グッドボーイハートのトレーニングクラスを受講して下さった生徒さんからいただいた、受講の感想文です。
今回は、3歳からトレーニングを開始されたビーグルのふくちゃんの飼い主さんからコメントをいただきました。
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今年4歳になるビーグル犬の“ふく”は、初めての室内飼いの犬でした。
うちでは、今までの犬達は全て外飼いでしたし、本当はふくも落ち着いた頃に外で飼うつもりでした。
しかし、
結局、室内で共に生活することにしました。
行きつけの病院がしつけ教室を開いていたので参加しようとしまし
仕事も忙しく、
しかし、月日がたつにつれ飼い主である私に対する執着は日ごとに強くなり、散歩中に他の犬や人に吠えたり、
このままでは、ふくも私も駄目になるという危機感からネットで必死にドッグスクールを調べて、宮武先生にたどりつきました。
犬の習性を全く理解できていないことを知って、自分が情けなくなりました。
また、私のこれまでの間違ったしつけや愛情がふくを不安にさせていたのかとショッ
しかし、
毎日習った事をトレーニングしました。
排泄は外、
カウチベッドでの休息、
マテ、
最初は絶対に無理だと思っていた事が、ひとつずつできるようになりました。
また、
家庭訪問トレーニング後も七山のトレッキングコースでふくといっしょに自然の中で
まだ、社会性で弱い面がありますので、他の犬と触れ合う機会を増やしていきたいです。
そして、ふくの協調性を高めていけたらと思っています。
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犬の問題行動の改善のために取り組む時期ですが、犬の年齢はやはり大きく影響します。
5歳より3歳がいい、3歳より1歳がいい、1歳より3ケ月がいい。
始める時期は一日でも早いことは間違いありません。
しかし、3歳になってしまったらもう犬の行動を改善することはできないのかというとそういうことではありません。
なぜなら、問題となっているのは犬の行動に影響を及ぼしている飼い主さんとの関係と、犬の生活習慣だからです。
ふくちゃんの初回のカウンセリングで印象的だったのは、室内のトイレシーツにする排泄の回数が20回くらいあったことです。
それでも、ペットシーツの上にする排泄を飼い主さんは当時は問題だと思われていませんでした。
しかしこの室内マーキング状態の排泄回数は、犬からの大きなメッセージです。
何かが上手くいっていない、不安定な状態が続いていますよ、ということを犬が行動を通して飼い主に伝えているということなのです。
犬がトレーニングを始めるには大変な状態や年齢になっていたとしても、やり遂げられる飼い主さんに共通している点があります。
犬のしつけに成功する飼い主の特徴その1
指示されたことをちゃんと守り練習を続けていること。
ふくちゃんの飼い主さんも、小さな練習を毎日コツコツと続けていらっしゃいました。
練習が続けられているかどうかは、報告を受けなくてもすぐにわかります。
人によっては「毎日やっているつもり」で全くステップアップしない状態を維持されていることがありますが、これでは練習とはいえません。
練習とは、繰り返しながらステップを上げて犬がよりできるように引き上げていく過程をいいます。
例えば、ごはんの前にオスワリすることなどはできるようになっていれば当たり前のことなのでそれを毎日やることは練習とは言わないのです。
犬とのトレーニング=練習は、自分にも負荷がかかるため忍耐強さがないと続けていくことはできません。
ふくちゃんはちゃんと練習を続けていることがわかる状態でした。
犬のしつけに成功する飼い主の特徴その2
自分の持っている思い込みや価値観を捨てることができる。
これは本当に大切なことで、なかなか思うようにはいきません。
多くの飼い主さんが持っている「犬を可愛がりたい」という気持ち、そして「犬がかわいそう」という気持ち。
この小さな価値観にとらわれている中では犬との関係改善はできません。
誤解を恐れずに言えば、この二つはどちらも人の都合に立った考え方だからです。
もし犬の親が自分の子を育てる立場であるとしたら、この二つの気持ちは犬には芽生えてこないでしょう。
親犬も子犬もお互いに真剣勝負です。
人側の犬に対する思いによって作られる思い込みや価値観をすべて捨て去ることは難しくても、一旦横に置くことができなければ「なぜ犬はできないのか。」とやがては犬を攻めることになるのです。
犬の立場に立って感じることが少しでもできるようになると、自然の中で犬と過ごすことの心地よさを肌で感じられるようになります。
自然と犬と山にいったり自然の多いところへ出かけたいという気持ちが芽生えるようになるはずです。
ふくちゃんの飼い主さんはそんな気持ちを感じられたのだと思います。
ふくちゃんとの関係はこれからまだまだ変わっていきますね。
ふくちゃんが他の犬とトレッキングができるようになることがとても楽しみです。
Author Archives: miyatake
<受講生のコトバ>3歳から犬のしつけにチャンレジでも遅くない!毎日の練習こそ関係作りのために必要な時間。
<お知らせ>8月は“オポハウス復興”グループトレッキングクラスを開催します。
土砂災害でダメージを受けたグッドボーイハート七山学校ですが、復興に向けてまだまだ戦っております。
日常の生活は取り戻せたものの、課題は山積みです。
ひとつひとつ考えつつ歩を続けなければいけないのは「犬のトレーニング」と同じです。
8月は復興に向けてのグループトレッキングクラスを再開させることになりました。
●8月のグループトレッキングクラスの日時
8月27日 日曜日 9時30分~
ご参加いただける方はラインやメールなどでご連絡下さい。
午後の犬語セミナーは8月はありません。9月に開催いたします。
斜面の整備についてはまだ日程が決まっていません。
当日と重なる可能性はありますが、山の方は問題なく歩けていますので、ぜひご参加下さい。
尾歩山にはグッドボーイハートの新しいメンバーがお待ちしています。
アールとゼットです。
宜しくお願いします。
仔山羊がオポハウスにやってきました。山羊との暮らしが始まります。
復旧作業はまだ終わっていませんが、同時並行して仔山羊を迎えることを決めました。
8月2日に仔山羊2頭を七山のオポハウスにお迎えしました。
波佐見町の「お庭」さんという民宿で今年の4月17日に生まれた仔山羊のメス2頭を引き受けるお約束をしていて、本日オポハウスに移動させました。
復旧作業や犬たちのお世話で私たちが迎えに行けなかったため、緊急で作った“山羊部”の皆さんにお願いしました。
引き渡しの様子を聞いた話では、お母さん山羊とのお別れのときにはそうとう強く鳴いたらしく、心痛むほどだったとのことでした。
群れで暮らす習性のある山羊にとって辛い経験になったに違いありません。
移動後は比較的落ち着いて草をもりもりと食べていたのですが、日が暮れ始めると戻る場所に親がいないことを知り猛烈に鳴き始めました。
ちょうど私が不在にしていたのでダンナくんが対応してくれたのですが、なんども逃げだそうとして大変だったらしいです。
日が完全に暮れてしまうとおとなしくなり(電気を消すとおとなしくなる犬のように)、鳴きは収まりました。
ここで起きて、食べて、寝るという時間を繰り返すことで少しずつ慣れてくれると信じています。
それにしても、はじめて山羊を飼うので山羊の行動のひとつひとつが新鮮で目を離すことができません。
すでに預かりできていた犬たちとは遠巻きに対面をさせていますが、山羊の方は反応が低く犬の方が非常に強く反応しています。
8月の夏休み合宿はすでにスタートしているのですが、今年は「犬と山羊」がテーマになりそうです。
オポハウス復旧報告3:斜面の土留めの工事が今月中に行われそうです。
前回のオポハウス復旧報告をご覧いただき、お声かけをいただき感謝申し上げます。
ボランティアさんや生徒さんたちの手作業の土砂撤去はいったんやるべきところまでを終えて次の段階を待っています。
下の写真は土砂が崩れた直後に撮影したものですが、同様していたのか全体が上手く撮れておらずわかりにくくてすみません。
崩れ落ちた土砂の幅は20メートル以上にわたり、土砂の量はすでに運び出した20トン以上の3倍はありそうなので、60トンくらいはあるような気がします。
何トンという単位も全くわからない素人ですが、トラックに積まれる土砂の面積を見て土って本当に重いのだなと実感しました。
今後の土砂留めの作業について、ボランティアさんたちがたくさん見に来てくださっています。
重機を扱えるボランティア団体さんたちは、熊本県、宮城県、長野県…と大変遠くから来てくださっていることに驚いたのですが、それぞれに地元が被災されたことをきっかけにボランティア団体としての活動が始まったというお話を聴くこともできました。
もちろん皆さんはこうした土砂留め関係の専門家でいらっしゃるのですが、それぞれに提案されることが違っています。
ある方はこうした方が良い、別の方は別の提案があり、3名来られるとそれぞれに違った意見が出てきます。
どうしたら一番良いのか、私たちがどの方向に向かっていきたいのかという意見も尋ねられました。
ダンナくんとも話し合ったのですが、私たちとしてはガチガチのコンクリート留めよりも自然に草が生えて再生していく方向を模索したいということになりました。
それが最善なのかどうかはまだわかりませんし、専門家の意見を最優先として今後の復旧計画を立てていきたいと思います。
復旧工事は今月中に着手されるかもまだわかっていません。
2次災害を防ぐために早期にとりかかる予定だということをボランティア団体さんから伺っていますので、復旧は確実に進んでいきそうです。
オポハウスの風景は大きく変わっていきそうですが、私たちも自然に寄り添いつつ同時に人の知恵や力も借りながら、今後の展開を受け止めていきたいと思います。
オポハウス復旧報告:ボランティアさん、生徒さんたちのご協力を得て日々進んでいます。
先日のブログで、七山のオポハウスの被災状況と復旧作業についてお知らせし皆様から多数のお声かけをいただきありがとうございました。
また、七山まで復旧作業のためにお手伝いに来て下さった皆様にお礼を申し上げます。
さらに3日前よりボランティアセンターよりボランティアさんたちが日々5名~10名ほど作業をするために駆けつけて下さり、復旧作業は着々と進んでいます。
テラスの土砂は撤去済、苦戦した洗濯機の置いてあるキッチン裏部分の土砂も人が通行できるような状態になりました。
プロパンガスの取り換えもできるようになり、人が通行できるようになっただけ風もとおり、気持ちも楽になりました。
テラスの柱は破損しているのですが、屋根が落ちないように真っ直ぐに立たせることができました。
土砂はまだまだありますが、一歩ずつ前進していることを感じられています。
見ず知らずのボランティアの皆さんが毎日お手伝いに来て下さる上に私たちよりもずっと作業に慣れていらっしゃるので、私などは足手まといになりそうで端々の細かなことしかできないのですが、できる方にお任せした方が作業は早く進みます。
その分は皆さんが帰られたあとにできることをしようと、一袋でも多く土砂を詰め込む作業をしています。
こうしてかきだした土砂は、毎日2トントラック満杯にして毎日ボランティアセンターに運び出していただいています。
土砂を広場に運搬するのがとても大変だったので、土嚢袋に詰めて持って行って下さることは本当に助かっています。
今までニュースなどで被災された場所にボランティアの方々がお手伝いに行かれる風景をテレビを通して他人事のように見ていました。
今回こうして自分たちが援助を受ける側になるとは夢にも思いませんでした。
お力を借りることを知って初めてそのありがたみを感謝することになり、また私たちも何らかの形でお役に立てる時には出かけようということをダンナくんとも話すようになりました。
試練はまだまだ続きますが、今後もお力を借りながら復旧を進めてまいります。
犬たちも応援してくれています。
災害の日のこと。オポハウス復旧作業進む。お手伝いの皆様ありがとうございました。
梅雨明けの感じのお天気が続いています。
復旧作業を進めつつ、あの日のことをご報告します。
7月10日、豪雨の日のこと
7月9日夜は梅雨らしい雨と雷が続きましたが、9日の時点で避難警報もなく今晩は荒れそうだなと感じられるくらいでした。10日の朝方まで同じように強い雷でしたが七山では頭上で雷が響くのには慣れています。もっとひどい雷もあったはずです。
雨が強くなったのは明け方の4時前くらいだったでしょうか。
6時前になると雷も止み起きていくとダンナくんがリビングに座っていました。
いつもと違うダンナくんの行動に、何かあったとすぐに気づきテラス側をみると、大輪だった紫陽花がテラスの中央付近まで来ています。
裏の土砂が崩れたのだとすぐにわかりましたが、日が明けて外に出たあとでその惨状を知ることになります。
室内は停電しており復旧を待ちましたが時間がかかりそうだったため、犬たちを広場に連れていき活動していたところへ、普段は会うことのない裏側の地域の方が歩いて上がってきました。
ダンナくんが出てきて話を聴くと「ここから下に降りる道路が封鎖されている」と。
早速ダンナくんがオポハウスから下ることのできる7本くらいのすべての道路を確認に行きましたが、すべて木々や電柱が倒れて封鎖されており、八方ふさがりで孤立した状態となります。
役所や九州電力に連絡を入れて環境が整備されるのをひたすら待ち続けました。
電気が来ない、ポンプが使えないから水がない、災害用の備蓄の水は期限が切れて入れ替えようと思い廃棄したばかりで、状況は最悪です。
「発電機を買っておけばよかった」という嘆くダンナくん。
夕方なって、唐津市内にお住まいの生徒さんがバイクで水をもってきてくれるという連絡を受け一筋の光が見えました。水はダンナが通行できない道まで行って受け渡し的に受け取ってきました。
しかし、その30分後に生徒さんがバイクでうちまで上がって来られたのです。
このときは感動しました。道がひとつ開通したことを教えて下さり、早速荷物をまとめて博多に全員で移動しました。
下山のときに九電工さんのフォークリフトと大型トラックの軍団が何台も連なってすごい勢いで上がっていくのとすれ違いました。
使命感に燃えた勢いというのが感じられて、あとでダンナと「かっこよかったね。」と話したくらいです。
おかげ様で停電は3日目夜には解消しました。
土砂崩れによる被害について
裏の水の道になっているところ、以前から危険な感じがして昨年からつつじを植え続けており、紫陽花もたくさん植えようと苗木を育てているところでしたが間に合いませんでした。土砂の被害は七山全土にわたっており、みなさんが使われていた観音の滝につながる大きな道も何か所も土砂崩れが起きています。私が七山に来るようになって16年になりますが、この間にはなかった災害ですので今回の雨は十数年に一度のことだったのでしょう。
土砂崩れはうちだけでなくこの集落の家の裏はほとんど土砂にやられてしまい、みな撤去作業に追われています。
オポハウスの裏で崩れた土砂はゆっくりと滑り落ちるようにキッチン裏とテラスへとなだれ込みました。
テラスの半分くらいまで土砂は来ていました。
家は押しつぶされることはなく持ちこたえましたがダメージの状態はまだ確認できていません。
たくさんのお手伝いの力を得て、テラス側の土砂はほとんど撤収できました。
ですがこのままだと新たに控える土砂がまた落ちてくる可能性があるため、余談は許しません。ある程度この作業を続けながら最終的には重機を入れることになると思います。
お知り合いの業者さんもいらっしゃないのと、あちこちで家屋の倒壊もあり業者の方々の手配もままなりません。
わたしたちはしばらくこの状態をキープしながらヘルプを待つことにしました。
災害で起きている自分の変化
早く土砂を撤去しなければという気持ちで、七山にいるときは犬たちのお世話の合間の休憩タイムはすべて土砂撤去に回しています。休めばいいのにと言われるのですが、気持ちが休まらないから休めないのです。
休むくらいなら1回でも2回でも土砂を運び出したいという気持ちの方が強いのです。
水が気になって夜中に起きて作業を始めたこともあります。
相当のアドレナリンが放出されているようで、疲れないので日々の仕事はいつもより進みます。
繰り返しの土砂をもって立ったり座ったりの作業で、太ももに筋肉がつき自然な筋トレ時間になっています。
犬たちは変わらずいつも通りに日常を過ごしています。
被災したあの日もどちらかというと泥水の方を好んで飲んでいるようでした。
飲み水がないという私たち人間を横目に「いつもより美味しい水がある」と泥水を飲む犬を見て、いかにヒトが自然から遠くなったのかを痛感します。
分蜂して増えたミツバチたちも普段と変わらぬ日常を送っています。
山の水が降りてきて湿原風になってきたオポ広場にはアメンボやゲンゴロウを発見して驚愕しました。
いつ、どこからやってきたのか。
ここに湿原ができたって誰が伝えたのか。
むしろ彼らの方に、これからここはどうなっていくのかを尋ねてみたい気がしました。
犬たちならここが「やばいところ」になってしまったら、滞在するのを嫌がる何かのシグナルを発すると信じることにしました。
自然とつながるセンサーを失ったヒトに大切なことを教えてくれる動物や昆虫たち。
昨晩はテラスにカブトムシが飛んできたのを発見しました。
カブトムシは尾歩山でもめったに見ることはありません。
山の変化に対して行動を起こす動物たちの動きを追うのが楽しい日々です。
グッドボーイハートに支えて下さるすべての皆さんへ
豪雨の翌日からたくさんの連絡や励ましのお言葉をいただきました。作業のためにとジュースやお茶の差し入れをいっぱい頂いています。
土砂撤去作業の応援に駆けつけてくださり、労力のいる作業を黙々とお手伝いいただいた皆様のお力添えを得ることができました。
数人でもそろうと力は何倍にもなります。
皆さんのお力で思った以上に土砂撤去が進み、日常が戻りつつあります。
前向きに取り組んでいるとはいえ七山に学校を構えて以来、最もひどい災害を受けたわけです。へこまないわけはありません。
ただ後退や逃げるという選択肢が全くなく、復旧かつ前進という考えと行動にしかいきつかないというだけです。
私たちが生活できる場所は博多にもあります。
ビジネスだけのことを考えたら、福岡や唐津で家庭訪問のトレーニングクラスだけをしている方が圧倒的に利益はでます。
入ってきたお金のほとんどは七山のオポハウスやこの周辺の整備のために費やしてきました。
それでもここにこだわる理由は、この山のふもとの家でみなさんや犬たちと一緒に学び、癒されるという時間が何をおいても一番大切だからです。
災害ばかりでなく老朽化も受けて労力や経済力を問われるたびに、まだここを離れるわけにはいかないという答えしかかえって来ません。
みなさんが駆けつけて下さったその力がまた新たな道を開かせてくれる予感が当たったようです。
本日、重機を使わせてくださるボランティアの方とのつながりを得られました。
早速、役所の方といっしょに現場に来てくださってお話を聴きました。
役所の方には土砂災害を受けたことをすぐに報告したのですが、ここで災害が起きていることを把握はしていたが数回この集落を回ったけれどこの家を見つけることができなかったということでした。
こちらとしては、待ちの状態だったのですがタイミングもあったのかもしれません。
重機を使用できるボランティアメンバーさんたちは、今日の夕方に福岡空港に到着されたそうです。
少しずつ進みつつありますので、また報告します。
今後のこと
そんなこんなでお迎えするはずだった子山羊のお迎えが少し後になりました。月末までにはお迎えに行く気持ちがいっぱいですが、子山羊のスペースを確保するまではヤギ部も待機です。
自然は恐ろしく怖いというよりも自然は力がすごいのだと感じた今回のこと。
無力さを味わいながら小さな存在であるわたしは謙虚であることを繰り返し学ぶ必要がありそうです。
その莫大な力を持つ自然の中で学ぶことはリスクはあるがそれ以上の価値のあることだと信じます。
ヒト、犬、そして日本ミツバチや山羊たちも。
学びの仲間は増えていきます。
<お知らせ>7月のトレッキング&セミナーは中止・7月16日、17日にお手伝いを募集しています。
7月23日に予定していたトレッキングと午後のセミナーを中止させていただきます。
8月の第4日曜日に開催予定です。
お申込みして下さっていたみなさんご迷惑をおかけします。
7月10日の豪雨により、グッドボーイハート七山校は裏側の警戒していた場所の土砂がゆっくりと落ちて家の裏にたまっています。撤去作業は大変なことが続いていますが、生活や仕事など日常は戻ってきました。
たくさんのお声かけやお見舞いのお言葉などをいただき、またすでにお手伝いに来て下さった方もいらして大変心強くお礼を申し上げます。
私たちの自宅は毎日の作業で本当に少しずつですが進んでいると思います。しかし、七山全体からするとまだまだ被災の爪痕が強く残っています。
地域の皆さんたちの多くも被災者となりましたので、今回は自粛し足元の作業に集中したいと思いますのでご理解下さい。
広場は健在でお預かりやレッスンは平常通り営業しております。犬たちはいつもとおり遊んでおり、こちらにも心救われます。
・お手伝いの方を募集しています。
明日の7月16日と17日のいずれかで、土砂撤去作業をお手伝い下さる方がいらっしゃいましたら、メールもしくはラインでご連絡下さい。
一気には片付きませんので少しずつでも前進しようという気持ちで行動しています。
※現場の状態や経過については後ほど追加でご報告いたします。
異種間コミュニケーションの読み間違い“ひなとダンナくん編”
グッドボーイハートの山の学校では、日常的に様々な野生動物との小さな関わりがあります。
小鳥や昆虫は都市空間の公園や木々でも時折みられるものの、動物たちとの距離の近さが山では圧倒的に近くなります。
そんな日常の動物たちとのやり取りの中で起きた小さな出来事です。
ある日、訪問レッスンを終えて山の学校へ戻る前にダンナくんに業務連絡を入れると、こう報告がありました。
「ひなを発見、巣から落ちたらしい、蛇に食べられるのではないか、保護した方がいいのか?」
私の返答は「そのまま様子を見ること」。
私がすぐに小鳥を保護して欲しいというかと予測したダンナくんは「へーさすがだね。」とリターンを返し私が帰宅するのを待ちます。
帰宅後、ひなの状態を確認すると人を恐れて隠れるモード、周囲に親鳥たちが飛ぶ気配もまだありました。
ダンナくん、ひなが口を大きく開けて俺にエサをせがむのだと、そして親鳥たちが自分に攻撃しようとする様子も見られたとのことでした。
その口を大きく開けてエサをせがんでいるのだとダンナくんが受け取ったひなの写真を見せてもらいました。
ひなの写真の姿は、口を大きく開けて「あっちへいけ」と防衛のシグナルを見せているものでした。
これはエサをせがんでいるのではなく、あっちへ行けっていってるのだよということをダンナくんに説明すると、しごく納得した風でした。
鳥のことを知らなくても冷静に見ればそうだと気付く動物のシグナルも、受取間違いをすることがあるのは、そのときに人の中に「感情」が芽生えてしまうからです。
ダンナくんはこう思ったに違いありません。
「ひなが可哀そう、助けを求めている、このままだと蛇に食べられてしまう、俺が助けなければいけない…」
そんな気持ちが幼く弱者である動物に芽生えてしまうと、とたんに自分は相手の保護する立場となってしまいます。
こうした動物の異種間のコミュニケーションの小さな読み違いが、実は飼い主と飼い犬の間に日常的に起きています。
一番わかりやすく毎日のように繰り返されているのが「犬が飛びついてくるのは人が好きだから」です。
カウンセリングに行くたびに言われるのは「人が大好きなんです。お客さんが来ると人に飛びついていくんです。」というセリフ。
「とびつくのは人が好きだからではありません。」というセリフを、もう何万回いやもう何十万回も繰り返し言っている気がします。
コミュニケーションの読み違いを防ぐために動物の言葉を学ぶ方法はひとつだけです。
同種間のやり取りをよく観察することです。
コミュニケーションの読み間違いは同種でも全くないわけではありませんが、非常に少なくなります。
ひなと親鳥のやり取りを観察することはなかなかできませんが、ひなの口を開ける写真は、ひながエサをもらうときにする口の開け方とは違います。
わたしたちは室内に入ってひなが少しずつ山の方に上がっていくのを観察することにしました。
親鳥たちがひなを誘導するようにたくさん集まってきていました。
もしかしたら巣に戻る前に蛇に取られてしまったかもしれません。
そう想像するとかなしくはなりますが、それが野生なのです。
そんなサバイバルの中で学ぶためには、サバイバル脳になること。
犬たちの脳もサバイバル化すると活性化します。
ひなの写真はこちらです。
グループトレッキングクラスを開催しました。
お天気が心配な梅雨の季節のトレッキングクラス。
「雨が降っても行きます!」と強気の生徒さんからの連絡もあり、できることをやればいいのだと望んだトレッキングクラスでしたが、生徒さんたちの祈りも届き無事に開催できました。
毎月開催しているといっても年に12回しかないグループトレッキングクラス。
みなさんのご都合が合えばご縁があったということ、貴重な時間だと感謝していっしょに山歩きをするひとときを楽しみました。
知っている顔も知らない顔も、いっしょに山を歩くことでたくさんの会話を交わさなくとも仲間意識が芽生えてくるから不思議です。
同じ風景を見て、同じ空間を共有して、いっしょに気持ちいいねと感じる時間が大切なのかもしれません。
実際に歩いていただければ、ひとりだとこんなに楽しくないのになと感じる時間になるはずです。
最初は知らない人や知らない犬に緊張することもあるとは思いますが、みんな犬を愛する気持ちはいっしょ、回を重ねていくうちに自然に会話が始まるようになります。
お互いに一気に近づき過ぎると離れるのも早くなります。
ゆっくりと近づくと離れる気持ちもゆっくりとになるはずです。
犬と人の関係性も同じようなものではないでしょうか。
そんなスローな山歩きクラスはゆっくりと過ぎていきました。
クラスの終わりには対面のクラスを開催しました。
毎回楽しい対面クラスですが、新米犬が登場して今回も盛り上がりました。
午後はお昼ご飯のあとに、有志の方々で子山羊を迎えるための柵の準備をしました。
子山羊の小屋などの制作がなかなか進まず、子山羊のお迎えが遅れています。
子山羊が来たらまたゆっくりと犬たちの社会化勉強が進みます。
やることがたくさんありすぎるほどあるのですが、どれも自分が望んだ時間です。
皆さんの人生の中にも、好きなこと、知りたいこと、楽しいこと、うれしいこと、ワクワクすることがいっぱい起きますように。
犬と巡り合えた皆さんには、ワクワクはいっぱいありますね。
来月のグループクラスのときには、たぶん子山羊が来ています。
楽しみ、楽しみ。
ニコ・ティンバーゲンの「四つのなぜ」から犬について考える。
犬の問題を解決するためには、しつけ方のハウツーより犬を知ることから
犬との暮らしで最も大切なことは「犬を犬として理解する。」ことです。といってもそう簡単なことではないから、犬の問題はあちらこちらで発生しています。
飼い主の犬に対する理解不足は、犬と飼い主との関係をこじらせてしまうのです。
結果として犬は吠えたり咬みついたりするという行動を通して、犬は飼い主との関係がうまくいっていない、生活自体に何か不安や不満を抱えているということを表現するようになります。
犬の問題行動を解決するために一時しのぎの対処法をやっても、抑えられたように見える行動は別のところに蓄積されてしまい決して犬はハッピーにはなりません。
犬との暮らしを大切にして、犬とお互いに幸せに暮らしていきたいなら一歩踏み込んだ解決方法に向かいましょう、それが犬を理解するということです。
犬の行動を理解するためにはいろんな方法があります。
例えば、尊敬するローレンツ先生が読み解いた犬の行動を参考にするということもその一つですが、自分で犬の行動について考えてみるという習慣を身に着けることも大切なことです。
自分で考える方法として、オランダの動物行動学者ニコ・ティンバーゲンの「四つのなぜ」を使うという手もあります。
動物行動学者ニコ・ティンバーゲンの「四つのなぜ」
動物行動学者ニコ・ティンバーゲンは1973年にノーベル医学・生理学賞を受賞した学者で、生物の行動を理解するために4つの問いからアプローチできると提唱されたことを「四つのなぜ」といわれています。その4つとは次のとおりです。
1 仕組み ⇒ どのような仕組みでどのように使われるのか?
2 機能 ⇒ どのような機能で、どのような利点があるのか?
3 発達 ⇒ どのように発達したのか(生まれてから死ぬ前の間に)
4 進化 ⇒ 動物の進化の過程でどのように獲得されたのか?
さらに、その四つのなぜ(問い)は、その問いを解く要因としても分けられます。
①至近要因
②究極要因
③発達要因
④系統進化要因
動物行動学の用語なので、少し難しい用語ですが勉強されたい方のためにご紹介しておきます。
さて、では実際に犬の行動をこの4つのなぜに当てはめて考えてみましょう。
犬の穴掘り行動を四つのなぜで考えてみる
どんな犬でも必ず行う「犬が前脚で穴を掘る行動」を見て、なぜこんな行動をするのだろうかと考えることはあるでしょうか?犬が穴を掘る行動を4つのなぜで考えてみるとこんな風になります。
1 仕組み ⇒ どのような仕組みでどのように使われるのか?
犬が前脚で穴を掘る行動で一番使われているのは、犬の鉤型の爪です。
グッドボーイハートにも大きな穴がいくつかありますが、すべて犬たちが掘った穴で本当にすごく深く掘ってあるものもありました。
一度は短時間、犬を繋いでいて見に行くと水道管がむき出しになるほど穴が掘られていて、その穴掘りの速度の速さに驚いたこともありました。
私たち人間の平らな爪ではあんなにがっつりと穴を掘ることはできません。
最近の室内飼育犬ではほとんど切られてしまっている犬の鉤型の爪は、犬が穴掘りをするためには必要な道具なのです。その爪を犬が持っているのが素晴らしいですね。
2 機能 ⇒ どのような機能で、どのような利点があるのか?
犬の穴掘り行動を見ていると、鉤爪のついた前脚を左右に動かすことを繰り返す行動で地面に深く穴を掘っていきます。
その掘った穴をどのように使っているかというと、大抵の場合にはその穴の中に寝ていることがほとんどで、場合によっては耳しか見えないほどの深い穴に入っていることもあるし、腹を地面につけるようにして寝ていることもあります。
隠れるために掘る穴、自分の体を冷やしたり癒すために掘る穴、ということでしょうか。
他にも用途はあります。
グッドボーイハートの広場にはモグラの穴がたくさんあります。その穴の中に鼻を突っ込んだときの穴掘り行動の早さは尋常ではありません。どんどんと鼻先を穴の中に突っ込むのような形で穴掘りが続けられます。
この場合には、捕食をするための穴掘りということでしょう。
また、お泊りに慣れていない犬が夜中にクレートの奥をかりかりと掘る音が聞こえてくることがあります。
これはまさに脱出のとき、私たちの寝静まったのを見て穴掘りで逃走をはかろうとしているのでしょう。
犬が穴を掘る利点はひとつではなさそうだということです。
3 発達 ⇒ どのように発達したのか(生まれてから死ぬ前の間に)
犬の穴堀り行動の始まりは、巣穴から出てくる年齢ではすぐに始まっています。
子犬は穴掘りを何よりも先にできるようになっています。
歩けるようになったばかりの子犬を見て来た経験では、哺乳期間が終わって自力で排泄できるようになる生後3週間になると穴掘り行動はすでに習得されていたと考えて良いではないかと思います。
穴掘りは、子犬が隠れ場所として利用する巣穴を奥深くまで掘る行動です。
子犬は危険を感じると穴のより深くに入って身を隠そうとしますので、早い時期に必要となる行動なのです。
4 進化 ⇒ 動物の進化の過程でどのように獲得されたのか?
進化の過程となると、他のイヌ科の動物と比較しなければなりません。
もちろんオオカミは穴掘り行動をしますが、他のイヌ科の動物たちもみな巣穴を作って繁殖する習性を持っていますので、イヌ科として進化した段階では穴掘り行動をしています。
イヌ科動物の始まりからとなると、かなり古い起源から犬は穴掘り行動を継承してきたということになり、犬という動物にとってかなり重要な行動のパターンであるはずです。
しかし、その穴掘り行動すらする場所がない、穴を掘るための爪がないとなると、犬の行動はこんどどのように変化していくのかわかりません。
犬という動物が人の膝から降りなくなり、抱っこされるのが当たり前だから穴掘りは必要ないとなってしまうと、犬としての魅力がぐっとなくなってしまうと思うのは私だけかもしれません。
私は穴を掘る犬の姿を見てワクワクしています。
犬の行動についてひとつずつ理解することで犬との関係は変わっていくはずです。
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参考文献:長谷川眞理子著書「生き物をめぐる4つのなぜ(集英社新書)」
※動物行動学者ニコ・ティンバーゲンの「四つのなぜ」をご紹介するために、一般の方にわかりやすく書かれた著書です。
長谷川先生はスタンダードプードルとの暮らしも著書で紹介されている犬好きのようです。