃんの反応を見ました。
短い動画ですがご覧ください。
最初に臭いを嗅いで、オヤツのある場所を特定させています。
探索行動といわれるもので、食べ物の在りかを認識している様子です。
木のカップのようなものを口で移動させています。
カップを移動させるには、口でくわえて上に持ち上げるという動作が必要です。
一定の認知力があれば犬でも簡単にできる行動です。
カップを取り去るとその下にはオヤツが乗っています。
ところが、カップを取り去ってもオヤツを食べずに次の動作に移っていきます。
オヤツを食べるためにやっていた行動のように思えるのですが、ここで覆されます。
オヤツを食べることよりも、探索して見つけるという行動に集中しているのです。
犬は食べることだけにしか関心がないと思われてしまうことがあります。
しかしそれは違うのです。
犬は食欲の塊ではありません。
犬の欲求はもっと違う構造になっており、犬の脳がどこに満足感を得られるのかも犬によって違います。
もし、アルクちゃんが食欲しかないような犬だったら、木のカップを持ち上げるような行動はすぐにはできません。
犬の認知力の発達は、ただ寝て食べるという単純な生活の中では培われてこないのです。
アルクちゃんの知的玩具遊びを見ながら、その成長と今後の可能性についても飼い主さんとお話しする機会が得られました。
犬に過剰な期待をするのは人側のエゴですが、犬が本来持っている可能性や能力を発揮する場を与えることは別のことです。
アルクちゃんの飼い主さんからいただいたコメントは過去のブログ記事にも掲載していますので、以下からご覧ください。
<受講生>怖がりの保護犬から信頼できる家族に出会ったアルクの九ヶ月
<犬のしつけ方>犬は純血種である前に犬であることを忘れないで!
まだ4月中旬なのに、山やひと月先くらいの風景になってしまいました。
暖かな日差しを思いっきり受けて、草も葉も成長したい放題になって少しあわただしくなっています。
春という不安定な季節に体調を崩す人も犬も増えているようです。
休息から活動に入るこの時期ですから、自宅ではゆっくりと過ごし屋外ではきちんと活動するメリハリをつけていくことも、健康のために必要な時間になりそうです。
プライベートトレッキングクラスに来られる方が増え始めたので、自分も山活動時間が増えてきました。
犬との過ごし方はいろいろありますが、自分にとっては犬と共に山歩きすることが最高の時間です。
一定のルールを持ちながら広い空間と時間を使って、お互いに拘束されることなく自由でありながらかつつながっているという関係性を深めることができるような気がするからです。
歩いている犬を見ると、結構大変なことになっていることがあります。
杉の枝や草の種が犬の毛にからまっていたりと、歩きにくそうにしています。
先日いっしょにトレッキングしたリンちゃんの脚にも、たくさんの種が絡まりついていました。
リンちゃんはシュナウザーという純血種で、色は真っ白です。
白色の毛が土色に変わり、脚の汚れが目立ちます。
毛はほとんどが飾り毛なので、種や杉の葉といった繊維にひっつきやすいものが絡まってなかなかとれなくなってしまいます。
同じように土も繊維の深くに絡まるため、泥状の汚れがふき取る程度ではきれいにはとれません。
犬は本来、山で生活するようにできています。
その骨格、筋肉、皮膚、被毛も、この山空間で安全かつ快適であるように歴史をかけて自然がつくってきた犬本来の体というのがあります。
ところが純血種の犬は違うのです。
純血種というのは100年ほど前にヨーロッパで始まった趣味の犬の世界から始まっています。
よく純血種=働く犬と思われていますが、そういうわけではありません。
使役のために繁殖された犬たちはサイズや性質を求められましたが、規定の体の大きさや耳や尾のタイプ、毛質の色や状態を純血種の規格として求めているのはドッグショーという趣味の世界です。
このドッグショーのために繁殖されている犬たちから、家庭犬としての純血種が広がってきました。
不思議なことですが、ドッグショーをよくご存じない人でも「チャンピオンの子」と書いて売り出されている子犬を見ると、なぜか特別にいいものだと思ってしまうようです。
ドッグショーの規格の中で人為的に繁殖をくり返される純血種犬の中には、山という環境で快適さを保つことができなくなった犬種もあります。
前述した飾り毛、毛の色、皮膚の弱さ、免疫力の低さ、体型、筋肉のつきにくい体など、不便を強いられることもたくさんあります。
こうした犬たちと山歩きをしたあとは、このあと脚を洗ったり毛から種を取り去るなどいろいろと大変なのです。
その大変さや犬が汚れるのがいやだという理由から、犬に山歩きをさせたくないと思われる飼い主もいるとは思います。
それでも、知っていただきたいのです。
山を探索しながらゆっくりと歩いていく犬の満足した表情や真の安定や落ち着きや欲求を満たすということについて、実際に犬を見て感じていただきたいのです。
犬が山を歩く姿を見れば、犬が人の繁殖によって変わってしまい、汚れや種などが絡まる毛質になったことを不便だと思う前に、もっと違った気持ちが生まれるのではないでしょうか。
真っ白なリンちゃんですが、お山では満足した表情で歩いています。
たくさん歩いても、まだまだ歩けるといった風でもあります。小さいのに頼もしいですね。
飼い主さんも、汚れても苦にされている様子はなく、「リン、楽しいね、良かったね」と声をかけています。
犬がどこでどのように過ごすのか、その権利を持っているのは飼い主なのです。
その小さな積み重ねが犬の一生になることを考えると、人の10分の一の時間しか持たない犬に対してできることはわずかなことしかありません。
<犬のしつけ方・動画>サクちゃんが“持って来て”でお手伝い
犬のしつけで必要な合図とは別に、犬と遊びを楽しんだり学習を促したりするために教える合図があります。
後者の方は、特に生活に必須ということではないのですが、一定の効果をもたらしてくれることがあります。
しつけ以外に取り入れる合図の中心は、室内でやる事がない犬に負担をかけない「作業」を教えることです。
特に犬が西洋犬で作業をしてきた歴史が長く、室内での時間が多いのに暇ですることもないとなると、犬は欲求不満になってしまうからです。
ヨーロッパでは多くの純血種が生まれましたが、その一部は人の仕事を手伝うために人為的に繁殖を重ねてきた使役犬といわれる犬たちです。
使役犬は猟犬や警察犬といったイメージが強いのですが、小型犬の中にも使役犬がいます。
身近な犬種としてはテリア種です。
テリア種は、小型獣の狩りや駆除のために西洋で長く活躍してきました。
防衛力が高く作業を教えるとよく活動する犬たちです。
反面、空間が乏しく暇になると吠えが強まったりなめたり噛んだりするストレス行動が多発してしまいます。
テリア種のサクちゃんも少し時間と能力をもてあましていました。
留守番時間も長いので、留守番の前にお父さんといっしょに練習してもらうと「持って来い(テイク)」の練習を始めました。
コツを得ると短時間で上達して毎日の朝の日課になっているようです。
こちらの動画でご紹介します。
さらに別の作業も付け加えました。
「持って来い」と「探して」の二つのミックスバージョンです。
次は飼い主の父から受け取ったものを母へと持っていきます。
最初のテイクが出来るようになると、応用編は比較的簡単にできるようになります。
いろんな犬たちがテイクを覚えていましたが、ご家庭ではそれぞれに家庭内作業犬として活躍していたようです。
お父さんの靴下の片付けから始まり、お父さんのパンツをお風呂まで運んでいた犬ちゃんもいました。
サクちゃんの場合には毎朝の遊びとされているようですが、毎朝お父さんの前に座って待っているらしく、飼い主さんもこの遊びを楽しんでステップアップさせていかれているのを感じます。
犬に特別な芸を教える必要もあまりないと思いますし、家庭犬は使役犬ではありません。
単純行動のくり返しになる常同行動につながるような芸をオヤツで強化してしまうなどの間違いにも陥らないようにしなければなりません。
ただ、コミュニケーションを深める道具のひとつとして、物事を教える、覚える、理解するというその過程が楽しく、お互いにとって良い時間としていただければと思うのです。
<日々のこと>七山校の柵のリフォームにあたり考えた事
グッドボーイハート七山校が開校してから11年目となり、節目の年なのか家のあちこちでリフォームを必要としている箇所がでてきました。
急いで整備する必要があったのが、表側の庭の柵です。
ここは、預かり犬がよく使用する場所なので、柵もきっちりとつくらなければならないし、その他いろいろと考えている整備事項がありました。
整備のひとつは、表庭にある大きくなった木々を小さく整備することです。
家から数メートルのところにある木々なので、大きくなると家の湿気や傷みに直接的に影響を及ぼしてしまいます。
大きくなる木々を切ることに最初は抵抗があり、なかなか思い切ることができないまま大きすぎる状態になってしまいました。
大きくなりすぎた木を切るには危険も伴います。
ついつい後回しになった木々を低木にして、風通しよく整えました。
柵は10年の月日で老朽化し倒れる直前となっていました。
柵のリフォームにあたっては、高さや横板の感覚などを再検討しました。
七山に移る前は福岡の博多という都市で犬と暮らしていました。
福岡の中心部ですから、犬の暮らしも窮屈なものでした。
犬の安全を確保するために、管理が少し強める必要があったからです。
七山に移った際に作った柵の仕様にも、強く管理する方向性が反映されていました。
柵は高めに作り、横板の隙間はほとんどなく、周囲からは中が見えない上に風の通りもない完璧な柵でした。
福岡の生徒さんたちにも、いつも同じ事をお願いしています。
前が道路や通路のときには、中にいる犬が外を見ないくらいしっかりと目隠しの柵を付けてくださいということです。
刺激が多く環境が不安定なときには、強い管理環境を必要とするからです。
ですが、10年間七山に暮らしてみて、この環境にはこんなに強固な柵は必要ないのだという感覚が芽生えました。
この土地は、ゆるりとしていて人は少なく、動物たちもゆったりと生活しています。
空間は広く時間もたくさんあって、がんじがらめとは無縁の空間です。
今回のリフォームでは、この七山校にあった空間作りを模索しながら、柵はもうすぐ出来上がります。
<クラス>週末に春のトレッキングクラス開催しました
暖かい日が続いたあと寒が戻った週末の日曜日です。
4月といえども油断ならない七山の寒の戻りですが、山歩きには程よく肌寒い気持ちの良い最高の日になりました。
尾歩山には山サクラの花がチラホラと咲いています。
人為的につくられたソメイヨシノのような華やかさはありませんが、気づく人だけが受け取ることができるほんの小さなこの山サクラが自分はとても気に入っています。
今回のクラスは山の深さを犬と共に味わいながら、犬と飼い主が関係作りをすすめる特別なトレッキングクラスです。
山に深く入ると緊張感も高まります。
野生動物が近くなり、自分達のテリトリーが遠くなってしまうからです。
さらに足場は多少歩きにくくなり、人里の気配が少なくなります。
ですが犬たちは脚を止めません。
人と共に山を探索するという行動は、犬という動物にとって古く記憶に残る行動のひとつではないかと感じる瞬間がいくつもあります。
トレッキングクラスは飼い主と犬がどんな関係でいるのかを知る良い機会になります。
日頃から人との生活の中で、それぞれにストレスを抱えている犬たちが増えています。
がんじがらめの自由のない生活が犬の生活なので、仕方なしとするところもあります。
でも、時には犬という動物としてその能力を十分に発揮して、犬として生きていることを飼い主さんと共に実感して欲しい、そんな気持ちからトレッキングクラスは始まりました。
山歩きのときには言葉を交わすこともありません。
あうんの呼吸で進んでいくので、言葉を必要としないのです。
食べ物で誘導する必要もないし、特別な号令も不要です。
いっしょに安全に探索して、そして無事にテリトリーに戻るという単純な行動、それが山歩きです。
春先の山は、危険生物も少なく安心感を持って歩けます。
戻ってから犬はそれぞれに休憩、飼い主は最新の話題を持ち寄ってお昼ごはんをいただきました。
トレッキングクラスはプライベートクラスからのスタートになります。
たくさんの犬と会わせるよりも、家族の飼い主との時間が最も大切な時間だからです。
今月もまた、犬たちとの山歩きクラスの時間に学びます。
<日々のこと>夜間に犬に異変が起きた時は福岡夜間救急動物病院へ
先日、夜の8時過ぎに知人から緊急の連絡が入りました。
飼っている犬に異変が起きているのだけど…という相談でした。
福岡の知人は、夜間時に対応してくれる夜間救急動物病院についてよく知っていました。
でも、ちょうどその8時という時間帯は、一般の病院が終了したばかりで、夜間救急動物病院が開院する9時の間のため対応に困る時間帯でした。
幸いにも、犬の状態を見ながら9時前くらいに夜間救急動物病院にたどり着けるように移動ができ、その犬は応急のオペを受けて大事に至らずに済んだそうです。
犬も小さな子供と同じように、飼い主が帰宅して夜の8時過ぎくらいから体調に異変が起きることが多く、夜間時に対応できずにいることは長くに渡って犬と暮らす飼い主の悩みでした。
福岡では平成4年に福岡市博多区月隈に福岡夜間動物救急病院が開院したことで、飼い主の多くが安心を獲得されたことでしょう。
夜間病院については、かかりつけの動物病院で紹介を受けるものと思いますが、いざというときのために、電話番号と場所だけは事前に確認されておくことをおすすめします。
ホームページはこちらです。
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福岡夜間救急動物病院
福岡夜間動物救急病院は、福岡県外の方でも利用できる病院です。
佐賀や唐津からでも、高速道路を利用すれば一時間程度で到着できます。
ご自宅から病院までの距離や時間などを知っておくと、犬の緊急時に慌てずに対応できます。
とても緊急だという事態に至ったときは、事前に電話をしながら病院に駆けつければ、応急処置の準備などもしてくださっているようです。
ですがひとつだけお願いがあります。
犬の病気対応について基礎的な知識だけは身につけておいていただきたいのです。
たとえば、日常的な下痢や嘔吐で夜間救急動物病院に連れてこられると、本当に緊急な場合の動物の対応が遅れてしまうし、夜間の移動で犬にも余計は負担をかけてしまいます。
犬の普段からの行動や病気の傾向を知って、今は朝まで様子をみても大丈夫と思える状態を把握しておくことも、飼い主としても勤めです。
<犬のしつけ方>子犬の社会化:子犬のシグナルを読み違えると社会性へ悪影響が出ること
犬のしつけ方やトレーニングについて学んでいる方なら、「犬の社会化」とか「犬の社会性」という言葉をどこかで耳にしたことがあるでしょう。
また、この「犬の社会化」という学習が、子犬期に、つまり生後4ヶ月くらいまでが重要であるという情報も広まっています。
社会化という言葉をわかりやすく簡単に言うなら、環境に適切に反応するという「環境への適応性」になります。
環境に適応した状態というのは、犬が日常的に生活する環境の中で、より多くの安心を獲得していく過程ともいえます。
例えば、散歩中に他の犬にあってもリラックスしてすれ違えるとか、外から聞こえる日常的な音に対して過剰な反応をしないとか、人に反応せずにすれ違えるといった行動は、犬が環境に対して適応性を高めている「社会化している」状態です。
これに反して、散歩中に他の犬を見て興奮して吠えたりリードをひっぱったりする、他人に対して近付いていこうとしたりとびついたりする、外からの物音に対して吠えたり飛び上がったり目を見開いたりする状態は、社会化していない状態といえます。
子犬のころの社会化学習について、インターネットなどに散乱する情報は偏りがあり明らかに間違っているものがあるので注意してください。
間違った情報はたくさんありすぎて書ききれませんが、これだけはとあげるなら以下のことは再考していただきたいと思います。
それは、たくさんの人や犬に会わせたり、いろんなところに子犬を連れて行くことが社会化だといわれていることです。
これは偏りがあり間違いやすい情報なのです。
子犬期に人や犬の多い公園や騒音の多い場所に連れ出したため、生後6ヶ月を過ぎることには吠えたりリードを引っ張ったりするような興奮しやすい犬になってしまったということはよくあることです。
インターネットで検索すれば簡単に情報が入手できるようになった時代だからこそ、間違った対応で子犬の社会化学習に失敗するケースが増えてしまっているようです。
子犬の社会化学習に必要なのは、子犬が適切にテリトリーを構成していくこと、子犬が飼い主という人と社会的な関係を深めていく事、そして子犬が散歩などの家庭周辺の環境に対して安心を獲得していく過程なのです。
ところが、子犬の社会化学習には難しい部分があります。
それは、子犬のシグナルが読み取りにくいということです。
犬は早くて生後6ヶ月前後、遅ければ2才くらいまでは「吠える」「咬みつく」といった闘争行動をすることがありません。子犬はストレスを抱えている場合に多くは逃げるという行動をとろうとしますが、逃げられなければただ興奮するもしくは硬直するとい行動をします。
子犬の興奮したり、硬直したりする行動は、一般的な飼い主からみると「喜んでいる」「大人しい」と受け取られがちなので、犬の反応としては問題がないとされてしまいます。
犬が興奮したり、硬直したりするのはストレスが上昇しているシグナルであり、社会化がうまくいっていませんよというお知らせにもなっています。
子犬のシグナルを読み違えるだけで、社会化は促進されるのではなく退行してしまっていることを気づかないまま、社会化学習が継続されてしまいます。
くり返し行われる刺激に対する興奮などの行動は、回数を重ねるごとに学習を深め、ついに子犬が生後1才を迎えるころには、吠えるという行動を多発するようになってしまうのです。
社会化学習のあり方と子犬のシグナルの読み取り方で、子犬の社会性が発達していくかどうかが決まってしまいます。
子犬はコミュニケーション力が低いため、その表現方法は成犬ほど洗練されていません。
子犬のシグナルを上手に読み取っていかなければ、適応力を育てる社会化学習も成功しないのです。
ただ、犬を刺激のあるところに連れて行きさえすれば社会化すると思わせるような情報が溢れているのですが、よくよく考えるとつじつまが合わないのですから、たくさんの情報を受身になりすぎず、よく自分自身で消化してみることをおすすめします。
子犬によって個性のあるシグナルの読み取り方など、すべての飼い主さんに身につけていただきたいことなのです。
子犬の社会化を成功に導きたいなら、子犬のシグナルを読む練習からはじめてください。
<犬のしつけ方>喉を締め付けられたように奇声を上げる犬たち
多くの人は「犬が吠える動物」であると誤解されているようです。
確かに犬は吠える動物ですが、落ち着いて過ごしているときにはほとんど声を出すことはありません。
日常生活がゆるやかに過ぎていけば、一日を通して犬の“声”を聞かない日は珍しくありません。
犬が吠えると強調されてしまうのは、犬の太くて広がる吠える声のせいかもしれません。
都心では、ストレス生活のためにめったに吠えない犬たちが頻繁に声を上げるようになり、犬の吠え声が社会問題になっていることも事実です。
ストレスが上手に解放されている犬や、過剰にストレスを抱えていない犬はめったに吠えないということを前提にして、犬の吠える声についてもう少し深く探っていきます。
犬の吠える声の質ですが、最近になって変化の傾向が著しくなっているように感じるのです。
変化というのは、犬の吠えが耳障りな甲高いものであったり、濁った音になってきているからです。
特に濁った音による犬の吠える声は耳障りで不快に感じられるものです。
先日の犬語セミナーでも動画の中で濁った音を出している犬がいました。
いわゆる「ダミ声」といわれる音ですが、つまり喉が閉まっているのに無理に大きな音を出そうとしてこのように濁った音になるというのがその声の仕組みになります。
濁った上に大きな音ですから、一般的には耳障りに感じられてしまいます。
犬が出す音=吠える音にはそれぞれに意味があります。
意味とは、犬が出す音は犬の状態を表しているということです。
犬よりも音のコミュニケーションを使う人にあてはめて考えてみましょう。
みなさんも、状況や環境に応じて声の質を変化させているはずです。
甘える声、叱る声、買い物のときに使う声など声は使い方によってその質は様々です。
さらに、声には個性がありますので、声をもつ人の性質、安定度、状態を表現する道具にもなっています。
犬も同じように、基本的な犬の性質と現在の状態に応じて出せる声の音程が決まってきます。
その上で、犬の状態や目的に応じてその音の質が決まってきます。
濁って大きな音を出して吠える犬たちの状態といえば、筋肉の緊張が高いけど強く主張しなければいけない状態なのです。
筋肉の緊張が高いという段階で、すでに犬がストレスを上昇させていることがわかります。
濁音や大きな音で注意を引き寄せようとする犬たちのメッセージを受け取る人はいないのでしょうか。
ただ犬が吠えることをうるさいと片付けてしまわないことです。
この犬が根底から必要としている環境は何なのだろうかと考える時間は、犬と豊かに暮らしていくためにはなんとしても作らなければいけない時間だと思えるかどうかでしょう。
都心に響き渡る犬たちの悲痛な奇声を聞くたびに、辛くなってしまいます。
安心して過ごしている犬は穏やかで静かな動物であるということ。
穏やかな犬と過ごしている人は穏やかであるということ。
どちらも真実ではないでしょうか。