山の学校に犬たちを連れてきて数日が立つと、犬の表情や動きに変化が訪れます。
特に山の学校に慣れている犬たちはついたその日から表情に変化があります。
都会の生活で疲れてたのかな、と伸び伸びと活動する犬を見ながら考えます。
山での預かりが初めての犬でも、年齢の若い犬や気持ちの若い犬の変化はとても早く驚きます。
犬のことをあまり知らない人が見ても、ある程度の動物らしい感性を持っていれば、その違いは明らかにわかるはずです。
今やたくさんの家庭室内飼育の犬たちがいます。
屋外飼育よりも室内飼育がいいのかどうかは、家の周囲の環境にもよるので一概には言えませんが、室内飼育によって寒暖のストレスから解放されたことで犬が長生きになっていることも否定しません。
ほとんどの家庭犬は飼い主さんにかわいがられています。
ちゃんとご飯を与えられて、オモチャやオヤツもたくさんもらっています。
毎日散歩に連れていってもらっている犬も多いはず。
どんなにたくさんもらったとしても、犬には足りないものがまだあるのです。
犬が本当に必要としているもの、それは犬の原始的な脳を適度に刺激してくれて、かつ安心して過ごせる自然の中の住処です。
インスタグラムには自然の中の戸建てに伸び伸びと過ごす犬の写真もたくさん出ています。
でも、多くの飼い主はその場所を持っていないし、自然環境のある場所にでかけてゆっくりする時間を持っていません。
忙しく働く毎日の生活の中で、犬のためにお金は使えても時間はなかなかないというのが現実のようです。
忙しい方は、私のように都会と田舎に家を持つということもできません。往復だけで人生が終わってしまうかなと思うこともあります。
他人からどう見られようと自分にとって価値があると判断できることをする主義なので、自己中心的に考えて価値ありと思っています。
何よりも、犬がこうして自然の中でずっと過ごす時間を持つことでこんなに変化するのだということを一番見ることができるのです。
犬のために何かやりたいと思った中でも格別自分を評価できる場所と時間がある、それが山の学校です。
私も自分の犬にオモチャやオヤツをたくさん与えていた時期がありました。
とても忙しく犬のために時間を作ることがなかなかできなくなってきるとますますドツボにはまってしまい、首輪やリードを新調したこともありました。失態ですね。
でも、本当は聞こえてくるオポの声。
欲しいのはオモチャでもオヤツでもないよ、欲しいのは山でいっしょに過ごす時間だよ。
やっと届いたオポの声、引っ越したのは犬が7歳の時でした。
オポが若いころにここに住めていたら…それが人生最大の悔やみです。
都会にグッドボーイハートを作ったあの時間も必要な時間だったのでしょう。
それにたくさんの素晴らしい出会いもいただきました。
飼い主さんが準備できない山で安全かつ楽しく過ごせる場所と時間。
少しだけお役に立てれば幸いです。