今日のブログ記事を目にした方は本当にラッキーです。
すごく大切なことですので飼い主さんにクラス中に特別にお伝えするようなことですが、あまりにも多くなってきたので特別に教えます。
気が変わったら削除しますのでお早目にお目通しください。(笑)
犬との関係作りにおいて、犬をほめたり叱ったりする必要がたくさんあると思っているなら大きな勘違いです。
でも安心してください。その勘違いを私もやっていました。
もう数十年にわたって犬のしつけ方やトレーニングを指導してきました。
もっと前の使役犬の訓練士のときにはチョークチェーンも使っていました。
家庭犬のインストラクターになってからは、ごほうび(報酬)トレーニングもやりました。
これはどちらもオペラント条件付けという「強化」の法則にのっとったトレーニングの手法です。
でも今はどちらも犬のしつけやトレーニングの道具として必要としていません。
犬とコミュニケーションをとる過程で「ごほうび」や「罰」の道具を用いる必要性を感じないと同時に、この道具の多様は犬と人の関係性を表面的なものに抑えてしまうと思っているからです。
ところが、今でもまだこのドツボにはまってもがいている飼い主さんがたくさんいます。
ほめなければいけないと思っているから、叱らなければいけないとおも思っているのです。
もし、飼い主であるあなたが「犬のことを叱ってばっかりいる気がする。」と思っているなら、いろんなことが誤解されているようなのでここで一度整理しましょう。
いくつか代表的な間違いが三つありますのでここに項目別に説明します。
・犬に対する合図(コマンドともいわれる)オスワリ、フセ、マテなどは叱る言葉ではない。
犬に対して、オスワリをさせてください、フセをさせてください、というと、大きな声で「オスワリ!オスワリ!」や「フセ」と怒鳴るように言われることを耳にしますが、これはそもそも間違っています。オスワリやフセなどの合図は、ひとつのシグナルであって叱るために使う言葉ではありません。
シグナルなのでできるだけフラットな音で「オスワリ」「フセ」と発することができればいいのです。
犬には音声シグナルの聞き分けが人ほどには高くないといわれますが、この三つくらいの聞き分けはいずれできるようになります。
もちろん犬の中には聴覚的に問題をかかえている犬もいるかもしれませんが、視覚的なシグナルで補えばこれも解決します。
特に犬に対して怒鳴るような大声でオスワリをいう風景を見るときには、犬がなんどかオスワリといっても座らない、フセといってもフセないときです。
脅しをかけないとオスワリやフセをしないような状態では、それは合図とはいえません。
「合図はいわれたらするもの」そう教えることの方がよほど大切なのです。
・犬がとびついてきたときにダメ!といって叱る必要はない
これを読んで驚きましたか?「犬に飛びつかれないでください。」というルールはとても大切なルールなのでみなさんにお伝えしています。
しかし飛びついた後に叱っても効果はありません。
飛びつかれた段階ですでに「スキ」があるのですから、それを叱ったとしても悪いと犬が理解することもありません。
「犬が飛びついたときに叱るのでしょっちゅう叱っていて気分が落ち込みます。」と言われることもあります。
これも同じですが、とびつかれないようにすることに価値があるので、そもそも方向性が間違っています。
その飼い主さんの犬に私は飛びつかれることがありません。
だから私は叱ることもありません。
犬に対して「駄目よーダメダメ」と少し古いお笑い芸人の一発芸のような言葉を発しているとしたらもう一度「とびつきをさせない」ということの意味を考えましょう。
犬はやったことしか覚えていきません。
飛びついた後にダメだと叱ることで正しく伝えることはできないのです。
・犬がリードを引っ張ることを叱っても、人の後ろをついて歩くことは覚えません。
これもよく見る犬を散歩させる飼い主の行動のパターンです。
犬に引っ張られながら歩きつつリードを後ろに引いて「ダメ」を繰り返して叱ることもまた必要のないことです。
二つ目の犬のとびつき例の説明と同じになりますが、犬がリードを引っ張ることを叱っても犬は正しい散歩の仕方を身に着けることはできません。
犬がかわいそうだから叱ってはいけないと言っているのではなく、効果がないからやる必要がないということです。
犬に散歩のさせ方をちゃんと教えたいのなら、もっと違うところから教えていく必要があります。
その方法とは…。クラスの中でご説明していますね。
逆をいうと、犬がきちんと歩いているからと「イイ子、イイ子」とほめながら歩く必要もないのです。
あくまで自分の気持ちを満たすために「おりこう」とか「いいこだね」などのかけ言葉はもちろんかまいません。
やさしい音色の声は犬にも伝わるし、犬は飼い主が満足していて安定していることをすぐに受け取れるようになります。
でも、頭をなでてほめたり、上手上手を犬のために繰り返しているならその必要はないということです。
犬は自分がやるべきことを理解し、そしてただそれをやっているだけ、そしてそのことに犬自身も満足をしていれば、そんなイレギュラーな歩き方はしないのです。
もちろん都心は散歩コースの環境があまりにも乱れています。
これでは犬は落ち着きをなくしてしまうと思うようなコンクリートが続く場所ばかりです。
環境を選ぶこともまたトレーニングの要素のひとつですが、犬を叱ったりほめたりすることよりもずっと重要なのです。
今日は特別授業でした。
お役に立てれば幸いです。