ここ数年で多いお問い合わせの内容がこれ。
飼い主の姿が見えなくなるとすごく吠えるんです。
ネットでこの文章を検索すると「犬の分離不安」「分離不安症」という項目がたくさん出てきます。
自分の姿が見えなくなると吠える、興奮する、パニックを起こす犬を見て
「うちの犬は分離不安ではないか。」と問い合わせをされてこられるケースがとても増えています。
この行動のお問い合わせは数年前から少し増える傾向があったものの、コロナ禍において爆発的に増えたといっても言い過ぎではありません。
世の中の不安定さが飼い主の不安になり、それを受けて犬まで不安になってしまう…。
分離不安の犬を作ったのは社会のいだく不安の連鎖のようにも思えます。
犬には何の罪もないうえに、分離不安犬として不安な状態を生涯を通して持ち続けるのは大変なストレスであるばかりでなく動物として幸せ感にも影響します。
犬の分離不安状態は最初は初期症状から始まり、次第に悪化し病的なまでに進行します。
分離不安症という病名までついてしまい、動物病院では人の精神科で処方されるような類の薬を使用して治療にあたる場合もあります。
犬はそもそも病気ではなかったはずなのに、精神的な病気犬として扱われるまでになるなど、社会の変化といえどもあまりにも辛いことです。
分離不安は早期状態であれば、現在の飼い主さんの元で生活環境や接し方を改めながら解決することが可能です。
かなり早い時期に変化が訪れます。
状態が多少進行している場合には、経過をみながら環境を変化させていくことで同じように飼い主さんの元で行動改善を図ることができます。
分離不安犬としてあきらめずに犬の行動を理解して取り組んでいただきたいと思います。
犬は環境が変わると大きく行動を変化させることができる動物です。
ときには飼い主の環境では見られないような行動を他の場所で見せることもあります。
お預かりクラスのときにはそのことをよく観察でき動画撮影して飼い主さんにご覧いただくと驚かれることも珍しくありません。
犬は案外それほど悪くなっていないのに、犬が悪いと思い込んでしまって問題を複雑にしてしまうこともあるでしょう。
冷静に客観的に観察する眼が飼い主の側にも必要です。
犬が大切なら、犬のことを愛しているなら、犬を理解するためにかかる時間や労力は飼い主にとって苦にはならないと思います。
飼い主の姿が見えなくなると騒ぐ犬たち、犬からのメッセージとして受け取り対応していきましょう。