フレンチブルドッグは愛嬌のあるので人気のワンちゃんですね。
フレンチブルドッグも本来の犬種よりさらに小型に繁殖されて、愛玩犬になってきたため
たくさんの方に飼われるようになりました。
フレンチブルドッグのまるちゃんの飼い主さんは、
予期しない知人からのプレゼントとして子犬のまるちゃんと暮らすことになりました。
犬を飼うための事前の準備もなく迎えた初めてみるような風貌の小さな子犬。
最初に会ったときは「かわいいぬいぐるみみたい」に大人しかったことでしょう。
ところが生後6ヶ月頃になってトレーニングの連絡をいただいたときには
「咬みつくんです。」という状態でした。
子犬のころに大人しいワンちゃんは急変することが多いので要注意です。
最初から言う事を聞かないならともかく、小さな子犬のまるちゃんを
飼い主んさんは、ぬいぐるみみたいに大切にして「可愛がって育てた」のですから、
一変したように咬みつくようになり「何故???」という気持ちだったでしょう。
「どういうときに咬みつくんですか?」とお尋ねすると
「犬を入れるバッグのジッパーを閉めるときに噛み付いてきます。他にも…」といわれます。
実際にやってもらうと「ガウガウ」と本気で威嚇してきました。
体のサイズは小さいのに凄みはあって、ちっちゃな反抗者といった感じです。
自宅での犬の行動をひとつひとつ尋ねていき、まるちゃんの状態を整理していきました。
単純に見れば「飼い主さんが犬に下に見られている。」ということのように思えますが、
実際にはもう少し複雑でした。
犬の学習の中で最も奥が深く時間がかかり、そして何よりも大切な
「社会化」学習が上手くいっていない状態だったのです。
「社会化」学習は生まれたときから始まっています。
マンションの一室で外に出るのも遅くなり環境に対して敏感になり
小さな刺激に反応が高なり、飼い主さんにも攻撃的になってしまったのですね。
その上、飼い主さんに対して強さをアピールするようになっていました。
生後2~3ヶ月の子犬期は反抗的な行動をしないので問題が見えにくい。
問題に気づかないから対処しない。何かさせようと思って興奮することを教えてしまう。
の悪循環に陥りやすいです。
「可愛がっただけなのに犬が急に変わった。」とビックリされるのも無理はありません。
犬のことを十分に知っていないと、事前予測はできないものです。
社会化トレーニングのコツは毎日の適切な接し方、
学習の取り入れ方を飼い主さんが学ぶことです。
忙しい飼い主さんにとって厳しい宿題がたくさん出たのですが、
真面目な飼い主さんはまるちゃんの真実を知るのが楽しいようで熱心に取り組まれました。
トレーニングを受けられてからは「まるがこんな行動してたんですけどこういう意味ですか?」
という質問が増えてきました。
私はすぐには答えを出しません。なぜなら答えは飼い主さんが知っているからです。
飼い主さんが答えを出していけるように逆に質問をしたりします。
「もしかして全く違ってますか?じゃあ逆にこういう意味だったりして。」と
答えへの道を急ぐあたりは突進するまるちゃんと同じ傾向のある飼い主さん。
そういうときこそスローペースへと誘導して寄り道の楽しさを味わっていただきます。
答えが出て理解できたときは飼い主さんにとって「まさか」の事も多く、
このドッキリも楽しみのひとつです。
若いころは自己主張を抑えることが難しいまるちゃんでしたが、
このときは犬のオポ先生が手伝ってくれました。
先生役はどんな犬にでもできることではありません。
まるちゃんとオポ先生の出会いは必然だったんでしょうね。
そのまるちゃんも犬生の中年期を越えて良い年になってきました。元ヤンといったところでしょうか。
お休みのときにはまるちゃんといっしょに自然の中で過ごされている飼い主さん。
まるちゃんの表情の変化を読み取れるようになったからこその思いと行動ですね。
愛情たっぷりに可愛がるだけでは上手くいかないことも、
「理解」して可愛がる姿勢になると別のものになります。
まるちゃんを理解したい飼い主さんの誕生と成長。
まるちゃんが一番望んだことだったと思います。
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まるちゃんと飼い主さんはふたりともパッチリとした目のパートナー同志。
「犬は飼い主に似る」というけど、見かけも似てしまうのですね。
出会いはびっくりするものだったけど人生は不思議ですね。
まるちゃんとの「愛と調和に溢れた日々」を応援しています。