久しぶりに七山に到着すると、うぐいすの鳴き声で出迎えられました。
だんだんとせわしくなるうぐいすのあの聞きなれた鳴き方も、このころはまだ風情を感じられます。
春が来たのだと実感できる、そんなときです。
七山で過ごしていると一日がものすごく長く感じられます。
私だけでなく預かりクラスを利用していっしょに過ごしている犬も、きっとすごく長い一日を過ごしているではないかと思います。
クラスの最中に様々な犬の行動を説明するときに、「時間」と「空間」という素材が犬に与えている影響についてお話することがあります。
自分のテリトリーの中にしっかりとした余裕のある「空間」を持っている犬は、余裕をもって「時間の経過」を感じることができると感じています。
感じています、というあいまいな言い方になってしまうのは、科学的に説明するようなデータがなく、あくまで私個人が犬の行動を見ていて「そう感じる」というレベルだからです。
この曖昧な感覚を、先ほどYouTubeのニュース配信の中で科学者の武田邦彦先生が軽くコメントされたのでびっくりしてブログに記しておきます。
武田氏はこのようにコメントされました。
時間の流れは、空間が小さいほど早い。
空間が倍になると時間は1+4分の1になる。
数式としてあるということでした。
武田先生に後押してもらったようで(話題は全然違ったのですが)自分としてはうれしい限りでした。
しかし、ここで大きな間違いをしないように注意点を加えます。
広い場所を犬に与えることが余裕を得られるのだと単純に誤解しないでください。
ドッグランや広場や広い場所に犬を放たれることで、犬にリラックスや余裕が生まれるということではないのです。
犬に時間の流れの余裕を与える空間とは「生活空間というテリトリー」の広さです。
さらに「生活空間というテリトリー」は犬が安心して過ごすのことのできる場所になっている必要があります。
「空間」といっても場所さえあればいいということではないのです。
例えるなら、自分の寝室として30畳もの広さの部屋を与えられ、その中にベッドもなにもなく、この広い空間で時間の余裕を生み出して下さいといわれてもそれはできないのです。
安全と安心を自分に得ることのできないただ広いだけの寝室空間は、自分の中に「不安」を生み出します。
結果その「不安」はドキドキを生み出し、心臓の鼓動が早くなると同時にたくさんの時間を失ってしまいます。
有名な本「像の心臓、ネズミの心臓」につながりそうです。
だからこそ大切なのは、犬が毎日生きている暮らしの場をきちんと整えること、考えるならそこを真剣に考えることです。
そしてできることから少しずつ、始めなければなにも変わりません。
犬は忙しく生きたいとは思えない。
動物はゆっくりと生きる生き物で、本当なら犬の10年はもっとゆっくりしたものなのではないかと考えています。
私ひとりが考えても仕方のないことですが、そのうち私のとなりにいる人が考えて、そして次の人が考え、そして一頭の犬の生涯が変われば、それだけでとてもうれしいです。