能登半島地震でがれきの下かた救出された犬たちの写真や映像を見てほっとし、犬の生命力はやはりかなり高いのだなと再認識しています。
地震からかなり時間がたってしまったため、生存の確立はどんどん下がっているのでしょうが、おひとりでも多くの行方不明者の方が見つかるようにと祈っています。
地震直後はがれきの下に埋もれてしまい助けを求めている人をできるだけ早く救出する作業が危険と隣り合わせで行われていました。
余震が続き痛んだ建物や家屋が崩れ落ちる危険性の高い状況でのレスキューには経験や知識、能力を備えた特別なレスキュー隊員が活動をされていました。
そのレスキュー隊の中に、災害救助犬という災害時に救助の手伝いをする使役犬(しえきけん)もいました。
私はテレビニュースなどを見る時間があまりないのですが、友人が一枚の写真を送ってくれました。
写真を送ってくれたのは、盲導犬訓練士時代の友人です。
一昨年、グッドボーイハートに盲導犬についてのセミナーの講師として来てくれたこともあります。セミナーを受講された生徒さんもたくさんいらっしゃいましたね。
この写真でレスキュー活動をしている災害救助犬は、実はその友人が盲導犬として育成していた中でキャリアチェンジ犬となって災害救助犬団体に移動になった犬だということでした。
キャリアチェンジというのは、盲導犬として繁殖育成をしてきた犬が、盲導犬としては適性がないため他の役割にチェンジするという仕組みです。
キャリアチェンジ犬の中には災害救助犬や補助犬になる犬もいますが、そのほとんどは家庭犬としてキャリアチェンジを果たしています。
盲導犬から災害救助犬へのキャリアチェンジというのは、決して多いものではありません。
災害救助犬の活動を見て、すごいなと思われる方も多いでしょう。
こうした使役の作業はすべての犬ができるわけではありません。
一定の資質を備えている犬に適切な飼育と訓練が重なってこうした活動が実現されるのです。
どの使役犬も危険でないことはありませんが、災害の現場となると使役の中でも緊張感の高い環境です。
ハンドラーと犬との協力関係がなければ、お互いに安全に作業することができません。
緊張感の高い作業ですし、達成したときには人だけでなく犬の方にも充実した時が生れるでしょう。
犬の高い社会性のなせる業なので、他の動物ではなかなかありえない関係性です。
ですが使役犬=作業犬は人に使われてる犬なので可哀そうという気持ちを持たれる方もきっといらっしゃると思います。
いつも暖かく安全な場所で人の膝に抱っこされて一日を終え「今日も楽しかったね」と暮している犬がいいのか、危険な作業に人と共に出かけて行って辛くて危ない時間を過ごす犬がいいのか、に答えはありません。
また、前述したとおり使役犬には適性というものがあり、繁殖の知識や情報がたくさんあっても生まれた犬がすべて適性があるということにはならず、現実は厳しいのです。
みなさんと暮している家庭犬は、家庭犬という目的に応じて繁殖された犬と、野良犬として人とは暮らしていなかった犬を保護された犬のどちらかでしょう。
どちらにしても、与えられた役割は家庭犬です。
家庭犬といっても役割は幅広く、どのような役割を準備しているかは飼い主次第となります。
使役犬が優秀で家庭犬が劣っているということは決してありませんので誤解のないようにお願いします。
※なお、掲載写真は犬の提供を受けたハンドラー様が繁殖と育成を担当してきた友人に送られてきたというもので、当ブログへの掲載の許可は頂きましたが転載許可はいただいていませんのでご了承下さい。